インタビュー

「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」クリエイターインタビュー

“真のインディ体験”を追求する! 気になるPS5版についても聞いてみた

【インディ・ジョーンズ/大いなる円環】

12月9日発売予定

価格:
スタンダードエディション 9,800円
プレミアムエディション」12,900円
コレクターズエディション 24,900円
CEROレーティング:D(17歳以上)

 いよいよ12月9日に発売を迎えるXbox/PC向けアクションアドベンチャー「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」。ゲームの魅力についてはハンズオンレポートでお伝えした通りだが、クリエイターインタビューも実施されたので、気になるところを聞いてきた。

 話を伺ったのは「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の開発を手がけるMachine Gamesで同作のリードゲームデザイナーを務めるEzekiel Virant氏。まもなくマスターアップを迎える「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の魅力を語ってくれた。2025年春リリース予定のPS5版についても話を聞いてみたのでご注目いただきたい。

1人称視点にこだわり続けてきたMachine Gamesが贈る真のインディ体験

――まだ触って数十分だが、とても手触りが良い。

Ezekiel Virant氏: それは良かった。

「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」リードゲームデザイナーのEzekiel Virant氏

――Machine Gamesというと「ウルフェンシュタイン」のイメージが強いが、なぜ「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の開発に携わることになったのか、そもそもの経緯を聞きたい。

Ezekiel Virant氏: 実際に開発に着手したのは2021年の1月からだが、ベセスダと「インディ・ジョーンズ」に関する話をはじめたのはもうかなり前だ。Machine Gamesの中に「インディ・ジョーンズ」の熱狂的なファンがいて、どうしても我々が作りたいと希望を出し続けて、それがようやく叶えられた。

 開発環境が整った後、ルーカスとの緊密な形でのコラボレーションをはじめた。映画に関するあらゆるリソース、アーカイブ、フッテージ、セットに関する情報などありとあらゆるデータを共有して貰った。開発中も様々なフィードバックをもらうことで、本物のインディ・ジョーンズ体験が可能になった。

 Machine Gamesは、常にストーリーテリング、ナラティブをとても大事にしてきたメーカーとして、キャラクターや設定にこだわった形で、プロジェクトをスタートさせた。ご存じのように「ウルフェンシュタイン」シリーズは、アクションやコンバットを重視してきた作品だが、今回はアドベンチャーの要素も強く、1人称視点でメレーコンバットを多用するゲームになっている。「インディ・ジョーンズ」は、Machine Gamesが手がけたアドベンチャーゲームとして、さらに多様性を表現していきたいと考えている。

――本物のインディ・ジョーンズ体験ということだが、確かにゲームをプレイしていて、作品に対するリスペクトがひしひしと感じられた。Machine Gamesはスウェーデンのゲームメーカーだが、アメリカの映画である「インディ・ジョーンズ」をどのように理解して開発していったのか?

Ezekiel Virant氏: 今回「インディ・ジョーンズ」にMachine Gamesがどのように対応したかという質問をよく受けるが、いつも答えているのは、私たちが作りたいものは、外伝的な作品やスピンオフではなくて、本物を表現したい、ということだ。

 インディ・ジョーンズは、世界中のみんなが知っているグローバルな存在だと思っている。キャストについてもトロイ・ベイカー(編注:インディ役の声優、「The Last of Us」のジョエル・ミラー役で有名)らの声優を起用し、キャラクターに命を吹き込むことができた。みんなが知ってるものをどう届けるかにチャレンジしている。

――今回トッド・ハワード氏(Bethesda Game Studio所属、「Fallout」、「The Elder Scrolls」シリーズのクリエイター)がエグゼクティブプロデューサーを務めているが。彼からどういうオーダーを受け、それはどういう風に作品に反映されているのか?

Ezekiel Virant氏: 彼は我々のディレクターを信じてくれており、信じることに自信を持っているようだった。当然、責任者として、開発の現状を詳しく知りたがったが、彼との仕事は正しい方向に進んでいると確信している。彼からのフィードバックは、「とてもいい仕事をしてくれてる。自分が子供に戻ったようだ」と言ってくれた。

――今回のストーリーはオリジナルなのか? それともLucas側で用意されたシナリオなのか?

Ezekiel Virant氏: Machine Gamesオリジナルのストーリーだ。

――時代設定を1937年にした理由は?

Ezekiel Virant氏: 大きく影響を受けた2つの作品(1936年:レイダース/失われたアーク<聖櫃>と1938年:インディ・ジョーンズ/最後の聖戦)の間に設定することで、2作品のストーリー性やユーモア性などを引き継げると考えた。それぞれの映画に対するリスペクトを示す意味でもこの時代設定が最適だと考えた。

【マーカス】
映画でもお馴染みのマーカスも登場する

――プレイしていて映画のサウンドトラックが印象的だった。どれぐらい使ってるのか?

Ezekiel Virant氏: ゲーム中の大半の音楽はジョン・ウィリアムズのオリジナルBGMを使っている。そのほかにも、「スター・ウォーズ」の作曲も手がけたゴーリーハブという作曲家のBGMも採用している。

――舞台について、すでにスコータイやバチカン、ギザなどが公開されているが、未公開の未知のステージも存在するのか?

Ezekiel Virant氏: すでに発表しているステージ以外のサプライズも期待して良いと思う。

【未知のエリアへの期待】
スコータイ
ヒマラヤ

――インディ・ジョーンズといえば、主役であるハリソン・フォードの存在は欠かせないが、彼は本作をどのように評価しているのか? 気に入ってくれてるのだろうか?

Ezekiel Virant氏: ハリソン・フォードのチームにコンタクトして、開発の途中経過をレポートしている。彼からの直接のリアクションは届いていないので、気に入ってくれてるかどうかはわからないが、すべての情報は提供しており、内容は知っているはずだ。

――このゲームはどういう終わり方をするのか? インディ・ジョーンズらしくヒロインとキスをして大団円を迎えるのか、そうではないまったく別の終わりを迎えるのか。

Ezekiel Virant氏: その質問に答えるのは難しいが(笑)、繰り返しになってしまうが、本物のインディ・ジョーンズを表現することを目指しているので、最初から最後までそうなっていると考えてくれていい。

【全盛期のインディ】

――プレイしていくと貯まっていくアドベンチャーポイントは何をすると獲得でき、何に使えるのか?

Ezekiel Virant氏: アドベンチャーポイントは、色んな場所を探検したり、秘密やミステリー、パズルなどを解くことで獲得できる。ほかにもコードを解読してドアを開けたり、名所を写真を撮ることでも貯まっていく。

 アドベンチャーポイントを使うためにアドベンチャーブックが必要で、アドベンチャーブックでは、アビリティを習得することが可能だ。たとえば、「ラッキーハット」のように一度倒されても、ハットを探すことで復活できるアビリティを覚えたり、武器のダメージをアップグレードしたりすることもできる。新しい武器を手に入れる際にも使うことになる。

――「インディ・ジョーンズ」は、他のMachine Gamesと同じ一人称視点のゲームだが、開発でこだわった部分は?

Ezekiel Virant氏: 一人称で気をつけたのは、インディの世界をきちんと表すこと。インディならどうするか、どう見えているか、そこを丁寧に再現することに努めた。たとえば、モノを掴んだり、敵を殴る、ハシゴを登る、宝箱を開けるとか、自分自身がインディの世界に没入できることを大切にした。メレーコンバットでは、相手の表情まで細かく見ることができるようになっている。バイオリンを手に取って殴りつけることも出来る。プレーヤーはこうした体験を経て、インディの世界に入り込んでいるという実感を得ることができるだろう。

【1人称視点の醍醐味】
1人称視点で自分自身がインディになりきれる

――その一方で、カットシーンでは3人称視点となり、まるで映画のワンシーンのようになる。これはうまい見せ方だと思った。

Ezekiel Virant氏: カットシーンはこのゲームにおいて非常に重要なポイントだと考えている。全体のバランスが大切で、このゲームには会話シーンもあれば、バトルもあり、ステルスもある。そのバランスには気を配った。たとえば、インディが床が崩れて下に落ちるシーンでは、落ちるところまでは1人称視点だが、落ちた後はカットシーン3人称視点に切り替わる。そうすることによってプレーヤーはキャラクターとの会話やストーリー展開に集中することができる。

【カットシーン】
カットシーンは3人称に。まるで映画のようなシーンが展開される

――世にある探索型のアクションアドベンチャーゲーム、たとえば「トゥームレイダー」シリーズや「アンチャーテッド」シリーズはTPSだが、「インディ」は1人称視点で、これ自体が大きな差別化要素になっていると思う。Machine Gamesのこだわりが活きていると感じた。

Ezekiel Virant氏: なるほど、なんと答えようか(笑)。まず我々は他のタイトルと競争しようと考えていない。Machine Gamesは1人称視点を大切にしてきて、そのノウハウを活かす形でアドベンチャーゲームを作ろうと考えただけだ。人気フランチャイズの最新作の開発なら、ある程度の制約を受けたかもしれないが、「インディ・ジョーンズ」はそうではない。我々が考えて我々がやりたいゲームを作ろうと考えたんだ。

――ゲームのボリュームはかなりありそうだと感じた。標準的なプレイでだいたい何時間でクリアできるのか?

Ezekiel Virant氏: その質問に答えるのは難しい。Machine Gamesで最大規模のゲームであることは間違いないが、自由なプレイスタイルで遊べるようにしているので、標準的なクリア想定時間は設定していない。メインストーリーのみをプレイする人もいるだろうが、クリア後にサイドミッションに戻ってきたり、メインとサイドの両方を丁寧にクリアしていく人もいるだろうし、広大なフィールドを探索することに時間を費やす人もいるだろう。すべてはプレーヤー次第だと考えている。

――リリース後のアップデートやエキスパンションの計画を聞かせて欲しい。

Ezekiel Virant氏: すでに発表しているが、2025年4月にダウンロード型のコンテンツの提供を予定している。内容については正式な発表を待ってほしい。

――PS5ユーザーもこのゲームの発売を待っている。2025年に登場するPS5版の内容は、Xbox/PC版と同じなのか?

Ezekiel Virant氏: いまはまだXboxとPC版のローンチに集中している状況で、PS5はまだ開発中の段階だ。開発が進んできた段階で改めてアナウンスしたいと考えている。もう少し待ってほしい。

【PS5版も開発中】
プレイステーションの公式サイトでは、すでに専用ページも作られている

――日本のインディファン、ゲームファンに向けてメッセージを

Ezekiel Virant氏: 我々はこのゲームの開発を通して素晴らしい経験ができたと考えている。発売が近づくにつれて、オーディエンスのリアクションも増えてきて、私たち自身もワクワクしている。アジアにも多くのインディファンがいると感じていて、我々としてもベストなゲームを作ろうと思って頑張っている。皆さんのサポートに感謝したい。