【特別企画】
戦闘機シューターとして面白い! 「スターリンク バトル・フォー・アトラス」インプレッション
「スターフォックス」コラボはコラボレベルを超えていた!
2019年4月26日 00:00
ユービーアイソフトのプレイステーション 4/Xbox One/Nintendo Switch用オープンワールドシューティング「スターリンク バトル・フォー・アトラス」が4月25日に発売となった。
「スターリンク バトル・フォー・アトラス」は宇宙に浮かぶ惑星を舞台に、戦闘機を操って冒険していくオープンワールドのシューティングゲームで、その最大の特徴はリアルのフィギュア(戦闘機、武器、パイロット)がゲームと連動すること。フィギュアを組み替えることで、ゲーム内の戦闘機のグラフィックスや性能がリアルタイムに変化する。戦闘機の変形というフィギュア的な遊びと、ゲームの戦略が一体となったデザインだ。
今回、事前に製品版を遊ぶ機会に恵まれたのだが、実際に触れてみるとフィギュアとゲームの一体感もさることながら、むしろオープンワールド戦闘機シューターとしての質の高さが非常に印象的だった。
そこで本稿では、まずデジタルでも完結するゲーム部分に注目し、続いてフィギュアとの連動性について述べるというアプローチで本作の印象を語っていきたい。
キビキビ動く戦闘機操作が軽快!
本作のストーリーの中心となるのは、宇宙調査団「スターリンク・イニシアティブ」(プレーヤー側)と、宇宙と惑星に支配を目論むレギオンとの戦いだ。ゲームの序盤では「スターリンク・イニシアティブ」の指揮官がレギオンに連れ去られ、彼を取り戻すために総力を上げてレギオンへ戦いを挑んでいくこととなる。
ゲームは戦闘機を操り、目標の破壊や物資の調達など、示される目的を達成することで進行する。ロケーションは各惑星の地表と宇宙空間の2種類あり、すべてシームレスなオープンワールド空間として繋がっている。
ゲーム画面は戦闘機を後ろから見る三人称視点。左スティックで左右の移動と前進後進、右スティックで機体の回転を行なう。実際のプレイでは、ここに回避、ダッシュ、シールドなどの操作が加わる。
本作では、この操作がかなり軽快だ。前進するとシューッと機体が動き出し、さらにダッシュを加えるとビューン! と空間を駆け抜けていく。操作そのものはカジュアルながら、戦闘機はキビキビ動く。戦闘機ならではのスピードを感じながら惑星を探索していく体験は、本作独自の味になっている。
また地表では、地上モードと空中モードの2つの操作スタイルに切り替えが可能。地上モードでは地表をホバリングし、滑るようにして飛ぶため、地上の敵との戦闘に向いている。空中モードは長距離の移動に向き、反転や狙いの付けづらさなど操作が複雑化する分、地上に対して優位に立てるメリットがある。
宇宙空間では惑星間の移動が主となるが、途中では宇宙海賊の「アウトロー」に絡まれて、勃発的にドッグファイトが発生することもある。宇宙での戦闘機戦はSF感満載で、これも本作ならではだ。
ミッションをこなす舞台の中心は惑星。各惑星はレギオンの魔の手が伸びており、支配が進みつつある。惑星の各地を飛び回りながらレギオンやアウトローを殲滅し、資源を集め、同盟を増やしてレギオンに惑星単位で対抗していく。
その星の支配状態は常にゲージで表示されており、レギオンがどの程度支配しているか、同盟側がどれほど押し返しているかが一目瞭然。レギオンが9割近く支配しているとマップは真っ赤に染まり、普段は見通しのいい青空も砂埃に包まれて澱んだ景色になる。いかにも治安が最悪、という雰囲気になるので、ミッションに関係なくても惑星を救いたくなる。
同盟側の勢力を拡大するには各地のチェックポイントを回り、少しずつレギオンの支配から解放していくしかないが、クリアするたびに経験値や資源、武器や機体を強化する改造パーツが集まっていく。勢力拡大と共に自身のステータスも上げられるので、惑星にどんどん救いの手を差し伸べることが自身の強化に繋がるような仕組みだ。
リアルタイムの切り替えで進める戦闘シーン
戦闘システムとして面白いのは、武器の組み合わせによる戦略の変化だ。たとえば「フロストバラージ」という武器は、氷のホーミングミサイルを複数撃ち出せる。敵に当てると、凍らせて動きを止める「フロスト」のステータス効果が与えられる。
また「フレームスロアー」は、近距離に火炎放射するショットガンのような武器。攻撃が当たると、燃焼ダメージが追加される「フレイム」の効果を与えられる。
そして効果は掛け合わせで大ダメージにつなげられる。「フロストバラージ」で凍った敵に対して「フレームスロアー」を当てると、「サーマルショック」という相乗効果が発生して大きく敵の体力を削れる、といった感じだ。
武器の効果は他にも「重力」や「電気」などがあるが、ひとつの機体に搭載できる武器は2つまで。敵にはそれぞれ耐性や弱点があるため、状況に合わせて武器を切り替えながら戦うことで、より効率的に戦闘できるというわけだ。
この武器の切り替えは、フィギュアなら実際にカチャカチャと組み替えることでできる。またフィギュアを使わない「デジタル版」でも、メニュー画面からいつでも切り替えられる。武器の中には体当たりで攻撃するものもあり、効果とともに攻撃手段も変わるのが面白いところ。
さらに機体とパイロットも随時変更可能で、それぞれ性能が違う。パイロットによってはプレイ中の会話も変わるため、誰を使うかは悩みどころだ。自分なりのベストな組み合わせを掴んでいくのが、戦闘における大きな醍醐味となっている。
一要素どころではない「スターフォックス」コンテンツ
戦闘機がキビキビ動き、各地を回ることにしっかり意味があり、そして戦闘も戦略性がある。実際にはここにストーリーも絡んでくるので、ずっと惑星を救い続けたくなるような仕上がりになっている。
各ミッションには推奨レベルが表示され、現状のレベルよりもかなり上、ということもある。そんなときは「ピンチの惑星でも救いながらレベル上げますか!」という気持ちになる。惑星を救い、人々と団結し、強大なレギオンに立ち向かうのは全体のストーリーとも一致するので、「レベル上げをやらされている」という感覚がほとんどなく、ひたすらに楽しい。
そうなってくると惑星の探索そのものが楽しくなってくるので、細かいところにも手を出したくなり、気づいたらすっかりハマっている……という感じだ。「悪の組織を倒す」というわかりやすいストーリーが、ゲームデザインと緻密に一体となっているところが好印象だった。
そしてストーリーとしてぜひ触れておきたいのが、Nintendo Switch版オリジナルの「スターフォックス」コラボについて。Nintendo Switch版では、フォックスたちが「スターリンク・イニシアティブ」と偶然居合わせ、協力関係を結ぶという展開が描かれる。
興味深いのは、フォックスはパイロットとして使用でき、最初から最後までずっとフォックスを使い続けることができるという点。今回はNintendo Switch版をプレイしたのだが、フォックスを使っているとスリッピー、ファルコ、ペッピーという「スターフォックス」メンバーがどんどん会話に参加してくる。
フォックスたちは本編のカットシーンにも登場するし、専用のサブミッションも用意されている。サブミッションではライバルのウルフを追うという独自のシナリオが用意されていて、これを進めているとウルフが中心になったカットシーンも見られる。
フォックスがとにかくよく喋るし、「スターフォックス」独自ミッションも用意されているし、プレイ中は「スターフォックス外伝」を遊んでいるような気分になる。正直、ここまでガッツリとした「スターフォックス」コンテンツが詰まっているとは思わなかったので、とても嬉しい誤算だった。
個人的注目点はカットシーンの「スターフォックス」たち。特にフォックスのモフモフ感が素晴らしい仕上がりになっているので、機会があればぜひご覧いただきたい。
フィギュア版かデジタル版か。決断が悩みどころ!
さて、ここまで来て悩んでしまうのが、「フィギュア版とデジタル版のどちらを買うべきか」という問題だ。
フィギュア版では、コントローラーに「マウント」と呼ばれるアタッチメントを装着し、ここにパイロットや機体を取り付けることでゲーム内に反映していく。コントローラーからマウントを外す、あるいは取り付けていなければ、それをゲーム側が判断してデジタル版に切り替わるという仕組みだ。
正直に言うと、デジタル版は非常にお買い得である。スタンダードエディションの時点で、機体4つ、パイロット6人、武器12個がセットになっている(Nintendo Switch版はアーウィンとフォックスがプラスされる)。
つまりスタンダードエディションを買うだけで、今まで述べてきたゲームとしての面白さや組み換えの醍醐味を味わうことができる。手っ取り早さから言っても、文句の付けようがない。そういう点で、デジタル版は間違いなくオススメできる。
しかしフィギュア版には、「目の前に、リアルな機体や武器がある」というロマンがある。カチャカチャ組み替えて、すぐにゲーム内に反映されて、しかも何の問題なく動き出す。フィギュアがあることで、機体や武器の造形をあらゆる角度からじっくり見られるし、その分動かす機体への思い入れも増す。
機体のデザインはどれもカッコいいので、飾っておいてもとても見栄えがいい。今、手元にはアーウィンの機体があるのだが、「アーウィンが目の前にある」というだけで満足感が非常に高い。他の機体が揃えば揃うほど、充実度はより増していくだろう。
ただ、フィギュア版はそれぞれを実際に入手しないと、ゲーム内に反映されない。すべてを揃えようとするとかなりのお金がかかってしまうので、「財布事情と戦略性を天秤にかける」というゲームの外側での制約が発生してしまう。現実的に行くか、ロマンを取るか。ここは意見が分かれるところではないだろうか。
なお、フィギュアを買って一度取り付けたものはデジタル版に切り替えても使用できる。そのため、目当てのフィギュアをいくつか購入し、実際のプレイはデジタル版で行なっていく(必要なら武器等を追加購入する)というのもアリだと考えている。
そのため一概にはどれが最高とは結論が言えないのが悩ましいが、ゲームそのものは非常にオススメできる。好みに合わせて、ぜひトライしていただきたいタイトルだ。
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