インタビュー

「Call of Duty: Black Ops 6」マルチプレイヤー開発者インタビュー

リリース直前の調整情報など気になる内容たっぷりお届け!

【Call of Duty: Black Ops 6】

10月25日 発売予定

価格:9,800円より

 10月22日、リリースを目前に控える「Call of Duty: Black Ops 6」のマルチプレイヤー開発者インタビューが行なわれた。

 国内メディアによるオンライン合同インタビューとなった今回は、本作のデザイン部門アソシエイト・ディレクターで、マルチプレイヤーとグローバルプレイを主に担当しているMatt Scronce氏を迎え、先日実施されたβテストを踏まえたうえでの、マルチプレイやシステム面に関する質疑応答となった。

 新機能「オムニムーブメント」の与える影響やβテストからの調整点といったプレーヤーとして気になる質問のほか、発売目前の開発者の心境などアレコレ聞くことができたので、本稿でお伝えしていきたい。

【Call of Duty: Black Ops 6 - マルチプレイヤー公開トレーラー】
「Call of Duty: Black Ops 6」デザイン部門アソシエイト・ディレクターのMatt Scronce氏。今回はオンラインでのインタビューとなった
リリース直前となった今回は主にマルチプレイに関する内容が語られた

「ブラックオプスとは何か」から始まった開発。これまでと違う体験を可能にする新機能「オムニムーブメント」とは

――本作のマルチプレイにおいて、これまでのシリーズ作品と比較して異なる点はあるか

Matt氏: 真っ先に思い浮かぶのは「オムニムーブメント」の存在により大きく体験が異なるということ。オムニムーブメントは本作において根本となるようなシステムとなっており、シリーズ経験者から初心者までその感触に注目するはず。

 このシステムはアクションゲームに慣れた人でも、ゲーム初心者であっても使えるようなシステムになっている。プレイしながら自分に合ったリズムを見つけることができるので、少しづつ自然に慣れていくはずだ。戦闘中はさらに細かく使いこなしていくことで、戦略性の幅が増えるものになっている。

 オムニムーブメントを採用した主な目的としては、プレーヤーの体験をよりスムーズに、より臨場感とリアリティあるものにすることだ。

――オムニムーブメントはマルチプレイや戦術などにどのような影響を与えるのか

Matt氏:それはプレーヤー自身に委ねられると思う。オムニムーブメントの基本的なアイデアは「どの方向にもダッシュできないとならない」というものだった。開発の段階で「なぜ前にしかダッシュできないのか」という質問が出た。現実世界ではどの方向にでも素早く走り出せることを踏まえると、本作に出てくるような、世界最高峰の運動能力を持ったキャラクターが前にしか走れないのはおかしいという考えが、どの方向にでも動ける新機能「オムニムーブメント」に繋がったというわけだ。

 マルチプレイではどうなるかというと、足元に手りゅう弾が投げ込まれて逃げるとき、今までの「CoD」では前にダッシュするか、カメラを回して別方向にダッシュするかしか選択肢がなかった。しかし、本作ではオムニムーブメントによって、カメラはそのままに後方へダッシュするという新たな選択肢が生まれた。更にそこからジャンプをして後方にスライドして爆風を避けるような、アクションヒーローさながらの動きもできるようになった。

 ローンチ後にも、プレーヤーがスタイリッシュな動きをしてくれると思う。こうした動きは、「CoD」シリーズだけでなく、他のゲームにおいても今まで見たことのなかったような、スタイリッシュで華やかな動きになるだろう。

 オムニムーブメントが作り出す選択肢は多いので、全てにおいて流動的な動きができるはずだ。同時に、動かずに立ち止まって撃つのか、動き回って撃つのか等は、プレーヤー各人に委ねることになる。そのため、オムニムーブメントによって感じられる変化はプレーヤー次第となる。

――Treyarchとしては4年ぶりの「CoD」だが、リリースまで期間が空いた理由は何か

Matt氏:前作から経過した時間がいつもより長めだったので、新しい「ブラックオプス」を提供することにワクワクしている。今回、すべての「CoD」の開発エンジンが統一されたので、「ブラックオプス」である意味を再設定する素晴らしい機会だと思い、ゲームを1から作り直した。

 その際に自分たちに問いかけたのが、「ブラックオプスとは何か」ということで、その1つは動きの滑らかさやリアリティを追求することであり、今回のオムニムーブメントにも繋がっている。武器においても、長年のファンが気に入っているものや、「ブラックオプス」である以上、プロトタイプの新しい秘密兵器にもアクセスできるようにしている。このように、今作は「ブラックオプスとは何か」を追求した作品になっている。

 過去にそうした質問を自分にぶつける機会がなかったが、今回できた時間でそれを自分に投げかけられた。その結果、初代「ブラックオプス」から遊んでくれている人から新規プレーヤーまで、全員が楽しめるような、より面白く素晴らしいゲームを制作することができたと思う。

――発売間近だが、開発陣の心境は?

Matt氏:私は全ての「ブラックオプス」のローンチに携わり、「初代」から本作まで、その全てで異なる体験と挑戦を経験してきたが、ずっと大切にしているのはプレーヤーからのフィードバック。また、以前は「CoD」コミュニティのモデレーター等を経験していたということもあり、プレーヤーの意見や思いを大事にしている。

 毎回緊張するが、本作は今までの「ブラックオプス」の中で最も素晴らしいゲームであることに自信を持っているし、新しいゲームとしてプレーヤーが遊んでくれることを何より楽しみにしている。

プレーヤーの声は随時反映。より遊びやすくベータテストからバランスを調整

――ベータテスト反応のフィードバックに印象に残ったものや、参考にしたことなどは何か

Matt氏:フィードバックに関しては、頂いた意見を随時反映している。例えば、マップの修正では、スカイラインのマップはファンにとってお気に入りのものとなっていたようだが、「ジャグジー周辺で隠れる場所が少ないのでは」という反応があったので少しだけ変更を加えている。

 武器に関してもデータや意見を見つつ、ベータ版の時点で1週目と2週目で変更を入れている。ベータ2週間目で実施したバランス変更は上手くいったと思っているよ。また、ヘッドショットの数値変動の調整や、より流動的で洗練された動きをオムニムーブメントでできるように改良していった。バランス変更によって、最終的にプレーヤー・開発陣双方の理想に沿ったものが果たせたと感じている。

 開発チームはプレイテストを頻繁に行ない、お互い意見を交換し続けてきたし、システム面、武器や動き、マップなどについて理解をしていたので、プレーヤーからの意見で驚くようなものはなかった。とはいえ、隠れる場所や武器など、自分たちの考えと違うと部分がプレーヤーによって証明されたのは大きい。

――ベータテストでは武器レベルを上げるのが過去作に比べ大変だと感じたが、調整が入るのか

Matt氏:ベータ1週目では遅かったと感じたので、2週目では変更を加えており、2週目の方がよかったと思っている。製品版に向けて、ベータ版で各プレーヤーが武器レベルを上げるのに大体どのくらいの時間を必要としたのかのデータを見て、開発陣がターゲットとする所要時間と照らし合わせた。結果、製品版ではベータ版よりもレベル上げしやすい状態になっている。

 何事においてもプレーヤーが適切なペースで成長できるのが大事だと考えている。いきなり多くの要素が解放され、プレーヤーが戸惑ってしまうことは避けたいので、1マッチを終えて、アタッチメントを入手し、その新しいアタッチメントで1〜2マッチをプレイし……といったように、全てのアタッチメントで1~2ゲームの経験を積んで欲しい。そうした経験を通じ、マップに合わせて、自分のお気に入りの編成を見つけて欲しいと考えている。

 もちろん、プレーヤーのフィードバックは常に確認しているので、あまりにも遅い・早いといった偏った意見がきた場合は見直しを行なうだろう。

――マップのサイズについて。ベータ版では中型・小型のマップが中心だったが、過去作に比べ大型マップが減った意図は?

Matt氏:ベータ版では当然、一部分しか見せることができないということもあり、凝縮された経験ができる小型のマップが多かった。製品版における全体的なマッププールでは、中規模なものが大半を占める。

 開発当初から何が「ブラックオプス」を素晴らしくするかを考えたとき、プレーヤー・開発陣双方にとって最高のマップとして挙げられるのは大きなマップではなかった。そのため、本作では意図的にマップサイズを調整している。製本版で見ることができるマップサイズの幅に、プレーヤーは満足してくれるはずだ。

パークシステムで「自分のスタイルを確立」。プレーヤーがやりたいことを全てできるシステムに

――本作は「湾岸戦争の裏舞台」という設定だが、登場する武器種はどのように決定したのか

Matt氏:歴史的に正しい武器を登場させるのは大切にしていることの1つで、我々のチームはとにかくよく資料を読み漁っているんだ。ただ、1990年代の湾岸戦争をベースにしているが、「ブラックオプス」である以上、今までに見たことも聞いたことのない武器を提供することも「らしさ」の部分になるので、そのバランスを取るのは難しかった。

 本作では、新たに12個の新武器が登場し、リアルで見覚えのあるようなものから、全く見たことや聞いたことのないものまで登場する予定だ。

――特定のコンバットスペシャリティやパークのバランス面について意識している点は何か

Matt氏:私は「ディアブロ」が好きで、「ディアブロ」の防具におけるセットボーナスシステムのようなシンプルなシステムを、どうすれば本作のパークに取り入れられるかを考えてきた。取っつきやすいが幅のある、深みはあるが難しすぎないシステムとして、コンバットスペシャリティが導入された。

 コンバットスペシャリティやパークにおいて、特に注意しないといけないのは、皆が同じようなテンプレートを使わないといけない、共用されるような状況にならないようにすることだ。そのために、様々なコンバットスペシャリティやパークを付け替えながら、自分のプレイスタイルを確立するようなバランスを目指している。

 特定のパークの強さはチーム内でも議論したが、強すぎても弱すぎても駄目なので、非常にデリケートな問題だったが、プレーヤーがやりたいことを全てできるようなシステムにはなったと感じている。

 パークシステムは敢えてプレーヤーに難しい判断を強いている。プレーヤーが悩みながら、プレイスタイルに合ったものを使って欲しいと思っているからだ。因みに、パーク1は自分のプレイスタイルを設定する、重めのパークが多くなっている。

――DLCや新マップ・ゲームモードなど、リリース後のアップデートのスケジュールについて

Matt氏:今週はローンチに力を入れるが、開発チームは既に新しいコンテンツ、マップや武器、ゲームモード等について考えている。まず、10月29日にはマルチプレーヤーモードにゾンビの要素を加えた「インフェクテッド」モードが来ることはお知らせした通りだ。その後、「Nuketown」(「CoD」シリーズに登場したマルチプレイヤー用マップ)も追加される。

 どんどん新しいコンテンツを出していくことによって、新鮮なゲームであり続けることを目標としている。

――最後にファンへのメッセージを

Matt氏:スタジオを代表して、皆が本作を遊んでくれるということにワクワクしている。是非楽しんでほしい。