【特別企画】

「ケンガン ULTIMATE BATTLE」CBTインプレッション

王馬が、理人が、関林ジュンが!拳願仕合で再び激突!!

今春配信予定

価格:無料(アイテム課金制)

 日本が世界に誇る文化であり芸術であり最高のエンターテインメントであるマンガ。そのジャンルは多岐にわたり、ファンタジーやラブ・ロマンスは言うに及ばず、ギャグにホラーにサスペンスにと、今や「ないジャンルはない」と言ってもいいほど多角的な発展を見せている。そして、そんなマンガの世界を題材にしたゲームも、古くは1980年代から数多く発売されてきた。本日ご紹介するのも、そんな1本。格闘技マンガ「ケンガンアシュラ」をテーマにしたAndroid/iOS用筋肉育成バトルRPG「ケンガン ULTIMATE BATTLE」である。

 今回は、25,000冊を超えるマンガを所有し、某マンガ専門古書店にも勤務したことがある筆者が本作をプレイ。原作のあらすじを踏まえたうえで、本作のゲームシステムとポイントを解説していく。「ケンガンアシュラ」のファンはもちろんだが、まだ読んだことのない人にもぜひ目を通していただきたい。

 時は江戸時代中期の正徳5年、御用達の地位(貨幣の鋳造や公儀・将軍家への納品などを行なう超特権階級。商人がつける最上位の地位だった)を巡って商人同士のいさかいが後を絶えなかった。事態を憂慮した七代将軍・徳川家継は、利権を争う際は商人たちが雇った闘技者同士による1対1の戦いで決着をつけるよう命じる。以来300年、時は流れ幕府は潰え世は平成になろうとも、江戸時代から商人たちのあいだで連綿と受け継がれてきた伝統の決着方法――それが“拳願仕合”だ。

 主人公の十鬼蛇王馬(トキタオウマ)は、とある企業の代表として拳願仕合に参戦。各企業に雇われた奇才や怪人、変態や異常者たちと凄惨極まりない戦いをくり広げていく。そして、仕合の裏で交錯する各企業の陰謀、仕合の陰で蠢動する謎の人物たち。格闘マンガにそういったサスペンス要素をプラスした作品がマンガ「ケンガンアシュラ」である。

 さて、そんな「ケンガンアシュラ」を本作ではどのように再現しているのだろうか? まずプレーヤーは一企業の社長として「ケンガンアシュラ」の世界に参加する。そして、闘技者たちをスカウトして企業の代理戦争である拳願仕合へと挑むのだ。実際に仕合で戦う闘技者ではなく、闘技者を雇う企業側なのがポイント。

 プレーヤー=闘技者であれば、それはあくまで対戦格闘ゲームの延長にすぎない。しかし、「ケンガンアシュラ」の醍醐味は多種多様な闘技者たちを駆使して拳願仕合を制し、商人の覇者として君臨することにある。実際に原作でも、とある企業が試合の前に闘技者を別の者へ変更した例があった。プレーヤー=企業の社長(あるいは会長)にしたのは、原作のストーリーをうまく活かした絶妙な設定と言えよう。

プレーヤーは乃木の秘書・秋山楓と準主人公(?)の山下一夫、そして拳願仕合で戦う闘技者たちと行動をともにする
闘技者のうち、十鬼蛇王馬は最初から仲間になっているが、それ以外の闘技者はガチャを回して仲間に加えることになる

 ゲームはストーリーパートとバトルパートの2部構成。ストーリーパートはすごろく形式になっており、サイコロを振ってマスを進んでいく。止まったマスではバトルが発生したり、所持金が増えたり、アイテムなどが手に入ったりする仕組みだが、これがなかなかおもしろい。例えば所持金について、増えたときにしろ減ったときにしろ、これでもかというほどケンガン節が利いている。たとえば、とあるマスでは「たまたま1億円入ったアタッシュケースが落ちていた」との理由で、所持金が増加。まさに「ケンガンアシュラ」の世界でなければ許されない無軌道ぶりである。制作サイドの原作に対する愛が伝わってくるようで、思わず笑みがこぼれてしまう。

 また、コースにループを設けている点も秀逸。通常のすごろくであれば、サイコロの出た目に応じてコースを進んでいくだけで、後戻りはできない。しかし、本作はコースがループしているため、そこを周回することで何度でも敵と戦える(=経験値を稼げる)。これはいつもスタート地点でレベルを爆上げしてから冒険を開始する筆者にとっては、かなり嬉しい仕様だった。

すごろくのコースは1本道ではなく、ループしたり分岐したり行き止まりがあったりなど、変化に富んでいる
ふつう、道端にそんな大金は落ちてない……!ちなみに所持金が減るときの理由は、実際にプレイして確かめてほしい

 バトルパートは、先鋒・中堅・大将による3on3の勝ち抜き戦。先鋒から順に戦っていき、闘技者のHPゲージがゼロになった側は中堅もしくは大将と交代する。先に相手チームを全滅させたほうが勝利となる仕組みだ。

 3on3とはいえ、必ずしも3人いなければならないわけではなく、2人または1人だけの変則的なチーム編成もできる。しかし、勝ち抜き戦ゆえ味方の人数が減れば減るほど不利になるのは自明の理。たとえ弱い闘技者でもいいので、必ずチームに加えておきたい。

 画面構成は左にプレーヤー側の闘技者、右に敵側の闘技者というシンプルな作りながらも、とにかく演出で楽しませてくれる。たとえば、ターンが進行するとSP(スキルポイント)が溜まっていき、必殺技に相当する“スキル”を使用できるようになるが、闘技者固有のスキル発動時には「原作で、その技をくり出しているシーン」がカットインされるのだ。アニメのカラー画像ではなく、あえて原作のモノクロ画像を使用している点に、制作サイドの原作へのリスペクトが感じられた。

 また、闘技者は、ガチャなどで手に入れたスキルや装備を身に着けることが可能。とくにスキルの選択は非常に重要で、攻撃系にするか防御系にするか、あるいは補助系にするかによって、バトルの内容が大きく変化する。たとえ弱い闘技者でも、スキルをうまく利用すれば強い闘技者に勝利する可能性も出てくるのだ。呪術師(メディスンマン)蕪木浩二には、とくにふさわしい戦い方かもしれない。

双方の闘技者がそれぞれ攻撃を行なうと1ターン終了。これをくり返して相手チーム全員のHPゲージをゼロにすれば勝利となる
スキル発動時には原作の1シーンがカットインされる。ちなみに、スキルはガチャを回したときに闘技者の代わりに手に入ることがある

 「ケンガン ULTIMATE BATTLE」では原作の荒々しい世界観が忠実に描写されているため、ファンにとっては没入感が非常に高い。ただ、原作の絵はかなりクセが強いうえ、ダメージ描写はこれでもかと言うほどエグい(言葉を選ばずに表現すれば、グロテスクと言ってもいい)ので、原作と同じく人を選ぶ可能性があるかもしれない。ただ、原作のファンでお気に入りの闘技者がいる人なら、のめり込めること間違いなし。個人的には、思い入れのない強い闘技者をメインにするよりも、自分が好きな闘技者と一緒に戦ったほうが、共闘感を得られるので楽しめると思う。

 ちなみに、筆者の一推しは獄天使・関林ジュン。プロレスラーとしていかなる強敵のいかなる攻撃をも受け切る美学は、「修羅の門」の破壊王(キング・オブ・デストロイ)ジョニー・ハリスに通じるものがある。原作を読めば、そして本作をプレイすれば、きっと共感できる闘技者が見つけることができるはずだ。

【スクリーンショット】