【特別企画】
「トム・クランシー」を知ると「ゴーストリコン ブレイクポイント」がもっと面白くなる!
「ディビジョン」や「レインボーシックス」も! Tom Clancyシリーズを貫く“いま、そこにある危機”精神とは?
2019年9月26日 12:00
- 10月4日 発売予定
- 【価格】
- 通常版:8,400円(税別)
- ゴールドエディション:12,000円(税別)
- アルティメットエディション:14,400円(税別)
- コレクターズエディション:20,000円(税別)
「ディビジョン」、「レインボーシックス」、「ゴーストリコン」などといったユービーアイソフトの人気シリーズに、“Tom Clancy's”というブランド名が付いているとご存知の方はどれくらいいるだろうか?
おそらく、多くは「なんとなく知っている」くらいではないだろうか。特に筆者がそうだったのだが、ちゃんとTom Clancy'sブランドの意味を知る前は、「ユービーアイソフトのゲームでたまにあるやつ」程度の認識だった。日本語版では“Tom Clancy's”の部分は外されているし、パッケージの表記を見て「ああ、英語版ではそう書くのか」と知るくらいだったからだ。
しかし、Tom Clancy'sの持つ意味合いをよく知っていくと、「ディビジョン」や「ゴーストリコン」などを見る目がかなり変わる。もっと具体的に言うと、ゲームを楽しむ上で気持ちの準備が整い、さらにゲーム体験も深まるイメージだ。
そこで今回、ユービーアイソフトのスタッフにも協力いただいて、Tom Clancy'sブランドとは何かを改めてまとめてみた。まだあまり表には出ていない最新作「ゴーストリコン ブレイクポイント」の裏話なども含んでいるので、ぜひご一読いただきたい。ちなみに、OBTは本日17時より開始予定で、プリロードはすでにスタートしている。ぜひ本稿を読みながらダウンロードを進めてほしい。
トム・クランシー作品を貫くテーマ“いま、そこにある危機”
そもそも、トム・クランシーとは誰か? 簡単に言えばミリタリー系を得意とする小説家である。世に出たのは1984年の「レッド・オクトーバーを追え!」で、ほかの著名作に「愛国者のゲーム」などがある。
トム氏は小説を書く傍ら、小説の映画化やゲーム化にも積極的だった。上に挙げた作品は映画化されているほか、1996年には自身のゲームスタジオ「Red Storm Entertainment」を設立。1998年には「レインボーシックス」シリーズ第1作にあたる「Tom Clancy's Rainbow Six」が発売されている。
その後Red Storm Entertainmentは2000年にUbisoftの傘下となり、Tom Clancy'sシリーズはさらに拡大。それはそのままUbisoftの有力ブランドとして「Tom Clancy's Rainbow Six」の続編、さらに「Tom Clancy's Ghost Recon」シリーズなどが続々と発売されていく。
これがトム氏とTom Clancy'sブランドの簡単な経歴であるが、氏の作品、そしてTom Clancy'sブランドを語る上で欠かせないのは、“いま、そこにある危機”という精神である。
“いま、そこにある危機”。つまり、「そう遠くない未来に、本当に起こるかもしれない非常事態」を描いている。まさに同じ名前の作品がトム氏から生まれているが、“いま、そこにある危機”こそ氏を貫くテーマであるわけだ。
リアルとフィクションが溶け合う舞台設定
“いま、そこにある危機”というテーマが意識しているのは、作品から立ち上るリアリティだ。「レッド・オクトーバーを追え!」では、米ソ冷戦下での潜水艦と亡命をめぐるサスペンスが描かれており、「もしかしたらあったかもしれない」という絶妙な設定、描写、緊迫の駆け引きが非常に高い評価を受けている。
ゲームの「Tom Clancy's Rainbow Six」も、描かれるリアリティが評価されたゲームである。基本的には架空の多国籍特殊部隊「レインボー」とテロリストとの戦いがテーマとなっているが、マップを使って事前ブリーフィングをし、クリアリングを含めた各チームの移動経路を決め、綿密な作戦を立てた上で突入するシステムとなっていた。
派手な銃声を立てればテロリストが人質を殺したり、銃撃を足、腕に受けた場合は足を引きずったり射撃の命中率が下がったりと、演出面でも緊張感を生み出している。ちなみに、現在eスポーツタイトルとしても有名な「レインボーシックス シージ」の“頭部への被弾は一発死”というシビアさは、この第1作から健在。綿密な作戦+瞬時の判断というタイトルの基礎はすでにこの時からある。
あるいは「ディビジョン」(2016年)は、実際に行なわれたバイオテロのシミュレーション「Operation Dark Winter」と、緊急時に大統領にあらゆる権限を委ねて事態の収束をはかる「大統領令第51号」が舞台設定のベースとなっている。
そこから先、「大統領令第51号」を受けて政府は国全体にスリーパーエージェントを送り込んでいた……という設定こそフィクションであるものの、「もしかしたらあるかも」というリアルさを感じる味わいはTom Clancy'sブランドならではのものだ。
残念ながらトム氏は、この「ディビジョン」の原案を最後に、2013年に亡くなっている。しかしながら、“今そこにある危機”というテーマは他のスタッフやチームにしっかりと受け継がれている。トム氏の精神にリスペクトを捧げながら、世界に危うい状況がある限り、問題提起の意味も込めてこれからもTomClancy'sシリーズは生み出されていくだろう。
ちなみに、Tom Clancy'sシリーズを分類する際は「部隊の規模」に注目すると理解しやすい。その違いは下記のとおりだ。
シリーズ | 部隊の規模 |
---|---|
スプリンターセル | 1人での潜入 |
レインボーシックス | 警察系の特殊部隊。4人チームをベースとし、屋内戦など限られたスペースでの戦闘を描く |
ディビジョン | 「レインボーシックス」と「ゴーストリコン」の中間。探索要素はあるが徒歩のみ |
ゴーストリコン | 軍事系の特殊部隊。1人~4人、乗り物なども使用し、より広いエリアの探索が可能 |
エンドウォー | 部隊単位で動かすシミュレーションゲーム |
などといった感じ。規模や作戦内容によって、採用されている武器にも違いがあるので、改めて注目してみると発見があるかもしれない。
「ゴーストリコン ブレイクポイント」の“リアル”とは?
では、Tom Clancy'sシリーズの最新作である「ゴーストリコン ブレイクポイント」ではどんな“いま、そこにある危機”が描かれるのか?
そのひとつは自立型AIを搭載したドローンである。9月にもサウジアラビアの石油施設がドローンによって攻撃されたという報道があったばかりだが、「ゴーストリコン ブレイクポイント」ではスケルテック社というドローン企業が登場する。
スケルテックは南の島「アウロア」で農業用ドローンを開発し、楽園を築き上げていたのだが、この島を占拠し、ドローンを悪用しようと企むのが元ゴースト隊員のコール・D・ウォーカーだ。さらにウォーカーは民間軍事会社「センティネル」も利用する。
民間軍事会社は警護から武装勢力への参加まで、要請に応じて人員を派遣する傭兵サービス企業で、主に国家を顧客として現在進行系で成長している軍需産業だ。もし、ドローンと同時に民間軍事会社もテロに利用されたら……。IFの世界ではあるが、決して絵空事ではない舞台設定だ。
さらに、「ゴーストリコン ブレイクポイント」では、元特殊部隊員のエミル・ダボン氏が脚本とミリタリーアドバイザーとして参加しているのもポイントだ。
エミル氏は元グリーンベレー隊員であり、グリーンベレーは「1人で歩兵200人分の戦力」と言われる米陸軍特殊部隊の中でもエリート中のエリート。本物の特殊部隊の作戦を生き抜いてきたエミル氏だからこそ入れられるエッセンスがゲーム中には存分に詰まっている。
エミル氏は脚本から銃のセレクション、モーションキャプチャーのアレンジまで多く参加しており、中でもモーションキャプチャーはとにかくリアルだという。
面白いのは、クローズドβでは一部ユーザーから「走り方が格好悪い」という意見があったこと。しかしこれは当然で、本当の戦場で、20kg以上の荷物を背負い、手には銃を持ち、さらに周囲を警戒した走り方。つまり、戦場で本当に必要とされている体の動きが再現されているからだそうだ。
背後からナイフで首を切るアクションも特徴的で、本作ではザクザクザク! とかなりめった刺しにする。これは、「確実に声を出されないようにするため」。ひとつひとつの動きに、戦場のリアルが詰まっているとのことだ。
ちなみに、今回紹介した「ゴーストリコン ブレイクポイント」のリアリティについてはあくまで「現時点で公開されているもの」だけ。その多くは、ストーリーを進めることで明らかになるようだ。発売日は10月4日。Tom Clancy'sシリーズの精神である“いま、そこにある危機”を意識してゲームをプレイすることで、その楽しみがより膨らむことを願う。