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格闘技の祭典「ONEチャンピオンシップ」、「SFV」部門ではボンちゃん選手がEVO覇者の実力を見せつける
2019年10月7日 11:37
ベルサール渋谷ガーデンにて開催された「ONEマーシャルアーツファンフェス」は、格闘技と格闘ゲームの大会を同じ会場で楽しめる画期的なイベントだ。会場の片側にはリング、もう片側にはゲーミングモニターが設営されており、どちらのファンも新鮮な体験ができる。主催のONEはシンガポールに拠点を置く総合格闘技団体で、近年こうしたイベントを通じてeスポーツの興行にも力を入れているようだ。
そんな会場で執り行われた「ストリートファイターV」の3on3大会が「ONEストリートファイターV トーキョー・チャレンジ」だ。本大会ではプロゲーマー計10名が招待され、それぞれチームを組み、トーナメントを戦う。名だたる強豪たちが招待される中、日本代表として唯一招待されたのがボンちゃん選手だ。
ボンちゃん選手は長年格闘ゲームプロとして活動する選手だが、EVO 2019の優勝をはじめ、今年に入っての活躍が目覚ましい選手だ。メディアにも引っ張りだこの忙しい日々を送るボンちゃん選手、そんな彼の活躍を一目見ようと大勢の格闘ゲームファンが会場を訪れた。果たしてボンちゃん選手は皆の期待通り本大会を優勝することができるのか?
負けなしで決勝進出・怒涛の快進撃!
ボンちゃん選手の活躍が大いに期待された本大会だが、国外から招待された9名は、シンガポールのXian選手、台湾のOilKing選手をはじめとする猛者ぞろい、いくらEVO覇者としても一筋縄でいかないのは明白だ。しかもボンちゃん選手は、当日予選を勝ち上がった2名のプレーヤーとの即席チームでトーナメントに挑まなければならない。
大会前にインタビューを受けてくれたボンちゃん選手に意気込みを聞くと、「チームリーダーとしてチームメイトを優勝へ導く、そういう使命感を感じています」と述べた。また最近の輝かしい活躍については「調整が入って使用キャラが強くなったことで、今までの練習が糧になり、報われるようになった感じですね」と答えてくれた。
予選が終わると、169名のプレーヤーの中を勝ち抜きボンちゃん選手のチームメイトになる二人が決定された。RedBullアスリートのガチくん選手と、中国の若手QiuQiu選手だ。どちらも国際大会で活躍する一線級のプレーヤーだ。即席チームと言うハンデはあるものの、チームボンちゃんの優勝への道は整ったようだ。
チームボンちゃん本選の最初の相手はチーム台湾となった。台湾格ゲー界を牽引する古豪GamerBee選手を始め、国際大会TOP8常連のOilKing選手、開発力に定評のあるRB選手と中々の面子だ。しかしチームボンちゃんはこの試合を、1ゲームも落とすことなく快勝する。
まずボンちゃん選手自らが先鋒に立ちGamerBee選手を下し、チームに活気をもたらす。すると続く2戦目、勢い付いたガチくん選手がOilKing選手とのラシード同キャラ戦を制した。そして3戦目、RB選手対QiuQiu選手のユリアン同キャラ戦も、QiuQiu選手が持ち前の逆転力で強引に勝利し、チームボンちゃんはロケットスタートを決めた。
彼らの実力はもちろんのこと、筆者が注目したのはチームボンちゃんの団結力だ。即席チームではあるものの、お互いに盛り上げ合いながらプレイする姿が印象的だった。そこには、ボンちゃんのリーダー力も影響しているだろう。自分がプレイしていない時にも「自由にやっていいよ」「楽しんでいこう」と声掛けを欠かさず、それがチームの士気向上になっているようだった。
チームボンちゃんの2戦目の相手はチームコリアとなった。この試合に勝てばチームボンちゃんはウィナーズ側のまま決勝戦へ駒を進めることとなる。対するチームコリアは、1回戦でXian選手率いるチームオールスターを下しており、勢いに乗っている。
互いの実力からも拮抗した試合展開になるかと思いきや、またもやチームボンちゃんがストレート勝ちを決める。ガチくん選手がSigur Ros選手を下し、続くQiuQiu選手はVeloren選手を撃破。最後にはリーダーのボンちゃんが、韓国最強プレーヤーとも称されるNL選手から難なく星を取り、チームボンちゃんは1ゲームも負けないまま決勝へと駒を進めた。
魂のキャラクター、サガットで掴んだ優勝
一度はチームボンちゃんに敗北したチームコリアだったが、その後ルーザーズを何とか勝ち抜き、決勝戦でチームボンちゃんにリベンジマッチを挑む形となった。対するチームボンちゃんはウィナーズ側、精神的余裕が生まれる立場だ。
第1戦はガチくん選手対Veloren選手、2回戦の内容を踏まえて、チームコリアが順番を変更してきたようだ。その作戦が功を奏したか、ガチくん選手は立ち回りでVeloren選手のキャミィに圧倒され、ここで初めてチームボンちゃんが1ゲーム落とすこととなる。
続く第2戦はQiuQiu選手対NL選手。試合は、丁寧なプレイをしたいNL選手と、攻めを通したいQiuQiu選手の一進一退の攻防となった。ラウンド数1-1までもつれた後、QiuQiu選手が持ち前の攻めを通し、NL選手にVトリガーを使わせないまま勝利する。第3戦はボンちゃん選手対Sigur Ros選手のカード。実はこの組み合わせは先日のCPT大会「アジアプレミア」でも勃発したカードで、その時はなんとボンちゃん選手が負けている。大会前のインタビューでもボンちゃん選手はSigur Ros選手に言及しており、「一度負けてから沢山研究をしたので、今回対戦してリベンジを果たしたいです」と述べていた。
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因縁の対決にメインキャラクターのFANGを選択するSigur Ros選手に対し、ボンちゃん選手はサブキャラクターであり魂のキャラクターであるサガットを選択した。試合は互角の戦いになったが、そんな中ボンちゃん選手のFANG対策が要所で光る。巧みなタイガーショットと、FANGの多彩な行動に対する対策は、まさに練習の賜物だろう。ボンちゃん選手は宣言通りSigur Ros選手を撃破し、チームコリアは残りVeloren選手一名となった。
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続くQiuQiu選手対Veloren選手のカードはVeloren選手に軍配があがり、決勝戦は両者後がない中Veloren選手対ボンちゃん選手の大将戦になった。空中からの攻めが強みのVeloren選手の使用するキャミィに対し、ボンちゃん選手のサガットは背が高いため苦戦を強いられる。Veloren選手の多彩な攻めに、ボンちゃん選手のサガットも凌ぐ時間が多かったが、しかしあと一歩のところで踏ん張り続けた。激戦の末、タイガーショットが決まり手となりボンちゃん選手が勝利した。ボンちゃん選手個人で見れば、大会を通して負けなしでの優勝だ。
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優勝したチームボンちゃんには賞金1,050,000円とメダルが授与された。
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チームリーダーのボンちゃん選手によると、こういった勝利は日頃の練習の結晶だと言う。特にSigur Ros選手などは一度負けたことのある相手で、それをバネに研究することで少しづつ苦手を克服し、選手として強くなっている。12月にはカプコンカップが開催されるが、ボンちゃん選手はそこへ向けての準備も着々と進めているようだ。「EVOで2000人の頂点に立てたんだから、32の中から優勝するのは簡単なはずです。それぞれの取り組みの集大成がぶつかり合うカプコンカップ、出場する身としても非常に楽しみにしています」と力強くカプコンカップへの意気込みを語ってくれた。
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