レビュー
【ネタバレ注意】「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」第1話レビュー
宇宙世紀「架空戦記」だがガンダム初心者にもオススメ
2025年4月9日 12:32
- 【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】
- 放送開始日:4月8日より毎週火曜24時29分~
- 放送局:日本テレビ系30局ネット
- 最速配信:Prime Videoにて4月9日より毎週水曜1時~
2025年4月8日24時29分より、いよいよ「機動戦士ガンダム」の新シリーズ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」がスタートした。本作のポイントは、これまで「ガンダム」……特に「宇宙世紀」に触れてこなかった層も安心して楽しめる作品に仕上がっていることだ。
また、往年のガノタと呼ばれるレベルのディープなファンにも間違いなく刺さる仕掛けがある。つまり、「大ヒット間違いなし!」と映画のキャッチが付きそうな、カンペキな布陣でのオンエアなのだ。今回は、第1話の放送を記念し、先行上映された「劇場版」の内容にも触れつつ、第1話のレビューをしていきたいと思う。まずは本作の世界観や登場人物などの基礎的な部分を紹介していく。
なお、本稿には前述した劇場版の内容も含まれるのでネタバレが随所にある。注意していただきたい。それでは早速紹介に入る。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の魅力は新旧へのアプローチ
まず、なぜ本作が新旧のファンにリーチできるのかを解説しておこう。その理由のひとつが、本作の制作を「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(以下シン・シリーズ)」でお馴染みの、スタジオカラーが担当していることだ。
シン・シリーズでは、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」「ゴジラ」など、日本が誇る普遍的なオタクコンテンツを、往年のスタイルを活かしつつ、一般人でも受け入れやすいようにアレンジした作品を制作してきた。結果として、これまでゴジラはもちろん、怪獣映画に興味がなかったような人たちが、「ゴジラ」を熱っぽく語るムーブメントを起こしたのである。この流れは「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」にも当てはまり、本作の鑑賞をきっかけとして、いわゆるファーストガンダムの視聴を始めた人たちも多い。
ではなぜ、そのようなことが起きたのか。それは、ファーストガンダム(「機動戦士ガンダム」シリーズの第1作目)をゼロから再構築した点にあるだろう。すでに公開されているネタなので隠す必要もないことだが、本作で描かれるのは「正史の主人公のアムロがガンダムに乗らなかった」世界線だ。だから、ある意味でこれまで数多くの作品で描かれてきた「宇宙世紀」に関する膨大な知識は「知らなくてもいい」と言える。
つまり、ガンダム(宇宙世紀)初心者でも問題ないのだ。考えてもみてほしい、宇宙世紀の新作が出たらテレビだけでもファースト、Z、ZZ、に加え、OVAがわんさとある。これを宇宙世紀を見たことのない人に「全部見ろ」というのは無理があるだろう。でも、最初からやり直してしまえば、それ以降の知識の有無は、些末な問題になるのではないだろうか。
まあ、そんなこと書くと逆に往年のファンから怒られるんじゃないかと思われがちだが、知識があるからこそ楽しめる側面を持つのが「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」のスゴイところ。本記事のタイトルにも書いたが、往年のファンに向けた仕掛けが「架空戦記」としての側面だ。
これまで、マンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」や映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」、ゲーム「機動戦士ガンダム ギレンの野望」など、正史を膨らませた架空の物語はいろいろあったが、アムロが宇宙世紀「ガンダム」に登場しないというほど根幹を崩したものはなかった。だからこそ、大前提を崩した再構築にはこれまでとはまったく違う「もしも~だったら」が発生し、死んだキャラクターが生きていたり、量産されなかったモビルアーマーが量産されたりと、正史を知っていればいるほど面白くなる仕組みとなったのだ。
テレビではわからない劇場版の導入を軽めに解説
本記事で一番難しいのが、劇場版の前半パートの紹介だ。「前半パートはテレビでオンエアされないのでは」噂があったが、第1話終了後に「次回『白いガンダム』」と流れTV版の第2話以降となることが判明した。なので、ネタバレを最小限に抑えつつ、本編を見るために必要な知識と、個人的な考察を紹介しよう。
まず、ざっくりとファーストとの違いを紹介すると、ファーストでは、サイド7で「アムロ」が「ガンダム」に乗り、最終的に「地球連邦軍」が勝利する。だが、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」では「シャア」が「ガンダム」に乗り、ついでに「ペガサス(正史のホワイトベース)」という戦艦も鹵獲し、両方色塗り替えて運用し、ジオンのお仲間たちもがんばって勝ち進む。ついでにシャリアブルと仲良くなる。でも最後に月のグラナダにソロモンを落とされそうになったのでシャアがガンダムに乗って阻止しようとするけど、本人はガンダムとともに行方不明に。でも「ジオン公国軍」は無事勝利。という展開だ。
このように展開が変わったことで、キャラの生死や出演の有無、行動がどう変わるのか?あのセリフは誰が言うのか?などの違いを楽しめる。また、「トップを狙え」で聞いたようなセリフを聞けるなど、スタジオカラー作品らしいネタも豊富だ。この辺は来週からのオンエアを楽しんでもらいたい。なお、シャアの妹らしき人物は出ます!でも、セイラのままなのかどうかまではわかりません。
ここからは考察というと大げさだけど、筆者なりにどうしてこうなったのかを考えたのでちょっと紹介しておきたい。こうなった原因は、「ジーン(本編未登場)」のザクが故障してて、サイド7への偵察任務に参加できなかったことが発端だ。多分正史のザクと違って、山下いくとさんのリファインしたザクは整備が難しいのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。個人的にここで何が起きたかというと、ジーンが出撃しようとした→でも出られなかった→シャアが代わりに行くことになった……というタイムラインで発生した時間のズレがあったんじゃないだろうか。また経験の少ないジーンが闇雲に攻撃したのと、経験豊富なシャアが攻撃したのでは、重要施設を攻撃する効率性なども大きく違うだろう。
結果として、フラウボウもアムロも順調にシェルターに避難し、アムロがガンダムに乗るチャンスを失ったわけだ。アムロ一人で戦局が変わることない……と言いたいが、アムロがいた場合、ジオンのネームドを倒しまくるし、シャアはシャアで地球に行って悪さしてデギン公王やジオン公国の国民感情に悪影響を与えるしで、2人ともかなり迷惑な存在になる。なので、アムロが乗らなかったというたったそれだけのことで、未来が大きく変わっていったのだろう。
余談ではあるが、ジーンといえば「シャア少佐だって、戦場で手柄をたてて出世したんだ!」と言って勝手に攻撃を始めたのが印象的で、それを見た僕は「いやいやシャアは君と違って冷静に対処するよ」と思ってたんだけど。「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」では、シャアがしっかり率先して攻撃していた。ジーン、君の判断は正しかったんだね。
劇場版&第1話時点でのキャラクターとメカニック紹介
アマテ・ユズリハ(愛称:マチュ、CV:黒沢ともよさん)
ニャアン(CV:石川由依さん)
シュウジ・イトウ(CV:土屋神葉さん)
シャリア・ブル(CV:川田紳司さん)
エグザベ・オリベ(CV:山下誠一郎さん)
シャア・アズナブル(CV:新祐樹さん)
GQuuuuuuX
謎が深まる第1話「赤いガンダム」
これまでの項目で基礎的な部分を紹介してきたので、いよいよ本編の解説に入る。
第1話は劇場版とは異なりジオン独立戦争後から始まる。第1話ではザクのモノアイから始まるのが往年ファンには嬉しいポイントだ。この登場シーンは新規ファンにもザクの魅力が伝わるのではないだろうか。最初に登場する2機のザクは闘っているが、基本はジャンク業者に払い下げられた民間モデルで、武器の使用はできない。武器の使用には「インストーラーデバイス」が必要で、この後の話の布石となる。
そして、正史とは異なり生存中のシャリアブル中佐のニュータイプ能力が赤いガンダムを感知し、軍警のザクとの戦闘シーンへと突入する。この軍警察のザクが格好いいんですよ。まあ、2機もいるのに、あっさりと1機撃墜されてしまうんだけどインパクトは十分!なお、2機で行動するのはジオン独立戦争に、シャアとシャリアブルでコンビを組んで戦闘していたことが教範となり「マヴ」と呼ばれる戦術単位になっている。劇中でも度々出てくるので要チェックだ!なお、この用語は正史には登場しない。
戦闘シーンやタイトルの後、マチュが電車で「Let's get the Beginning」とのメッセージを受け取るシーンに変わるが、送り主は不明。現時点での相手は判らないが、劇中の描写からマチュは友達が多いようには思えないので、同居している母親が実は……みたいな展開なのだろうか気になるところだ。そして、ニャアンとの運命的な出会いを経て、前述した「インストーラーデバイス」を手に入れることになるのだ。
一方、シャリア・ブルたちが乗る強襲揚陸艦「ソドン」では、赤いガンダム調査のために、エグザベ少尉とGQuuuuuuXの投入が決まる。「秘密作戦なので、もろもろよろしく」と伝えるシャリアブルが可愛い。生きていたら、こんな面白い人物なったのだろうかと感慨深い。無事(?)に赤いガンダムと接敵したエグザベ少尉は、そのまま戦闘に突入。この戦闘シーンも秀逸で、赤いガンダムの頭部バルカンにシビれる人は多さそうだ。また、赤いビットを2機付帯しており、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に出てくるνガンダムとフィンファンネルの組み合わせを思い出すファンも多いだろう。ちなみに、2話以降でこの赤いガンダムの活躍がもっとも見られるはずだ。一方主役機であるエグザベ少尉の駆るGQuuuuuuXは、オメガ・サイコミュが起動せず苦戦。まあ、主役が乗るまで活躍できないのは、ある意味お約束だ。
その後、シーンが切り替わりマチュは「インストーラーデバイス」についていた追跡装置を逆手にとり、ニャアンと再び出会うこととなる。初邂逅の際に壊れたスマートフォンを弁償させるため、届先のポメラニアンズのいる建物に向かう。だが到着したのもつかの間、GQuuuuuuXと赤いガンダムがコロニー内に侵入し、目の前で戦闘を繰り広げ始める。驚くマチュたちだが、さらに軍警も介入し、状況はさらに混乱していく。このような日常生活の崩壊は、やはり主人公が覚醒するための試金石なのだろう。
余談だが、コロニー内の戦闘で、エグザベ少尉が左側に描かれることが多かった気がする。富野監督が書籍の中で味方は右、敵は左……みたいなことを書いていたので、現時点ではオリベ少尉とGQuuuuuuXは敵ってことなのかなーと思いつつ見ていた。でも、右にいるカットもあるから、位置関係ってことなのかもしれない。
そして、難民居住区での軍警の横暴な捜査を目の当たりにしたポメラニアンズのメンバーは、クランバトル用のザクを隠すことを決める。だが、手間取っているうちにマチュが勝手に乗り込み、軍警のザクを倒そうとする。これには、その前のカットで戦闘を寂しそうに見つめるニャアンの姿を見て、難民である彼女とある意味で何不自由なく暮らす自分とのギャップに憤りを感じたのかもしれない。
戦うと決めたマチュは、「ポメラニアンズのザクではダメだ」と悟り、倒れているGQuuuuuuXを発見して「あっちの方が強そう」と言い出しまたも勝手に搭乗。何故かオメガ・サイコミュが起動し、一気に形成が逆転し始める。起動の要因はマチュがニュータイプなのか、持っていたハロの影響からか、特に説明がなかったので、このあたりの謎も気になるところだ。いずれにせよ、GQuuuuuuXの頭部変形シーンはなかなかカッコイイので、じっくりと鑑賞してほしい。
地下通路内での戦闘から宇宙に吐き出されたマチュとGQuuuuuuXだが、マチュが言うところの「キラキラ」が発生し、赤いガンダムが登場。即席でマヴを結成して対抗。軍警察のザクを撃墜するに至る。このキラキラ発生タイミングで、ニュータイプ能力発現エフェクトが入るので、一応この時点でマチュはニュータイプ確定に。そして肝心の赤いガンダムには、シャア少佐が乗っていないことがシャリアブルの能力で判明し、1話は終了となった。
まとめ
1話の感想としては、とにかくメカの動きがスゴイ。しかも、マシンガンやバルカンなど実弾兵器が多いので、戦闘がリアルでそこもいい。ハイメガ粒子砲とかヴェスパーとかもカッコイイけど、こういう泥臭い戦闘がいい。特にポメラニアンズが最初装備していた武器がトメノスケ・ヒート・ホークしかなかったというのも、正規軍ではないところが強調されている感じがしてワクワクする。
ワクワクといえば、劇場に足を運んだ人でも楽しめたのが、初見のエンディングではないだろうか。マチュとニャアンの共同生活が描かれているのだが、これ本編でもこんな展開になるんだろうか?凄く気になるところではある。
ということで、1話レビューなのかGQuuuuuuXレビューなのか判らない感じになったけど、劇場行かなかった人でもちゃんと来週に世界観のおさらいができるので、ぜひお楽しみに!
(C) 創通・サンライズ