インタビュー

フロム・北尾氏「ELDEN RING」DLCに言及。「まだ少し先になりますが、進捗は順調です」

「PS Award 2023」メディアインタビューを実施

【PlayStation Partner Awards 2023】

12月1日 発表

 クリエイターの創作活動に敬意を表し、プレイステーション向けに発売されたヒットタイトルに賞を贈呈する「PlayStation Partner Awards」。初代プレイステーションが発売された1994年から始まり、今年で通算29回目の開催となった。

 本稿では、本イベントのメディアインタビューの模様をお伝えする。今回はスクウェア・エニックス「FINAL FANTASY XVI」メインディレクター 髙井浩氏とクリエイティブディレクター&原作・脚本 前廣和豊氏をはじめ、フロム・ソフトウェアの北尾泰大氏など、受賞タイトルの開発者たちのインタビューが行なわれた。

 なお本日は、HoYoverse「原神」および、セガ「ソニックフロンティア」、Avalanche Software「ホグワーツレガシー」はインタビューが行なわれなかった。

カプコン「バイオハザード RE:4」プロデューサー 平林良章氏/ディレクター 安保康弘氏

「バイオハザード RE:4」:GRAND AWARD/USERS’ CHOICE AWARD受賞

プロデューサー 平林良章氏(左) / ディレクター 安保康弘氏(右)

――過去のインタビューで原作を大事にした、というのを拝見しましたが、今作でそれを実現できたと感じた一番大きな点を教えてください

平林氏:今回ローンチさせていただいた中で、お客様から原作を楽しんでいたころの思い出を今作でも感じられたというコメントを多々いただいたところです。

――9月21日に配信された追加コンテンツ「セパレート・ウェイズ」の反響はありましたか?

安保氏:本編をプレイしたうえで、もう一度プレイしたくなるようものであったと言っていただける方が多々いらっしゃいました。ワイヤーを使ったアクションに新鮮さを感じられたとか、というようなポジティブな言葉をいただいています。

――シリーズを通して、この「RE:」というブランドは今後も続けていきたいとお考えでしょうか?

平林氏:リメイクシリーズも3作出してきて、大変ご好評いただいていると手応えを感じております。我々としても、過去作を愛する側としても、今の時代の方々に遊んでいただけるということは凄く嬉しく感じていますので、これを続けたいと思っています。どういったものをやるかというのは今後情報をお出しできればなと思っています。

――ユーザーの声の中で印象的だったものがあれな教えていただけますでしょうか?

安保氏:開発チームとして感慨深いなと思ったのは、制作していく上でお客様の期待に応えられるのかという不安があった中で、ローンチを跨いだ時に、原作と同じくらい楽しめたというシンプルな一言が我々にとっては救いになりました。

――「RE:」シリーズはなぜこれほどまでクオリティが高いものを実現できているのでしょうか?

平林氏:リメイクというのはまず原作があって、お客様がいるという状況からスタートするので、ある種有利な面もあります。その中で、お客様の声を拾えるということがまずありがたいことです。それを我々は真摯に受け止めて、お客様がこう受け止めているなら我々はこう作ったらどうだろうか、というスタンスで取り組んでいるので、結果的に評価をいただけているのだと思っています。ユーザー目線でのものづくりをスタッフはすごく心がけています。

スクウェア・エニックス「FINAL FANTASY XVI」メインディレクター 髙井浩氏/クリエイティブディレクター&原作・脚本 前廣和豊氏

「FINAL FANTASY XVI」:GRAND AWARD/USERS’ CHOICE AWARD受賞

メインディレクター 髙井浩氏(左) / クリエイティブディレクター&原作・脚本 前廣和豊氏(右)

――今回の受賞について一言お願いします

髙井氏:「GRAND AWARD」という名誉ある賞を頂けて、今日は非常に嬉しく思っています。本日はよろしくお願い致します。

前廣氏:この度は栄えある賞をいただきまして、誠に嬉しく思っております。発売まで長い間かかった作品ですけれども、スタッフ一同で誠心誠意作ったものこうやって受け入れられるというのは、我々としては嬉しいです。主人公のクライヴ・ロズフィールドの物語がプレイしてくださった皆さんの支えになってくれればと思います。

――今回GRAND AWARDに輝いた「ファイナルファンタジーXVI(FFXVI)」ですが、どのような点が評価されて今回の賞に繋がったとお考えですか?

髙井氏:難しいですね(笑)。世界観やストーリーをこだわりぬいて作ってきたのですが、そういった部分を体験していただいて、心を揺さぶられたという声が大きかったなと思います。また召喚獣合戦といった部分で驚きを与えられたところや、フルアクションバトルに変化しながらも「ファイナルファンタジー」を体験できるところなど、トータルで「FFXVI」を評価いただけたのではないかと思います。

――ゲームの制作において、最も大事にしたポリシーというのをお聞きしたいです。

前廣氏:プレイ中に世界観に没入させるというのを大事にしました。一度コントローラーを握ったら、気持ち的に「クリアしたい!」と思わせるような、もう“コントローラーを離さない!”というような、とにかく没入していただくのを第一にしてきました。また細かなところですが、プレーヤーの方がゲームを放置して他のゲームに移ることがないよう、ストレスになる部分を出さないよう心がけました。

――世界的に注目される「ファイナルファンタジー」シリーズのナンバリング作品で、制作中にプレッシャーもあったかと思うのですが、制作の前と後でどのように感じられていましたか?

髙井氏:もちろんスクウェア・エニックスとして、「ファイナルファンタジー」のナンバリング作品は大きなタイトルで、プレッシャーがなかったということはないです。ですが開発中はそこまでプレッシャーを感じていませんでした。いよいよマスターができて、リリースが近づきメディアの皆さんとお話も増えたあたりから、心臓がバクバクしてきたのは正直なところです(笑)。ただ、プレーヤーの皆さんが賛否両論ありながらもプレイしていただいて、世界中で“良かった”という声が多かったのもあり、そこでやっと一安心しました。

――現在2種類のDLCが発表されています。今は言えないことも多いと思いますが、目指している部分やプレーヤーの皆さんにどう体験していただきたいかなど、現時点で発表できる範囲でお伺いできればと思います。

髙井氏:答えれる範囲になりますが(笑)……。この2つのエピソードは「FFXVI」の世界をより詳しく知っていただけるという点と、クライヴの物語の“闇”や“謎”の部分を体験できるような内容になっています。また、新たな強敵や戦闘を楽しむための要素も盛り込んでお届けできると思います。ぜひ、楽しみにお待ちください。

フロム・ソフトウェア「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」ディレクター 山村優氏/執行役員・プロデューサー 小倉康敬氏

「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」:PARTNER AWARD/USERS’ CHOICE AWARD受賞

執行役員・プロデューサー 小倉康敬氏(左) / ディレクター 山村優氏(右)

――海外での感触は?

小倉氏:あくまでも肌感ですが、ソウルライクゲームが好きな方々にも「メカならではのアクション・新しいアクション」として「アーマード・コア」を知っていただけたのかなと思います。非常に多くの方に手に取っていただけたのではないかと思います。

――海外からの反響で印象に残っているのは?

小倉氏:SNSやメディアの話を見ていると、「新しいフロム・ソフトウェア」としてのアクションとして楽しんでいただけたのかなと思っています。

――開発で苦労した点は?

山村氏:現代風に「アーマード・コア」として、操作の難しさに重点を置きつつも、直感的な操作ができるような調整が難しかったです。

――最終的に目指すプレイフィール、理想的な「アーマード・コア」はなんでしょうか?

山村氏:なるべくすべてのパーツに機会があるように発売後も調整しています。ユーザーひとりひとりそれぞれ機体の構成が違うような、多様性のある状態を目指しています。なので、これからもなるべく色々な個性・多様性がみられるように調整を続けていきます。

――シリーズファンと新規ファンそれぞれに「刺さったかな?」というポイントはありますか?

山村氏:シリーズファンには、「アーマード・コア」らしい楽しさは変えずに現代的にアップデートした部分が刺さったと思っています。新規のファンには近年のフロム・ソフトウェアが培ってきたバトルデザインと「アーマード・コア」らしい三次元的な立体戦闘のシナジーが新しい刺激として受け入れられたかなと思います。

――イニシャルディレクターなど原案を務めた代表取締役・宮崎英高氏から開発時などに受けたコメントで印象的なものはありますか?

山村氏:「魅力的なものにしてくれて嬉しかったよ」とねぎらいの言葉をもらいました。

小倉氏:作品の方向性や原点に困った際には、宮崎から「困ったらそこに立ち戻ることだよ」とアドバイスをもらいました。

――プレーヤーの面白いなと思ったプレイは?

山村氏:マニュアルエイムで遊んでいるユーザーさんがいまして、熟練傭兵の意地みたいなものを感じてカッコいいなと思いましたね。開発時には「マニュアルエイムは要らないのでは?」という話も出ましたが、「要ります」と言ってくれたスタッフがいたので、実装してよかったです。

小倉氏:パンチやキックなどは使われると思っていましたが、実際に武器を捨てて戦っているユーザーを見ると「さすがだな」と思いました。熱い思いや愛のある方に遊んでいただけていて嬉しいです。

コナミデジタルエンタテインメント「eFootball 2023」シニアディレクター 中西宏氏/シニアディレクター 木村征太郎氏

「eFootball 2023」:PARTNER AWARD受賞

シニアディレクター 中西宏氏(左) / シニアディレクター 木村征太郎氏(右)

――今回の受賞について、それぞれ一言ずつお願いします。

中西氏:この度は栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。大変嬉しく思っております。「eFootball」は2021年に「ウイニングイレブン」から名前を変えて、また同時にビジネスの形態も変更して生まれたタイトルです。そのような大きなチャレンジをしたあとにこのような大きな賞をいただけまして、非常に嬉しく思っています。

木村氏:「ウイニングイレブン」時代からずっとこのPlayStation Partner Awards
をいただいていますが、ブランドを変更したタイミングで去年は残念ながら良い結果を残せず非常に悔しい思いをしました。今年は大変嬉しく思っています。

――今作は基本プレイ無料のゲームとして、売り切りのパッケージ体形とは異なる難しさがあるのではと考えるのですが、今作で継続して高収益を続けられた秘訣・要因というのはどうお考えでしょうか?

中西氏:以前パッケージを販売していた時はサッカーシーズンに合わせて制作していたため、そこに向けて全てのパートが動くということがありました。今作ではその制限がなくなり、開発のサイクルが上がったというところがあります。他にも今まで以上にお客様の声に耳を傾けらるようになったのかなと思っています。お客様の声をいただいて、一週間後すぐにアップデートで実装、といったことが可能となり、やはり速度が非常に上がったなと感じています。

――サッカーを題材にした作品は特に海外ユーザーへの人気が高い印象がありますが、本作は日本のユーザーからはどのようなフィードバックがありましたか?

中西氏:日本のユーザーからも大きな反響をいただいております。今月の新しいアップデートについて発信したのですが、こちらも大きな反響をいただきありがたく思っております。お客様の声によって、共につくっているという感覚があります。今後も続けていければと思っています。

コーエーテクモゲームス「Wo Long:Fallen Dynasty」プロデューサー兼ディレクター 平山正和氏

「Wo Long:Fallen Dynasty」:PARTNER AWARD受賞

プロデューサー兼ディレクター 平山正和氏

――パートナーアワードの受賞について一言お願いします。

平山氏:まずはパートナーアワードという素晴らしい賞を受賞できたことを大変心から嬉しく思っています。また、プレイしていただいたすべての皆さまにこの場を借りて、感謝申し上げたいです。DLC第3弾も12月12日に配信されます。より皆さんに楽しんでいただけるよう頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いいたします。

――本作ですが、三国志全体のことを考えるとストーリーはまだまだこれからかと思います。次回作についてなど今後の展望はありますか?

平山氏:現在は、DLC第3弾に向けて全力投球しているという状況ですので、現段階での情報はお伝えすることができません。ですが、過去の時代については、諸葛孔明が活躍したりなど「Wo Long」とはまた違う魅力のある時代かと思っていますので、作るチャンスがあればぜひ検討していきたいです。

――本作は、三国志を舞台にした高難易度アクションということで、「無双」シリーズや「仁王」シリーズとも異なった立ち位置ですが、反響の大きかった地域などの違いがありましたか?

平山氏:三国志を題材としていることもあり「三国無双」とは近しい傾向にあります。基本的には中国を中心としたアジア圏からの反響が大きかったです。そのうえで「仁王」シリーズのプレーヤーの方もプレイしていただきましたが、「三国志」というよりアクションゲームとしての興味で手に取っていただいたという傾向があるのかなと思います。

――Team NINJA作品となると“高難度アクション”というイメージがあるかと思います。「Wo Long」について、プレイしたユーザーからの受け止め方はどうでしたか?

平山氏:リリースした後に一番印象的だったのは、簡単というユーザーと難しいというユーザーが分かれたことです。「Wo Long」はアクションの比率が多かったのが原因かな個人的には思っていまして、幅広い皆様に楽しんでもらいたいので、アップデートを通じてただ単に数値を弱くするのではなく、ボスのアクション性やAIの改善などを意識してやっていこうと思います。

フロム・ソフトウェア「ELDEN RING」プロデューサー 北尾泰大氏

「ELDEN RING」:PARTNER AWARD受賞

プロデューサー 北尾泰大氏

――世界中で高い評価とセールスを獲得し、名実ともにフロム・ソフトウェアの代表作になりましたが、プレーヤーからの支持への感想をお聞かせください。

北尾氏:我々も予想していなかったほどたくさんのユーザーに遊んでいただいて驚いています。感謝以上の言葉はありません。本当にありがたいです。

――リリースから2年近く経ちましたが、今あらためて「ELDEN RING」という作品を振り返って、制作に関する考え方が変わっているところなどはありますか?

北尾氏:基本的には開発に対するスタンスは変わっていないです。面白い、価値があることを真面目に一生懸命つくるのが昔からのスタンスです。

――新オフィスに引越したと思いますが「ELDEN RING」の大成功も関係しているのでしょうか? また、引越して体制はどうなりましたか?

北尾氏:「ELDEN RING」発売前からですが、人数に対してオフィスが手狭になってきたのが一番の理由です。また、より集中できる環境を整えようというのも目的でした。開発環境自体はまだまだ途上ですが、良くなってきています。

――DLCに期待するユーザーも多いと思います。開発の進捗はいかがでしょうか?

北尾氏:DLCについてはまた別の機会にお話させていただきます。まだ少し先になりますが、進捗は順調です。「DARK SOULS」シリーズや「Bloodborne」などと同じく新たな戦い、新たな登場人物という形のものになっています。新しいものに期待してください。

――発売2年たった今も人気が持続していますが、どういった点が受け入れられたと思いますか?

北尾氏:攻略の自由度の高さだと思います。ユーザーさんによって体験が違ったり、遊び方が違うので長く遊んでくれているのかと。それによっていろんな話題が生まれたのだと思います。

スクウェア・エニックス「クライシス コア ‐ファイナルファンタジーVII‐ リユニオン」プロデューサー 佐藤万里子氏

「クライシス コア ‐ファイナルファンタジーVII‐ リユニオン」:PARTNER AWARD受賞

プロデューサー 佐藤万里子氏

――パートナーアワードの受賞について一言お願いいたします。

佐藤氏:この度は素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。この賞をいただけたのも、応援してくださった方や、開発のみなさんが頑張ってくださった結果です。本当に嬉しく思います。

――もともとPSPで発売されたタイトルかつ、当時海外では日本ほど携帯ゲーム機が普及していなかったこともあり、今作で初めて「クライシスコア」をプレイしたという海外ファンが多かったんじゃないかなと想像しています。海外のファンからの反響はありましたか?

佐藤氏:まさに、海外のファンの方から多くの声をいただきまして、好評の声がすごく多くて嬉しかったです。気になっていたけどプレイできなかったという方が多くいらっしゃったようで、今回やっとプレイできたという声が多かったです。実はストーリーは知っていたけども、実際に体験できて凄くよかったという声もたくさんいただきました。

――「FFVII リバース」の発売前に、これから本作をプレイする方に対して、こういうところに注目してとおくと「リバース」がより楽しめる、というところはありますか?

佐藤氏:「クライシスコア」は、「FFVII」に出てくるザックス、セフィロス、クラウドの過去の話が描かれているのがポイントです。過去になにがあったかというのを「クライシスコア」を体験していただいて「リバース」をプレイすると、こういうことだったのか、という楽しみ方でできると思います。

 「FFVII リメイク」をすでにプレイされている方はおわかりかと思うのですが、「FFVII」と「クライシスコア」の話は一致する部分と、すれ違っている部分があります。その謎を楽しんでいただきたいのが「FFVII リバース」となるので、発売をぜひ楽しみにしていただきたいです。

――特に印象的だったユーザーからの声はありますか?

佐藤氏:本当に色々な声をいただきました。個人的に印象に残ったのは、ストーリーを知っているけど泣けた、感動したという方が凄く多かったことです。オリジナル版の発売から年月が経っていても色褪せない、人を感動させることができるんだということは凄いことだと思いました。これから10年20年先も人を感動させることができる作品なのかなと思っています。

――「クライシスコア」はかなり人気の高い作品だと思います。現代に蘇らせるうえで特にこだわった、大切にしたところをお聞かせください。

佐藤氏:たくさんあるんですが、1つはストーリーを変えないということ。ストーリーが人気の作品なので重視しました。個人的にこの作品の大ファンということもあり、こだわった部分でもあります。また、この作品は「FFVII リメイク」をプレイしたユーザーにプレイしていただけるかなと考えていたので、お客様が「FFVII リメイク」をプレイしていても違和感がないようにする、というのをかなりこだわって調整しました。

カプコン「ストリートファイター6」プロデューサー 松本脩平氏

「ストリートファイター6」:PARTNER AWARD/SPECIAL AWARD受賞

――PARTNER AWARDおよびSPECIAL AWARDの受賞について一言お願いします。

松本氏:正直めちゃめちゃ嬉しいです(笑)。「ストリートファイター」は長い歴史があるんですけど、今回開発チームは多くのチャレンジをして、格闘ゲームではなくて新しい「ストリートファイター」を作ろうということでやってきました。それが皆さんに伝わって、だんだんと広まっていって、結果的に嬉しい賞をいただけたのだと思います。開発チーム一同、感謝しています。ありがとうございます。

――ワールドツアー(1人用ストーリーモード)についてお聞きします。こちらは普段格闘ゲームをしないような方にもプレイしていただくという意図があったと思いますが、実際にプレイした方からどのようなフィードバックがありましたか? そして「ストリートファイター」シリーズとして、今後もこのモードを実装していきたいかをお聞きしたいです。

松本氏:この「ストリートファイター6」自体は、今まで格闘ゲームを遊んでいただいた人にもプレイしていただきたいですし、これから新しく格闘ゲームをプレイする人にも楽しんでもらいたいです。その1つが「ワールドツアー」なんですけど、今まで遊んでいただいた人には「ストリートファイター」のストーリーを改めて思い出すモードとして、新しくプレイしていただく人には大きなチュートリアルのようなゲームデザインになっています。

 そして「ワールドツアー」が終わったころには、リュウの好物がなんだとか、波動拳が出せるようになっているとか、そういったことを狙って作りました。なので、このキャラクターが好きになったなど様々な声を頂きました。まだ発売して数カ月なので、「ワールドツアー」の今後はこれから考えるところです。

――ゲームはこれからと伺いましたが、メディアミックスの今後についてはどうでしょうか?

松本氏:「ストリートファイター」シリーズ自体がメディアミックスで、映画やアニメ、コミックをやってきた歴史があります。ファンの方もストーリーが好きな方もいるし、キャラクターが好きな方もいらっしゃいますので、そこは引き続きやっていこうとおもいます。

――本作はアクセシビリティに幅広く対応したことでSPECIAL AWARDも受賞されており、格闘ゲームの裾野を広げた作品かと思います。制作サイドとしての感触はどうでしょうか?

松本氏:アクセシビリティに関しては前作「ストリートファイター5」のころからチャレンジしていました。こうしたらもっと良くなるなどアイデアがありましたが、「ストリートファイター5」では実現できなかった部分を本作で改善するという取り組みをしていきました。

 基本的に「全人類に遊んでもらう」ことをテーマにしてますので、どんな性別や年齢にも対応できるようアクセシビリティを強化しました。それが結果的にいろいろな人に体験していただいたのかなと思いまして、私たちとしては嬉しいですし、まだまだやれることはあると思っています。

――本作で印象的なのは格闘ゲーマーだけでなく、初心者やストーリーマーにも広まっていることだと思います。ユーザー主催のイベントなども多数開催されていますが、このあたりは狙い通りだったのでしょうか? また、印象に残っているイベントなどはありますか?

松本氏:「ストリートファイター5 アーケードエディション」あたりから、ストリーマーやYouTuberの方が配信を中心にプレイしていただけるようになりました。ですが、配信を見ても「スト5」は操作の難しさや難易度によってプレイされない方が多かったかと思います。ですので、そのあたりは狙って制作していました。モダン操作があることで「スト6」をプレイしていただけてる部分もありますし、狙い通りという言い方はあれですが「よしっ」とは思いました。

 イベントだとやはり「CRカップ」はすごいインパクトでしたね。もともとシューター系のゲームで開催されていたイベントですが、とても反響をいただきました。やってよかったと思いますし、これからも続けていきたいですね。

カプコン「バイオハザード ヴィレッジ VRモード」プロデューサー 神田剛氏

「バイオハザード ヴィレッジ VRモード」:SPECIAL AWARD受賞

――PSVR2への対応で制作環境も大きく変わったかと思いますが、こだわったのはどのような点でしょうか?

神田氏:「実際の感触としてゲームプレイにハマっているか」という点に重点をおきました。銃アクションなどの細かいアクションにこだわりすぎると不都合もありましたが、PSVR2の「Senseコントローラー」を使うことで実際にイーサンのカッコいいアクションを体感できるようにしたのが、開発の中では大きな要素になっています。

――ドミトレスク婦人が人気キャラクターで、今回等身大の彼女に会えるとファンが喜んだかと思うのですが、今後ドミトレスク婦人を活用したいという気持ちはあったりするのでしょうか?

神田氏:可能な限り活用したい気持ちはありますが、追加コンテンツの予定がないので、VRモードで間近でのドミトレスク婦人を体験したことがない方は、是非体験していただきたいなと思っております。

――今後の「バイオハザード」シリーズについて、VRモードを実装していく予定はありますか?

神田氏:「バイオハザード」のホラー要素とVRの相性がいいのは「7」のときにわかりました。ユーザーから反響もいただいているので、「そういった声には前向きに検討していきたい」という姿勢は持っております。

――PSVR2のポテンシャル、独自性はありますか? 作り手の目線での何か気づきはありましたか?

神田氏:解像度が非常に高いので、間近でスケール感が大きいです。なのでそこを突き詰めていきたいです。また、「Senseコントローラー」はまだまだ可能性があるので価値のあるものが作れるのではと思っています。