【特別企画】

宮崎延岡に九州の格闘ゲーマーが集結! 「闘神祭in延岡WAIWAI CUP」レポート

筆者も参戦して「闘神祭」を目指すゲーマー達の凄さを肌で感じてきた

2月1日開催

会場:宮崎県延岡市 延岡総合文化センター

 2月1日、宮崎県延岡市の延岡総合文化センターにおいて、日本最大級のアーケードゲームeスポーツ大会「闘神祭2020 -World Championship of ARCADE-」のスペシャルラウンドとして「闘神祭in延岡 WAIWAICUP」が開催された。

 同大会は、ケーブルメディアワイワイが主催する「ワイワイポプカルフェス」内のメインイベントとして位置付けられたeスポーツイベント。闘神祭は、「e-ARCADE SPORTS」を象徴する取り組みとしてタイトーが主催する大会であり、各メーカーの人気アーケードゲームタイトルが一堂に会する格ゲー界最大規模のゲーム大会、対戦格闘ゲーマーなら、一度は決勝大会に参加したい大会の1つだ。

【ワイワイポプカルフェス】

 今回大会が開催されるタイトルは、「ストリートファイターV タイプアーケード(以下、「ストV」)」と「GUILTY GEAR Xrd REV 2(以下、「GGXR2」)」の2種目。延岡市は宮崎県の中でも九州の他県から比較的遠征しやすい地域であるため、宮崎県内はもとより、他県の強豪プレーヤーが多数参加することが予想された。

 本稿では、地方都市で開催されたeスポーツ地方予選「闘神祭in延岡WAIWAI CUP」の模様をお伝えする。

【イベント会場となった延岡総合文化センターの外観】

大会前のウォームアップ。アーケード筐体の感触を確かめる参加者達。

 本大会は業務用ゲーム機を使用して行われる。「ストV」はビューリックス筐体、「GGXR2」はリンドバーグ筐体を使用する。地方都市におけるゲームセンターの減少に伴い、主な対戦環境がゲームセンターからゲームコンソールへ移行したプレーヤーも多くなっており、普段使用しているコンシューマー用コントローラーと筐体のコントロールパネルでは、ゲームの操作感に違いが出る。参加者達は、大会開催までの間にゲーム筐体の感触を確かめるように黙々と対戦を続けている。

 「ストV」に使用するビューリックス筐体は、既存操作系に加えて既存のUSBゲームコントローラーを使用して遊ぶことが出来る。熱心な参加者の中には、マイコントローラーを持ち込んでいる参加者もいた。

【大会開始までのフリー対戦でウォーミングアップする参加者達】

【ビューリックス筐体のUSBコントローラー接続】
マイアケコンを筐体に接続してプレイする参加者

決勝のメインステージに向けて予選会場で戦う参加者達。

 まずは、主なレギュレーションは下記の通りである。※詳細はリンク先を参照

【大会レギュレーション概要(「ストV」、「GGXR2」共通)】
・3on3(チーム戦)のシングルイリミネーショントーナメント
・先鋒申告制(先鋒の選手及び使用キャラをジャッジに事前申告)
・1試合2ラウンド先取制の勝ち抜き戦
・全キャラ使用可能
・その他詳細は下記のリンク先を参照
闘神祭「ストV」大会ルール(公式)
闘神祭「GGXR2」大会ルール(公式)

 今回採用されたチーム戦の対戦方式は、古くからゲームセンターで行われて来たルールである。通常ゲームセンターの対戦台は、乱入形式で設置される。そのため、プレーヤーが突発的に大会を開催する場合に、筐体の設定を変更することなく進行できる勝ち抜き戦方式が適している。アーケードゲームの大会である闘神祭に相応しいルールだ。

 予選会場には、「ストV」筐体が3セット、「GGXR2」筐体が3セット準備され各タイトルの予選が同時進行で行なわれる。「ストV」と「GGXR2」ともに1台が配信台となり、「ストV」の配信は、解説がTeam Liquid所属のプロゲーマーネモ氏、実況がBurning Core所属のなない氏。「GGXR2」の配信は解説がEVO 2017-2018覇者おみと氏、解説がグロバールセンス所属プロゲーマー神園氏と豪華な顔ぶれによるLIVE配信である。

【実況解説を行なう格ゲー界の有名人4名の豪華ゲスト達】
ストVの実況解説 ネモ選手(左) なない氏(右)
GGXR2の実況解説 神園氏(左) おみと選手()

 本大会には、「ストV」は16チーム、「GGXR2」は14チームがエントリーされ、準決勝まで進行される予選会場内に集結。チームの中には、3on3でありがなら2人や1人でエントリーする強者達もいる。観戦者も会場内に入り、大会前のフリープレイの時間とは明らかに違う人の数で賑わっている。

【選手が一同に会す予選会場】
30チーム+観戦者が入る予選会場は移動するのもままならない

【トーナメント表】
「ストV」 16チーム
「GGXR2」 14チーム

メンバーで声を掛け合う団体戦は、個人戦よりも会場の雰囲気があったかい

 本大会はチーム戦であり、筆者も仲間とチームを組んで参加している。チーム先鋒の筆者は、大会運営の指示により対戦席で待機していた。筆者は待ち時間の間、キャラの動きをおさらいしつつ待っていると、筆者の後方からチームメイトの応援が聞こえた。ふと我に返り会場を見渡すと、参加者隊が談笑していることに気付く。会話の内容も温かいと感じで筆者の過度な緊張も解れた。

 大会実況のなない氏、神園氏の両名から、1回戦開始のコールが行われると、参加選手達の拍手と歓声が上がり、先鋒のプレーヤーは一斉にスタートボタンを押した。筆者はかりん、相手チームの先鋒はザンギエフを選択する。

 1ラウンド目、ザンギエフに苦手意識のある筆者は、思い切った攻めを行うことが出来ず、相手の牽制技の受け過ぎてしまい1ラウンド目を落としてしまう。筆者が気落ちしていると、背後からチームメイトのアドバイスや応援が飛んでくる。その声援に応えようと、2ラウンド目は、慎重かつ大胆に攻めを試みる。相手の体力がクリティカルアーツ1発で倒せるところまで追い込むも、最後は、筆者のかりんが中足払いで差し込もうとしたタイミングに、ザンギエフが牽制技の中パンチをカウンターヒットさせ、筆者は試合を落とす。負けた筆者はチームメイトに励まされ席を立つ。気持ちを切り替えて中堅の応援することに集中した。

 中堅のみやざき氏はザンギエフを使用。かなり強気な前進と飛びをみせるみやざき選手の対戦スタイルをみて、筆者は細かいアドバイスを捨て、勢いだけの応援に切り替える。その応援が届いたのか、みやざき選手のスクリューパイルドライバーが何度も決まりラウンド連取し勝利する。

 相手チームは2人でエントリーしており、次は大将戦となった。対戦相手はケンを選び、みやざき選手のザンギエフに挑むも、みやざき選手の勢いを止めることはできず、この試合もみやざき選手がラウンド連取で勝利し、チームも2回戦へ進んだ。勝利が決まった後、チームメイトとハイタッチで勝利を喜び、対戦相手とも健闘を称えあった。

 2回戦の相手チームはベガ、筆者チームのガラパゴス選手はリュウを選択。試合開始後、お互いが牽制技を出した後、リュウが下がって波動拳を出すが、ベガは読み切っていたのか、VスキルII「ヘルズワープ」でリュウの背後に回り強キックを当てる。

 「ヘルズワープ」は「ストV」のシーズン5から追加されたVスキルで、使用するとベガが画面上から消え、相手の裏に出現する特殊移動系の技だ。シーズン5が開始してから、実装からそれほど時間がたっておらず、まだ慣れていないプレーヤーも多い。

 相手の出鼻を挫いたベガは、サイコアックス、中パンチ→ダブルニープレス、弱パンチ→サイコブラストなど、様々な連携でリュウを攻めて続け1ラウンドを取る。対戦したガラパゴス選手もそうだが、筆者といっしょに見ていたみやざき選手も困惑気味である。筆者もヘルズワープを間近でみて「これは反応できないかもしれない」と不安になる。

 2ラウンド目に入ると、ベガの立ち回りが大きく変わる。リュウがヘルズワープに対応できていないと判断したのか、ヘルズワープを多用する戦略に切り替えたのだ。特に厳しそうだった連携が、EXサイコブラストを出してからのヘルズワープ。通常のサイコブラストはベガの手に宿るサイコパワーで攻撃するが、EXサイコブラストは、ガイルのソニックブームのようにゆっくり前進するサイコ弾になる。サイコ弾を盾に、「ジャンプ攻撃」「前ダッシュ投げ」「前ダッシュ打撃」「ダブルニープレス」などの様々な連携がある中、ヘルズワープの裏回りは脅威である。

 ガラパゴス選手は、ベガの多彩なヘルズワープ連携に対応できず、そのまま2ラウンド目も失ってしまい敗北が決定した。

 中堅は筆者。手練れのベガに対して、筆者が最も一番自信のあるファンを選択。ヘルズワープもそうだが、ベガの様々な連携に正面から付き合わず、時間を使って変則的な動きで翻弄しようと考えた。

 試合が始まると筆者は相手のベガの動きに困惑する。筆者のファンの動きにベガが対応してくるだけならまだしも、ベガもトリッキーな動きでファンを襲ってくる。トリッキーな動きにファンが防御気味になると、今度は強力な連携で抑え込んでくる。筆者はベガの連携から何とか逃れようとVリバーサルや弐間脚を使用するが、投げや中足払いで止められ、ベガの勢いを止められない。筆者なんとかベガを転倒させて、両鞭打を使った表裏で一発逆転を狙うが、スタンにまで至らず負けてしまう。

 筆者は「相手が強過ぎて何にもできなかった」という思いでいっぱいになっていると、大将のみやざき選手が、ベガに対してザンギエフを選択し試合を開始。筆者も落ち込んでいる場合でないと気持ちを切り替え、対戦で気づいたことをみやざき選手伝える。みやざき選手もベガのヘルズワープに戸惑いながら試合中に様々なことを試しているのがわかるが、打開策は見つからないようだ。

 ベガは上からの攻撃に対して対空攻撃が苦手なキャラだ。筆者はダメ元で「ワープは地上技、ベガが消えたら取り合えずジャンプ。何か対策になるかも」と、チープで乱暴なアドバイスを送ると、みやざき選手も何か思いついたのか、ザンギエフの攻撃やスクリューを強引に決め始めた。お互いの体力も少なくなってきたところで、みやざき選手がスクリューを決めて、何とか先鋒のベガを倒す。

 しかし、相手の中堅のコーリンがさらに強敵だった。リーチの長いザンギエフが、間合いの外から殴られ続けるような時間が続く。ザンギエフが何とかコーリンの体力を奪うと、コーリンがVトリガーIIを発動し、強力なコンボでザンギエフの体力を奪う展開になる。みやざき選手の善戦もむなしく、相手大将を残してチームは敗退となった。

 相手の選手達はとにかく強かった。試合後にチームメイトとも、相手チームとの試合や展開について話したが、筆者が感じたのは、相手チームが別次元の強さであるということである。筆者地元の宮崎延岡での開催と言うことでローカル大会のような気持ちで参加したが、これは大規模な全国大会の予選であり、プロゲーマーに準ずる選手達が集まってきている。そして格闘ゲームを趣味の延長線上で楽しんでいる我々と、eスポーツとして真剣に取り組んでいる彼らとの間には明確な差が存在する。今大会に参加してみてそのことを実感した。

【大会に挑む筆者】
筆者はシーズン3より自キャラをかりんをプレイしている。善戦できる自信があったが、相手のザンギエフに一歩及ばす。
【試合に勝利しチームメイトとハイタッチ】
勝利を決めハイタッチするみやざき氏(左)。先日行われたEVO Japan 2020 サイドトーナメント「あすか120%スペシャルBURNING Fest Ver.2」覇者(運営)で宮崎在住。サングラスのガラパゴス氏はカプエス2EOの開拓者。筆者もスト2の普及のためと、3人別々のゲーム愛に共感し、チーム「みやざき120%2XEO」として参加。

 ちなみに予選では、各地域でイベントを主催するスタッフで構成されたチーム同士による試合もあった。「Team仇戦」vs「FG宮崎」である。「Team仇戦」は福岡のプレーヤーが企画する「ストV」大会「仇戦」を運営している。昨年は佐賀の「ミキティの激安家具SHOP」の敷地内において、カプコン公認の大会を主催し、佐賀はもとより、隣接する他県からも参加者が多数訪れる人気イベントとなっている。

 一方、「FG宮崎」は、宮崎県内で様々な場所で格ゲー交流会を開催する格ゲーイベント運営団体で、主催だけでなく、格ゲーのタイトルに拘らず交流会を開催したい希望があれば、全力で応援及び運営の手伝いを行なっている。

 九州のイベント運営者同士の試合は、「Team仇戦」に軍配が上がる。試合後には、2/29に福岡で開催される「仇戦 第二幕」の話題や今後の九州イベント運営の方法などを和やかに会話していた。

【九州のイベント運営を担う団体対抗戦の様だ】
仇戦の仕掛け人 ナズチ選手
FG宮崎の代表 もづく選手
【機材トラブルに対処するスタッフ】
ストVの対戦台でゲームが開始できないトラブルが発生。復旧までにかなりの時間を要していた

「ストV」、「GGXR2」ともに決勝の試合は白熱した試合に。地元宮崎も決勝に残る健闘を見せる

 決勝戦に進出したのは下記の4チーム。

「ストV」部門
姿勢の良いゴリラ(たいし、UTA、てつじ)
フロンティア@カレー味(エニキ、禅、セイケ)

「GGXR2」部門
Remember Mahodo (小次郎、KZO、トゥーリオ)
仏の顔も三度まで(じゃじゃ丸、レンジャー、ドルジ)

 「ストV」の試合は何といっても「フロンティア@カレー味」の禅選手のZEKUに期待が高まる。フロンティア@カレー味は、予選の3試合を禅ZEKU 1人で勝ち上がり、禅選手の9連勝で見事決勝に進出。チームリーダーのセイケ選手も「このまま試合をせずに終わりたい」と余裕を見せる。

 試合はその言葉通り禅ZEKUの強さを見せつける試合となる。姿勢の良いゴリラの先鋒UTAベガが繰り出すVスキル2のヘルズワープをしっかりみて反撃、1、2ラウンド共に危なげなく取り連勝を10連勝に伸ばす。

 続く中堅はてつじKOLIN。禅ZEKUはラウンド開始後すぐに前ダッシュを通すと画面端まで追い込み、てつじKOLINの体力を半分奪いスタンリーチまで追い込む展開に、禅ZEKUが投げを試みるが、てつじKOLINが投げ抜けを成功させ踏ん張る。しかしここから禅ZEKUは、リードを守ったまま1ラウンド目を取得。2ラウンド目はお互いが牽制技を受ける殴り合いの展開になりお互い体力が少ない状態に。最後はてつじKOLINが不意に出したEXパラベラムを禅ZEKUガードから確反コンボを決めて11連勝となる。

 後が無くなったチーム「姿勢の良いゴリラ」。禅ZEKUは、大将のたいしKARIN相手に、序盤は牽制技を振る。一方、たいしKARINも技の差し合いを受けつつも、要所でジャンプ攻撃をみせるが通らない。お互い牽制技で徐々に体力が減り、体力が3分の1になったところで試合が動いた。禅ZEKUが間合いを詰める歩きに、たいしKARINの強パンチがヒット。そこから天狐→無尽脚→EX天狐→EX大蛇と高難度最大ダメージのコンボにつなぎ、禅ZEKUを倒し切る。

 会場から連勝ストップへ期待の声援が飛ぶ中、2ラウンド開始に、禅ZEKUは、強気のEX武神倶羅無・刻を出したが、たいしKARINが大胆にもジャンプ攻撃を選択していた。飛びを通したたいしKARINが禅ZEKUから大ダメージを奪うと続けざまに禅ZEKUの牽制技に、またも強パンチをヒットさせ、コンボ+投げで禅ZEKUがスタン。そんまま禅ZEKUを倒し切って連勝を止める。

 今日の大会中に初めて中堅を出すことになったチーム「フロンティア@カレー味」。中堅はセイケDHALSIM。予選で1度も試合をしていないセイケ選手であるが、始めから的確な牽制技で微塵も問題を感じさせず、たいしKARINを近付けさせない。またセイケDHALSIMはトリッキーな動きも見せ、たいしKARINを華麗にいなし、続け危なげなくラウンドを取った。

 後が無くなり、攻め姿勢を見せるたいしKARINに対して、華麗にいなすセイケDHALSIM。筆者の頭に浮かぶ1ラウンド目の悪いイメージが重なって見える。たいしKARINが不要にみえるジャンプ攻撃を試みると、なんとセイケDHALSIMが対空攻撃をミス。ジャンプ攻撃を通し千載一遇のチャンスをつかむたいしKARINが、セイケDHALSIMを画面端まで一気に追い込む展開となる。

 画面端で耐えるセイケDHALSIMがVリバーサルで状況の打開を試みるが、たいしKARINは読み切ってしっかりガード。このまま攻め続けるかと思いきや、たいしKARINが下がって間合いを取る。筆者には考えられない選択をしたたいしKARINだったが、セイケDHALSIMの遠距離中パンチで牽制空ぶりに、たいしKARINが強パンチカウンターを当て、キャンセル強烈煽破でコンボにつなぎ、セイケDHALSIMを一気に画面端に追い込む。その後またも強パンチカンターからEX大蛇を当て、セイケDHALSIMの体力をあっという間にすべて奪い勝利、試合を振り出しに戻した。

 お互い1ラウンド取り合って最終ラウンド、前の2ラウンドとは打って変わって果敢に攻めるセイケDHALSIMをたいしKARINが捌き切れず、セイケDHALSIMがラウンドを取り、チーム「フロンティア@カレー味」の優勝となった。

【「ストV」部門KARIN決勝 禅ZEKU】
禅選手。決勝まで負け無しの9連勝、決勝で11連勝まで伸ばした。
【「ストV」部門 たいしKARIN】
たいし選手。FG宮崎の「ストV」大会では優勝の若手No1。
DHALSIMの遠距離中パンチの伸び切りにカウンターで強パンチヒット
【ストV部門 優勝 フロンティアのカレー味】

 「GGXR2」の決勝は、同じホームゲームセンターであるRemember Mahodoと仏の顔も三度まで。本決勝戦はRemember Mahodoの先鋒トゥーリオ選手が大活躍だった。

 仏の顔も三度までの先鋒はドルジRAVEN。ラウンド開始から、ドルジRAVEN読みが冴えわたり、投げ、すかし下段、空中投げと攻撃を通し、トゥーリオINOは早々にバーストを吐く。なおもドルジRAVEN責め立てるが、トゥーリオINOが投げを決めると、攻守がひっくり返った。

 トゥーリオINOがドルジRAVENの起き上がりに「抗鬱音階」を重ね、中段と下段の択を仕掛ける。空かし下段や、起き攻めの最速、遅らせの2パターンの下段で使い分け、さらにドルジRAVENの空中逃げを読み切り空中投げから、再び「抗鬱音階」を重ねを行い、厳しい攻めを継続する。前半に体力リードをされたトゥーリオINOだったが、あっという間に逆転し、ペースを渡すことなくラウンドを取得。2ラウンド目も勢いそのままドルジRAVENを押し切って勝利した。

 中堅は、じゃじゃ丸JAM。1ラウンド目はトゥーリオINOが「大木をさする手」「ケミカル愛情」「抗鬱音階」を面白いように当て続け、危なげなくラウンドを得る。

 2ラウンド目は、ラウンド開始からじゃじゃ丸JAMの怒涛のラッシュが展開され、トゥーリオINOは大量のダメージを受ける。中盤にトゥーリオINOが一度、じゃじゃ丸JAMを押し返す展開を見せるが届かず、再びじゃじゃ丸JAMにラウンドを奪われる。

 3ラウンド目はお互いの読みが交互に通り体力を奪い合うスピーディーな展開となった。ここでトゥーリオINOの我慢強さ、画面端に追いやる投げからのコンボ、相手起き上がりに対して相手の暴れを待てる冷静さが功を奏し、僅差でじゃじゃ丸JAMを下す。

 大将はレンジャーMILLIA。解説を務めるEVO2017-2018覇者おみと氏が、「わけわからんくらい強いと聞いている」と語る強豪プレーヤー。また、MILLIAは移動速度が速く、特殊な飛び道具である「シークレットガーデン」を1度重ねると2~3回の起き攻めが可能な強力な連携を持つキャラクターで、しかもレンジャー選手は「シークレットガーデン」を使った連携をどの場面でも組み込めるバリエーションを持つと言われている。

 おみと氏の解説の通り、1ラウンド目は、レンジャーMILLIAが圧倒する。高速な移動から繰り出される連携で、トゥーリオINOが画面端に追いやると、「シークレットガーデン」を使った起き攻めが行なわれ、トゥーリオINOの体力があっという間に0になる。2ラウンド目は、トゥーリオINOがレンジャーMILLIAを強引に画面端に追いやりそのまま倒し切る1ラウンド目とは逆の展開が起こる。

 Remember Mahodoは優勝に王手をかけた最終ラウンド開始早々、トゥーリオINOが投げから「抗鬱音階」を起き上がりに重ねる連携、「ケミカル愛情」を使った相打ち、P対空でレンジャーMILLIAの体力を一気に奪うと、レンジャーMILLIAが遠距離で不用意に出した「シークレットガーデン」の発生中に「ケミカル愛情」を差し込み、そこから遅らせ中段からのコンボを決めてRemember Mahodoの優勝を決めた。

【GGXR2部門 トゥーリオINO】
チーム「Remember Mahodo」のトゥーリオ選手。予選でも連勝を見せていた実力が、決勝ラウンドでも大爆発。複雑かつ高速な読み合いが行われる「GGXR2」において、本大会の安定感は素晴らしかった。
度々決めていた空かし下段。成功率の高さに驚く。
【GGXR2部門 優勝 Remember Mahodo】
【試合を観戦する一般観客とゲーマー達】
大会に参加した格ゲーマーや一般観客が試合の行方を見守っている

地方都市大会でも盛り上がる大規模eスポーツ大会。格ゲーマー達は、大会を楽しみゲーマー同士の交流を深める

 本大会には、筆者の確認した限りではあるが、宮崎県北、県中、県南及び、福岡、大分、熊本、東京から選手や観覧者が訪れていた。普段は中々会えない他地域のプレーヤーとの交流が会場で行なわれ、ゲーム以外のコミュニケーションも盛んであった。

 予選会場は、昔と変わらないゲームセンターの雰囲気を彷彿させ、決勝が行なわれたメイン会場は先端のeスポーツイベントが繰り広げられた。参加者達は満足した表情を見せ、次の機会を楽しみしている。

 大規模なeスポーツの大会は、大都市を中心に開催される傾向にあり、地方都市のゲーマー達はその恩恵を受けにくい状況である。費用対効果から考えると、企業が率先して地方都市で開催するには、昨今のeスポーツ業界は、上り調子であったとしても、まだまだリスクが伴う状況であることは確かだろう。

 潜在的な格ゲープレーヤーや観戦者人口を発掘し、eスポーツ業界の裾野を広げる為にも、業界全体から、今回のイベントと同様の企画が生まれ、他の地方都市でも積極的に開催されることを切に願う。