【特別企画】

【特別企画】かつて“すれ違った”「ユグドラ・ユニオン」へ10年ぶりに懺悔する

スマホ版配信記念! 心に残り続けた後悔を思い切り払拭してみる

4月11日 配信

価格:1,800円(税込)

 筆者が「ユグドラ・ユニオン」と出会ったのは、いや正確に言えばすれ違ったのは、2008年に発売されたニンテンドーDS「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」の数量限定版「Dept. Heaven Episodesシリーズ スペシャルパック」を買ったときだった。

 このパッケージは、DS用の「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」に、ゲームボーイアドバンス用の「ユグドラ・ユニオン」が付いてくる同梱版。ゲームショップの店先で見かけたプロモーション映像に一目惚れして「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」の購入を決め、そこに「ユグドラ・ユニオン」が付いてきたというわけだ。

「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア Dept. Heaven Episodesシリーズ スペシャルパック」パッケージ

 「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」は、ニンテンドーDSのタッチ操作を存分に活かしたシミュレーションゲームだ。画面上に表示される「ウィスプ」を動かし、味方ユニットに行動を指示すると同時に、敵が放つ弾幕を避け続けてマップを攻略するという斬新なシステムが最大の特徴で、「DSならではの最高のゲームが出た!」と社会人なりたての筆者の心にズドンと刺さったことをよく覚えている。

 「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」に関してはもうそこからどっぷりとプレイし、内容に苦悶することになるのだが、それはまた別の話なのでここでは置いておく。

 「ユグドラ・ユニオン」については、はっきり言って放置していた。当時のモチベーションは「DSのゲームがやりたい!」であり、GBAソフトである「ユグドラ・ユニオン」は確か30分ほどプレイして、「ふーん、こんな感じね」と勝手に満足してあとは「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」をやるばかり、といった感じだったと思う。

 それからしばらくして、友人から「なんかゲームない?」と聞かれて渡したのが、ちょうど手元にあった「ユグドラ・ユニオン」だった。まったく手を付けていなかったし、余りものを押し付けた感じがないこともなかったのだが、そしたら途端に「すごい面白いよこれ!」という反応が返ってきて、とても意外だった。要は、自分がちゃんとプレイしていなかったのだ。

 「面白い、面白いよ~」などと言う友人を横目に、「ちゃんとやっておけばよかった」と思う筆者。それからまた月日が経って、件のGBAソフトはどこかに紛れ、新しいハードが登場し、DSを起動することはほぼなくなった。

 友人から「ユグドラ・ユニオン」をちゃんと返してもらったのかすらも記憶が曖昧だが、とにかくそれから「ユグドラ・ユニオン」はプレイしていない。以降は、筆者の中で、「ユグドラ・ユニオン」=「友人が面白いと言っていた」という茫漠とした情報だけが残っている……。これが、筆者と「ユグドラ・ユニオン」のすれ違いである。

「ユグドラ・ユニオン」と10年越しの再会!

 それから約10年。やっと本題に入るのだが、4月11日にスマートフォン用として「ユグドラ・ユニオン」が復活した! 画面はHD化してくっきりした画作りになり、操作もスマホ用に調整されている。これはやるっきゃない。何しろ「ユグドラ・ユニオン」への個人的懺悔のチャンスなのだから!

【ユグドラ・ユニオン オープニングムービー(高画質版)】

 今あらためてプレイしてみると、戦乱をたったひとり生き延びた王女ユグドラが、盗賊ミラノの助けを得たことで圧倒的劣勢を少しずつ盛り返していくシナリオに熱さがある。

 劣勢にして無勢という怒涛のピンチが次々と襲ってくるのだが、これをなんとか凌ぎ、逆転していく様は爽快だ。ヒリヒリするのはゲームプレイとしても同じで、難易度はかなり厳しめ、さらにゲームシステムもやや入り組んでいる。

ピンチの連続、だが逆転劇を描くシナリオ

 基本的には味方ユニットを操作し、マップ上のマス目を移動して隣り合った敵と戦闘していくが、ここに武器の相性や地形、他のユニットとの位置関係、ターンの最初に選択するカードの効果、戦闘中の押し引きの見極めなどの要素が入ってくる。これらをかなり緻密に計算していかないと、ユグドラ率いる王国軍の勝利は難しいような仕組みだ。

【ユグドラユニオンサイト用ユニオン結成動画】
【ユグドラユニオン突撃シーンとクリティカル】

 しかし、複雑だから面白いのだ。そして、きゆづきさとこ氏によるイラストが圧倒的にかわいい。万人受けするような作品とはまた違うのかもしれないが、刺さる人にはとことん刺さるようなゲームであることがだんだんとわかってきた。「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」がまさに自分に突き刺さったように。

女性キャラも男性キャラもすべからくかわいい。もう全員かわいい

 シビアな状況が与えられるほど、燃えるのはゲーマーの心理ではないだろうか。仲間が1人、また1人と増えて頼もしくなったかと思えば、さらに過酷な状況が待ち受けていたりする。

 またピンチをなんとか切り抜けても、ユニットの体力に相当する「士気」は回復しない。ステージのプレイ開始前、道中で獲得したアイテムで士気は回復できるが、負けが込むとそのリソースが尽きる瞬間もやってくる。先々のことを考えると、綺麗な勝ち方を考える必要も出てくるわけだ。

 とはいえ、たとえ敗戦しても、やり直し時には敗戦直前のレベルや獲得アイテムが持ち越しになるので、やり直すほどに楽になっていくような作りではある。まずは思い切って当たって、プレイのコツを覚えていくのがオススメだ。

シナリオ的には、単に強大な敵を倒すに留まらない。人を襲うマーメイドの暴走は王女を殺すまで止めることができず、元はひとつの一族だった二国間の戦争を止めるため、どちらかのリーダーを襲わなくてはならない。救いようのない、後味の悪い展開が連続する。この後味の悪さは「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」にも通じている

 プレイに慣れるとその複雑さがクセになってくるようなタイプのゲームなので、先へ先へとどんどん進みたくなる。スマホでの操作も快適だし、ゲームとしてのポテンシャルは非常に高い。あの日友人が言っていた面白さが10年越しでようやく理解できた、と思う。

 「ユグドラ・ユニオン」がスマホに来たというと、つい期待してしまうのが「ナイツ・イン・ザ・ナイトメア」のスマホ版だが……(操作が独特なので難しいかな、でもPSP版も出てるしな、と思いつつ)。まずは「ユグドラ・ユニオン」の続きを進めながら、密かに待ちたいと思う。

プレイを始めて、「あれ、声って入っていたっけ?」と思ったのだが、これは2008年発売のPSP版で追加された要素とのこと。ユグドラ役の中原麻衣さん、ミラノ役の沢城みゆきさんなど、人気声優たちの当時の声が聞けるという意味でも貴重