BFG 2011レポート
「Rage」Design Director Matt Hooper氏インタビュー
DVD3枚組で提供される超弩級のFPSを堪能せよ!
「Doom」、「Quake」でPCゲーム界に金字塔を打ち立てたid Software待望の完全新規IPとなる「Rage」。id Software創業者のひとりであるリードプログラマーJohn Carmack氏の最新ゲームエンジンid tech 5を採用した最初のタイトルでもある。「Rage」というタイトルも、これまで常に内容とリンクしない人間の激情を現わす単語1文字でタイトルを付けてきたidらしいネーミングだ。「Rage」のリリースはidの第2の全盛期の到来を予感させる。
今回の「BFG 2011」では、id Softwareで「Rage」のDesign Directorを務めたMatt Hooper氏に、「Rage」のベーシックな情報から、ディープな秘話まで聞いてみた。
■ 隕石衝突で大崩壊した地球を描いたSFアクション「Rage」
id Software「Rage」Design DirectorのMatt Hooper氏 |
隕石の衝突により無人と化した世界。しかし、実はたくましく生き延びる生命体が存在していた |
この世界を牛耳るオーソリティの特殊部隊。「Fallout 3」のエンクレヴを彷彿とさせる存在で、正体不明だがどうやら味方ではなさそうだ |
Q: 「Rage」のストーリーの説明をお願いします。
A: 隕石が地球に衝突することから始まります。「エデン」というプロジェクトが始まります。「アーク」というスフィアを土の中に数千個埋め込むというものです。それは仮にいくつかのスフィアがやられても、まだ生き残るスフィアがある可能性があるという考え方からです。地球の地表が生活できる状況に戻ってきたときに、スフィアを出て地上で暮らそうとしていました。
プレーヤーはアークの乗員として地上に出てきて、何が起きたか、どういう状態だったかということがまったくわからない状態でストーリーが始まります。プレーヤーが地上に出てくると想像とはまったく違う、厳しい世界になっていたということです。本作ではある意味でファンタジーな世界観なので、自由に世界を作りこむこができたわけです。
Q: 「Rage」における主人公の目的は何ですか?
A: ゲームの序盤ではとにかくこの世界で生き残るということです。主人公がアークから出てきたところから、バンディットなどに襲われてしまいます。次に、周辺の住人との関係の構築したり、その間にミュータントとの戦いも始まります。ある特定のところで、オーソリティと呼ばれる元の政府の人たちに関する情報を得ていきます。詳しくは申し上げられませんが、オーソリティと呼ばれる人たちが何者なのかも当然わからないし、それがストーリーが進むにしたがって判明していくことになります。
Q: ゲームを進めていくと、主人公は拠点となるような家を持てるのでしょうか。それとも拠点は無く、街から街へ流れていくような形になるのでしょうか。
A: いわゆる隠れ家は無いです。大きな街には自分専用のスペースがあります。持ちものの制限が無いので、隠れ家に戻って荷物を整理する必要が無いのです。
Q: 「Rage」にはバギーが登場しますが、これはどのように管理するのですか?
A: 基本的には乗り物は3つのクラスしかありません。1つはバギーで、それがクラス2、クラス3とどんどん大きくなります。バギーは街のガレージで管理して、武装やアップグレードを施します。大きな街に行くと自分のガレージがあり、そこで管理するイメージです。ガレージは、各街で共有されていて、どの街からもバギーを引き出すことができます。
Q: 世界の技術レベルはどのようになっていますか。
A: 一般の住民というのは荒廃した世界の中で壊れた部品を集めてモノを作ったりするというレベルから、動物的なミュータントがいたり、かたやオーソリティはほとんど過去の技術プラスアルファを持っている。色々な技術を持ったコミュニティが存在するということになります。
Q: 乗り物は見ている限りではそれほどハイテクなものではないと思いますが、ゲームを進めていくと高度のものになっていくのですか。
A: バギーもシールドなどを付ける事ができます。オーソリティが乗っている飛行機みたいなものには、乗ることこそできませんが、飛行機にはさまざまな機能が備えられています。
Q: ストーリーにおけるプレーヤーの選択の幅はどの程度用意されていますか。
A: 基本的には1本道のストーリーです。
Q: デモの中で、街中で見た音ゲーのような要素は何ですか。
A: 賭け事的な要素のミニゲームです。音楽のゲームのほかには、ブラックジャック、カードを集めてカードをある程度集まるとプレイできるカードゲーム的なもの、街の中にある3Dのホログラフのサイコロゲームといった要素が用意されています、
【US版予約特典】 | |
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すでに北米では予約も開始されているが、予約特典として付いてくるのが上記アイテム。左から順にCrimson Elite Level4 Armor、Rat Rod(バギー)、Fist of Rage(サック)、Double Barrel Shotgun。日本語版の話ではないのでご注意頂きたいが、これまでの実績から考えると、日本語版でもなんらかの予約特典が期待できそうだ |
■ 「Rage」はシングルプレイゲーム。DLCによるマルチプレイモードの拡充も示唆
Hooper氏自身も、マルチプレイについては物足りなさを感じている様子だった。技術的にはまったく問題なさそうなので、あとは「Rage」の売れ行きと、ユーザーの要望次第と言ったところだろうか |
ゲームで重要なカギを握るバギー。3段階の排気量があり、機銃やミサイルといった兵器も搭載できる |
このタイトルロゴはアナーキーをイメージしているということだ |
Q: idのタイトルにしてはマルチプレイの種類が少ないですね。
A: シングルプレイのゲームとしか当初は考えていませんでした。その中で1つはバギーという要素があるのでマルチに入れてみたら面白かった。Co-opは当然ながらあれば楽しいので入れましょうということにしました。ただ、本作の基本はシングルプレイをベースにしたゲームということになります。マルチプレイのバギーのレースは5つあり、CO-OPは8面用意されています。
Q: 「ビークルラリーモード」に出現するRally Point(地点)の位置は固定ですか?
A: いいえ。ゲームは常にリーダーの位置を見ながらその前方にRally Point(地点)を生成します。例えば、自分がリーダーの場合はPoint到達直前に回転し、後ろ向きで通過すれば次の地点は自分の前方、すなわち貴方を追っているプレーヤー達の後方に現われます。
Q: 「ビークルラリーモード」で得たポイントの使い道は?
A: ビークルのアップグレードや武器の購入等に使えます。
Q: CO-OPモードはどういったプレイになるのですか。
A: CO-OPの場合でも本筋にプラスアルファのストーリーが用意されています。CO-OPモードの難易度は基本的に易しくはしたくないです。
Q: CO-OPモードの各ステージの長さはどれぐらいですか?
A: 特に「このくらいの長さでは無くてはならない」と決めてマップを切り出したのでは無く、「この部分をCO-OPで遊んだら面白いのでは?」と感じた個所を使っています。全部で8つのマップが有りますが、中には15分程度の物も有れば、30分程度の物もあります。ちなみに、スプリットスクリーン(画面分割表示による2人プレイ)にも対応しています。
Q: idのゲームといえばマルチプレイというイメージが強いですが、今後チームデスマッチやCTFのようなオーソドックスなマルチプレイモードを盛り込む予定はありますか?
A: おっしゃるとおり、idはマルチプレイを得意としており、当然やってみたいという気持ちはあります。「Rage」のシングルプレイについては、当初思い描いていた作りこみはできているので将来的には盛り込むかもしれません。今後はユーザーの求めているものをDLCとしてご提供していきたいです。デモにあった2つ目のコンテンツ「Mutant Bash TV」は、ユーザーの希望が高ければ、DLCで拡充するかもしれません。
Q: id tech5はメガテクスチャがウリのひとつになっていますが、実際にゲームに実装してみてどのようなメリットを感じましたか。
A: 1枚の大きなテクスチャを利用できる効果は大きいです。同じテクスチャを繰り返し繰り返し使い続けるのではなく、常にユニークなテクスチャを使いつつ、それでいて全プラットフォーム共通で表示できるほどパフォーマンスにも優れていると思います。
Q: Xbox 360版がゲームディスク3枚分になるということでびっくりしています。id Softwareのゲームはこれからも大きなスケールのゲームになっていくのでしょうか。
A: そうです。DVD1枚で済むようなタイトルを作るつもりは無いです。Xbox 360がBlu-Rayを採用しない限り、今後のタイトルも複数枚になると思います。
Q: ちなみにPC版のインストールサイズはどの程度になるのでしょうか。
A: フルインストールを選択すれば21GBですが、技術的にはXbox 360の場合で、最小インストールで数百MBです。PC版に関してはそれくらいの領域を確保できないスペックではプレイが厳しいかもしれません。Steamでは発売までにプリインストールを行なっておいて、発売日にアクティベイトという形になるかもしれません。
Q: ゲームの奥行きについて教えてください。プレイには何時間くらいかかりますか。
A: メインストーリーを駆け足でプレイした場合15時間程度です。サイドストーリーやレースなどを遊んでいくとかなりの時間遊べると思います。達成率が自分で分かるかというところで、メインストーリーについては達成率がスタートのページに出るようになっていて、その他の要素の部分をどのように表現するかは考えています。アチーブメントにも絡んできます。選択の幅とエリアの環境の幅があります。動きの素早い敵や武装したオーソリティなど色々な種類があります。
Q: 「Rage」のロゴのAの文字が大写しになっていますが、これは何か意味があるのでしょうか。
A: アナーキーのシンボルです。
Q: アナーキーとは主人公自らのことを指しているのでしょうか。
A: そうです。オーソリティに対して戦っているからです。
Q: 発売は9月で間違いありませんか?
A: USでは9月です。間違いありません。「Rage」はユニークな出来に仕上がっているし、出来映えにも満足しています。やっとできてよかったと思います。
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□Bethesda Softworksのホームページ(英語)
http://www.bethsoft.com/
□id Softwareのホームページ(英語)
http://www.idsoftware.com/
□ゼニマックス・アジアのホームページ
http://www.bethsoft.com/jpn/
□「Rage」のホームページ
http://www.bethsoft.com/jpn/game/rage.html
(2011年 4月 19日)