インタビュー

いよいよ発売直前! 「Gears 5」開発ディレクターインタビュー

期待を一身に背負う「Horde」モードの魅力を全部聞いてきた。eスポーツリーグも計画中!

【Gears 5】

9月10日発売予定

 Xboxを代表する人気フランチャイズ「Gears of War」シリーズ最新作「Gears 5」のリリースが刻一刻と近づいてきた。9月6日からスタートするUltimate Editionのアーリーアクセス開始まで2週間を切っている。

 「Gears 5」は、待望のシリーズ最新作であると共に、日本のXboxファン、「Gears」ファンにとっては特別な意味を持つタイトルだ。なぜなら「Gears of War」シリーズは、そのゴア表現から、毎回CEROの規制に対応するのに苦労し、発売が遅れてきた経緯があるからだ。

【Gears 5】
人気のマルチプレイモード「Horde」モード(参考記事

 「Gears of War 3」では2日遅れというほぼ同時発売を実現したが、規制はされたままで、モンスターも含めて人型キャラクターの断面表現は黒く塗りつぶされたままだった。前作にあたる「Gears of War 4」では、Microsoftのグローバルでのローカライズ/カルチャライズポリシーの変更により、リージョン個別の対応を嫌い、発売が無期延期となった。半年間の沈黙期間を経て、急遽日本語版の発売がアナウンスされ、規制はなしでのリリースとなった。

 このように“普通に遊ぶこと”自体のハードルが異様に高かった「Gears of War」シリーズだが、「Gears 5」では、ついにシリーズ史上初、世界同時発売となる。規制については個別のアナウンスは行なわれていないが、前作「4」と同じ、オリジナル版のままのはずだ。ようやく日本のゲームファンも、海外と同じタイミングで「Gears of War」を遊ぶことが可能になったのだ!

 というわけで、今回日本のゲームメディアを代表して「Gears 5」を手がけるCoalitionの2人のディレクターにインタビューを行なった。2人ともオンラインマルチプレイ担当ということで、ストーリーについては聞けなかったが、その代わり、今回gamescomで初お披露目された「Horde」モードを中心に、オンラインマルチプレイの詳細や、ストアやキャラクターカスタマイズ、そしてeスポーツなどについて話を聞くことができた。ぜひ一読してアーリーアクセスまでワクワク感を維持して欲しい。

【GOW Horde MIX Social NR】

【2人のディレクター】
Ryan Cleven, Gears Multiplayer Design Director(左)、Dana Sissons, Director of Communications(右)

――「Gears 5」のHordeモードの基本コンセプトを教えて欲しい。

Ryan: それはこれまでの「Horde」モードを、もっとリッチに、もっと深くすることだ。大きな進化はヒーローキャラクターを採用したことだ。それぞれのヒーローキャラクターは固有のアルティメットアビリティを持ち、完全に異なるプレイスタイルを備えている。これにより、従来のロールを選択してプレイする「Horde」モードの楽しさをそのまま拡張することに成功した。「Horde」モードではディフェンスゲームであり、サバイバルゲームだ。その部分はまったく変わっていない。

 ヒーローキャラクターは意図的にキャンペーンとHordeで違った味付けがなされていて、キャンペーンの後で、Hordeをプレイする事で、JDならJD、ケイトならケイトのまた違った魅力に気づくと思う。そして気の合う仲間と協力プレイを楽しむことで、その魅力は何倍にも膨らむ。

――「Horde」モードに期待するゲームファンの多くは前作「Gears of War 4」をプレイしていると思う。「GoW4」の「Horde 3.0」と、「Gears 5」の「Horde」の最大の違いは何だろうか? 10ウェーブをプレイした限りだと、プレイフィールは余り変わらないように感じた。

Ryan: おそらく最初の10ウェーブまではあまり変わらないと感じたはずだ。もっと先のアルティメットアビリティを強化するPerksを解放するあたりで変わってくる。Perksは「Gears 5」で初めて導入される成長要素で、50ウェーブを戦い抜くには必要不可欠な存在だ。「LoL」や「Dota」にもあるような、インゲームの成長要素だ。バトルで獲得したパワーを消費してPerksを獲得するシステムになっていて、どのPerksを選ぶか、複数の選択肢が用意されている。

 これが何を意味するかというとすべてのロールに最後まで活躍の場が与えられるようになったことだ。「GoW4」の「Horde」ではスカウトは、終盤になればなるほどパワー不足になって、活躍の場が限定されていた。ところが、「Gears 5」はPerksシステムで適宜強化が図れるため、最後まで活躍の場が与えられる。両者には様々な違いが存在するが、そこが一番大きな違いかもしれない。

 それからこれも大きな違いだが、難易度設定も全面改良を加えた。試遊したときにオートエイムが掛かって簡単に感じられたと思うが、あれは難易度がカジュアルだったからだ。ノーマルよりもグッと簡単にして誰でも楽しめるようになっている。

 今回の難易度設定は、2つのカテゴリにわかれている。1つは従来と同様のゲームの難易度を変えるというものだ。カジュアル、ノーマル、ハード、インセインと4段階あり、上位になればなるほど難易度が上がる。ここまでは従来と同じだ。大きな変化は、7つの項目を調整することで、より細かく難易度を調整できるようになったことだ。難易度調整は7段階あり、ノーマル難易度でも、さらに細かく難易度調節できるわけだ。

【難易度調整】

――プレーヤーの意思でどんどん難しく出来ると。それによって得られる報酬もパワーアップするのか?

Ryan: そのとおり。ゲームが終わると、スキルのアップデートができるが、これが難易度によってアップデートできる内容が変わる。レアリティの高いスキルは最高難易度でなければ手に入られないものもあり、チャレンジする価値がある。そのほかにもXPやスキルカードが手に入り、これも難易度によって内容が上下する。

【リワード】

【「Gears 5」Hordeモードスキルシステム】

――ひとつ小さな質問をさせてほしい。「Gears 5」の「Horde」モードはなぜ「4.0」と呼ばないのか? 前作まで「3.0」とナンバリングを付けていたのに。

Ryan: 良い質問だ(笑)。知っての通り、「Horde」モードは「Gears of War 2」で誕生したものだが、常にナンバーが1つずつズレて、それがゲームファンの間で混乱を巻き起こしていることに気づいたんだ。「Gears 5」だから「Horde 4.0」だといっても、明らかに自然じゃないよね? 意味がないし、混乱のもとだからナンバリングを辞めたんだ。でも、そう呼びたいなら呼んで良いんだよ、「Horde 4.0」と(笑)。

――「Horde」には、ヒーローキャラクターが登場するのが大きなポイントだが、初期時点で何人登場し、今後増えるのか?

Ryan: 9人だ。うち6人は「Gears 5」キャラクター、2人は今回コラボする「Halo Reach」キャラクター、残りはこれもコラボするターミネーターのキャラクターだ。その後の計画については今はまだ話せないが、3カ月ごとに大型アップデートを予定しており、「Horde」のアップデートも含まれている。そこには新たなキャラクターも含まれるかもしれないから期待していて欲しい。

――今回の試遊ではウェーブ10までしか遊べなかったのは残念だった。ウェーブ11から50ではどのようなバトルが展開されるのか? どのようなビッグボスが登場するかも教えて欲しい。

Ryan: 10ウェーブごとにボスが出ることは知っていると思うが、10ごとを節目に、次の10ウェーブは軍隊が変わる。Hordeにはキャンペーン同様3つの軍隊が登場するが、それが10ウェーブごとにランダムピックされ、新種の敵がお目見えする。

 それから5が付く真ん中のウェーブにはミニボスが登場する。そして10ウェーブごとのビッグボスは、トレーラーにも登場しているが、スウォームの巨大ボスのような存在だ。そしてこれらのボスは常に2種類からランダムで選ばれる。だから、同じ軍隊でも、ボスが変わる可能性があるため、展開が読めないわけだ。

【Gears 5 Horde Trailer】

――今回のデモプレイではCOGのコンバットヘリが登場したが、もう1度やれば、軍隊からボスから全部変わる可能性があるということか?

Ryan: そのとおり。

――マップタイプはいくつあるのか?

Ryan: 7つのアリーナマップが用意されている。ただ、これも今後アップデートで追加されていくし、マップビルダーで「Horde」モードのマップも自作することができる。

【マップ】
3カ月ごとに新マップがお目見えするようだ

――それは自分で楽しむだけでなく、サーバーにアップロードしたり、ダウンロードしたりして楽しめるわけか? それはローンチのタイミングから楽しめるのか?

Ryan: そこはまだコメントできないが、いずれにしてもローンチの後に可能になる予定だ。

――「Gears 5」のリリース後のアップデート計画を教えて欲しい。

Ryan: いいだろう。「Gears 5」では、「オペレーション」と呼んでいて、3カ月ごとに、新たなオペレーションとして、マップ、モード、カスタマイズ要素を追加していく。

――新しいモード?

Ryan: そうだ。たとえばVSモードの新しいルール、EscapeやHordeの新しいルールなどがそれにあたる。新しいルールを提供することで、新鮮な気持ちでプレイできるわけだ。もちろん、それ以外にもスペシャルイベントも定期的に実施していく予定だ。それによって「Fortnite」のバトルパスのようなチャレンジを常に提供していくつもりだ。

――それ以外に、有料のエキスパンションは予定しているのか?

Ryan: 今のところその計画はない。また、オペレーションはマルチプレイ用のアップデートで、すべて無料だ。

――どこでマネタイズするつもりなのか?

Ryan: それはカスタマイズコンテンツだ。3カ月ごとにどんどん新しいものを追加していく。ただし、ルートボックスはない。その点では「GoW4」とはストアの構造が変わっている。「Gears 5」ではストアで直接カスタマイズコンテンツを購入することになる。コスチュームやスキンなど、様々なものをたくさん用意する予定だ。

――カスタマイズコンテンツで、何かユニークなものはあるか?

Ryan: ブラッドスプレーと呼ばれるものだ。敵を処刑した時にまき散らされる血の模様を選択できる。「Gears」シリーズのシンボルでもいいし、ファニーなヤツもある。処刑のパターンも複数選択できる。ああ、そうだもう1つ、エクスプレッションと呼んでいる、要するにエモートシステムだ。「Gears 5」ではこれらのカスタマイズオプションから好みのものを選んで自分だけのキャラクターを作り出すことができるんだ。

 また、新たなキャラクターはゲーム内のポイントで購入することもできるし、すぐ購入することもできるようになっている。チャレンジを繰り返して手に入れるか、すぐ買うかを選ぶことができるんだ。

――スキルカードは買えないのか?

Ryan: それはできない。スキルカードはレベルアップ時に獲得できるものだ。キャラクターを繰り返しプレイする事で、そのキャラクターのスキルカードを得ることができる。

【スキルカード】
「Gears 5」マルチプレイモードの成長要素の1つとなるスキルカードシステム

――eスポーツに関する計画を教えて欲しい。

Ryan: eスポーツについてはDanaが回答する。

Dana: 「Gears 5」のeスポーツについてはまだ正式アナウンスしていないので、話せることは少ないが、色んなことを計画している。「PGL(Professional Gamers League)」との新しいパートナーシップを計画している。PGLは知っての通り、世界規模のeスポーツ団体で、「Dota2」のリーグをはじめ、様々なタイトルで運営実績を持つ。「Gears 5」では、彼らと提携してオンライントーナメントを行なう予定だ。

 我々は「Gears of War 4」で誰もがeスポーツに参加できる仕組みを作り上げたが、「Gears 5」ではそれをもっと進化させたいと考えている。そのアマチュアリーグとともに、もちろんプロリーグも計画している。詳細についてはローンチ後に発表する予定なので楽しみにしてほしい。

Ryan: eスポーツモードには、VSモードの1つであるEscalationを使おうと思っている。大事なのは「Gears 5」でeスポーツとしての「Gears of War」を進化させることだ。7月には招待制の大会も行なってユーザーフィードバックを集めている。

Dana: 我々の目標は、「Counter-Strike: Global Offensive」や「ロケットリーグ」のような存在に、「Gears 5」を磨き上げていくことだ。我々もアトランタのELEAGUEに加わり、eスポーツタイトルの1つとして名乗りを挙げていくつもりだ。そのためには「GoW4」のトップチームを招いてTVショウをやったりなど、色んなことを計画しているよ。

――日本の「Gears」ファンに対してメッセージを。

Ryan: 日本でもグローバルと同じタイミングでリリースすることができて嬉しく思っている。ぜひプレイしてフィードバックを待っている。「Gears」ファンには引き続きサポートをよろしく。