インタビュー

五十嵐孝司氏が手掛ける8ビットスタイルアクション「Bloodstained: Curse of the Moon 2」開発者インタビュー

マルチプレイなどの新要素を加え遊びやすく進化!

7月10日 発売予定

価格:1,480円(税込)

 ArtPlayとインティ・クリエイツは、アクションゲーム「Bloodstained: Curse of the Moon 2(ブラッドステインド:カース オブ ザ ムーン2)」の新情報を6月27日の「BitSummit Gaiden」のオンラインイベントにて発表した。プレイステーション4/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam)の各プラットフォームにて、7月10日に発売が決定した本作は、2018年に発売された「Bloodstained: Curse of the Moon」の続編となる。

 ゲームクリエイター五十嵐孝司氏が2019年に発売した「Bloodstained: Ritual of the Night(ブラッドステインド:リチュアル オブ ザ ナイト)」の開発資金をKickstarterにて出資を募った際のストレッチゴールの一環として、インティ・クリエイツとの共同開発によりスピンオフタイトルとして制作されたのが「Bloodstained: Curse of the Moon」である。本作はその正統続編であり、前作同様8ビットスタイルの懐かしいグラフィックスで表現され、複数のキャラクターを切り替えて進めるステージクリアタイプのゲームシステムを継承しつつ、新キャラクターの登場や2人同時プレイなどの新要素も用意されている。

【【公式】Bloodstained Curse of the Moon 2 - 第二弾 紹介映像】

 「BitSummit Gaiden」での発表を踏まえ、ArtPlayの五十嵐孝司氏とインティ・クリエイツの開発陣が、ゲームメディア合同のインタビューに登場。本作の詳細や開発におけるポイントなどを聞いた。

左からArtPlayの五十嵐孝司氏(プロデューサー)、インティ・クリエイツの會津卓也氏(プロデューサー)と宮澤拡希氏(ディレクター)

前作の反響を受け、エンディング直後の物語を綴った正統続編として制作

――6月24日の本作の突然の発表に驚いたのですが、まずは今回の「Bloodstained: Curse of the Moon 2」を発売することとなった経緯からお聞かせください。

五十嵐氏:前作となる「Bloodstained: Curse of the Moon」(以下、「Curse of the Moon」)は、もともとは「Bloodstained: Ritual of the Night」(以下、「Ritual of the Night」)のKickstarterの中で8ビットスタイルのゲームを作る企画が持ち上がり、インティ・クリエイツさんと開発したスピンオフタイトルなんです。そこで「Ritual of the Night」の発売が遅れてしまった関係で、スピンオフの「Curse of the Moon」が先に出てしまうこととなったのですが、これが意外にもファンからの反響が大きく、せっかくなので続編としてもう1作品作らせていただこうと考えたことがきっかけでした。

――本作の立ち位置としては“「Ritual of the Night」のスピンオフ作品である「Curse of the Moon」の続編”となるわけですね。

五十嵐氏:はい、「Ritual of the Night」とはキャラクターも一部共通しているけど、別の世界観で展開されるタイトルの続編とお考えください。

――前作からのストーリーのつながりはあるんですか?

五十嵐氏:ストーリーとしては前作の直後で、前作の主人公の斬月が最終ボスを倒したところにドミニクが現われて、突如現れた「魔塔」のことを報告して、2人でそこに向かうという流れになっています。

――「Curse of the Moon」も遊び方によっては、特別なストーリーが展開するパターンもありましたが、そこではなく、あくまでスタンダードなエンディングからの流れから続くというわけですね。

宮澤氏:そうですね、仲間とともにボスを倒したエンディングからの続きですね。

――ゲームシステムは前作からほぼ継承されていますが、本作で進化したところなどがありましたら教えてください。

會津氏:基本は前作があっての「2」ですので、新しいシナリオと新しいステージ、ボスを用意させていただいたのは当然ですが、それだけではもの足らないので、今回はいくつかの新要素を盛り込ませていただきました。

宮澤氏:斬月を主人公とした基本のアクションは変わっていないので、1面はそれほど進化したようには感じられないのですが、仲間が加わる2面以降は、新しい仲間の特性が生きるステージ構成にしているので、そこから新しいゲームだという印象になってくると思います。

――2面から使えるドミニクも、上に攻撃する「バーティカルストライク」や、下に攻撃しながら移動できる「ホッピングストライク」など、いろいろなアクションができます。

宮澤氏:新キャラクターに関しては、前作に負けないようなキャラクターにしようと考えまして、いろんな要素を盛った傾向にあり、全体的にやれることが増えた傾向ですね。

會津氏:ある意味、個性的で尖ったキャラクターが揃っています。そこに、前作のミリアム、ジーベル、アルフレッドが合流しまして、総勢7人のキャラクターを切り替えて進めるので、遊びとしてはかなり広がりが出たと思います。またキャラクターが増えたことにより、前作同様に繰り返しプレイをしていただくために、今回は五十嵐さんにも苦労いただきました。

五十嵐氏:今回は周回プレイをすることで、少しだけストーリーが変わっていくようになっています。ですので、前作よりも周回するモチベーションが上がるのではないでしょうか。そのシナリオが結構たくさんありましてね。監修の依頼をいただいたときに「前作と同じぐらい」と聞いていたんですが、実際に届いてみると凄い多くて、スケジュールに間に合うの?と思ったぐらい(笑)。

會津氏:お話は「エピソード」という形で、周回プレイを重ねると、エピソードが変わる仕掛けですね。

 それともう一つ進化した部分としては、2人プレイをできるようにしました。ローカルマルチとなるんですが、昨今はハードの機能としてオンラインのリモートプレイなどもありますので、搭載する意味もがあるのではないかと思ったんです。実際にやってみると、これが意外に面白かったんですよね。

宮澤氏:2人プレイ時は頭の上に乗るなど、互いのキャラクターに干渉できるようになっているので、普段行けない場所に行けてしまうんです。ゲームをやっていると、「ここは今行けないけど、後で行けるようになるんだな」という場所に、2Pだといきなり行けてしまうとか。進むルートに関しては特別な制約を一切かけていないので、遊びようによっては、最初から別のルートを開拓できてしまうんです。

會津氏:一部のボス戦なども、通常はタイミングを見ないと攻撃できないようなパターンでも、肩車をして2人でピョンピョン跳べば殴り放題で瞬殺できちゃったりするんです。

――2人プレイの場合、キャラクターの選択はどうなるのでしょう?

宮澤氏:斬月のみ同時に使えて、その場合は2P側が青い色の斬月になります。それ以外のキャラクターは、同時には使えないようにしています。

會津氏:宮澤はゲーム制作において結構暴走する男なので(笑)、この青い斬月にも設定を付けたいと五十嵐さんに送ったんですが……。

五十嵐氏:却下しました(笑)。

會津氏:「斬月は孤高の戦士なので、2人目はいません」って(笑)。具体的な設定はないので、あまり個性が出ないよう、影のような暗めのカラーにして実装しています。

――2人でしか行けないような場所があったりするんですか?

宮澤氏:いえ、そういう場所はないんです。本来は他のキャラクターを仲間にしてから行くような場所に、早いうちから行けてしまうということです。

會津氏:2P時のもう一つの大きな利点として、一方が先に進んで一方が遅れて置いてけぼりになると、自動的に先に進んでいるほうに移動するようにしているんです。これにより、例えば片方のプレーヤーを肩車して高いところに置いて先に進ませてしまえば、下に残ったほうは自動的についてくるので、ショートカットをするのはかなり楽です。また規定のボタンを押すことでも、相方のほうに飛んでいけるという機能があるので、例えばジャンプをして穴に落ちたときなどにボタンを押せば、ミスを回避できるんです。救済というわけではないですが、腕の差がある場合でも、ゲームは進められるというシステムですね。

五十嵐氏:ステージクリア型ならではのシステムですよね。探索型だとシナリオが破綻してしまう可能性もありますからね。

――行ってほしくないところに行ってしまった場合、予想しない不具合が出てしまったりすることはないんでしょうか?

宮澤氏:キャラクターが揃うことで、全ルートに行けるという想定で確認はしています。今このタイミングでは行ってほしくないというときに行けてしまったところには、何かしらのお遊び要素を入れていたりもします。

――進んだルートはストーリーには関係しないんですね。

會津氏:ストーリーの展開についてはステージの間に発生するようにしていて、ステージのクリア条件を満たしているかいないかでその後の分岐を設けているので、ステージの中で何が起こってもストーリーには影響がないんです。

――前作には、斬月が出会った仲間を斬ることで新たなスキルが覚醒するというゲームシステムがありましたが、今回はあるんですか?

宮澤氏:今回は入れていません。お話的にも続きなので、斬月も精神的に成長したということで(笑)。

――(笑)。仲間を斬らずに進めたストーリーの続きですしね。

會津氏:そういうことですね。その解釈のほうが正しいかもしれません(笑)。

新たな力を持った個性的な新キャラクターと、パワーアップした前作からのキャラクター

――新キャラクターの3人について、特徴などを簡単に説明していただけますか。

宮澤氏:ドミニクは「Ritual of the Night」の彼女とはまた別次元のキャラクターなので、デザインも武器も一新しています。魔塔が現われたことを斬月に報告する人物で、ゲームの冒頭でも顔を出します。キャラクター性能としては、まずジャンプが高いこと。あとは武器の槍の性能がとてもよく、上下も攻撃できます。能力として特に大きいのは蘇生と回復ですね。サブウェポンに蘇生と回復があって、自分や仲間を回復するアイテムを出したり、倒れた仲間を蘇生したりと、かなり頼りになる存在です。最初に死なれると困るキャラクターのナンバー1だと思います。

ドミニク。教会に所属する、謎多きエクソシストの女性

――大事に使ったほうがいいと。

會津氏:大事に使うのがいいんですが、ジャンプが高かったり攻撃範囲が広かったりと、使いたい場面が多いんですよね。

宮澤氏:キャラクターを7人全員連れている状態で使う蘇生技の「リザレクトアンセム」がべらぼうに強いんです。仲間を全員蘇生させて、体力も回復しますからね。彼女自身は体力が低めなので、使いたいと思ったときに彼女だけ死んでる、みたいなことがよくあるんですよ(笑)。

會津氏:ちなみに彼女のデザインが「Ritual of the Night」から変わったのは、絵柄としての理由もあったんです。黒が基調の「Ritual of the Night」の姿をドット絵で打つと、暗い背景に溶け込んでしまって見づらくなるので、今回はわがままを言って、明るい色合いに変更させていただきました。

――続いてロバートをお願いします。

宮澤氏:前作のキャラクターに被らず、なおかつ負けない性能を持たせたいということで、思い切って飛び道具を持ったガンマンにしました。世界観が18世紀末の設定なので銃はマスケット銃で、それを持っている元軍人という設定にしたんです。アクションゲーム的に、銃を使えるのは強すぎることは目に見えていたので、体力を低めに設定しているんですが、軍人で体力が低い設定はおかしいので、他のキャラクターのように特別の力を持っていない人間ということで、やや打たれ弱くしています。

五十嵐氏:“悪魔耐性が弱い”という感じですね。

ロバート。悪魔を憎む凄腕の元軍人

宮澤氏:性格的には、最初はちょっと嫌なヤツだけどお話の中でだんだん打ち解けていって、最後は好きになってもらえるような、そんな感じで描いています。

會津氏:サブウェポンも使いでがよく、威力があったり、遠くまで届くものがあったりと、充実しているキャラクターです。ごり押ししたいときに使いたくなるんですが、体力が少ないので、調子に乗るとすぐ死にますのでご注意ください(笑)。

――この手のアクションゲームで、画面の端まで届く攻撃ができるのは珍しいですね。

會津氏:ただ持っているのがマスケット銃なので、連射ができないんですよ。なので、わらわらとやってくる敵の対処は苦手で、詰め寄られるとダメージを受けてしまうんです。

宮澤氏:波線を描いて飛んでくるような敵との相性は特に悪いですね。

會津氏:それと彼は壁をキックできるので、ドミニクとはまたちょっと違った使い勝手で、高いところに行けるキャラクターでもありますね。

――そして最後にハチですが……。

會津氏:ハチはこう見えて、実はコーギー犬なんです。昔斬月に助けてもらったという恩義がある犬で、斬月を追っかけているときに悪い錬金術師に捕まって、この「魔導アーマー」の生体パーツとして組み込まれてしまったという設定があります。今回ステージ間のデモで、キャラクターがたき火を囲んで談笑するシーンがあるんですが、そこでは魔導アーマーから出たハチが走り回っていたりして、皆さんにはきっと好きになっていただけるキャラクターだと感じています。

ハチ。悪しき錬金術師に捕まり、生体パーツとして組み込まれてしまったコーギー犬

――アーマーは脱いで大丈夫なんですか?

宮澤氏:作中では特に描写はないですが、たぶん大丈夫なんだろうというぐらいの感じでイメージをしていただければ(笑)。

會津氏:ゲーム中では、ホバリングしたり、トゲを壊したりと、移動面での強さを持っています。あとはサブウェポンで無敵になれます。総合的に強いキャラクターなので、ゲーム的に弱体化させたいところだったんですが、社内のみんなから猛反対を食らいまして(笑)。

宮澤氏:「ハチがいないとクリアできなくなる!」という声が挙がりましたからね(笑)。各キャラの縛りプレイを個人的にやってみたんですが、ハチの縛りは全然苦にならないぐらい強いです。

――前作から引き続き登場するキャラクターは、何か変わっているんでしょうか。

會津氏:彼らは全体的にパワーアップしていますね。

宮澤氏:アルフレッドなんかは、かなりパワーアップしているかもしれません。

會津氏:前作も攻撃的なキャラクターではありましたが、ロバートが参戦したことで、性能的に見劣りしてしまったので、ちょっと火力を高めました。

宮澤氏:ちょっとどころじゃないと思いますよ(笑)。相当強いです。突っ込んだ話になりますが、前作は敵を凍らせて斧で殴るのが強いという攻略法があったんですが、それが強すぎたために、最強をうたっていた「ヴォルティックレイ」という雷の呪文が見劣りしてしまったんです。ですので今回、ヴォルティックレイはとんでもなく強くなっています。パワーさえ溜まっていれば、敵をあっさり溶かせるぐらい。

會津氏:どことは言いませんが、とあるボスとか、パワーが溜まっていれば瞬殺できます(笑)。

宮澤氏:あと分身する「ソウルビジョン」などは、前作では意図的に弱めに設定してましたが、これも今回は強化して、かなり使えるサブウェポンになっています。

――これだけキャラクターがいると、ステージのレベルデザインなどは大変ではなかったですか?

宮澤氏:めちゃくちゃ大変でしたね。開発で最も苦労したところだと思います。前作の「ナイトメアモード」のように、新しいエピソードになると行けるルートがあるんですが、今回そこでは、それまであまり活躍できていなかったキャラクターが活躍できるような配置をしているんです。前作ではただルートがあるだけだったんですが、今回はそのルートに行くとちょっとしたご褒美があって、行ってみたくなるような仕掛けをしているんです。人によってはそのルートをそのキャラクターで来ることがないまま終えてしまうかもしれないんですが……。

――しっかりやり込んでもらうのがいいわけですね。

宮澤氏:まさかと思うようなキャラで攻略をしてみると最短で進められた、みたいな発見がたくさんありますので、ぜひいろいろ試していただきたいですね。

――ゲームの難易度に「カジュアル」と「ベテラン」がありますが、どんな違いがあるんでしょう?

宮澤氏:これは前作とほぼ一緒で、カジュアルは残機制限がないとか、ダメージを受けても飛ばされないとか、それと今回は階段などで部屋を切り替えると、アイテムの入ったランタンだけが復活するようにしました。逆にベテランは、部屋の切り替えで敵も復活するようになって、少し難しくなっています。

會津氏:そのあたりは前作の発売後のSNSや配信などで間接的にいただいた反応を参考に、いろいろと反映させていただきました。

――他にそのようなフィードバックを参考にしたところはあるんですか?

宮澤氏:例えば、ゲーム進める上で誰か1人だけ残ってしまって、そのキャラでこの先の攻略は無理なのでわざと自滅する、ということがあったんです。バランスとしては、残ったキャラクターが1人だけでもゲームはクリアできるように作ってはいるんですが、今回はやり直したいという人のために、全滅コマンドを用意しています(笑)。

――難易度はゲーム中でも切り替えられるとのことで、エンディングが変わるようなことはないんですね?

會津氏:はい、難易度では変わりません。基本はベテランをスタンダードで作っているんですが、ある意味古くゆかしい作りなので、ガチめに作っているので、今の時代に「難しい」と思う人も多いと考え、カジュアルを用意したという感じですね。

――「難易度では」ということは、他の条件でエンディングが変わったりするんでしょうか?

會津氏:はい、深くは言えませんが、何かしらはあると思っていてください。

――サウンドは今回、どなたが手がけられたのでしょうか。

會津氏:今回は基本的に社内でのサウンドスタッフで作らせていただきました。前作は山根ミチルさんの「Ritual of the Night」の曲なども使っていたんですが、今回は内製ですね。

――何かこだわり的なものはあるんですか?

會津氏:とにかくたくさん作ったということは聞いています。採用された曲よりも、ボツ曲のほうが多いんじゃないかという噂も耳にしましたね。

8ビットのような絵柄でありつつも、現在のゲームとして見劣りしないようにする描画テクニック

――前作もそうでしたが、背景やキャラクターのドット絵や色のパターンなど、8ビットテイストのグラフィックスをどこよりも上手く作っている印象を受けるのですが、何かコツがあったりするんでしょうか。

會津氏:グラフィックスに関しては確かにこだわって作っています。例えば昔のハードはフェードイン/フェードアウトの画面演出ができなかったので、パレットチェンジをすることでそれっぽく見えるように処理をしていて、しかもそのときの色も、8ビット機の限定されたパレットから選ばなければならなかったりしたんですが、そういったところはちゃんと再現をしています。

 カラーの組み合わせなども、ちゃんと8ビット機のものを拾っているんです。「8×8ドットの中に透明を含めた4色」という当時と同じ設定をしていて、キャラクターなどのスプライトの色味は当時に忠実なんです。ただし背景に関しては、当時の8ビット機はパレット数の関係で隣接しているパターンのカラーが引っ張られてしまうため、もっと色が少ないんですが、そこはあえて制約をなくして、色数をもっと増やしています。

――五十嵐さんはこの表現を見てどう思われました?

五十嵐氏:さすがだなと思いましたね。当時のままの絵柄は思い出補正などもあって、そのままの表現では通用しないので、当時っぽく見せつつも、見比べてみると格段によくなっているのがわかるんですよ。

會津氏:実際には上位の16ビット機ぐらいまでは出ています(笑)。そもそも表示できるスプライトの最大値やVRAMのサイズは8ビット機を大きく超えていますからね。

宮澤氏:開発内部では、当時の表現における「ここまではOK、これ以上はNG」というルールを設けていて、一定の許容ラインに収まるように作っていますね。

會津氏:そう言っている宮澤は、「もっと派手に」、「派手なのは正義」と言っちゃうディレクターなので、こちらで制御するのが大変です(笑)。

――(笑)。ちなみに今後、「Curse of the Moon」のさらなる続編を作るような可能性はあるんでしょうか?

會津氏:「Ritual of the Night」が世界でミリオンを超えた裏で、実は「Curse of the Moon」もハーフミリオン以上の結果を出しているんです。それによってこの「2」を出すことができたので、そこからさらに先に関してはお客さんの応援次第となるわけですが、前作と同じぐらいの結果を出せれば、また五十嵐さんに相談をさせていただきたいです。

宮澤氏:毎回出し切って作っているので、あまり次回作のことは考えられないというのが現実なんですけどね。もうキャラは増やせないと思います(笑)。

――進化の方向性としては、8ビットから16ビットになる、みたいな方向性もあると思いますが……(笑)。

會津氏:なるほどそちらの方向性もありますね(笑)。

――7月10日の発売に向けて、本作をどんな方に、どんなふうに遊んでもらいたいですか?

五十嵐氏:“古き良き時代”を体感できる要素が満載なので、当時夢中になっていた人にはもちろん遊んでいただきたいんですが、実は僕の心の中では、ゲームって昔からそれほど進化していないと思っていることがあるんです。映像や演出だけが飛躍的に進化している今、若い人にも本作を触っていただいて「ゲームってこれだよね」という部分まで楽しんでいただきたいですね。

宮澤氏:このゲームに限らずなんですが、いつも「なるべく上手ではない人にも遊べるようにする」という目標を決めて作っていて、ゲームをやらない自分の父親がクリアできるぐらいのところまでラインは下げたいと思っているんです。今回も普段まったくゲームをやらない人とも一緒に遊べるような仕掛けをたくさん用意したので、いろんな人を巻き込んで遊んでいただければと思います。

會津氏:今回も複数のハードに対応させていただきましたので、いくつかの選択肢がある中で、最も自分に適したハードを選んで買って遊んでいただけばと思っております。またNintendo Switch版はあらかじめダウンロードにも対応していますので、ぜひそちらもご利用ください。

――ありがとうございました。