インタビュー

「FFXIV」、パッチ6.4「玉座の咎人」吉田氏インタビュー

物語はいよいよ佳境、「天獄編」やヒルディ新章など見どころを解説!

【ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ パッチ6.4「玉座の咎人」】

5月下旬実装予定

 スクウェア・エニックスは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/PC用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」の最新アップデート、パッチ6.4「玉座の咎人」を5月下旬に実装する。

 7月の北米ファンフェスで発表されるであろう新拡張パッケージを控え、いよいよ6.Xシリーズのクライマックスに向けてストーリーが盛り上がっていく。

 また、今回のパッチでは、「万魔殿パンデモニウム」の最終章「天獄編」や、新たなヴァリアントダンジョン「六根山」、青魔導士のレベルキャップ開放、「帰ってきたヒルディブランド」や「マンダヴィルウェポン」、「モーエンツール」の追加などサブクエストや非戦闘系コンテンツもボリュームたっぷりに追加される。

 5月12日の20時からは「第77回 FFXIVプロデューサーレターLIVE」で、プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏が最新コンテンツを実機でのプレイも交えながら解説する予定だが、今回は一足早くインタビューでパッチの内容について見どころを聞くことができた。

 こちらも発売の迫る「FFXVI」のプロデューサーとして世界中を飛び回っている現在、いつものように対面のインタビューではなくメールインタビューで、「玉座の咎人」の見どころを語ってもらった。本記事初公開のスクリーンショットとともに紹介したい。

プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

ゴッドベルトの超絶バトルはこうして生まれた!

――いよいよメインストーリーも佳境に入っていくと思います。今回のタイトルに込めた意味と、メインクエストのなかで注目して欲しいポイントを教えていただけますか。

吉田氏: パッチ6.4からは仰る通り、いよいよ6.Xシリーズの物語としても佳境に突入します。それはメインクエストだけでなく、「万魔殿パンデモニウム」もそうですし、ある意味6.0からのエピローグが終わっていく、という感覚もあります。その中で「玉座」とは何を指すのか、そして「咎人」とは誰なのか、さらに「咎」とはどんな内容なのか、6.5のメインクエストと対として、あれこれご想像いただけると嬉しいです!

【メインクエスト】
エレンヴィルとクルル。バルデシオン委員会でも新たなストーリーが展開する

――「帰ってきたヒルディブランド」のシリーズでは、新キャラ(?)のブラディヒルンド氏が大活躍していますね。あのお茶を飲みながら思考するシーンはものすごく凝っていますが、あのシーンの誕生秘話が聞きたいです。

【ブラディヒルンド推理シーン】

吉田氏: ブラディヒルンド氏は、ヒルディブランド氏とは双極なキャラクターとして、何となく生み出されたキャラです(笑) ヒルディよりも激しく少ないポリゴン数ながら、思考性能は圧倒的にブラディの方が上。そして、瞬間的に恐ろしいほどの思考実験ができる、という演出であんな感じになったのだと思いますが、はっきり言えば、某教授探偵様へのオマージュなのは明白かもしれません。

【帰ってきたヒルディブランド】

――前回はゴッドベルト氏を操作することができて、彼の強さを味わうことができました。反復横跳びでミサイルを全受けしていましたが、ああいった企画のアイデアはどういう経緯で生まれるのですか?

吉田氏: バトルコンテンツの企画は、そもそも「そろそろバトル系の遊びを入れたい」という、無茶なリクエストから生まれます。「とはいえ、6.3でこれ以上ボス戦を作るコストは無い」、「じゃあ、クエストインスタンスバトルならコストを取れないか?」、「真面目にバランス取るのは無理」、「じゃあバランス崩壊しても問題ない内容にしよう」、「では、無茶苦茶やりますね」……という感じで進行していきます。もちろん、制作は大変なのですが、「開発期間や開発コスト」という「制約」があるからこそ、アイデアが活きたり、ノリがそれらを突破するきっかけになったりします。これはゲーム開発の本質でもあるので、「制約」というのは、常々大切だなと感じます。かなり真面目な回答をしていますが、所詮はヒルディシリーズについての回答なので、内容の正確性については保証致しかねます(笑)

【バランス調整をあきらめ面白さに全振りしたイベントバトル】

天獄編ではまたすごい姿のキャラクターが?

――「万魔殿パンデモニウム」は最終章の「天獄編」が実装されます。「煉獄編」は零式の難易度が高く、私の周りにもあきらめている人がいましたが、クリア率や参加率には「辺獄編」に比べて変化があったのでしょうか。

吉田氏: 煉獄編の特に4層零式の難易度については、調整にミスがありご迷惑をおかけしました。とはいえ、零式の参加率は、4.Xシリーズ以降どんどん増加傾向にあり、減る印象もデータもないので、プレイしていただいている人口自体は増え続けています。クリア率についても、初動は悪かったですが、ILが上がって以降は、他の零式よりも劣る、ということはありませんでした。

【万魔殿パンデモニウム:天獄編】
いよいよクライマックス。テミスの正体も確定するか?

――今回の難易度調整に影響はありましたか?

吉田氏: 今回の零式では、前回の「調整ミス」への対策は取られていますが、難易度の調整そのものにはあまり影響していません。これまで同様に、拡張リリース初期の零式から、そのシリーズ完結まで、緩やかに難易度が上昇していくことになります。

【万魔殿パンデモニウム:天獄編】

――今回の注目ポイントを1つ挙げるとしたらどういったところですか?

吉田氏: 注目ポイントは、そうですね、とあるキャラクターのあの姿が見られる、というところでしょうか(笑) どのキャラクターの、どんな姿なのか、ぜひご想像しつつお待ちください。

【万魔殿パンデモニウム:天獄編】

「六根山」は4つの企画から選ばれた

――ヴァリアント&アナザーダンジョンの第2弾「六根山」について、第2弾でこの和風な場所を選んだ理由や企画意図を教えていただけますか。

吉田氏: ヴァリアントダンジョンのテーマは、企画の段階で4つほど提案があり、どれも非常に面白く、かつ、変化に富んだものだったため、他のコンテンツの雰囲気や、今後のメインストーリーの展開と合わせ、実装タイミングでより目立つように、と決まっていきました。簡単に言えば、パッチ6.4では「和風」系のコンテンツがあまり無かったのと、今後の展開を考えて、ヴァリアントダンジョンとオーシャンフィッシングの追加航路で、ひんがしをテーマにしよう、と決めた形になります。

【六根山】

――今回もNPCが同行するようなストーリーになるのでしょうか。

吉田氏: もちろん、今回の「六根山」にも主となるNPCが存在しますし、ヴァリアントダンジョンは今後もどんどん継続していきますので、今後も楽しみにしていただけると嬉しいです。

【六根山】

――青魔道士がついに第一世界にも進出するようですが、今までとは違ったストーリーが展開するのでしょうか? 今回追加される中で吉田さんが注目しているまたは気に入っている青魔法は何ですか? その理由も教えていただけますか。

吉田氏: いえ、青魔法のラーニングは第一世界のものまで及ぶことになりますが、ストーリーが次元の狭間を超えることはありません(笑) 今回は遊び方そのものが大きく変わるような、システム影響大な青魔法、というまでは至りませんが、見た目にも効果としても、ユニークなものが多い、という印象です。気に入っているのは、「ほうき」を呼び出すものだったり……どこでラーニングする、誰の技か、さてイメージできるでしょうか?

【青魔導士アップデート】

「FFXIV」10周年。これからも「皆で作るFF」に期待

――ジェネレーティブAIが大きな話題になっていますが、MMORPGの開発の中で活かせる可能性について、アイデアや考え方を教えていただけますか。

吉田氏: うーん、MMORPGというか、ゲームはエンタテインメントですので、いくら膨大なデータから学習するとはいえ、「どうリアクションするか、どう対応して行動するか、我々ですらトレースも保証もできない」という内容だと実装が難しいですね。考え易いのは、プレイヤーの各ジョブの行動をデータ学習して、自立行動するNPCとしてパーティへ参加する、ということですが、コンテンツサポートNPCは、やはり手作りだからこそ、行動やセリフに「エモさ」が出せる部分でもあります。逆にMMORPGというよりは、そのゲーム内に登場するNPCを、すべてAIベースで制作し、そのリアクションが勝手に世界を作り、その世界での行動を楽しむ、というゲームデザインであれば、大いに面白くなると思います。遊び手の遊び上手さ、というのも必要にはなりますが、この分野はかなり実現性の高い方向だと思います。既にどこか開発スタートしてそうですが。

――10周年記念イベントやキャンペーンなどがこれからも予定されているということで、続報が楽しみです。あらためて新生10周年に向けて、プレイヤーの皆さんへメッセージをお願いします。

吉田氏: まずは、旧FFXIVからここまで、本当に色々なことがありましたが、世界中の光の戦士の皆さんのお陰で、今も歩き続けていられます。ありがとうございます! 厳しいスタートとなったFFXIVですが、2013年の「新生」から遂に10周年となりました。この10年、常に成長を掲げ、それを続け、皆さんと共に歩んできたプロジェクトです。今後も変わらず、「皆で作るファイナルファンタジー」として頑張ります。ご期待ください!

――ありがとうございました!