「モンスターハンター フロンティア オンライン」インタビュー
初の古龍追加となる新章「フォワード.1」。その見所を杉浦氏に聞く

4月20日 アップデート実施

 

 株式会社カプコンは4月20日、Xbox 360/Windows用オンラインハンティングアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン」(MHF)にて、大型アップデート「フォワード.1 “襲来、双極の脅威”」を実施する。

 ナンバリングの名称を、これまでの「シーズン」から「フォワード」へと刷新させ、より「前進する」と意思表明した「MHF」の新章。今回登場する新モンスターは、「MHF」シリーズでは初の古龍となる「ルコディオラ」。この新古龍が登場する新フィールド、「迎撃拠点」を中心として、既存の古龍系モンスターにも焦点があたったイベントが行なわれるようだ。さらに、「メゼポルタ広場」の一新、武器と防具の多数追加など、過去最大数のコンテンツ追加やリファインも注目点となっている。

 夏には4周年を向かえる「MHF」。新章突入となる「フォワード.1」のアップデート内容を、新古龍モンスター、新フィールドの話を中心として、カプコン東京制作部 開発運営室長兼「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏にお話を伺った。



■ ナンバリングを刷新。「前進」の決意が表れる「フォワード」という名称

カプコン東京制作部 開発運営室長兼「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏

――まず内容に入る前に、「シーズン」から「フォワード」へ名称を変更した理由と経緯をお聞かせください。

杉浦一徳氏: オンラインゲームの宿命として、何年か経つと、メーカー側もお客様も保守的になる部分が一部あります。新しいものと保守的なものとの間にある悩みが尽きなくなるのです。我々としては、いいところは残すように心がけたいのですが、あまり保守的にはなりたくありません。そこでアップデート10回目の節目を迎えた今、その決意を示すためにも、名前は変えたほうがいいのではないかという話になりました。

――名前から、攻めのイメージが伝わってきますね。

杉浦氏: これまでの「シーズン」という名称は、「MHF」の雰囲気に合うものとして使っていましたが、今回はそこから離れて、雰囲気よりも「前進する」という意味を重視しました。そうすることで、私たちもその意味を常に振り返れますし、お客様にもその意志がシンプルで伝わりやすいと考えました。そういったタイトルをリフレッシュする意味と、これからの決意表明の意味を込めて名前が決まりました。これはもちろん、あくまでも古いものにとらわれないという意味でであって、今までの大事な部分や基本部分は丁寧に扱っていくつもりです。その上で、順調に「フォワード」の数字を重ねていけたらと思います。

――この「フォワード.1」、アップデートのスケジュールが遅れているとのことですが。

杉浦氏: 計画停電の影響もあり、震災以降のデバッグの稼働率が7~8割程度で、進捗状況が芳しくありません。「フォワード.1」の全てを4月20日に入れたかったのですが、アップデートを3回にわけることにしました。1回目を4月20日に行なって、その後、5月11日と6月末に分けてリリースすることで対応する予定です。

 本来、1回で入れなければならないものを3回にわけるのは、本当に申し訳ないと思っています。ただ、4月20日のアップデートは十分な量があるので、やることがないと言われるようなことは心配していません。気がついたら5月11日の追加要素が入っている、というくらいのボリュームはあると思います。実装内容のタイミングについては、このインタビューが載る時には全ての情報が公式サイトに出ているはずなので、そちらでご確認ください。



■ 「『MHF』を象徴するモンスターになってほしい」。「MHF」初のオリジナル古龍「ルコディオラ」登場

「極龍」と名付けられた古龍「ルコディオラ」。燃えるような翼の色が印象的
岩を地面からせり出させるように攻撃をする。ムービーだけでは、「双極」という言葉の意味が明確ではなかったようだが……

――では、内容に関する質問に入っていきたいと思います。今回は、古龍に分類される極龍(ごくりゅう)「ルコディオラ」が追加されます。「ラヴィエンテ」を除けば、古龍の追加は初です。この狙いや、経緯を教えてください。

杉浦氏: 「ラヴィエンテ」は厳密に言うと古龍ではなく、世界観的には「調査中」です。我々としては、オリジナルの古龍をどのアップデートで登場させるかという点は悩みどころでした。その中で、「シーズン10」で新モンスターを出さなかったという点、心機一転の「フォワード.1」が始まるという点から、満を持して、初の古龍を登場させようという話になりました。「MHF」の象徴的なモンスターになってほしいという思いを込めています。

――どのようなモンスターになるのでしょうか?

杉浦氏: これは必ず聞かれる質問なのですが、できれば遊んでみてください(笑)。1番のヒントとしては、公開されているムービーに、「これはいままでに見たことがないぞ」というシーンが多数散りばめられているのがわかるはずです。それを見ながら楽しみに待っていてほしいですね。

――「極龍」という漢字表記にインパクトを感じますね。

杉浦氏: いままでは漢字で表記すると属性もわかってしまうようなモンスターが多かったのですが、今回はイメージするのが難しい「極龍」という名前です。これは実際に戦ってみることで、「そういうことか」と理解できると思います。

――その一方で、サブタイトルに「双極」とあるのが気になりますね。

杉浦氏: これはすごいヒントですよ(笑)。

――普通に考えれば、双子や2匹ということを連想してしまいますが……。

杉浦氏: うーん、どうでしょう。2頭出すのは「ノノ・オルガロン」と「カム・オルガロン」で1回やっていますから。オリジナルモンスターは同じ手ではいかないですよ。これ以上のヒントは出せません(笑)。



■ 過去の古龍も登場する「迎撃拠点」。古龍関連のイベントも

新フィールドとなる「迎撃拠点」。画像の中にもギミックが何種類か見られる
ポーンとプレーヤーが跳ね上がるギミック「ジャンプ台」

――「ルコディオラ」が登場する「迎撃拠点」についてお聞かせください。

杉浦氏: これまで以上に変化に富んだフィールドになっています。ムービーでも見られるような、壁がガラガラと崩れるシーンなども実際のゲームに入っています。今までにもあった「撃龍槍」に加えて、「ジャンプ台」などの新しいギミックも用意しているので、かなり雰囲気は出せているのではないかと思います。

――ムービーでは、遠くに煙が上がっているような描写もありましたね。

杉浦氏: いままでは「メゼポルタ広場」には変化がなかったのですが、「ルコディオラ」が攻めてきたときには、広場のはるか奥のほうに煙が出て、それが見た目でわかるようになっています。

――「迎撃拠点」には、「ルコディオラ」以外のモンスターも登場するのですか?

杉浦氏: ここには、「ルコディオラ」以外にも、既存の古龍が登場する予定です。実は、4月20日のアップデート直後から、他の古龍も絡めたゲーム内イベントもやろうと思っています。

――それはどういったものでしょうか?

杉浦氏: 1つ例を挙げますと、古龍に特化した狩人祭です。仮名称として、「古龍の章」と呼んでいます。なので、当面の間は古龍関連のイベントを中心とした古龍三昧の日が続くかと思います。この「迎撃拠点」を中心に、「ルコディオラ」や既存の古龍を討伐して、新しい武器や防具を作っていただけるような、新しい趣向の「狩人祭」を企画しているというわけです。

上級者向けの「狂暴期」が実装される「ラヴィエンテ」

――イベント関連で言えば、「ラヴィエンテ」にもリファインがあるようですね。

杉浦氏: 6月末の登場予定になりますが、「ラヴィエンテ」の大討伐クエストに、「狂暴期」が実装されます。これは、HR(ハンターランク)100から挑戦できる上級者向けの大討伐で、言ってしまえば本気を出した「ラヴィエンテ」みたいなものです。

――「大討伐クエスト」はHR17から挑戦できますが、そちらへのフォローはないのですか?

杉浦氏: HRが100より低いお客様にも、チュートリアル的な説明や、現在の「ラヴィエンテ」よりも難易度を易しくしたクエストを入れることでフォローしています。この大討伐のリファインで、間口を広くしつつ、上級者にもまた違う楽しさを味わってもらおうと考えています。



■ HCクエストに特異個体が6体追加。秘伝防具は上方修正

追加される特異個体は6体。そのうちから「クシャルダオラ」と「リオレイア亜種」

――追加される特異個体モンスターについて教えてください。

杉浦氏: 今回は6体用意しました。「ノノ・オルガロン」、「カム・オルガロン」、「ヒプノック繁殖期」、「フルフル亜種」、「クシャルダオラ」、「リオレイア亜種」です。これまで同様、HR500以上のHC(ハードコア)モードへの実装となります。

――HCへの実装となったのはなぜでしょうか?

杉浦氏: 「シーズン10」では新モンスターがいなかったということで、それを考慮した上で、イベントの一環としてHR500以下でも特異個体を登場させていました。ただ、HR500以下には絶対に登場させないということではありません。イベントで少しは出したいと思っています。今回は、新モンスターが登場しなかった「シーズン10」とは主旨が違うということです。

 追加モーションやビジュアルも変えていて、ムービーを見るだけでも、これまでとは違う動きがわかるので、それを実際に狩ってほしいと思います。この特異個体はいつもお客様に好評なコンテンツで、今回も喜んでいただけるはずです。

――HCと言えば、SR(スキルランク)の防御力補正が撤廃されました。

杉浦氏: 最初の防御力が低く、倒れやすいというご意見を多くいただきましたので、純粋にお客様のご要望を尊重しました。

――秘伝防具には、上方修正も加わるようですね。

杉浦氏: はい。全ての秘伝防具をそれぞれFXまで強化し、各秘伝スキルの最上位スキルを発動させると、「超高級耳栓」状態になるようにしました。スキルで付与というよりは、特殊効果として付与しています。もともと「超高級耳栓」が付いていた防具については、差し替えで違うスキルを追加するという上方修正をしています。秘伝防具については、これでずいぶん性能が上がったと思います。



■ 過去最大数の武器と防具の追加。デザインと性能の両方を重視

過去最大数を誇るという武器と防具の追加

――追加される武器と防具について教えてください。かなりの種類があるようですね。

杉浦氏: 「フォワード.1」は、いままでの大型アップデートの中では、武器と防具を過去最大数で実装しています。「シーズン10」で登場した剛猫武器、それ以前にもあった進化武器や剛種武器といった、様々な種類が追加されています。それ以外にも、イベント武器、「狩人祭」の武器に、過去最大数の強化派生を入れています。中には、剛種武器にも匹敵する性能の強化派生も相当数あります。

 特にゲーム内イベントの武具は、デザインはいいけれど性能がいまいち、というご指摘を多数いただきました。今回はそのいただいたご意見を中心に、6月末以降に強化派生を入れているので、デザイン性と実益を兼ねた武器が相当数あるはずです。「これは作りたい!」と思える武器が、過去の大型アップデートの比ではないくらい、みなさまのリストに上がるのではないかという自信があります。

こちらが「キリン」の剛種防具

――防具では、新たに剛種防具というカテゴリが増えました。これはどういったものでしょうか?

杉浦氏: 剛種武器は武器ごとに特殊なギミックを持っていますが、この剛種防具も、オリジナルのギミックを実装しています。このギミックは、実際にゲームの中で確かめていただきたいですね。今回発表した「キリン」のデザインは人気があり、作りたい方も多いと思います。剛種防具については、第2弾の用意もしています。



■ 「メゼポルタ広場」は見た目が一新。アイテムボックスも拡張

リファインされた「メゼポルタ広場」。以前よりも高低差がはっきりとわかる

――「メゼポルタ広場」も一新されるそうですね。

杉浦氏: カメラ位置をキャラクターを中心にある程度自由に動かせるようにするとともに、広場自体もリファインしています。広場の面積は以前よりもコンパクトになっているのですが、奥行きがあるので逆に広く感じていただけると思います。

――ログインした直後の画面から変わっているということですね?

杉浦氏: ログインして最初の広場に降り立ったときに、アップデート感がないというのが、アップデートで毎回頭痛の種でした。「シーズン5.0」で広場の見た目をガラっと変えた時は、お客様に大変好評でしたので、次はいつ変えるかというのが問題でした。そして、変えるなら「フォワード.1」がいいのではないかという話になったのです。すでにカメラ位置を動かせる「パローネ=キャラバン」をイメージしてもらえればわかりやすいのです。付け加えて自分の装備が近くで見られるように、ズーム機能も維持しています。広場は本当に雰囲気が大きく変わって見えると思います。

――見た目を変更するリファインは他にもあるそうですね。

杉浦氏: 交流区の交流酒場や武具工房の内装デザインも一新しています。これまでは、交流区の交流酒場は求人区の大衆酒場を流用していましたが、「狭い」というご指摘をいただいていました。そこで、交流区は30人が前提なので、30人クラスの広い部屋を作りました。また武具工房も、NPC同士が近くてターゲットしにくいという意見があったので、せっかくだから工房ごとリファインしてしまおうということになりました。違いはひと目でわかると思いますよ。

――他に、アイテムボックスのページ数が増えるそうですね。

杉浦氏: データベースサーバーを増強しまして、1人当たり「アイテムボックス」を20ページ、「装備ボックス」を10ページ追加しました。「アイテムボックス」は、SR100単位で1ページ、「パローネ=キャラバン」のある程度の知名度からひとつ上がるごとに1ページ追加されていきます。武器はSRに関するものです。

 システムの担当者から、実装は「アイテムボックス」が必要な人だけを対象にしてほしいという要望があったので、新しいアイテムが多く増えるコンテンツであるSRと「パローネ=キャラバン」を対象に実装させていただきました。また当面はこれ以上のデータベースサーバーの増強はスペック的にかなり上位機種が登場するまでは難しいので、1年から2年はこれ以上のページ追加はないかと思います。

「マイガーデン」で会える新マスコット「グーク」

――「マイガーデン」には、新マスコット「グーク」が登場します。こちらはどんなキャラクターでしょうか?

杉浦氏: 「MHF」オリジナルのマスコットキャラクターを作ろうということになったのです。「フォワード.1」では、「グーク」は服を取り替えるられる機能だけの観賞用マスコットに近いですが、コンテンツとしては、今後のお客様の反応を見てから考えていきたいですね。狩りの合間に心を癒されたい方は、「マイガーデン」に行って「グーク」ちゃんに会ってあげてください(笑)。

――その他追加されたものはあるでしょうか?

杉浦氏: ターボパックに新しい「Pシリーズ」を用意させていただきます。これは、「S防具」と「U防具」から派生して作れるものです。この2つのシリーズは歴史のある防具なのですが、お客様から「過去の防具の中でお気に入りのデザインを、ぜひアイテム課金と絡ませてほしい」というご要望があり、それをヒントにしてできた企画です。ただ、Pに派生するためにはS、U防具を7段階目まで強化しなくてはならないので、そこがハードルになりますね。

 また新たに、消費アイテムを販売します。1パック400円です。こちらは便利アイテムセットの強化版と考えてください。狩りの補助的な支援アイテムセットです。回復薬のようなものの他に、一時的にスキルが付与されるものなど、オリジナルの消耗品を用意しています。アップデートの後、1度試供品としてそれを配布します。お試しいただいた後、それから購入を検討していただく、という流れを予定しています。

 アシストコースでは、レジェンドラスタの行動パターンを強化するなど、10項目以上のリファインを施しました。また、6月末には新たに4体のレジェンドラスタを追加します。これで武器11種分揃ったことになります。それと、今回お話しした内容以外にも、6月末には、4月15日のプレビューサイトで「今までのモンスターとは一味違う!?」として紹介する、「通常のモンスター以上、特異個体未満」という位置づけのモンスターが実装されます。ただ、そのページに記載されている赤い目のモンスターだけは、またちょっと違います。こちらについては、今はまだはっきりとは言えませんが……。



■ パッケージには特別クエストが封入。次の目玉は4周年関連のイベント

パッケージのデザインも変えたという「MHF フォワード.1 プレミアムパッケージ」
こちらは「デメトリア」のフィギュアが同梱された「コレクターズエディション」版

――今後も1季節1アップデートを継続していくのでしょうか?

杉浦氏: はい。できる限り今後もアップデートの期間は守っていきたいですね。今回のアップデートでかなりの数のコンテンツを入れたので、その様子を見ながら今後のアップデートを考えていこうと思っています。まずはその前に、4周年をどう盛り上げるかが当面の課題になるでしょうね。

 4周年のパッケージは、店頭で驚いていただけると思います。このインタビューが載る数日後には発表する予定なので、楽しみにお待ちください。

――「フォワード.1」のパッケージについては、何かありますか?

杉浦氏: 「フォワード」に際して、パッケージのデザインも大きく変えました。内容の基本は崩さず、武器や防具の数は変わっていないのですが、今回はレア素材が獲得できるクエストをパッケージにつけました。イベントコードを入力すると、1度だけクエストが受けられます。それをクリアすると、レア素材がランダムでもらえます。これまでのパッケージにはなかったので、ひとつのウリになると考えています。

――Xbox 360版のダウンロード版について、施策はなにか増えましたか?

杉浦氏: ダウンロードコードを配布するサイトの常時開設を考えています。このインタビューが載るころにはサイトができているはずです。そこで積極的に配布していきたいと思います。まずは無料で狩猟体験、というコンセプトは、Windows版もXbox 360版も平等に用意したいですね。

――オンライン、オフライン問わず、イベントについてはいかがでしょうか?

杉浦氏: ネットカフェで行なってきた「VS.クエスト チャンピオントーナメント」イベントについては、引き続き全国の都道府県を回ろうと、順調に進めています。今回の「VS.クエスト」イベントは、オンラインとオフラインを連動させています。ゲーム内で「来場者特典クエスト」をプレイして、その後にオフラインイベントに来ていただければ、それに応じた特典のイベントコードを差し上げます。このインタビュー掲載時には、イベントは4会場のうち、2会場で終わってしまっているので申し訳ないのですが、このオンとオフの連動は今後も継続してやっていきたいと考えています。

 オンラインでは、6月くらいに4周年イベントの告知をする予定です。2010年以上に力を入れて、ゲーム内イベントを盛り上げていこうと思います。理想としては、お客様が「フォワード.1」に夢中になっている間に、4周年企画を告知して、あっという間に時間が過ぎたみたいな感じになってくれると嬉しいなと思っています。このインタビューから約2カ月後ですね。楽しみにお待ちください。



■ 「フォワード.1」は、「たくさんの方の元気に繋がれば」

――今回のアップデートの背景には、震災の影響もある中での、サービス継続の決断があったと思います。公式サイトにもお知らせとして、サービス継続の判断へと至る経緯の記述がありましたが、改めて、その経緯をお聞かせいただけますか?

杉浦氏: 私の中でも、継続か停止かは半々に割れていました。というのも、他社でもサービスを停止するという発表を聞いていたので、正直迷っていた部分はありました。大きな出来事でしたし、私自身も冷静さを欠いている気がしていたので、時間が許す限り、今回は熟考させていただきました。そんな中で私の頭の中では、「お客様が戻る場所を残し、お客様を元気づけられないか」という考えに至ったのです。

 インフラ面でも、システム担当者には、「MHF」のサーバーの運用コストはケチらないでほしい、と日頃からお願いしていましたので、インフラ的にもサービスは継続できるという手ごたえはありました。またスタッフとも連絡を取り合って……本当はスタッフ自体が震災で抱えている不安や家庭の事情も考えると本当に心苦しかったのですが、彼らからも頑張ってサービスを続けたいという強い意志とモチベーションの高さを感じたので、サービスを継続するという結論に至りました。

 それに、生意気な意見かもしれませんが、今回の件で業界全体が萎縮してしまい、いつ再開できるのかわからなくなるということも危惧していました。最初の1歩を踏み出すのは本当に勇気のいることですが、我々はその判断基準ともなる立場にいるのではないかとも考えました。今回の判断は、真剣に悩みました。もしかしたら、1つの判断で3年間築き上げた信頼を失うことになるかも知れません。そういう意味では、今のところ、ほとんどのお客様から肯定的な意見をいただいています。これは本当に嬉しかったです。

 被災地の方へは、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。私たちとしても、現在の措置で十分だとは最初から考えていません。被災地域の詳細が明らかになるほど、随時対応すべきことがわかってくるはずですので、その状況を把握していろいろと対応していきたいと思っています。今回の件は恐らく、長期間の対応になるのではないかと思っています。

――それでは最後に、プレーヤーにメッセージをお願いします。

杉浦氏: 今回は、「フォワード.1」という記念すべき大型アップデートなので、本来であれば宣伝も派手に積極的にやりたいのですが、大きな震災が起こり、非常に複雑な気持ちがあります。ただ、お知らせにも書かせていただいたように、自分たちにできることは何かを考えた結果、多少の遅れは出ていますが、アップデートのスケジュールをなんとか公約通りにやり遂げることで、それがたくさんの方の元気に繋がればいいと思う一心で進めています。「フォワード.1」がそうなってもらえれば1番嬉しいです。

 そこを切り離して考えたとしても、前に進んでいくという意味でつけた「フォワード」です。これから「フォワード」の歴史が続いていくという、最初の記念すべき1回目として、気合を入れて進めていきたいと思っています。いま遊んでいるお客様にも期待してほしいですし、遊んだことのないお客様にも、きりのいいこの最初のアップデートを機会に始めてほしいです。しばらくお休みしていたお客様にも、興味を持ってもらえそうな新しいコンテンツを投入したつもりですので、ぜひ触れてほしいと思います。既存のお客様も、新規の方も、休んでいた方もまとめてウェルカムです。ゲームの中でお待ちしています。

――ありがとうございました。


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(2011年 4月 15日)

[Reported by 安田俊亮 ]