【特別企画】

22年の時を経て復活!スマホ版「モンスターファーム」ファーストインプレッション

当時のままの「モンスターファーム」が新要素を連れて帰ってきた!

【Android/iOS】

11月28日 発売予定

【Nintendo Switch】

12月19日 発売予定

価格:1,960円(税込)

 1997年7月24日、テクモ(現:コーエーテクモゲームス)から発売された育成シミュレーションゲーム「モンスターファーム」。プレーヤーはモンスター育成のブリーダーとなり、助手のホリィさんとともに名人を目指してモンスターを育てていくというストーリーで、育成するモンスターをCD(=円盤石)から召喚するという斬新な方法も話題となった作品だ。そんな「モンスターファーム」が22年の時を経て、11月28日にAndroid/iOS版、12月19日にはNintendo Switch版がコーエーテクモゲームスより発売される。

 今回は発売に先駆けて、Android/iOS版を先行体験することができた。筆者はプレイステーション版が発売された当時にガッツリ本作をプレイしていた。少し記憶が曖昧だが、当時中学生だった時の記憶を思い出しながら、今回のプレイをレポートしていきたい。

いざモンスターを召喚!

 プレイステーション版の最大の特徴であった、「モンスター神殿」でのCD(円盤石)からのモンスター召喚。しかし、今回移植されるスマートフォンやNintendo Switchでは物理的にCDを再生することができない。そこで今回の移植版の本作では"データベースから音楽を検索"して育成するモンスターを召喚する。

 検索方法は「タイトル名」や「アーティスト名」を入力するというもので、どちらか片方だけでも検索できるが、両方入力したほうが検索の精度がぐっと上がる。また、きちんとした正式名称を入力しないと楽曲がヒットしないので、例えば特定のCDから誕生するレアモンスターなどをピンポイントで召喚したい場合はしっかり覚えて検索することをオススメしたい。

 また、モンスター召喚の際には移植版独自のアイテム「円盤石」が必要となる。「円盤石」はテスト版では初期から100枚が手元にあり、毎日ログインボーナスのような形で追加の配布が行なわれる形となっていた。これにより召喚数に一応の制限がかかるような形となるが、通常のプレイでは100枚もあれば恐らくは問題なく好みのモンスターを再生できるだろう。

「タイトル名」と「アーティスト名」から楽曲を検索!再生する際には「円盤石」が必要だ

 初期状態で召喚できるモンスターは「ディノ」、「ゴーレム」、「ライガー」、「ピクシー」、「ワーム」、「ゲル」、「スエゾー」、「ハム」、「ガリ」、「モノリス」、「ナーガ」、「プラント」の純血種と、それぞれの血統がMIXされた組み合わせ。他にも条件を満たすことで償還できるようになる隠しモンスターもいるため、登場モンスターの数は全部で200種類を超える。

「モンスターファーム」に登場するモンスター達はいずれも個性豊かで、各種の掛け合わせによって姿形はもちろんステータスの伸び率も異なる。まずは見た目が気に入ったモンスターを育てるのがいいと思う

 データベースから楽曲を検索してモンスターを再生する、というのは、実際に試してみて本当に画期的だなと感じた。当時はCDを入れてどのモンスターが出てくるのかワクワクしながらCDを入れて楽しんでいたが、検索する場合でもその当時のワクワク感はしっかりと残っていた。さらに、当時噂で聞いたモンスターを「音楽を検索」して召喚できたときには感動した。当時はCDもなかなか買えず、レンタルショップも近所になかった。欲しいモンスターを召喚できるCDを手に入れられなかったあの時を思い出してしまう。あれから22年たった今こうして手元にあのモンスターがいる。なんとも感慨深い。

 ちなみに召喚したモンスターは「モンスター工房」で冬眠という形で10体まで預かってくれる。また、これはちょっと……と思ったモンスターは「モンスター市場」で引き取ってくれるので、色々と試してお気に入りのモンスターをぜひ見つけてほしい。

モンスターは10体まで「冬眠」させてストックしておくことができる
モンスターは市場で引き取ってもらうこともできる

 また、モンスターは召喚するだけでなく「モンスター市場」でもらうことや「モンスター工房」で持っているモンスター同士を組み合わせて新しいモンスターを誕生させることもできる。

手持ちのモンスターがいない場合、「市場」で「ディノ」、「ライガー」、「スエゾー」のいずれかを貰える
モンスターを合体して新たなモンスターを作ることもできる

育成すると湧いてくる愛着

 せっかくモンスターを召喚したので、プレーヤーのファームに連れて行って育成してみることにした。ファームではモンスターの育成をはじめ、大会への出場やアイテムショップ、街への移動などを行なえる。

筆者は「モンスターファーム」の象徴的なモンスター「スエゾー」と「ゴーレム」の混血種「イワゾー」を育てることに。モンスターはファームを歩き回るので、時折寄って来てこのようなカメラ目線になることも

 モンスターは「仕事」と「修行」で様々な能力値を上げ、育成していく。「仕事」は1週間単位でモンスターに仕事をさせるというもので、能力値が上がるほかお金も稼ぐことができる。一方「修行」はお金を払って4週間修行場に籠り、1つの能力値を集中的に上げることができ、条件を満たすと新たな技を覚えることもできる。

 「仕事」、「修行」ともにモンスターの行動がドット絵のアニメーションで表現されるが、このアニメーションはモンスターごと、行動ごと、そして「成功」、「失敗」ごとに個性豊かに描かれているので、見ていても本当に楽しい。

メニュー画面からその週の行動を選択する
モンスターの行動はドット絵のアニメーションで表現される。可愛らしい絵柄で、見ていて非常に楽しい
時には遺跡にアイテムを探しにいく「探検」にでかけたり
ファームを改築したりといったイベントも発生する

 モンスターの「仕事」や「修行」で上がる能力値は「ライフ」、「ちから」、「丈夫さ」、「命中」、「回避」、「かしこさ」の6種類で、それぞれライフはHP、ちからとかしこさは技の威力、命中は技の命中率、丈夫さはダメージ軽減、そして回避は技の回避率に影響する。

 モンスターによって得意不得意があり、能力値の上昇率が異なる。育成の際は得意分野を伸ばしてやるもよし、苦手分野を補っていくもよし、同じモンスターでもプレーヤーの育て方によって全く違うパラメータのモンスターになるのでおもしろい。

 なお、「仕事」や「修行」をしていると、時折サボられたり、運が悪いと脱走したりする。これはモンスターの育成方針が大きく影響しており、甘く優しく育てるとサボるし、休ませず厳しく育てると脱走するので、特に序盤はこの辺りの加減が難しい。

 筆者が最初にファームに連れて行ったのは「スエゾー」×「ゴーレム」の「イワゾー」だったが、ベースとなる「スエゾー」の不真面目な性格がしっかり影響して、よく「仕事」をサボられた。しかし、厳しくして脱走されると捜索に数週間もの時間を費やすことになる……と思うと厳しくする勇気が出なかった。かつて中学時代の筆者は恐れることなくガンガン厳しくして、何度も脱走された記憶がある。22年の時を経て筆者は人格が丸くなったのか、はたまた臆病になったのか……。

 サボる、脱走の他にも、ケガや病気での入院、探検での迷子など、特に慣れないうちはモンスターがいろいろと面倒事を持ち込んでくる。いずれも「忠誠度」の管理をしたり、大会で過剰なダメージを喰らわないようにしたりとちゃんと対策はあるのだが、このあたりはモンスターと日々付き合いながら、徐々に学んでいくことになるだろう。

病気になって入院することになったり、大会で怪我をしたりすることもある
「探検」では迷子になってしまうことも……

 さて、モンスターを育てる大きな目的のひとつは「大会」だ。特に「公式戦」に勝利することで、モンスターはランクが上がり、プレーヤーは到達した最高ランクに応じて「ブリーダーランク」が上がっていく。ランクはEからSまでの6段階に加え、最高級のSランクには4大大会という超強力なモンスターを相手にする大会が用意されており、この4大大会を制覇するのがゲームの目的となる。ちなみに、ブリーダーランクやモンスターのランクが上がっていくと修行場が増えたり、買えるアイテムが増えるなど、育成環境も変わってくる。

公式戦で勝ってブリーダーランクを上げていく。毎回賞状が届くのでちょっと嬉しい
高いレベルの公式戦は緊張する……!

 「大会」においてはモンスター同士の距離で出せる技が変わり、距離は近~遠距離までの4つに分かれている。また、各距離の技はタップすることで、同じ距離に設定された別の技に切り替えることもできる。

 そのため狙った技を出すためには相手モンスターとの距離を調整しつつ、タップで適切な技に切り替える必要があるのだが、はじめ筆者は当時のコントローラー操作の感覚を思い出しながらプレイしていたせいか操作そのもので苦戦。中級ランクに行くとなかなか勝てなくなってしまい、初代モンスターの寿命を1年ほど無駄にするなど申し訳ないことをしてしまった。慣れてくればなんということはないのだが、当時プレイステーションでプレイしていたブリーダーの方は、独特のタッチ操作に慣れるまで少々時間がかかるかもしれない。

はじめのうちは操作に苦労しなかなか大会で勝てず、モンスターの寿命を浪費してしまうことも……
慣れてくると試合中にアップで写真を撮る余裕も出てきます!

 こうしてモンスターを育成して、大会に出場して上を目指していくのだが、モンスターは生き物なので寿命がある。寿命が来るとモンスターは死んでしまうわけだが、手塩にかけて育てきただけに、これが意外と悲しい。当時の筆者は一番最初のモンスターが死んだ時はショックを受けて、1週間ほどゲームを起動しなかった。ペットロスに近い感覚で、モンスターが死んでしまうと想像以上に喪失感があるのだ。

はじめてのモンスター、イワゾ-が死んでしまった……
お墓を立ててお別れをする。喪失感がすごい

 育てたモンスターを素材にして「合体」をすると、次世代のモンスターはステータスと技の一部を引き継いで生まれてくるので、「召喚」したばかりのモンスターより幾分か強い。そのため、モンスターは死んでしまう前に合体として冬眠させてあげるのがいいだろう。もちろんモンスターが死んでしまってもすべて1からやり直しというわけではないし、前のモンスターを育てたときの資産やノウハウがしっかりプレーヤーにあるので、仮に新しいモンスターを育てることになったとしても、以前より強いモンスターに育て上げることは十分に可能だ。

 こうしてモンスターの世代交代を積み重ねてどんどん上のランクを目指せるようになり、プレーヤーも本物のブリーダーになっていくというのが、本作のおもしろいところだ。

他のプレーヤーのモンスターと対戦!

 本作では他のプレーヤーが育てたモンスターと対戦することができる。その形式は「メモリーカード」を持ち寄ったり、オンラインでの対戦ではなく、他のプレーヤーが冬眠させているモンスターをダウンロードして、プレーヤー所有の冬眠モンスターと戦わせる形になっている。

 対戦にはランダム対戦とフリー対戦があり、ランダム対戦では対戦相手がランダムに選ばれる。フリー対戦では戦いたいモンスターの名前やブリーダー名で検索できるので、友達のモンスターと戦うことも可能だ。また、フリー対戦ではプレーヤーが所有しているモンスター同士を戦わせる事もできるので、自分のモンスターがどんな攻撃をするのか「大会」前に確認することもできる。

モンスター名やブリーダー名から友達のモンスターを探すこともできる

 本作はプレイステーション版を移植しているため、若干の画質の粗さはある。しかし、当時プレイしていた筆者からすると、オープニングを見た瞬間に「おお!」と思わず歓声をあげるほどテンションが上がった。個性的なモンスターたちを育てる楽しさも、印象的な音楽も、なにもかもがそのままだ。何よりあのプレイステーション版「モンスターファーム」が、こうしてスマートフォンで当時の状態のまま手の中に戻ってきたことがとにかく嬉しい。

 今回、筆者は発売当時にプレイしていたこともあって、随分懐かしみながらプレイしていた。しかし、改めてプレイして感じたのは、本作は育成シミュレーションゲームとしてとても質が高いということだ。モンスターの反応を見ながら育成方法を考えたり、試合で出す技を対戦相手ごとに変えたりと本当にいろいろ考えながら進めていくからだろうか、モンスターと一緒にプレーヤーも一人前のブリーダーになっていく感覚がとても強い。モンスターとしっかり向き合う分、愛着も湧くし、仮に失ったときの喪失感も強くなる。それを繰り返しながらモンスター育成の名人になる。こうしてブリーダー人生をそのまま味わえるゲームなのだ。

 本作はとてもじっくり遊ぶことができるので、ぜひとも様々なモンスターを誕生させたり合体させたりしつつ、育成の際は1体1体にしっかり向き合って遊んでほしい。