インタビュー
松山洋氏が熱く語る「.hack//Figuarts ハセヲ3rdフォーム BLACK/WHITE」
2017年11月1日 07:00
フィギュアで明かされるさらなる秘密。より物語世界に踏み込めるアイディア
本商品にはさらなる仕掛けがある。フィギュアの造型に感心している筆者に、松山氏はニヤリと笑みを浮かべ、「ゲームをプレイして『そういうことだったのか』となると、もっとハセヲのことを知りたくなる。そして、そのファンのための仕掛けも、用意してあるんですよ」と、原田氏と共に2つのブックレットを取り出した。
このBLACKとWHITEの2つのフィギュアはそれぞれ内容の異なるブックレットが同梱される。黒の「黒き凶者の手記」は小説テイストでハセヲの物語を掘り下げる内容。一方の白の「碑文所持者 調査ファイル抜粋“『重複現象』に関する考察”」は物語の鍵を握る“CC社”の「報告書」となっているのだ。フィギュアと共にこのブックレットを読むことでゲームの世界での新しい情報が入手できる。
ここでしか手に入らないアイテムであり、内容は完全書き下ろし、装丁にもこだわり、「黒き凶者の手記」は小説と同じ左開き、「碑文所持者 調査ファイル抜粋“『重複現象』に関する考察”」はレポート風に右開きとなる。こちらも商品見本が楽しみな、こだわりのフォーマットとなるという。「こういうのが、『.hack//G.U』の真骨頂なんです!」と松山氏は熱く語った。
松山氏の溢れんばかりのアイディアと、それをきちんと形にしていく原田氏のコンビ。こういったものすごい熱量の人達との仕事は、林氏にとっても刺激になったという。開発者達は同時にいくつもの商品を手がけており、そのほとんどは今はまだ明かせないが、今回は様々な仕掛けと連動できたおかげで、より多くの幅広いユーザーにアピールできるという実感を持ったとのことだ。
松山氏のこだわりは深い。熱心に本書を“解析”することで、ゲームをやりこんだ人にとっては「これはあのことを指しているな」などストーリーの裏側を考察できるようにしている。ゲームのファンが穴があくほど見つめ、読み込み、そしてもういちどゲームをプレイして確かめたくなるような仕掛けをたっぷり盛り込んでいるとのことだ。
これからのフィギュア化の要望として、ユーザーからは「ハセヲの次のフォーム」が多いという。もちろんまずは今回のフィギュアの売れ行き次第ではあるが、ゲーム内での最強フォームであるXthはフィギュア映えしそうだという。さらに「.hack//G.U. Last Recode」で登場する新フォーム5thは、これまでと異なるロングコートをイメージした姿となっており、こちらも人気が出そうだと松山氏はコメントした。
今回のインタビューでは、松山氏の中でのハセヲへの思い入れが強く伝わってきた。「『.hack//G.U.』は全3巻という長い物語が展開します。その中でハセヲは“間違い続ける”のです。しかしその間違いこそが成長になる。Vol.1で仲間から『もっと仲良く、皆で景色でも見て』といわれるところを、ハセヲは『風景って、これはただのポリゴンにテクスチャー貼ったただのデータだろ!』とブチ切れる。ここも“厨二病”っぽいのですが、こんな主人公いないでしょ? そこが好きです。そういうキャラクターを作りたかったし、私が感情移入できる、入れ込めるキャラクターです」と、松山氏はハセヲについて、改めて語った。
最後にファンへのメッセージとして、原田氏は、「全ては松山さんがうち(バンダイ)に来たとき、決まったと言えます。10年前のあの『.hack//G.U.』を作ったあの熱が、再び動き出しました。10年前のファンの方も、今回新しくファンになってくれる方も、このフィギュアをよろしくお願いします」と語った。
林氏は、「今回このフィギュアを担当する中で、改めて『.hack//』のファンの方達の熱心さに圧倒されました。松山さんのトークイベントにもすごく遠方からいらっしゃる方もいて、シリーズが始まって15年経った今でも愛され続けている作品に関われた事をうれしく思います。ファンの皆様に満足してもらえるような商品に仕上げます。がんばりますのでよろしくお願いします」とコメントした。
そして松山氏は「今回のフィギュア化は、ファンにとっても、私にとっても10年間の夢が叶った商品です。15年前、ゲームだけでなく、小説やアニメなど、お客さんに様々な入り口から入ってもらおうという思いで『.hack//』は始まりました。今回、フィギュアという入り口が増えました。それは『.hack//』プロジェクトの進化であるとおもいます。そして原田さんと仕事ができて、良かったなと思いますし、フィギュア化にあたりコレクターズの皆さんと意見のキャッチボールができたのも楽しかったし勉強になったので、また色々お仕事できればなと思います」と語り、インタビューを締めくくった。
松山氏の「.hack//G.U.」、そしてハセヲへの熱い想い。そして溢れんばかりのアイディアを、原田氏がきちんと実現する道のりを作り、林氏もそれに応える。非常に楽しい企画であり、こだわり抜いたフィギュアであると言うことが伝わってきた。作り手がファンが望む以上のボリューム、熱さ、濃さがあるからこそ、「.hack」シリーズはファンを獲得しているんだ、ということを実感できた。
ダークで、必死で、ひたむきで、悲しい。本商品はそんな「ハセヲ」というキャラクターに松山氏をはじめとしたサイバーコネクトツー全体が入れ込み、その想いをぶつけて、原田氏や林氏がそれに応えて製作されたフィギュアである。ゲームファンはもちろん、多くの人にフィギュアを手に取り、ハセヲというキャラクターに思いを馳せて欲しい。