先行体験

「CoD:BO6」βテストレポート。伝統を受け継ぎつつ、全方向ダッシュに飛び込みなど新しいアクションで遊びやすさと新しい戦い方を追加

【Call of Duty: Black Ops 6】

10月25日 発売予定

価格:9,800円より

 走って、狙って、撃つ。「Call of Duty」シリーズの真髄はそのままに、プレーヤーに新たな体験を提供する。それが10月25日にActivision Blizzardから発売予定の「Call of Duty: Black Ops 6」(CoD:BO6) だ。

 長い歴史を持つ「CoD」シリーズの中で、特に人気が高いのが“対戦”だと思う。シンプルな撃ち合いから戦略的なオブジェクティブまで、多彩なモードとスピード感ある戦闘が多くのプレーヤーを魅了してきた。そして本作は、この核となる魅力を継承しつつ、新たなシステムや調整を加えることで、より深みのある体験を提供しているのだ。

 今回、本作のクローズドβテスト(CBT)が8月31日より9月4日まで開催されている。本稿では、CBTでプレイしてわかった、新しいシステムや仕様について詳しく見ていきたい。

 なお、今回プレイしたのはPC版となっている。

【Call of Duty: Black Ops 6 - マルチプレイヤー公開トレーラー】

スピーディーな戦闘システムは健在で爽快感はそのまま!

 まず、本作をプレイして感じた魅力は、シリーズの真髄であるスピーディーな戦闘システムが健在であることだ。マルチプレイモードにおけるこのテンポの速い戦闘は、多くのファンが愛してやまない要素だろう。

 走って、狙って、撃つ。この基本的なアクションの連続が、ゲームに独特のリズムを生み出し、それがプレーヤーのテンションを上げていく。勝ったときは清々しいほどの爽快感があるし、負けたときは本当に悔しくなる。そうしてこのゲームに夢中にさせるループにプレーヤーを引き込んでいく。

 チーム同士で倒した数を競い合う「チームデスマッチ」、一定時間で場所が変わる拠点を取り合う「ハードポイント」、固定された複数の拠点を取り合う「ドミネーション」などの人気モードでは、倒されてもすぐに復活できるため、撃ち合いは途切れることがない。特に狭いマップでは、敵とのエンカウントが頻繁に発生し、緊張感が途切れない戦闘が繰り広げられる。

緊張感が途切れない戦闘のスピード感を感じられるのが楽しい

 本作では、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガン、ライトマシンガン(LMG)、マークスマンライフル、スナイパーライフルという6種類の武器カテゴリーが登場する。各武器は、移動速度やADS(エイムダウンサイト)の速さなど、異なる特性を持っている。

 個人的に気に入ったのはサブマシンガンだ。サブマシンガンは軽量で移動速度とADS(覗き込み)が速く、爽快な撃ち合いを楽しめる。アサルトライフルは中距離戦に適しており、バランスの取れた性能だ。ショットガンは近距離で圧倒的な威力を発揮するが、使いこなすには照準の精度の高さはもちろん、マップを習熟し、プレーヤーがどんな行動パターンを取るか、どんなルートで動くかなどを覚える必要があるので、ある程度の経験は必要になるだろう。

 初心者には、サブマシンガンやアサルトライフルがおすすめで、これらの武器を使えば序盤から安定して楽しめると感じた。一方、中上級者向けには、ショットガン、ライトマシンガン、マークスマンライフル、スナイパーライフルなど、より特徴的な武器が用意されている。プレーヤーは自身のプレイスタイルに合わせて武器を選ぶことができるのだ。

6種類の武器のカテゴリーの中にも、特性が異なる武器がある。自分の手に馴染む武器を見つけたい

 本作はこのスピーディーな戦闘システムを核としつつ、新要素を加えることで、シリーズファンにも新規プレーヤーにも魅力的な体験を提供している。従来の爽快感はそのままに、より深みのあるゲームプレイが楽しめるようになっているのだ。

ゲーム開始時から使える「エンフォーサー」がサブマシンガンをメインに持っている。これが標準で選ばれているところからもサブマシンガンの使い勝手の良さを感じた

新アクション「オムニムーブメント」が戦闘を変える

 本作の追加要素の1つが、新アクション「オムニムーブメント」だ。「オムニムーブメント」は、前後左右へのダッシュと、各方向のダッシュから繋がるスライディングと飛び込みを可能にした新アクション。さらに、飛び込んだあとの状態から360度どの方向の敵も狙うことができる。このシステムは従来の「CoD」シリーズ、さらに言えば多くのFPSの戦闘の常識を上書きするシステムで、プレーヤーの選択肢を拡張している。

 今回のβテストでは「訓練コース」という、この新アクションについて学べるモードが用意されていた。このモードでは、まず前後左右へのダッシュから学んでいく。これまでの「CoD」シリーズはもちろん、多くのFPSでも、前方向へのダッシュは可能だったが、左右や後方へのダッシュは一般的ではなかった。だが、本作では左右も後方も自由にダッシュができる。これらの動きは"リアルさ"という観点からは非現実的かもしれない。だが、ゲーム性という意味では新たな可能性を開く革新的な要素だと感じた。

 さらに、ダッシュ状態からCキーを押すとスライディングが、ダッシュ状態からCTRLキーを押すと飛び込みというアクションが起きる。この訓練コースでは、基本的なダッシュとスライディング、そして飛び込みというアクションに加えて、より高度な応用技も学ぶことができた。

 例えば、前方へ進みながらCキーでスライディングという基本アクションはもちろん、左右にダッシュしながら飛び込むこともできる。さらに驚いたのは、後方に飛び込みながら、前方の敵を銃で撃つという、ガンアクション映画さながらのアクションも可能だということだ。

 実際にこの訓練コースでは、建物の淵から段差の下へと飛び込み、180度回転して、壁の陰に隠れている敵を倒す、という練習をする。このようなテクニックが使えれば、FPSでよくある「角で待ち伏せされていて、そーっとのぞき込もうとすると撃たれて死んでしまう」というシーンも、より安全にクリアできる。

左右、後方に飛び込みながら敵を狙って銃撃することも可能
建物の淵から飛び出し、180度回転して敵を撃つ。操作に慣れていればこういったことも可能だ

 ただし、注意点もある。このような高度な動きをしながら敵に照準を合わせるのは相応に難しいということだ。「CoD」をやり込んでいるプレーヤーは、これまでの作品でスライディングなどのアクションに慣れているので比較的安定してプレイできそうだが、新規プレーヤーにとってはかなりの練習が必要になるだろう。このテクニックを磨いていくことが、本作で上達する1つの方法になりそうだ。

 また、個人的に気になったのが操作性だ。本作のダッシュにはボタンの長押しでダッシュする方法と、短く1回押してモードを切り替えてダッシュする方法がある。筆者は長押しでダッシュするスタイルが好みでプレイしているが、キーボードを使う場合、SHIFTキーとCONTROLキーは両方とも小指で押している。つまり、ダッシュ中はSHIFTボタンを小指で長押しし、飛び込む時は小指をスライドさせCONTROLキーを押す必要がある。これは少々操作が難しく感じた。

 もちろん、キー配置を変更できるので自分の好みに合わせてカスタマイズすることは可能だ。自分なりにしっくりくる設定を見つけることも、このゲームを楽しむ上で重要なポイントになりそうだ。

操作方法の設定によっては小指に負荷がかかる。もちろんカスタマイズ可能なので、自分の手に馴染む設定にしたい

新ゲームモード「キルオーダー」も新鮮で面白い!

 また、βテスト中に、新しいゲームモード「キルオーダー」をプレイする機会があった。このモードは、従来のチームデスマッチをベースにしながら、新しい要素を加えた興味深いモードだ。

 キルオーダーの基本ルールはチームデスマッチと同じだが、大きな特徴として、両チームのプレーヤーそれぞれ1人に「HVT(High Value Target、重要目標)」が設定される点が挙げられる。このHVTを倒すとボーナススコアが獲得できるため、自チームのHVTを守りながら、敵のHVTを狙っていくという動きになる。

 HVTの位置は、マップ上のどこからでも確認できるようになっている。そのため、HVTに選ばれたプレーヤーは常に狙われる立場となり、通常以上に注意を払う必要がある。そのため、自チームのHVTを守りつつ、敵のHVTを倒すチャンスを狙うという、攻守が入り混じった戦略的なプレイが求められる。

 また、HVTの選定はランダムなので、HVTに選ばれた時とそうではないタイミングで、プレーヤーは様々な状況に適応する能力が求められる。HVTに選ばれた場合は慎重なプレイが必要になるし、そうでない場合は積極的に敵のHVTを狙いにいくなど、状況に応じて柔軟に戦略を変更する必要がある。

 この攻守が入り混じった新ゲームモードは、非常に楽しい体験だった。チームデスマッチをベースにした撃ち合いの楽しさはそのままに、新しいスパイスを加えたような印象だ。適当にワイワイと遊んでも楽しいが、ボイスチャットなどで連携が取れるとHVTを狙う楽しさも、守る難しさも相まってこのモードの魅力はさらに増しそうだ。

敵味方のHVTは共にマップに表示される。野良でプレイするとゆるっとした共闘感が味わえる程度だが、ボイスチャットなどで連携するとかなり遊び方が変わりそうだ

武器カスタマイズシステムの改良もありがたい

 本作ではシリーズでおなじみの武器カスタマイズシステムにも改良が加えられている。この新システムは、プレーヤーにより多くの自由度を与えつつ、効率的に行えるようになっている。

 まず、基本的な仕組みについては大きな変化はない。これまでと同様に、それぞれの武器種ごとに複数の武器が用意されており、各武器にはレベルという概念がある。このレベルを上げていくことで、新しいアタッチメントがアンロックされ、それらを使って武器をカスタマイズできるという点は変わっていない。

試合終了時に経験値が入手でき、入手した経験値に応じて武器のレベルが上がっていく

 アタッチメントは従来通り豊富で、プレーヤーは自分の戦い方や注力したい要素を選んで、武器の長所を伸ばしたり、短所をカバーしたりすることができる。例えば、長距離射撃の安定さや、リコイルを抑えて精度を重視することも、機動力を重視することもできるという具合だ。

 今作での大きな変更点は、同じ武器種でアンロックしたパーツを他の武器にも装着できるようになったことだ。これは非常に画期的な改良点だと感じた。

 具体的に説明すると、例えばAという武器を使い込んでレベルを上げると、Aの武器のアタッチメントが解放される。これまでのシステムでは、新たにBという武器を使おうとすると、改めてBの武器を使い続けてレベルを上げなければアタッチメントを解放できなかった。

 しかし、今作では同じ武器種であれば解除したアタッチメントを使い回すことができるようになった。つまり、Aの武器で解放したアタッチメントをBの武器にも装着できるのだ。これにより、1からアンロックする必要がなくなり、これまでの作品に比べるとより楽に武器を成長させることができるようになった。

 この改良は、プレーヤーにとって非常にありがたいものだ。新しい武器を試してみたいと思ったとき、以前であれば「せっかくこの武器を育てたのに…」と躊躇することもあったが、今作ではその心配が大幅に軽減される。結果として、より多くの武器を試すことができ、自分に合った武器を見つけやすくなったと言えるだろう。

アタッチメントによるカスタマイズは健在。武器レベルを上げて解放したアタッチメントは、同種の武器にも装着できる

 今回のβテストを通じて感じたのは、シリーズの真髄である撃ち合いのスピード感や楽しさが健在であることだ。それに加えて、新しい「オムニムーブメント」システムの導入により、プレーヤーの立ち回りに大きな変化がもたらされている。

 武器カスタマイズシステムも引き続き実装されているが、今回は武器のアタッチメントを異なる武器間で使い回せるようになった点が新しい。これにより、プレーヤーの武器選択の幅が大きく広がりそうだ。さらに、「キルオーダー」のような新しいゲームモードの追加も、プレイの多様性を高める要素として機能している。

 これらの点から、本作は間違いなくシリーズを安定して正統進化させた作品だと感じた。伝統的な“CoD体験”を基盤としつつ、新しい要素をスパイスとして巧みに取り入れた作品だった。

 このあと、全プラットフォーム対象のオープンβテストが、日本時間の9月7日午前2時から9月10日午前2時まで実施される。この機会に、銃弾飛び交う興奮と緊張感溢れるこの世界を、ぜひ自らの手で体験していただきたい。