インタビュー

雰囲気、緊張感、残虐性をブレンドした最高のホラーゲーム。「The Callisto Protocol」開発者インタビュー

「クリーチャーやプレーヤーの死がショッキングで大げさなものになることには、かなり力を入れました」

【The Callisto Protocol】

12月2日 発売予定(日本は発売なし)

 世界で12月2日に発売されるサバイバルホラーTPS「The Callisto Protocol」の開発ディレクションを担当しているのが、Striking Distance Studios CEOのグレン・スコフィールド氏だ。

 スコフィールド氏は、30年以上ゲーム業界でキャリアを重ね、サバイバルホラーTPS「Dead Space」をはじめとする30以上のゲーム開発に携わってきた人物。今回、スコフィールド氏にメールインタビューを行い、「The Callisto Protocol」にかけたホラーゲームづくりの構築法とこだわりを聞いた。

 なお弊誌では本作のインプレッション記事も掲載しているので参考にしていただきたいが、残念ながら「The Callisto Protocol」の日本発売中止がこのメールインタビュー後に決定となった。

 インタビューでは日本のプレーヤーに向けたメッセージもいただけていただけに非常に残念だが、本稿では内容をそのまま掲載する。

Striking Distance Studios CEOのグレン・スコフィールド氏
【The Callisto Protocol ブラックアイアンの真実トレーラー (日本語吹き替え)】

雰囲気、緊張感、残虐性をブレンドする「ホラー・エンジニアリング」

――本作の、ゲームデザインにおけるこだわりを教えてください。

スコフィールド氏:私たちは、さまざまな種類の恐怖を味わえるようにゲームをデザインしています。「The Callisto Protocol」は、雰囲気、緊張感、残虐性をブレンドする「ホラー・エンジニアリング」と呼ぶ手法で作りました。ある瞬間はとても静かで、怖くて、緊張感があり、ある瞬間はとても派手で、残忍で、あなたの目の前に現れる。プレーヤーには、次に何が起こるか常に想像してほしいのです。

 ホラー・エンジニアリングは、そのプロセスの中で大きな役割を果たしました。私たちは、ホラーの5つの側面、すなわち、暗く抑圧的な雰囲気作り、緊張感の構築と解放、残忍で血生臭い戦闘、プレーヤーに無力感を与えること、優れたキャラクターで人々が関心を寄せるヒューマンストーリーを語ることに注目しています。最高のホラーゲームやストーリーは、これらすべての要素を新しく、驚くべき方法でブレンドしており、我々はそこに焦点を当てました。

近接戦闘と射撃が融合した戦闘が特徴

――本作の一番の見どころについて教えてください

スコフィールド氏:戦闘は最も誇りに思っています。残忍で迫力があり、これまでのサバイバルホラーとは一線を画す深みのあるゲームです。フィールドはサンドボックスのようになっていて、プレイ中のすべての出会いが小さなパズルのようなものです。

 また、非常にクールなSFホラーストーリーもあり、人々を驚かせることができると思います。このゲームには1時間以上のカットシーンがあり、その中にはドラマ「The Boys」のスターである福原かれんさんが、「ユナイテッド・ジュピター社」に対する謎の反乱軍のリーダー「Dani Nakamura」を演じていて、素晴らしい演技を見せてくれています。

――やり込み要素などがあれば教えてください。

スコフィールド氏:戦闘システムはやり応えのある、奥深いものになっています。戦闘は他のサバイバルホラーゲームから高度に進化しており、近接戦闘と射撃が融合しています。「The Grip」という重力武器があり、世界中の敵や物を掴んで投げることができます。

 また、コントローラーの左スティックを使ったブロックやドッジングなど、さまざまな防御方法をプレーヤーに提供します。この操作はサバイバルホラーにおけるまったく新しい戦い方であり、使いこなすととんでもなく楽しいものです。もちろん、少し難易度を下げたプレイを希望するプレーヤーには、イージーモードも用意します。

サンドボックス的な戦闘で深みがあるゲームになっている

“優れたヘッドホン”でのプレイがおすすめ!

――試遊では普通のTPS的なパートの他に、激流に飲まれて流されるシーンがプレイできました。他にもそういったユニークなエリアはありますか?

スコフィールド氏:ゲーム内には、サプライズを残したいものがいくつもあります。しかし、私たちは常に、次に何が起こるかわからないように、プレーヤーを油断させないようにしたいと考えています。ゲームの大半はホラーです。

――目を背けたくなるような過激な表現が印象的でした。その中でも特に見てほしい表現などがあれば教えてください。

スコフィールド氏:クリーチャーやプレーヤーの死がショッキングで大げさなものになることには、かなり力を入れました。失敗しても楽しいゲームにしたかったのです。もちろん、血とゴアは優れたホラーゲームや映画の核心部分です。ネタバレはしたくないので多くは語りませんが、プレーヤーの皆さんが発見できるような、ゾッとするような驚きをゲーム内にたくさん盛り込みました。

ショッキングで大げさな死が描かれる

――他にもこんな楽しみ方や体験ができる、というおすすめの遊び方を教えてください

スコフィールド氏:1つだけおすすめしたいのは、非常に優れたヘッドホンを使ってプレイすることです。このゲームの3Dオーディオは本当に素晴らしく、私たちはこの側面に多大な努力を払っています。実際、オーディオは、戦闘やストーリーのような他のメカニックと同様に、ゲームの機能の1つとして考えています。

――日本のゲームファンに伝えたいということがあれば教えてください。

スコフィールド氏:日本には素晴らしいホラーゲームの伝統があり、日本のプレーヤーはホラーに対して高い水準と期待を持っていることを私たちは知っています。このゲームを楽しんでいただき、その期待に応えられることを心から願っています。

オーディオにも強くこだわっている