インタビュー

「BABYLON'S FALL(バビロンズフォール)」開発陣インタビュー

自由度の高いビルドと爽快アクション! アート&音楽にも並々ならぬこだわり

 スクウェア・エニックスとプラチナゲームズが開発中の新作タイトル「BABYLON’S FALL(バビロンズフォール)」。本作は「E3 2018」にてタイトル発表、2019年にはゲームプレイ映像が初公開され、長らく続報が待たれていたタイトルだが、世界最大規模のゲームイベント「E3 2021」内にてついに4人Co-opのオンラインゲームとなり運営型であることや、PS5への対応、クローズドβテストのアナウンスなど、様々な新情報が公開された。

 本稿では、本作のディレクターを務めるプラチナゲームズの齋藤健治氏、プロデューサーであるスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏、江原純一氏へのインタビューを行なった。先立ってスクウェア・エニックス及びプラチナゲームズを始めとした開発陣への公式インタビュー動画も公開されているが、そこから更に掘り下げた内容を聞くことができたので、早速ご紹介したい。

プラチナゲームズ 齋藤健治氏
スクウェア・エニックス 齊藤陽介氏
スクウェア・エニックス 江原純一氏
【BABYLON'S FALL: Developer Interview ロングバージョン】
【BABYLON'S FALL: E3 2021 TRAILER】

MOとしてのマッチングシステムはより良い形に調整中。ランク差があっても一緒に遊べる

――本作について、まさかの「MO」という単語が出てきましたが「バビロンズフォール」はオンライン専用タイトルなのですか?

齋藤(健)氏:はい。突然の発表になってしまいましてすみませんが……基本は4人でのオンラインプレイタイトルとなります。

――”基本4人”は地味にハードルが高いと思うのですが、ソロでも遊べるのかどうかという点が気になります。

齋藤(健)氏:ゲームの形式としては、同じクエストを受けた人が自動的にマッチングして4人で出発するような形をイメージしてもらえればと。4人揃わなくてもクエストを進めることはできますが、できるだけ揃うようにマッチングを調整しています。

江原氏:補足しますと本作はオンライン専用タイトルですので、1人でクエストに出ることは可能ですが、オフラインでは遊べません。遊ぶためには必ずオンラインに繋いでいただく必要があります。

――なるほど……。プレイ人数によるゲームの難易度のバランスが気になりますが、ソロだと攻略がとても難しくなってしまったりするのでしょうか?

齋藤(健)氏:まだ検討中なところもあるのではっきりとは言えないですが、難易度のベースは、マッチングによる複数人でのプレイを前提に作っています。そのため、できるだけマッチングしやすいような仕組みを考えています。

――マッチングは、いわゆるプレーヤーランクなどを見て行なわれるのですか?

齋藤(健)氏:装備によってプレーヤーの強さとなる数値が決まり、これがランクに相当するものとなります。基本的には募集したクエストごとに適正のランクが決まっていますが、ある程度強さに差があってもマッチングできるようにしています。大体同じくらいの⼈とマッチングするのが一番ですが、それだとなかなかマッチングしにくくなる場合も想定されますので。

――PvPがあるとランク差のあるマッチングは不安ですが……本作にPvP要素はあるのですか?

齋藤(健)氏:PvPはないので、強い人とマッチングするとゲームが成立しなくなるというようなことはありません。

――MOでのマッチングには個人的に色々悲しい思い出もありまして、もう少しだけ突っ込んだお話しを伺いたいのですが、例えば強い人が低ランクの人と一緒になると、強い人が敵をなぎ倒しながらダッシュ、低ランクの人は訳も解らずに一生懸命後ろをついていくだけ、みたいになったりしませんか……?

齋藤(健)氏:その場合でも、クエストの適正ランクを大幅に下回るような装備でなければ十分に活躍できるように調整しています。逆に自分の強さよりずっとランクの低いクエストに挑んだとしても、まったく歯応えが無くなるわけではありませんので、ある程度ランク差があっても一緒に戦っている、という気持ちは持てると思いますよ。

――始めたばかりの低ランクのプレーヤーが、先輩フレンドと共に遊ぶこともできるんですね。

齋藤(健)氏:可能です。フレンドと共に同じクエストに⾏く場合は、ロビーみたいな拠点があるので、そこで合流して一緒に出発するか、あるいはお互いが別々の拠点にいても、クエストにフレンドを招待することで一緒に行くことができます。「モンスターハンター」の集会所的なところを想像してもらえるとわかりやすいかと(笑)。

――なるほど(笑)。上層を目指していくということですが、1プレイは上層にいるボスを倒すまでになりますか?

齋藤(健)氏:今のところ、そこはもうちょっと小刻みにして、短めのセッションで区切ろうと思っています。例えば1つの階層を4セットくらいに区切って、4セット目でボスを倒す、という感じですね。1プレイは10~15分程度で終われるものになります。

――小刻みになるというのは、それだけプレーヤーが様々なクエストに分散するということにもなるかと思いますし、ゲームによってはマッチングを待機している間だけで10分以上経過してしまうこともありますが、ワンプレイ10分程度のものでマッチングは成立しますか?

齋藤(健)氏:マッチングできるランク帯を広く取ることなど、色々対策を練っています。いざ始まってみたら全然マッチングせずにソロばっかり、ということにはならないよう調整していきます。

料金体系はパッケージ販売。”バトルパス”の構想も

――本作の料金形態についてお伺いしていきたいのですが、ダウンロード無料、基本プレイ無料、アイテム課金形式……というような、いわゆるスマートフォンのゲームによくある販売形式になるのですか?

齊藤(陽)氏:いえ、まずはパッケージを販売予定です。パッケージを買っていただいた後は、発売後に追加されるモードは無料で遊べます。月額のプレイ料金などはかかりません。あとは追加の課金で、ゲーム内アイテムが購⼊できるようになります。

江原氏:「バビロンズフォール」自体は月額プレイ料金は必要ありませんが、プレイステーションプラットフォームであればプレイステーションプラスに加入しないとならない、といったようなプラットフォームごとのオンラインプレイ条件は満たさないとならないので、その点だけはご注意ください。

――課金モデルはどのようなものになりますか?

江原氏:「バトルパス」というものを考えていて、そのパスを持っているとちょっとお得に遊べるようになる予定です。

――バトルパスとは、月に1回購入すればその1カ月間アイテムのドロップ率が上がったり……みたいなものでしょうか?

江原氏:永続的にアイテムのドロップ率が上がってしまうと、それは有利になりすぎてしまいますし、バトルパスを買い続けないとならないことになるかと思いますので、そういう仕様にはしないつもりです。またバトルパスの期間ですが、現時点では3カ月くらいを運営のワンシーズンと考えています。

――あくまで課金ユーザーを極端に有利にはしないのですね。

江原氏:はい、課金でいきなり強い装備が手に入るようなことはありません。ほかにも、ゲームのキャラを彩るコスメティックと呼ばれる、強さには直接影響しない装備品などを検討中です。

――いわゆる”見た目装備”的な。そういう見た目装備がイベントとかでももらえると、プレーヤーは嬉しいですね。

齋藤(健)氏:ゲーム内イベントは、ハロウィンとかクリスマスとか季節にあったものを開催しようと思っています。ミッションをどんどんこなしていくとポイントがもらえて、そのポイントをたくさん貯めて期間限定の報酬と交換するような施策も計画しています。さすがに報酬の内容まではまだ未定ですが、皆さんが「ほしい」と思ってイベントに参加してもらえるような報酬にしたいですね。

”シールドフル装備”も「できることはできる」。装備によってガラリと変わるスキルとアクション

――本作は「アクションが強い力を引き出す」ということですが、アクションが好きだったり、得意な人向けの作品なのでしょうか?

齋藤(健)氏:いわゆるアクションのハードコア層に向けて作っているゲームではありません。アクションが上手ければ有利に進められるところはありますけれど、アクションが苦手な人でも遊べるようなバランスになっています。スキルの組み合わせ次第でプレーヤーのいいところを伸ばしたり、もしくは苦手なところをカバーしていくことができるようになっていまして、例えばアクションが上手い人ならば、「ジャスト回避」をすることによってパラメータを⼀時的に上昇させることもできますし、それが難しくても「背後に回り込んでから殴ると攻撃力が上がる」というようなスキルもあるので、アクションが苦手な人は正面を上手い人に任せて自分は後ろから殴る、みたいな遊び方もできます。

――自分のプレイスタイルによって、どのようなアクションを取ったらDPSがあげられるかを選んでいくんですね。そういったキャラクターの能力を修得していくのは、スキルツリー形式ですか? それともステ振り系ですか?

齋藤(健)氏:どちらかというと、どちらでもないです(笑)。装備品に依存する形になっていて、高いアイテムレベルの装備品を付けることで強くなっていくようなイメージで、装備品に様々なスキルがついています。

――キャラクターのレベルもあるんですよね?

齋藤(健)氏:キャラクターのレベルはステータスに直接関係するわけではなく、キャラクターのレベルが上がると特定の装備品の強さをより引き出せるような形になります。

――ジョブやロール的なものはあるのでしょうか?

齋藤(健)氏:ジョブというよりは役割、でしょうか。装備する武器によって、立ち回りが変わってくるので。ただ、誰がどういう役割を担わなければならない、というような縛りはありません。

――その武器にはソード、ハンマー、ボウ、ロッド、シールドの5種類があるそうですが、どのような特徴があるのでしょう。

齋藤(健)氏:ソードは一番扱いやすく、攻撃した時の隙も少ないので、アクションが苦手な人でも使いやすい武器になっていると思います。ハンマーはパワー型の武器でチャージして溜め攻撃など、より大きなダメージを狙えますが、その分隙も大きいです。ボウは中距離から遠距離向きの武器です。ただし一撃のダメージは少な目で、状態異常などをきちんといれていかないとDPSが上がらないです。

 ロッドは一撃で大ダメージを与える魔法を撃てますが、その分消耗が激しいので、使いどころを見極めないとならないです。シールドは、武器自体には攻撃性能はありません。ただ、装備しておくと防御性能が上がります。シールドを装備して他のプレーヤーを庇うように戦えば、その分他のプレーヤーの攻撃チャンスが出来ます。複数装備することで、より広い範囲を防御できるようになります。

――ソードを持って背面のコフィンにロッドを装備しておくと魔法剣士のような立ち回りができるとのことですが、ソード+シールドでナイトのようになるということですか?

齋藤(健)氏:はい。ハンマーを持って、更にギデオンコフィンにハンマーを持っていると、一層物理攻撃が強化されたりします。物理と魔法を程よく使えるバランスタイプを狙うこともできますし、物理特化のバーサーカーみたいにもできたり、一撃の魔法のダメージがすごいソーサラーのようにもなれたり……。様々な武器の組み合わせで自分に合った立ち回りができるようになると思うので、そういうところを模索していってほしいゲーム性になっています。

――シールドには攻撃性能がないということですが、全部にシールドを装備するということもできるんでしょうか?

齋藤(健)氏:できることはできますよ。ただ本当に攻撃手段がなにもないので……(笑)。パーティ全員を自分ひとりで守るタンクのような役割をするとかでもない限り、敵を倒せなくなってしまいますね。

――でも初心者の人を導く上級者としては、全部シールドって良さそうですよね。強くて上手い人が倒していってくれるだけなのは、時にゲームをつまらなくしてしまいますし……。頑なに自分は手を出さないけど、守ってはあげるから自分で倒してごらん、というのは良さそうに見えます。

齋藤(健)氏:もちろん、そういうプレイもしようと思えばできるようになっていますよ。なので、アクションが上手くないとプレイできない、というわけではないんです。

――ちなみにMOは基本的にロールの分担が必要なく遊べる作品が多いですけれど、そういった自由度についてはいかがですか?

齋藤(健)氏:自分の好きなビルドで遊んでいただけるバランスにはしています。ただもちろんクエストによっては例えばボウとの相性がいいとか、そういうものはありますので、上手く使い分けていってもらえればいいかと。もしも4人全員同じようなビルドだったら勝てないとか、そういうゲーム性にはしていないです。

――ギデオンガットによるアクションがかなり爽快なイメージでしたが、ギデオンガットはゲームの序盤から使えるんでしょうか?

齋藤(健)氏:ギデオンガットは最初から使用できるのですが、機能は徐々に解放されていきます。というのも、覚えることが多いゲームなので、全体的に少しずつ色んな機能を解放していって、プレーヤーの皆さんに操作を覚えていってもらうような進め方にしています。

――いっぺんにたくさんの機能を詰め込まれると、プレーヤーは頭がパーンってなりますものね。

齋藤(健)氏:そうですね、なのでこちらも皆さんに慣れていただく⼯夫はしようと。極めればコントローラの全部のボタンを駆使するようになるかもしれませんが、アクションが苦手な人でもゆっくり覚えながら遊べるようになっていると思います。

タイトルの決め手は「『バビロンズフォール』っていう響き、イイじゃない」

――PVからは”バビロン”というよりは”バベルの塔”を彷彿したので、「バビロンズフォール」というタイトルの由来についてお伺いしたいです。

齋藤(健)氏:バビロンというのは、どちらかというと世界観の設定から決めました。「フォール」という言葉にはゲーム上で色んな意味がありまして、その辺は物語を実際に遊んで感じてほしいところもあるのですが、なんとなく語感的に「『バビロンズフォール』っていう響き、イイじゃない」っていうので選んだのもあります(笑)。

――語感は大事ですからね。実際、いい響きだと思います。ちなみに自分のキャラクターは、キャラクタークリエイトで作成できるのでしょうか?

齋藤(健)氏:はい、できますよ。ぜひこだわりの、自分だけのキャラクターを作成してください。

――本作は、まず捕虜から始まるそうですが、戦いによって自分の地位が上がっていくのでしょうか。

齋藤(健)氏:いえ、捕虜という身分はそのままです。ただ、依頼をこなしていくとその捕虜の中でも自分の地位が上がっていって、依頼される任務の幅が広がります。立場は変わらず、物語は捕虜という視点で進んでいきます。

――なるほど、無名のプレーヤーが功績を上げて英雄になる的なストーリーではなさそうですね。シナリオは「FFXI」の岩尾賢一さんだそうですが、岩尾さんにお願いしようと思った経緯は?

齋藤(健)氏:えーっと……、シナリオをどうしようかという話はあったんですけれど……。まぁ簡単に言うと、弊社取締役の神谷(英樹氏)が岩尾さんとお酒を飲みに行った時に、その流れでですね(笑)。

――(笑)。意外ですね、人選的にスクエニさんから岩尾さんにお願いしたのだと思っていましたが、プラチナさんから岩尾さんにお願いされたんですか。

齋藤(健)氏:神谷が元々岩尾さんのことを個人的に知っていて、それでたまたま飲み会の場でそんな話をしたら、後日、岩尾さんが正式に引き受けてくださったんです(笑)。

江原氏:僕たちはもちろん岩尾さんのことはよく知っていますから、岩尾さんがシナリオをやってくれるならばもうぜひ、という感じでした。

――岩尾さんが加わることで深まった部分などはありますか?

齋藤(健)氏:それはもう数えきれないほどというか……岩尾さんはやはりあの「FFXI」の世界を作り上げただけあって、すごく細かい部分をきちんと考えて、調べて、それに沿う理由や設定をつけて、更に世界を広げていくことができる人なんです。岩尾さんから見せていただいた設定に基づいて、僕たちもより⼀層深い提案ができるようになりました。

江原氏:岩尾さんは応用力がすごいというか、僕らが提案した僅かな設定から「こういうのはどうか」と、ゲームの世界をどんどん作ってくれて。シナリオを拝読していると、僕たちが思っていた以上のものができ上がっていますし、設定に深みも増しましたし、漠然と「こういう感じの世界を作りたい」と思っていたころよりも愛着も持てました。岩尾さんにお願いできて、本当によかったです。

――私も「FFXI」プレーヤーだったので、なお一層楽しみですね。岩尾さんが「FFXI」で作り上げた世界観の一部は今でも「FFXIV」の中でそのベースが使われていたりしますし、岩尾さんの新しい世界を見れるというのはひとりのプレーヤーとしても嬉しいです。ちなみに、油絵のような独特の表現にしようと思った理由はあるのですか?

齋藤(健)氏:ハイファンタジーにしようという大前提の元、だからといってありきたりなファンタジーにしたくないというのもありまして。画面を見ても何のゲームだかわからないような感じにはしたくなくて、ひと目で「これ『バビロンズフォール』じゃん」って思ってもらえるグラフィックスにしたかったんですね。

 それをどのようにしたら表現できるかを考えた末、本作のハードなファンタジーを表すのには、この油絵のようなどっしりとした存在感のある、濃い目の色彩や表現が合うのではないかと思いました。ゲームのフィールドだけではなく、遠景に見られる海岸線や空の色などの景色もまさに一枚のアートとして成立すると思うので、ぜひ見てほしいです。

――そのグラフィックスを作り上げるにあたって大変だったところとかはありますか?

齋藤(健)氏:大変だったところが多すぎて(笑)。グラフィックスの方向性自体は結構早く出来ていたんですけれど、そもそも油絵のように見せることが出来なくて、試行錯誤の日々でした。筆のタッチを採り入れるようにしてから、本格的に絵画的な表現ができるようになりましたね。

――キャラクターデザインを手掛けているのは、普段は実写映画のコンセプトアートを手掛けている田島光二さんですが、田島さんにゲームの絵を依頼してみようと思ったのは何故ですか?

齋藤(健)氏:田島さんは、実は一度プラチナゲームズにて講師としてセミナーを行なっていただいたことがあり、ご縁があったんです。「バビロンズフォール」のアーティストをお願いする方を探していた時、その場にいた全員が「田島さんがいいよね」となりまして、ダメ元で打診してみたところ、ご快諾いただけました。

――皆さんが「田島さんがいいね」というその決め手になったものとはなんだったのでしょう?

江原氏:オリジナリティです。中世の雰囲気を持ったハイファンタジーならではという表現を守りながらも、そこから更に田島さんにしか描けないものがあると感じました。例えば、本作には様々なキャラクターが出てきますけれど、歴史上にあった中世の鎧をただ着させるのではなく、そこからもっと世界観を広げたかったんです。男性と女性とでは鎧のデザインも少し変えていただいたり、例えば鎧に刻まれている幾何学模様も男性と女性とで違ったりしていて、そういう細かいところへのこだわりや気配りができるのが田島さんのデザインですね。それでいてハイファンタジーの世界観は絶対に壊さないという。

――確かに、公開されたインタビュー動画で拝見した男女対のキャラクターも、鎧でありながら仮面舞踏会にでも行くかのような、洗練されたデザインでした。

江原氏:あれがまさに田島さんの魅力かなと。あれは花をモチーフにしたデザインでして、花というお題からあのデザインにまで落とし込んでくれるのは田島さんにしかできないと思います。

――中世ヨーロッパの世界観にこだわった作品とのことで、音楽もこだわっているのでしょうか?

齋藤(健)氏:音楽は山口(裕史氏)の担当なので山口のほうが詳しいのですが、音が全然違うということでブルガリアまで行ってオーケストラの録音をしてきたんですよね。僕は音楽の専門家ではないので、「そうなんだー」くらいで山口の話を聞いていたんですけれど(笑)。山口は随分楽しくレコーディングできていたようです。

――同じオーケストラでもやはりアメリカとヨーロッパでは音の出し方はもちろん、響き方などにも違いがありますからね。例えばフィドルですとか、中世の楽器を使われたりとかもしているんでしょうか?

齋藤(健)氏:山口からは、そういったところにもこだわっているという話は聞いています。「この楽器は、世界中でももうこの人しか演奏できる人がいない」というような希少な楽器や演奏家さんを集めて作っているとのことですよ。完成した音楽を聴きましたが、本作を盛り上げるのに相応しい音楽になっていますので、ぜひ楽しみにしていてください。

クローズドβテスト開催間近! 「アクションにはもちろん絶対の自信がある」

――ゲームを遊んでいる時以外も楽しめるコミュニティサイトというのは、「ドラクエX」や「FFXIV」などにもあるようなアプリ的なものですか?

齊藤(陽)氏:いえ、アプリではなくWEBサイトです。アプリはスマートフォンでしか使えないですけれど、WEBサイトならばPCからでも、スマートフォンのWEBブラウザからでも使えますので、あえてアプリではなくWEBサイトにしました。「バビロンズフォール」自体がネット環境必須のゲームとなりますので、このゲームを遊ばれる方ならばどなたでも簡単に使えるようになっています。

――前回の発表時には対応機種はPS4まででしたけれど、今年のE3ではPS5への対応がされることも発表になりましたね。

齊藤(陽)氏:この作品を最初に発表したのが2018年のE3で、その時はまだPS5の話も出ていないようなころでしたが、あれから3年が経ってハードの事情も変わってしまいました。そこでやはり最新の機種に対応しなければと思い、PS5への対応を進めて参りましたが、PS5はまだまだ手に入りにくいハードですからPS4を外してしまうこともできませんし、PS4とPS5のどちらでも遊べるようにしました。しばらくの間はPS4ユーザーが本作のプレーヤーの中心になると思うので、PS4への対応はきちんとしていきます。

 今後さらに対応ハードが増えていくかは現時点ではまったくの未定で、そもそもはサービスが続かなければその先も考えられないので、うまく軌道に乗れれば対応ハードを増やしていくようなことも考えていくかもしれません。

――PS4とPS5でのセーブデータの共有とかは簡単にできるようになる予定ですか?

齊藤(陽)氏:セーブデータはゲーム機本体ではなく、プレイステーションネットワークのアカウントに紐づいていますので、機種を変えてもセーブデータは簡単にそのまま共有できるというか、併用できるといったほうが正しいかもしれませんね。あまりやる人はいないとは思いますが、PS4で遊んだあとにそのままPS5で遊んだりもできますよ。ただし、同じアカウントでの同時ログインはできませんので、PS4とPS5で同時にログインして遊ぶことはできません。

――それでは最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんに向けて一言ずつ頂ければと思います。

齊藤(陽)氏:発表から3年と長らくお待たせしてしまいましたが、ようやく皆さんに続報をお届けすることが出来ました。発売までにはもうしばらくお時間をいただきますが、先立ってクローズドβテストがいよいよ開始されます。ぜひ皆様の参加をお待ちしております。

江原氏:MOではありますが、「バビロンズフォール」はあまり密度の高いコミュニケーションがなくても遊べるゲーム性となっています。お好きな装備・ビルドで手軽に参加して複数人で遊べるアクションゲームなので、コミュニケーションが苦手な方でも遊びやすいと思います。もちろん、よりハードに遊んでいただける方はボイスチャットのようなコミュニケーションツールを使用して遊んでいただいても構いませんし、バリバリ攻略を進めていただくことも可能です。皆さんが遊びやすい距離で遊んでいただけると嬉しいです。

齋藤(健)氏:プラチナゲームズとしては初のMOタイトルとなります。アクションにはもちろん絶対の自信がありますが、プラチナ製のアクションとしては難易度自体はそこまで高いほうではないと思っておりますので、興味がありましたらぜひクローズドβテストに参加してプレイしてみてください。

――ありがとうございました。