【特別企画】

「オクトパストラベラー」チームが開発するスクエニの「バリアスデイライフ」も遊べる!お得感バリバリのApple Arcade

配信中

価格:月額600円(税込、Apple Arcade利用価格)

 日本では9月20日より展開しているApple Arcade。月額600円(税込)で100以上のタイトルが遊び放題というサブスクリプションサービスであり、iPhoneやiPad、Mac、Apple TVとApple製品であればプラットフォームを選ばずに遊べることが特徴だ。

 600円さえ払えば、広告も追加課金もなく遊べる。つまり、ガチャを財布事情の限界を超えて回してしまうような恐怖とは関係なくゲームをプレイできるということなのだが、このビジネスモデルはデベロッパー側にもメリットがあるようだ。今回、Apple Arcadeにゲームを配信しているスクウェア・エニックスやセガ、KONAMIといった日本デベロッパーを取材できたのだが、課金前提のゲームデザインが求められないことで、遊びやすさや面白さ、開発者自身のこだわりを思う存分追求できるという話がどの開発者からも聞くことができた。

想像以上に壮大で練り込まれた「バリアスデイライフ(VARIOUS DAYLIFE)」

 作品のなかでもインパクト抜群だったのは、スクウェア・エニックスが配信する「バリアスデイライフ」。「オクトパストラベラー」チームが開発していることでも知られる本作だが、なんと、もともとスマートフォン用にフルプライスで発売する想定のゲームだったそうだ。というのも納得なのは、本作は開発スタッフでもクリアに60時間以上かかるという壮大かつ練り込まれたゲームだから。

【バリアスデイライフ ローンチトレーラー】

 本作の内容を改めて紹介すると、マップすべての「踏破」を目指すRPGだ。本作のテーマはRPG世界の“日常”を体験すること。主人公は街で「給仕」や「校正」、「オオカミ退治」といった様々な仕事をしながら、資金集めやステータスアップをして過ごす。仕事を進める中で人々と触れ合ったり、仲間と出会ったりして段々と旅のメンバーを作っていくという流れだ。

 街の外に出歩くとモンスターと戦うことになるので、パーティー全体が強くなくてはいけない。さらに目的地までの距離に応じて2泊3日、5泊6日と決まっているが、持っていく食料は腐っていくし、天候変化のアクシデントもあるので、一筋縄ではいかない。

 コマンドバトルでは仕事で覚えたアビリティが使えたり、敵の状態を変化させてチャンスを作れたり、「オクトパストラベラー」チームらしいバトルシステムへのこだわりも感じられる。スキマ時間でも遊べる手軽さがありながら、じっくり取り組むことで徐々に世界を広げていく。総合すると、月額600円ではあまりにお得な詰まった内容というわけだ。今まで完全に見逃していたのだが、Apple Arcadeにはこんな大作も並んでいるのである。

セガの「ソニックレーシング」は、手軽にソニックのレースゲームが楽しめるタイトル。通常なら課金要素も考慮するようなところ、まったく気にせず「楽しさ」だけに注力できたという
KONAMIの「Frogger in Toy Town」。もともと「フロッガー」のリメイク作として開発が進んでおり、長いステージの中で謎解きパズルをするような作品として作っていたそう。そこでApple Arcadeの話が舞い込み、気軽なプレイが想定されたことで「短く繰り返し遊べる」ものへと刷新された

弟に“接待戦闘”をするハートウォーミングゲーム「Takeshi and Hiroshi」

 一方で新作にも期待できる。それが11月中に配信予定の「Takeshi and Hiroshi」だ。

 まず本作は、ストーリー進行の映像がすべてストップモーションアニメで進んでいく。質感や実在感があってとてもかわいいビジュアルなので、その時点で引き込まれる。

タイトル画面
ゲーム内シーンとしては珍しいストップモーションアニメ

 それでいて、ゲームそのものはとてもロジカルだ。本作を開発するのはOink Games。もともと「ナインタイルパニック」などのアナログパズルゲームを作っているデベロッパーで、そのロジカル思考が存分に発揮されている。

 本作のゲーム部分は、兄タケシが開発中のゲーム「マイティ・ウォーリアー」をプレイする弟ヒロシのために、“いい具合”にモンスターを並べること。たとえばスライムを2体並べたら、ヒロシはその2体のスライムと自動で戦闘することになる。

「マイティ・ウォーリアー」をプレイ中の画面。プレーヤーのやることは画面右側にモンスターを並べるだけ

 ポイントは、いくつかの戦闘が終わった時点でヒロシの「たのしさ」が一定値を超えたらクリアということ。「たのしさ」は、戦闘終わりのヒロシの体力が少なければ少ないほど上昇する。

 つまりはギリギリを攻めればいいのだが、ヒロシの体力がゼロになればゲームオーバーになってしまう。逆に体力が残りすぎていると、「たのしさ」はあまり増えない。最初は交互に攻撃するだけだったものが、魔法が出てきたり攻撃属性が出てきたり、先へ進むごとに戦闘が複雑になっていく。

 またタケシとヒロシの関係性も徐々に変わっていくという。最初、ヒロシはタケシに「ゲームをやりたい」とせがむだけだったが、ストーリーの途中でヒロシは病気で入院することになる。ヒロシは入院中にタケシのゲームをプレイすることがどんどん楽しみになり、またタケシのゲーム作りの姿勢にも変化が起きる。ゲームプレイとストーリーの両方で、味わい深い感情の変化を楽しむタイトルになるということだ。

2人の気持ちの変化とは……?

 プレイ時間はエンディングを迎えるまで6時間くらいを想定しているそうだが、ビジュアルもゲームシステムもクオリティは高い。月額600円で他のあらゆるゲームが付いてくるなら、「とても安いのでは」と思ってしまうくらいだ。

 今まで触れていない意外な掘り出し物も発見できたし、配信が楽しみなタイトルにも出会うことができた。開発者がやりたいことをやれるApple Arcadeの今後に注目である。

11月配信予定の新作をもう1つ。タイトル名は「Guildlings」。ポイントクリックアドベンチャーとRPGを融合したようなプレイ感で、状態変化に「感情」があるのが特徴。ノリノリの気分の時だけに使えるスキルがあるなど、柔らかい表現の中にアイデアが満載の1作となっている