GMO Games、WIN「キノスワールド ~騎士集結~」開発者インタビュー
新しい「キノス」はグラフィックスとバランスを見てくれ!


6月18日 収録

会場:Burning Hands Studio


インタビューに応じてくれたGMO Gamesオンラインゲーム事業本部事業本部長の松木善史氏(左)、GMO Gamesコンポジションディレクターの吉田哲朗氏(中)、Burning Hands Studioプロデューサーのユン・ジェス氏(右)

 GMO Gamesが開発中のWindows用アクションMMORPG「キノスワールド ~騎士結集~」(以下、キノス)について、実際に開発を行なっている韓国のBurning Hands Studioを訪ね、試遊プレイと開発者へのインタビューを行なうことができた。「キノス」の再開発は現在各コンテンツを並行的に開発していて、最終的なパッケージング作業はまだ。今回の試遊プレイではまだ実装されてないコンテンツも多かった。

 新しい「キノス」は、グラフィックスとストーリーに重点が置かれている。開発スタッフたちはイラストをそのまま3D化したキャラクターたちと、アニメ的なテイストを持つストーリー展開に期待して欲しいという。また、コンテンツ追加だけでなく、バランス調整も考えて、1つのクラスを削る大胆な決断も行なっている。さらにインタビューでは、2Dの横スクロールだけでなく、3Dマップの追加など、今後の内容についても聞けた。



■ グラフィックスとストーリーを重視した新「キノス」

日本人の立場から本作を調整しているという吉田哲朗氏。キャラクターやストーリーの細かいところまで拘りを持っており、本作に対しての愛着が凄かった
旧「キノス」と新「キノス」のキャラクターデザインの差。イラスト通りのキャラクターになったのが最大のポイント
ゲームの副題とともにロゴも一新された
オープニング画面には平尾氏の描く新キャラクターたちが登場する

――まず再開発において、1番苦労したところを教えてください。

吉田哲朗氏: 平尾さん(キャラクターデザイン)のイラストを3Dにするところですね。グラフィックスが命になるので、もし違ったところがあれば文句をつけられるだろうなとドキドキしていました。完成したグラフィックスは口出しするところがない完璧な状態だと思います。

―現在、1次クローズドβテストに向けての開発はどのぐらい進みましたか?

吉田氏: 80%から90%ぐらいはできています。

――各開発チームが並行して開発しているということですが、現在、実装されていないものも多いのですか?

吉田氏: そうですね。現在は完璧には入れ込んでいない状態です。色を変更したり、目に見えるものもかなりありますし、あとモーションとかの微妙な調整もありますね。

――ゲーム内では何が変わりましたか?

吉田氏: やはりグラフィックスですね。プレーヤーキャラクターとモンスターのグラフィックスは大きく変わりました。あと、ストーリーもシナリオライターが奥深く書いています。弊社にはアニメ通の人がたくさんいるので、そのストーリーを皆で読んで調整しています。女性の方でも楽しめるようなストーリーを目指しています。

――変わらないところは?

吉田氏: 元々2D(横スクロールのゲームスタイル)のゲームなのですが、その2Dのスタイルは維持したところですね。ただ対人戦などでゲームを幅広くするためには3Dの方が表現しやすいので、最終的には3Dのゲームになると思います。

――それは奥行きのあるコンテンツを出すということですか?

吉田氏: そうですね。バランスなどの問題もありますから、まだ対人戦の具体的なシステムはできていません。旧「キノス」のバランスが結構問題にされていたこともあるので、その辺りも慎重にやっていきたいところですね。現在の予定ではβテストで実装する予定はありません。

――現在、どのぐらい遊べますか?

吉田氏: キャラクターが徹底的に変わりましたので、装備によるアバターの組み合わせだとか、アイテムを集めたり、クエストとかですね。ストーリーの部分は、最初はそんなに難しくなく、誰でも楽しめるような内容になっていて、プレイするうちにアニメみたいに深い話が展開されます。そのストーリー性でも楽しめると思います。

――ストーリーはどのぐらいまでできていますか?

吉田氏: シーズン1は完成しています。シーズン2は大まかなストーリーはできあがっていて、今は細かいところを調整してます。最終的にはシーズン8までは考えています。宇宙に行く話もあるかもしれません(笑)。

――ストーリーは重めなのですか?

吉田氏: 最初は軽いですが、プレイしていくうちに「レイチェル可哀そう」という展開になりますね(笑)。

――カットシーンなどもあるのですか?

吉田氏: ボスモンスターの登場などに入ります。ボスモンスターが前振りもなくいきなり登場するのはやめたいと思います。あくまで自然的な流れの演出にしたいですね。

――これから定期的に入れていくということですか?

吉田氏: そうですね。続編、続編とアニメを観ているような感覚で入れていきます。旧「キノス」にはないマップも追加されます。そして、さきほど話した3Dマップも後々は追加される予定です。

――その3Dマップはどの段階で見られますか?

松木善文氏: 正式サービスに入って、もうちょっと先になりますね。「キノス」のベース的なものができあがった段階で入れないと、バランスがおかしくなりますから。お客様がある程度成長した段階で実装されると思います。



■ コンボ操作の新しいゲーム性とバラエティに富んだ装備システム。前回の不具合はもうない!

試遊プレイでは旧「キノス」の操作のままだった。新しい操作性が気になるところ

――旧「キノス」の問題はどうやって改善しましたか?

吉田氏: まずは、プレイする上で障害だった安定性ですね。同時接続者が多くなるとサーバーが悲鳴をあげるような状態でした。そこが1番悩まされた部分です。今回の再開発においてプログラムチームは、最初にその問題解決から着手しました。今はもう解決されています。その不具合がなくなった時には、本当に感動しました。

――ゲーム性としてはどうですか?

吉田氏: 操作キーのコンボが入ります。そんなに難しいものではなく、アクション性を出す方向で調整してます。あくまで予定ですが、これはオープンβテストに入ると思います。

――コマンド入力のようなものですか? それはスキルとは別物ですか?

吉田氏: 簡単な操作ですが、通常攻撃でスキルに繋がる感じですね。

――以前とはかなりプレイ感覚が変わるのでしょうか?

吉田氏: 全く違うと思います。どことなく「キノス」のDNAは持っていますが、新しい「キノス」は進化した形で楽しめると思います。

――装備はどういう感じになりますか?

吉田氏: 装備部位が前よりも増え、いろんなバリエーションが可能になっています。自分好みの組み合わせができるようになっています。

――それはアイテム課金の装備になりますか?

吉田氏: アイテム課金もありますが、やはり強いモンスターを倒してゲットしたアイテムには感動があると思います。そういうところは重視していきたいですね。



■ 1次転職クラスで「ファイター」、「メイジ」、「アーチャー」と3つに絞ったバランス調整

ゲームの試遊を見せてくれたユン・ジェス氏。全体を管理するプロデューサー的な存在だ

――1次クローズドβではどのぐらい遊べますか?

吉田氏: プレイ時間が1日数時間に制限されます。内容的には、転職あたりまではプレイ可能ですね。

――レベルでいうとどのぐらいですか?

吉田氏: レベル20まで成長させることが可能です。

――オープンβテストではどのぐらい遊べますか?

ユン・ジェス氏: 正確なことはまだ公開できませんが、大まかにいうとシーズン1の半分くらいですね。正式サービスが開始するころにはシーズン1の75%ぐらいは入ると思います。開発目標としては、わかりやすく、簡単に遊べるように作ることを目指してます。そして全体的なバランスが崩れないように注意しています。旧「キノス」の場合、ゲームが悪かったというより、入れようとしたコンテンツが多すぎて全体的な完成度が低かったと思います。新しい「キノス」では細かいところの完成度を上げることに力を入れました。もう1つ違いを言いますと、「シーフ」というクラスが1次転職クラスから2次転職クラスになりました。前は「ファイター」、「メイジ」、「アーチャー」、「シーフ」と4つの1次転職クラスがありましたが、今は「ファイター」、「メイジ」、「アーチャー」の3つに絞りました。

――「シーフ」を削ったのはどういう意図からですか?

ユン氏: 各クラスにはクラスごとの特徴がありますが、「シーフ」はその特徴が1番薄かったのが理由です。そして、旧「キノス」でバランスを崩すキャラクターでもありました。横スクロールのゲームスタイルだと、タンク役の「ファイター」、魔法攻撃の「メイジ」、遠距離物理攻撃の「アーチャー」が1番綺麗な形だと思います。そこで、タンク役の「ファイター」と立ち位置が被ってしまう「シーフ」は邪魔でした。

――旧「キノス」だと「メイジ」が強すぎるイメージでしたが、新しい「キノス」ではどうですか?

ユン氏: 内部テストではバランスは取れていると思います。旧「キノス」の「メイジ」は距離に関係なく強くて、モンスターの数に関係なく攻撃できる範囲攻撃もできたというところですね。ひとりで何でもできるようなキャラクターでした。それを調整しました。

――具体的にはどう変わったんでしょうか?

ユン氏: まず、モンスターの数に関係なく攻撃できるという概念はなくなりました。またスキルシステムにも変化があります。以前は持続時間、攻撃範囲、距離、攻撃力とそれぞれ上げることができましたが、1つのステータスを集中して上げることでワンマン的なキャラクターにできました。今はレベル1のスキル、レベル2のスキルというシステムにして、細かいステータスを全部混合させました。また以前はレベルアップするごとにスキルポイントが5つ以上貰えたことに対して、今はレベルアップにつき1つのスキルポイントしか貰えません。



■ 「キノス」のアイテム課金に関する話を聞く。社長キャラクターは!?

運営に関して語ってくれた松木善文氏

――アイテム課金はどういったものが入りますか?

吉田氏: 具体的には話しにくいですが、アイテム強化の保険アイテムとか、基本的に入るようなものは全部入ります。

松木氏: アバターアイテムも販売していく予定です。タイミングとしては、一時期に大量に入れていくよりも、短時間に少しずつ入れていく方向になると思います。

――ガチャ的なアイテムも入りますか?

松木氏: 最終的には視野に入れています。どういうアイテムを入れてどのタイミングで出すかというのを調整しています。

――最近のアイテム課金ゲームだと利用期間が短いアイテムもありますが、そういうアイテムも考えていますか?

松木氏: 戦略の1つとして、イベント用のアイテムとして必要だと考えています。期間が短いアイテムを高めで販売するのも難しいですし、逆に安めに販売してしまうとゲームのバランスにも問題が出てきてしまいます。入れ方が難しいですね。理想としては、たくさんのお客様がコンシューマーのゲームを1カ月で1~2本買うくらいの金額に調整したいですね。

――旧「キノス」をプレイしたユーザー向けに、特典などは用意されていますか?

松木氏: 7月から開始されるクローズドβテストの専用枠を作ろうと考えています。やはり、旧「キノス」を知らないと違いがわからないので、それを感じてくれるお客様を上手くお呼びしたいですね。

――内部開発になるとやはり、やりやすくなりましたか?

吉田氏: 全然違いますね。いろんなアイデアが浮かんでも、他の会社が開発を担当すると様々な理由で具現化できなかったのですが、内部開発になってからは直で話せるので、いろんなことを自由に試せるようになりました。

――そういえば、以前のインタビューで出たクォン代表のキャラクターはどのくらい開発されてますか?

吉田氏: もう完成間近ですね。完成したらお見せします。

――クォン代表のキャラクターは実際にはいつ実装されますか?

吉田氏: 社長が入れろ、と言ったら、すぐ入れます(笑)。

松木氏: 後は、どういう立ち位置にするかですね。イベント専用でボコボコにされるキャラクターにするのか、ストーリーを進行する上で重要なポジションに立ちつつもお笑い系を担当するか。どうやっていくかがまだ検討中です。

――最後にユーザの皆さんに一言お願いします。

ユン氏: 「キノス」を再開発する際に自分の魂を入れるようなゲームを作りたいと思いました。日本のスタッフと一緒にゲームを開発するうちに、可愛くて簡単なゲームに見えるけれど、そういう魂を入れるようなゲーム作りに努力しました。シーズン1、2をプレイするユーザーの方々が感動するゲームになっていると思います。

吉田氏: 長らくお待たせしました。急に中断して、再開発に入って、お客様にご迷惑を掛けました。新しい「キノス」はきっと感動できる作品になっていると思います。また、ゲームで自分たちの意見を反映できるシステムを作ったので、ユーザーと運営チームが一緒に自分たちの世界を作っていくオンラインゲームができると思います。

松木氏: 去年、一旦中止させてしまい、当時プレイしていたお客様にはご迷惑をお掛けしました。やっと、リスタートすることができて、当時のお客様に「こんなにキノスがよくなった」というのを見てもらいたいですね。GMO Gamesとしても初の自社タイトルになるので、そういったところも含めつつ、これからお客様の声に答えられるようなゲーム作りをやっていきたいと思いますので、ご期待ください。


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(2009年 7月 1日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]