インタビュー

関西ジャニーズJr.からプロゲーマーへ!SCARZ「レインボーシックス シージ」部門 Seeker選手インタビュー

12月 収録

 「コール オブ デューティー」や「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」、「ハースストーン」、「シャドウバース」などオンライントレーディングカードゲーム、「Vainglory」など、幅広いジャンルのプロゲーマーを擁するプロチームSCARZ。

 6月24日に設立が発表された「レインボーシックス シージ」部門は、大会で目覚ましい実績を残していたゲーミングチーム「Rebellion」のメンバーがSCARZに移籍する形でチームが発足。ユービーアイソフトが主催する公認大会において、先の「レインボーシックス Pro League Season 8 チャレンジャーリーグ」ではDetonatioN Gamingを下し、次期シーズンとなる「レインボーシックス Pro League Season 9」でのプロリーグ1部出場を決めている。

 そんな来季からの活躍を嘱望されるSCARZ「レインボーシックス シージ」部門所属選手のうち、Seeker選手こと中村龍之介氏はなんと元ジャニーズ事務所所属で、これまで関西ジャニーズJr.として活動していたという異色の経歴の持ち主だ。自身のTwitterでの退所報告はファンに大きな衝撃を与えたが、退所を惜しむ声とともに温かい応援メッセージが多数寄せられていることからも、芸能人として、アイドルとして愛されていたことがよくわかる。

 今回はSCARZのゲーミングハウスにてSeeker選手にインタビューを実施し、決して簡単ではなかったであろう決断の理由、そしてSCARZ「レインボーシックス シージ」部門でのこれからの活動について、色々と質問をぶつけてきた。

SCARZ「レインボーシックス シージ」部門の所属選手及びコーチ。左からyuachonコーチ、Foxs選手、チームリーダーのshu選手、Seeker選手、Im_Avi選手、Python選手
今回インタビューに応じてくれたSCARZ「レインボーシックス シージ」部門所属のSeeker選手こと中村龍之介氏。齢18にして大きな決断を行なったばかりだ

Seeker選手を直撃!ジャニーズ時代から現在に至るまで、気になることを聞いてみた

――本日はよろしくお願いします。Seeker選手は元ジャニーズ事務所所属と伺っておりますが、今回のプロゲーマーへの転向という大きな決断に至るまでの経緯をお聞かせいただけますか?

Seeker選手:元々ゲームが好きで、高校に入った辺りでeスポーツという世界を知りました。この頃はあくまで趣味の1つで、芸能活動と両立できるように活動していたんですけど、段々と「もっと強くなりたい」、「もっと上手くなりたい」という欲が強くなって行きました。かつて「バトルフィールド」というゲームをプレイしていたんですが、そこで一緒にプレイしていたメンバーと「レインボーシックス シージ」を初めて、そのうちチームを作ってみようということになりました。

 そこから強くなれるように、勝てるようにチーム全体で頑張っていって、今に至るという感じですね。ジャニーズ事務所をやめてSCARZに行くかどうか、正直決める際にはとても悩みました。ただ、やはり今自分のやりたいことはこっちだということで、SCARZに加入できることが決まったと同時に決断しました。

――今回の決断に関して、今も未練や葛藤はありますか?

Seeker選手:やはり新しいことをするのが好きなので、未練はないですね。もちろんプロeスポーツの世界に来るかはとても悩みましたが、決めてからは悩んでもしょうがないと思っていますし、1度飛び込んだらあとは思いっきり頑張るだけだと考えています。


――関西ジャニーズJr.では約6年間活動されていたんですよね。そもそもジャニーズ事務所に入所したきっかけは何だったんでしょうか?

Seeker選手:中学1年生のときに入所して、大学の夏までの6年間活動していました。応募のきっかけは"あるある"なんですが、「親が応募した」というやつです(笑)。

――ご自身としても元々芸能界に興味はあったんですか?

Seeker選手:興味はなかったんですけど、オーディションを受けてみて、「踊るのって楽しいな」と感じました。そこからできることは頑張ろうと思って取り組んでいたらここまで続いたという感じです。

――ジャニーズではHey! Say! JUMPの山田涼介さんが憧れの先輩と伺っていますが。

Seeker選手:山田くんは今でも好きです。もともと入る前から好きだったんですよ。「理想の息子」っていうドラマを見たときに、当時は山田くんのことを知らなくて、ただこの人かっこいいな、演技うまいなとずっと思っていて。その後ジャニーズ事務所のオーディションに行ったんですが、その段階でもまだ山田くんがジャニーズだということを知らなかったんですよ(笑)。入った後に山田くんがジャニーズだということを知って、驚きと嬉しさもありました。

――そうだったんですね(笑)。山田さんと個人的な交流などはありましたか?

Seeker選手:関東と関西では交流することが少ないので、あまりありませんでしたね……。格も違いますし、やっぱり。


――Twitterでの退所発表にはかなりの反響がありましたが、ファンの皆さんからのコメントをみてどう感じられましたか?

Seeker選手:純粋に嬉しかったですね。当初考えていたフォロワー数を遥かに超えて、自分がそこまで見てもらえていたんだなというのは、辞めてから実感しました。

――これまでにもファンとの交流などはあったんでしょうか?

Seeker選手:ステージを通してあったんですが、自分ではそこまで人気ではないと思っていたので、ある意味衝撃でしたね(笑)。

――ジャニーズ事務所というと人気なだけに多忙なイメージがあります。ゲームをプレイする時間はどうやって確保していましたか?

Seeker選手:帰ってきたらもうずっとやっていましたし、寝る時間も削ってプレイしていたりしました(笑)。

――そうしてゲームをプレイしていくうちに、「レインボーシックス シージ」に出会うわけですね。Seeker選手が「レインボーシックス シージ」に"ハマった"理由はどんなところにありましたか?

Seeker選手:「レインボーシックス シージ」はFPSの対戦、対人ゲームなので個人技も重要なのですが、味方と上手く連携を取らないと勝てないので、その味方と合わせること、連携をしているのが楽しいですね。チーム間での連携が上手く決まって自分たちが勝てなかったチームに勝てるようになっていくところに魅力を感じます。そこが自分の中で1番eスポーツをやっているなと感じる部分でもありますし、1番の醍醐味かなと思っています。

――「レインボーシックス シージ」で好きなプレイスタイルはどのようなものですか?

Seeker選手:自分はどちらかというとチームの役割的にはアタッカーで、防衛ではクラッチプレーヤーというか、1対多数の敵でも対応できるようなプレイスタイルでやっています。攻撃側でも味方と連携は取るんですけど、どちらかというと味方の動きに合わせて反対側で動くような、別行動をすることが多いですかね。オペレーターは「アッシュ」が大好きで、ずっと使っています。


オペレーター(操作キャラクター)の1人、アッシュ。装備したブリーチング弾で扉や壁を吹き飛ばすことができる

――プロになってからもこれまでの動きと変わりはありませんか?

Seeker選手:チームで役割などについてもよく話すのですが、自分の場合はあまり変わらないですね。

――「レインボーシックス シージ」のプロシーンは今かなり盛り上がっていますが、Seeker選手はどう見ていますか?

Seeker選手:そうですね、どんどん成長しているというか、最近は国内も海外も凄い有名な世界的なプロチームも増えてきて、凄い盛り上がりを見せているなという印象があります。かつては大会に出ている人達を見ながら作戦を作って、みんなで練習したりしていました。最初は大会で勝つというより、ランクでダイヤモンドになろうというのを目標にしてやっていたんです。

――そうだったんですね、ちなみに初めてからどれくらいでダイヤモンドになられましたか?

Seeker選手:始めたシーズンに到達しました。元々全員FPSで競技をやっていたチームなので、FPS慣れはしてたかなと思います。

――それはすごい!! それからチームとSCARZとはどのような形で出会ったのでしょうか?

Seeker選手:僕たちから声をかけました。元々は「Rebellion」というチームでやっていて、ちょっといい結果が出せたのでチームリーダーのshuが「ちょっとプロチームに声かけてみよう」という話をして、声をかけたのがSCARZでした。

――その時SCARZ以外の選択肢もあったんですか?

Seeker選手:ありました。ただ、全員を受け入れてくれるかどうかなどを考慮してくれたのがSCARZだったので、では「SCARZで頑張らせてください」ということになりました。

――そうしてSCARZ「レインボーシックス シージ」部門が発足して、早速来季のプロリーグへの出場を決めましたが、1部への昇格戦にあたる「レインボーシックス Pro League Season 8 チャレンジャーリーグ」での戦いはいかがでしたか?

Seeker選手:正直波乱でした。当時はチームメンバーが忙しくなったり、家庭の事情で出場できなくなったりということが続いて、チームとして問題が発生していたんです。そこではチームで何度も話し合ったんですよね。それでもなかなか解決できなくて、その中で迎えたチャレンジャーリーグ予選だったので、すごく苦労はしましたね。

――チームの事情は試合に影響しましたか?

Seeker選手:正直普段のクラン戦から勝てなくなった時期があったんです。その流れを引きずってしまって、やっぱり大会でも勝てなくて。チャレンジャーリーグ予選では前半全く勝てなくて、負けか引き分けかみたいな試合ばっかりだったんですけど、後半どんどん追い上げていくことができました。それは話し合いの結果かなと思ってます。

――状況を打開するカギになったのはなんだったんでしょうか?

Seeker選手:うまくいったのは、それでもメンバーと話し合いを続けたこと、メンバー交代も試したりしたことですかね。そこから徐々に試合で結果が出るようになりました。

――勝てなかった時期はやはりキツかったですか?

Seeker選手:はい。もうダメなんじゃないかと思うこともありました。


――では「レインボーシックス Pro League Season 9」出場が決まったときはどうでしたか?純粋に嬉しかったのか、ホッとした気持ちのほうが強かったりしたのか。

Seeker選手:それを目標にして頑張ってきたので、やはり「嬉しい」が1番大きかったですね。もちろん達成できたという安心感もありましたし、チーム全員で大喜びしましたね。

――では今後はプロリーグでどう戦っていきたいですか?

Seeker選手:まずは正直1部プロリーグの他のチームには劣っている部分がまだ多いので、なんとか食らいついていけるようにチームとして成長していくことですね。メンバーの交代などもありますし、まだ未完成の状態で戦わないといけなくなってくると思うので、ひとまずは1位を目指すよりプロリーグに残留するというのが目標です。

――今はどのように練習をしているのでしょうか?

Seeker選手:クラン戦で試合をやって、試合を何マップかやったあとに反省点を上げて、次に繋げるという風にやってます。練習時間は概ね3、4時間くらいですね。「レインボーシックス シージ」は「戦略」部分がかなり深いので、例えば1日12時間練習したところで集中力が持たなくなるんですね。そうなると成長できる部分はほぼ無いと思うんです。であれば最初の3時間をみっちりやったほうが濃いものになると思っていますので、1回1回の試合を大切にするように意識して練習に取り組んでいます。


ゲーミングハウスにいるときは、用意された自分の席で練習することも

――日頃の練習はゲーミングハウスに全員で集まって行なっているのでしょうか?

Seeker選手:まだ学生のメンバーも多いのでオンラインが基本ですね。自分も基本は関西にいて、イベントなどに合わせてこちらに来ています。

――今後SCARZでは試合のほか、どのような活動をしていきたいですか?

Seeker選手:配信や動画の投稿などをやろうと思っています。eスポーツ、ゲームの楽しさを伝えるのはもちろん、折角eスポーツを今最前線でやらせてもらっているので、自分やチームの現状やどのような生活を送っているのかという動画も作って、eスポーツプレーヤーがどういうことをしているのか、eスポーツがどういうものかというのを伝えていきたいです。これは自分がアマチュアでやっていたときに気になっていたことの1つなので、それを自分が発信できたら、eスポーツを知らなかった人の印象も変わるかなと思います。

――「eスポーツ」という言葉を、Seeker選手ご自身はどのように捉えていますか?

Seeker選手:「ゲームで競技すること」をeスポーツだと考えていますので、ゲームタイトルやプラットフォームを問わず、競技が行なわれているのであれば、それはeスポーツだと思います。競技シーンでは選手のメンタルや調子の良し悪しがゲームプレイに影響するというのは普通のスポーツと変わりませんし、eスポーツでは勝ったラウンドは拳を合わせるとか、例えばサッカーではゴールを決めたらメンバーとスキンシップ取って、「次も頑張るぞ!」みたいな選手間の交流は見ててカッコいいいですよね。

 「身体を動かしていないから"スポーツ"ではない」という人も居ると思うんですが、eスポーツもただならぬ体力が必要ですし、eスポーツとスポーツは遠く離れたものではないということに気づいて欲しいというか、eスポーツの世界を1度見てみてほしいと思います。

――これまでの芸能活動で学んだことを今後どう生かしていきたいですか?

Seeker選手:多くの人の前でステージに上がってきて、場馴れはしているかなと思いますので、オフライン大会などでもそこまで緊張せずにやれると思います。でも正直新しい世界過ぎて、あんまり持ってこられるものはなかったかなとも思います(笑)。

――オフライン大会はすでに経験されていますよね。感想はいかがですか?

Seeker選手:「AOC OPEN 2018 Rainbow Six Siege」という大会はオフラインでしたね。オンライン大会とはやはり雰囲気が違うんですが、やっぱり楽しいなっていうのが1番でした。また、東京ゲームショウなどのオフラインイベントにはこれまで行ったことがないので、今後は絶対行きたいですね。


「AOC OPEN 2018 Rainbow Six Siege」に出場するSCARZ。前列中央がSeeker選手

――最後に、ファンに向けてコメントをいただけますか。

Seeker選手:自分の選んだ道……勝手に選んでしまった道ではあるんですけど、期待に応えられるように本気で頑張ろうと思うので、これからも応援していただけたら嬉しいです。また、SCARZをもっと上に行かせられるようなプレーヤーになれるよう、自分にできることを全力で頑張ります!

――本日はありがとうございました。