インタビュー
「The Good Life」クリエイターSWERY氏特別インタビュー
2017年10月6日 17:00
SWERY氏ならではの要素について。「笑えるくらいめんどくさかったら、もう勝ちかなと」
――ゲームの内容についてもう少し掘り下げたいのですが、まず季節はあるんでしょうか?
SWERY氏:あります。カレンダーと曜日と季節があります。
――いつ頃を舞台にした作品になるのですか?
SWERY氏:そこについてはちょっとリリース時期とかの兼ね合いとストーリーを合わせようかなと思っていますので。
――SWERYさんの中で春からとかそういうイメージがあるわけではなく?
SWERY氏:イメージでは初夏のイメージなんですけど、その方が季節の流れ的に、冬を経験した後に花が咲くじゃないですか。ゲーム的には美しいなあと思っているんですよ。そうしたいなと思っているんですが、そこはビジネスのなにかが入ってくるんちゃうかなと思って。
――確かに春が一番美しいイギリスの農村が描かれるタイミングではありますね。
SWERY氏:そうです。それがだんだん冬になっていくのも描けるし。
――イギリスの農村でいろんなミステリが起こる。それは良いと思うんですが、永続性を大事にした田舎の農村に、なぜ殺人事件を入れなければならないんでしょうか?
SWERY氏:そこも、ストーリーのかなり根幹に関わってくるんですよ。で、今回、今までとは違うミステリにしたいと思ってまして、普通のミステリって誰が殺したのか。でも今中村さんがおっしゃったのがズバリで、なぜ殺されたのか、なぜ殺人が起こったのかというのは1つのキーだと思っています。
――では謎解きの要素としては、誰というところを探し求める?
SWERY氏:それが普通のゲームじゃないですか。でもそれだけでいいんだろうかとユーザーが感じるようなものというか、なんていうんだろうな。ミステリなので犯人探しはしてもらいます。その犯人探しをしていくうちに、それが街の秘密とも密接に関わってくるし、複雑なことで、「ああ、それでこんな殺人が起こっちゃったんだ」というようにしたいんですね。
――舞台としては小さな農村のみなんでしょうか? たまにはロンドンに行ったりもするんですか?
SWERY氏:ロンドンにいくことはないですが、農村のはずれにある、例えば今発表されているもので言うと、鉱山。ものを掘ったり、茶畑でお茶を摘んだり、ああいう施設を借地することによって、効率よくお金を返せるようになっていくんですよ。そういう部分もあります。
――そのお金を稼ぐパートは、「アイドルマスター」的なミニゲームになっているんですか? それともボタンをポンと押せば即結果が出てくるようなイメージですか?
SWERY氏:違います。1つ1つがミニゲームになります。そのミニゲームは、でも簡単ですよ。最低でも1個くらいは手に入る簡単なゲームですが、プレイ結果によって報酬の内容が変わるようなことを考えています。
――しかし調査をすれば、満額借金が返せるのに、なぜ細かくお金を稼ぐ必要があるんですか?
SWERY氏:その調査の結果に至るまでに、埋めていくリストが全然足りないんですよ。要は秘密の答えがわかればいいんだけれど、イギリスの農村とか、まあ日本もそうですが、すごく閉鎖的じゃないですか。そういう中で住人として少しずつ溶け込んで生活をしていくことによって、人間関係のバランスが変わってきて、初めてとれる写真とか初めて聞ける話があるんですよ。それを聞けない限りは、借金返済につながらないので、日々の小銭を稼ぐのが結構重要になってくるんですよ。
――トレーラーで特に面白かったのは、主人公が手に入れたお金を飲みに使ってしまうところですね(笑)。
SWERY氏:使えますね。ドリンキングです。
――飲むとどうなるんですか?
SWERY氏:空腹とかスタミナのパラメーターがあって、飲酒はそのパラメーターに影響します。
――どのように影響するんですか?
SWERY氏:調整の結果変わるかもしれませんが、今の仕様で言うと、空腹もスタミナもブースト的に回復してくれます。でもそればかり続けていると、あるタイミングでアル中になるとか、そういうことを考えています。
――お酒を飲むとガーンと頑張れるけど、そればかりだとアル中になるわけですか?
SWERY氏:あるいは飲み過ぎたら眠くなるとか、そういうパラメーターをお酒とか食べ物でやりたいなと思ってます。
――結構リアルなライフシミュレーションなんですね。
SWERY氏:そうです。ですから生活を楽しんでいただいて、夜には猫になれますが、すごく楽しくて走り回っていると翌日の日中に響きます(笑)。
――なんか、めんどくさいですね(笑)。
SWERY氏:まあめんどくさいかな、……そうやなあ。でも1日寝たら終わりですからね。
――整理しますが、ゲームの流れとしては、朝起きて、日中はお金を稼ぐ?
SWERY氏:はい、調査も行ないます。
――ご飯も食べつつ、夜になったら猫になって行動して、深夜寝てまた朝起きる。これをずっと繰り返す? ここまで細かい生活シミュレーションってなかなかないですよね。
SWERY氏:そうですね。ただ、ご飯食べる時間とかまでは決まってないですよ。それはパラメータで制御されているので。だけどやれることはそうしたいんですよ。主人公が女性というのも1つポイントで、女性って化粧したりドライヤーかけたりめんどくさいじゃないですか。あれをできるだけ入れたいんですよ。
――面倒くさすぎませんか(笑)。
SWERY氏:笑えるくらいめんどくさかったら、もう勝ちかなと思っているんですが、そこはスケジュールや予算のバランスもあるから、僕は先走れないけど、目標としてはそういうことです。
――ゲームなのだから、そういう面倒なものは飛ばして、楽しい部分だけを遊ばせればいいのに、なぜそういった要素を入れたいんでしょうか?
SWERY氏:やっぱり現実との線引きというか、「レッドシーズプロファイル」でもハエが飛んだり、ひげが伸びたりということがあるんですね。放っておいてもそのままゲームが進められるんですよ。ひげぼうぼうでハエが飛びまくっていてもエンディングが見られるんですよ。でもエンディングのすごく感動的なシーンでもハエが飛んでるんですよ。それはお前のせいやんけ!という。
――なるほど(笑)。唇にルージュを塗ることによって、何か1日に変化が起きることもある?
SWERY氏:そこまでは考えていないですね。じゃなくて、どんどん汚くなっていっても、ゲームはいつも通り進行するけれど、「そんなんでいいの?」という。要は“人それぞれのナオミ”ですよね。たとえば、僕のナオミはきっちり着替えるし、きっちり髪も整えてるし、マニキュアもやってますよ。でも中村さんのナオミは、ぼさぼさですよというようなことが表現できたら、キャラクターでありながらプレーヤーとの接続が親密になっていくと思うんですよ。普通はキャラクターをたてたら、プレーヤーとの親密度は外れていくというか、別人になっていくんですけど、そこの仕掛けかもしれないですね。
――例えば主人公たちへのインタラクションとして何ができるんでしょうか?
SWERY氏:今確実に存在しているのは、ご飯を食べるお酒を飲む、眠るというが確実に存在しています。それ以外に僕が入れたいのは、女性なのでお化粧とドライヤーと、本当はヘアのお手入れを入れたいけど。
――お部屋の掃除ですか?
SWERY氏:部屋じゃなくてアンダーヘアの。
――アンダーヘアの(笑)。
SWERY氏:でも、それはちょっともしかしたらダメかもしれない(笑)。
――相変わらずぶっ飛んでますね(笑)。
SWERY氏:しかも画面から絶対に見えないですからね、服を着てれば。
――さすがにトイレまでは行かないですよね?
SWERY氏:そうですね。ただ、さっき言った月に1回猫になるというのと、月に1回女性が必要な生理用品がありますよね。そういうのは、毎月お金を引かれます。
――始まったら猫になるという。
SWERY氏:そうですね。その間は、ああいう用品のためのお金もかかってきます。
――でも、よく考えたら主人公は月に1週間しか猫になれないというのは、それ以外の3週間はずっと猫になれないんですね。
SWERY氏:その間は、人間として猫の住人を観察するパートが存在します。
――なぜ1週間だけにしたんですか?
SWERY氏:設定と関わっているのであまり詳しくは言えないんですが、限定されることによってまずスペシャル感を出したい。そのスペシャルの中でやりくりをして欲しい。1週間しかないから、この1週間の中であれをやろうというのを、事前の3週間で考えて欲しいというのがベースです。でもその1週間はゲームを進めていくと延長されたり、短縮されたりするかもしれないですけど。
――ゲームはだいたい何カ月間くらいのゲームなんでしょうか?
SWERY氏:何カ月間という縛りはないですね。
――ずっと遊ぶことができる?
SWERY氏:はい。プレーヤーが借金を返しきるまでエンディングには到達しないので。
――特定の日に、突然警察なり借金取りがやってきてゲームオーバーになるとかそういうことはない?
SWERY氏:そうですね。それで言うと、時間と月日と曜日、季節の概念がありますが、年数の概念がないですね。永久に年を取らないです。「サザエさん」みたいに。