インタビュー

「勝利の女神:NIKKE」の生みの親キム・ヒョンテ氏に直撃インタビュー!! キャラデザインは“本能に従った結果”

 SHIFT UPが開発を手掛け、Level Infiniteが運営するAndroid/iOS/PC用背中で魅せるガンガールRPG「勝利の女神:NIKKE」(以下、NIKKE)が「東京ゲームショウ2024」のLevel Infiniteのブースで出展された。

 Level Infiniteのブースでは、ゲーム内の10連ガチャに見立ててコスプレイヤーたちが登場する“リアル10連ガチャ”に加え、本作のキャラクターデザインを担当したキム・ヒョンテ氏とディレクターのユ・ヒョンソク氏が来日し、ステージに登壇した。

【リアル10連ガチャ】

 今回は「NIKKE」の生みの親とも言えるキム・ヒョンテ氏とユ・ヒョンソク氏両名にインタビューすることができたので、「NIKKE」開発の裏側や今後の展開、ラピのSSRは何故こないのかなど、プレイヤーの多くが気になることを聞いてみた。

SHIFT UP CEO キム・ヒョンテ氏
『勝利の女神:NIKKE』ディレクター ユ・ヒョンソク氏

スタッフの皆さんは私のDNAにもう染まってしまっているのかも

――「NIKKE」は“背中で魅せるガンガールRPG”と謳っているように、キャラクターたちの魅力的な後ろ姿に目が行きやすいゲームとなっていますが、このコンセプト自体は開発初期からあったものですか?

キム氏:「NIKKE」は社内スタッフを対象に行なったゲーム企画コンペで選ばれた作品がベースとなっております。しかし、その時はキャラクターをそこまでメインとして扱っていませんでした。そこで、射撃姿をキャラクターの背中や、前面の姿で見せた方がいいのではないかと私の方でディレクションしたことで、この方向性へと変わりました。その後は開発スタッフたちの努力と頑張りによって今の「NIKKE」が創られていきました。

――「NIKKE」には魅力的なキャラクターが多く登場しますが、どんなことを考えながらキャラクターデザインをされていますか?

キム氏:キャラクターをデザインする上で私が最も重要だと思っているのは、そのゲームのストーリーとナラティブがしっかりとリンクしているかです。キャラクターを構成するデザインの要素は全てしっかりとストーリーに合った設定で組み合わされてないといけません。

 見た目もただ可愛いだけじゃなく、そのキャラクターの性格が状況に応じでうまく表現されるような見た目であることも重要です。そのため、ビジュアル的に魅力的なのかっていうのはその次の話だと思っています。とはいえ、魅力的な見た目も重要なことには変わりないので、この2つの要素を同時に追求するところでクリエイターの腕が試されます。

――「NIKKE」や「Stellar Blade」ではボディラインがしっかり出るキャラクターが多いと思うのですが、これはキムさんのこだわりだったりしますか?

キム氏:そこを意識してというのはないんですよね。ユーザーがそういうのを好んだり、求めているというのもあります。ですが、私自身も好きでやっているので、本能に従っていたら自然に出てきた結果だと思います。

 ちなみに「NIKKE」の場合は女性クリエイターの割合が多いです。にも関わらず、そういったデザインが重要視されているということは、もしからしたらスタッフの皆さんは私のDNAにもう染まってしまっているのかも。私は影でそれに喜んで満足しています。

――キャラクターといえば、初めて見た時の「ボリューム」のインパクトが凄まじかったのですが、あのダイナミックな動きの数々はキム氏のこだわりによるものですか?

キム氏:最初のスタート段階では私の意図が反映されております。ただ、その後に出来上がったものをはじめて見た時は私も驚きました。大丈夫か? やりすぎじゃないか? みたいな感じだったのを覚えています。幸いなことにユーザーの方々からは好評をいただけましたので、結果良かったと思います。

プリマドンナ部隊所属のニケ「ボリューム」
ダイナミックに動く後ろ姿はネットで一時話題となるほどの衝撃を多くの人に与えた

――作中でお二人が特に気に入っているキャラクターはだれですか?

キム氏:ニケのなかでは「アニス」が好きです。自分がデザインに関わったというのもあるのですが、アニスの性格や体系、特に夏イベントでの水着姿がとても魅力的で、好きな女性のタイプです。

アニスへの愛をどこまでも語りだしたそうなキム・ヒョンテ氏
指揮官であるプレーヤーと共に戦うカウンターズ所属のニケ「アニス」

ユ氏:私は「スノーホワイト」が推しのキャラクターです。ストーリーにもたくさん登場するのはもちろん、現在のスノーホワイトだけでなく、過去のスノーホワイトが登場するなど、この世界観を立体的に表現してくれるキャラクターだと思っています。ニケとは、人間とは、という哲学的な問なども代わりに物語ってくれるようなキャラクターなところに、とても魅力を感じており、大好きです。

地下都市のアークで生活する主人公たちとは逆に、地上で生活し活動するニケ「スノーホワイト」

キム氏:ユさん。スノーホワイトが世界観を立体的に表現するキャラクターだとすると、アニスはビジュアルを立体的に表現するキャラクターなので、アニスにもっと活躍の場をよろしく。

――世界観といえば、作中でたまに「排出」という言葉が出てきますがニケってトイレに行くんですか?

キム氏:これについてはいろいろと設定はあるんですけれども、そこを詳しくご説明させていただきますといろいろと心配されることがあるかもしれませんので、あえてノーコメントとさせていただきます。ユーザーの皆さまのご想像にお任せするしかないですね。

ラピのSSRはいろいろ試している。「アニス」と「ネオン」のパワーアップ案を検討中

――多くの指揮官が「ラピ」のSSRを待ち望んでいると思うのですが、実装の予定はありますか?

キム氏:秘密です。ただ、ラピのSSRについてはいろんな角度から検討しており、具現化をいろいろと試しております。適切なタイミングになりましたら、皆様にお伝えできるようになるかと思います。

 実はラピ以外に皆さまにご期待頂きたいものがあります。それは「アニス」とネオンのパワーアップです。二人がパワーアップによって違うかたちのSSRになるような、そういったこともできるんじゃないかと検討しています。

――「アニス」と「ネオン」のパワーアップですか!? でも、水着の時も「ネオン」と「アニス」だけSSRが登場しましたし、今お話されたパワーアップもこの二人となると、SSRがまだない「ラピ」がネタにされないか心配です

キム氏:頑張ります! 早く出せるように精一杯頑張ります!

夏のイベントで登場したSSR「アニス:スパークリングサマー」と「ネオン:ブルーオーシャン」。まだSSRがないラピをさしおいてアニスとネオンにさらなるSSRが登場してしまったら、「NIKKE」のアイコンにもなっているラピのプライドはどうなってしまうのだ

2周年のミニゲームは今までで1番多い人数のスタッフ数によって制作中

――もうすぐ「NIKKE」も2周年となりますが、現状の悩みや課題はなんですか?

ユ氏:今すぐに思い浮かぶものが2つあります。

 1つ目は、今「NIKKE」を遊んでくださっている皆さまが新たに楽しめるようにするには何をどう提供すればいいのか。「NIKKE」には多様な感情や色を表現するストーリーがあります。それを多彩なコンテンツやミニゲームを通じてどのように表現していくか、イベントの順番はどうするかなど、それらについて常に悩み、考えています。

 2つ目は、物語についてです。皆さまにお届けしたい物語はたくさんあります。ただ、それをいつどのように語るかについてはいつも深く考えております。指揮官の皆さまにちょうどいいタイミングでお届けできるように運営していきたいと思っています。

 なかでも最初の芸能人ニケ「プリティー」についてや、「モダニア」は今後どうなってしまうのかなど、多くの声を頂いております。こういった物語を届けるうえで、完成度を損ねることがないように、無理せずに適切なテンポでお届けすることが重要だと思っております。気になってる方もたくさんいらっしゃると思いますが、もう少しお時間をいただければ本当に良いストーリーがお届けできると思いますので、よろしくお願いいたします。

――イベントやミニゲームのお話が出ましたが、「NIKKE」では毎回ミニゲームにかなり力が入っていますが、これらはどのように企画・製作されているのでしょうか?

ユ氏:最初はブレストから始まります。アイデアを出し合って、そのアイデアを評価していきます。評価基準はイベントストーリーなら語りたい物語とうまくリンクできるのか、マッチするものなのかなどです。他にもそのミニゲームが本当に我々で作れるのか、ユーザーがこれをプレイして本当に楽しいのかなどの検討を徹底的にやっています。こうした過程を得て制作に入ります。ただ、気がつくと最初思ってたものよりも、とても大きいミニゲームになってしまうんです。制作中に開発者のロマンや志によって新しいアイデアがたされていったりして、どんどん膨らんでいってしまうんですよね。

 開発のスタッフから“ユさん、これはビッグゲームですよ。名前変えるべきじゃないですか。”よく言われます。開発側からするとビッグプロジェクトではあるんですけれども、私はユーザーが遊んだ際に感じる規模感が小さいものであれば、それはミニゲームと呼ぶべきだと思っています。

――ミニゲームを1つ作るのにどれぐらいの期間や人が関わっているんですか?

ユ氏:ミニゲームによって全然違いますね。決まった人数に合わせてやるのではなく、楽しいゲームを作ろう、そのためには何人必要か、という形です。なので、ゲームによっては比較的少ない人数で作れたミニゲームもあれば、本当にたくさんの人数が投入されたミニゲームもあります。

 過去にもっとも苦労したミニゲームは1周年記念イベントのミニゲーム「MOG」です。本当に苦労したミニゲームとして記憶に残っています。 期間もアイデア出しの時期から数えると6カ月ぐらいはかかってますね。

 ちなみに2周年のミニゲームには今までで1番多い人数のスタッフが投入されていますので、ぜひご期待ください。

MOGこと「MEMORY OF GODDES」。ニケのキャラクターを操作してプレイするヴァンサバライクなミニゲーム。期間限定のミニゲームだったが、多くのユーザーに好評で復刻の声があったことから現在はパワーアップした「MOG EX EDITION」が常設でプレイできるようになっている

――イベントといえば、コラボによって「アブノーマル」タイプのニケが増えましたが、企業タワーのように「アブノーマル」のニケが活躍できるコンテンツなどは登場するのでしょうか?

ユ氏:今のところ具体的に検討している計画はまだございません。ユーザーの方々からたくさんご意見があったら検討すべきだとは思っています。

――最後に挑戦してみたいこと、皆さまにお伝えしたいことはございますか?

キム氏:私は今手掛けているゲームをより価値のあるゲームにすることが重要だと思っています。なので、やりたいことや、新しいアイデアが閃いたら、ちゃんとゲームにそれを落とし込めるようにと心がけています。そうすることで、より多くの方に喜んでいただけるゲームになると信じております。これからもぜひ関心を寄せて頂けましたら幸いです。
また、コンソールの方でも新しい物語、新しい作品をお届けできるように準備しております。より深みのあるゲーム体験ができるように準備しておりますので、これらもたくさん愛していただけたらいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

ユ氏:私はもうゲーム開発を始めて15年目になります。そして「NIKKE」は2歳の誕生日を迎えようとしています。2周年にとどまらず、20周年を迎えられるようにすることを常に考えております。とはいえ、私自身ですらまだ15年の開発歴なので、20年以上愛され続けるゲームをどのようにすれば作れるのかについてはもちろんわかりません。ですが、キムも言ったように、「NIKKE」をより価値のあるゲームにして、皆さんに末永く愛されるようなゲームにすることを目標にしています。そして、その目標を達成できるように今後も努力してまいりたいと思います。

――本日はありがとうございました。