【特集】

【ファミコン40周年】アーケード→ファミコン移植/リメイクで華麗に生まれ変わった珠玉のファミコンソフト3選

Nintendo Switch Onlineで今でも遊べる!

【ファミリーコンピュータ】

発売日:1983年7月15日

 今なお多くのゲームファンが愛してやまないファミリーコンピュータが、本日2023年7月15日で発売40周年を迎えた。

 初期のファミコン用ソフトはアーケードからの移植がとても多く、プレーヤー間では次回は何が移植されるのかが常に注目の的であった。だが、ソフト・ハード両面で当時の最先端技術を駆使して作られていたアーケードゲームをファミコンで100パーセント再現することはまず不可能だった。

 そこでファミコンへの移植にあたり、開発者たちが知恵を振り絞ってアレンジ要素を巧みに盛り込み、移植版ならではの新たな面白さを生み出したタイトルが相次いで誕生した。中にはアーケード版よりも、むしろグレードアップしているタイトルすらあったのも、ファミコンソフトの歴史を語るうえでは重要なポイントであると筆者は断言したい。

 以下、筆者が独断と偏見で選んだ、数あるアーケードからファミコンに移植されたタイトルのうち、とりわけ秀逸だった3タイトルの魅力を改めて振り返ってみよう。

 なお、本稿で紹介する3タイトルは、すべてNintendo Switch Onlineに加入すると無料で遊べる。気になるタイトルを見つけた方はぜひ遊んでみてほしい。

1:広大なマップを舞台に謎解きも楽しめる「マイティボンジャック」

【マイティボンジャック】
1986年4月24日発売

 「マイティボンジャック」は、1984年にテーカン(現:コーエーテクモゲームス)が発売したアーケードゲーム「ボンジャック」をアレンジ移植した作品で、テクモのファミコン参入第1弾にあたる。

 アーケード版は、主人公のジャックを操作して、敵をかわしつつ画面内にあるすべての爆弾を取るとステージクリアとなる、固定画面のシンプルなアクションゲームだ。

 一方のファミコン版は広大なマップのピラミッドを舞台に、特定の条件を満たすアドベンチャー的な要素も取り入れるなど大幅にアレンジされている。レバーとボタン操作の組み合わせでジャックが空中を自由自在に飛び回れる楽しさはそのままに、1面から広いマップが登場。最終地点ではアーケード版同様に固定画面となり、制限時間内に画面内の爆弾をすべて回収して出口から脱出すればステージクリアとなるルールに変更された。

 ファミコン版は、追い掛けて来る敵を避けながら宝箱をジャンプで開き、ジャックがパワーアップするマイティコインや、隠された扉を開く効果を持つスフィンクスなどのアイテムを集めることが基本のアクションとなる。一定数の爆弾を取るごとにジングルが鳴り、その直後に宝箱を開くとアーケード版でもおなじみのパワーボールが出現し、一時的に画面内の敵を得点アイテムの金貨に変えてしまうことも可能だ。

 一見すると何もない所に隠された宝箱を発見したり、特定の条件を満たすと開く扉の謎を解き明かしたりする楽しさもファミコン版ならではのもの。ただし、自力で発見するのはまず不可能な隠し要素が多いので、ノーヒントで全17面をクリアするのは至難の業だ。また本作には、ゲームオーバー時にプレイ内容に応じて算出したゲームGDV(偏差値)が表示され、その数値によってエンディングが4種類に変化する、当時としては珍しいマルチエンディングを搭載していたのも特筆に値する。

 元のアーケード版ではシンプルなアクションまたはシューティングゲームだったが、移植された際にアドベンチャーやRPGの要素を取り入れ、大幅なアレンジを加えたタイトルがファミコン版にはいくつもある。本作はその嚆矢であり、けっして簡単ではないが上下左右に広がるマップ内を飛び回るだけでも楽しめる、今遊んでもとても面白い逸品だ。

 嬉しいことに、現在Nintendo Switch Onlineでは最終面のクライマックスの場面から、しかも偏差値が最高の状態でいきなり遊べる「高ゲーム偏差値バージョン」が配信されているので、この機会に昔は諦めていたエンディングを目指すのも一興だろう。

一見何もない場所に宝箱が隠されていることもある

2:移植再現度の高さとオリジナル要素が絶妙に融合した「グラディウス」

【グラディウス】
1986年4月25日発売

 1985年に登場した、超時空戦闘機ビックバイパーを操作して敵を倒していく横スクロールシューティングゲームで、全国各地のゲームセンターで大人気を博した「グラディウス」。特定の敵、または敵編隊を全滅させると出現するパワーカプセルを取るとパワーアップゲージが点灯し、ゲージが点灯中にボタンを押すとスピードアップ、ミサイル、ダブル、レーザー、オプション、バリアの全6種類のパワーアップがビックバイパーに装備されるのが特徴で、プレーヤーが任意のパワーアップを、任意のタイミングで選べるのがとりわけ斬新だった作品である。

 基本ルールとステージ構成(1周7ステージ)はアーケード版と同じだが、ビックバイパーの性能はかなり異なる。ビックバイパーと同じ攻撃性能を持つオプションは、アーケード版では最大4個まで増やせるのに対し、ファミコン版では2個しか装備できない。また、画面の端から端まで一直線に伸びるのが特徴だったレーザーは細切れとなり、画面内に最大2発まで発射できる武器へと変更された。

 ビックバイパーの攻撃力や派手さはアーケード版に劣るものの、ファミコン版ではバリアを装備すると360度、どこから敵に攻撃されてもミスを防げるようになり、逆にアーケード版よりも便利になっていた(※アーケード版は、バリアが届かない角度からの攻撃は防げない)。また、レーザーは裏技を使用すると、ボタンを押しっ放しで超高速連射が可能となり、アーケード版と同等の爽快感を得られるのも素晴らしいアイデアだった(※1万点の位がゼロのときにパワーカプセルを取り、パワーアップゲージをバリアからスピードアップに移動させるとオート連射になる。ノーマルショットでも有効)。

 そして本作を語るうえで忘れてはいけないのが、隠しコマンドを入力するとビックバイパーの装備が強化される裏技、いわゆる「コナミコマンド」の存在だ。ポーズ中に「↑↑↓↓←→←→BA」と入力すると、ビックバイパーにミサイル、オプション2個とバリアが装備される便利な裏技で、本作を遊んだことがあるプレーヤーは誰しもが重宝したことだろう。本作に導入されたのを機に、以後「コナミコマンド」はありとあらゆるコナミ作品に仕込まれるようになったことはあまりにも有名だ。

 ファミコン版には「コナミコマンド」以外にも、条件を満たしたうえで特定の場所に触れると1UPしたり、1〜3面で特定の条件を満たしてクリアすると、次のステージをワープして2ステージ分先に進めたりするなど、多くの裏技が用意されている。ほかにも、エンディングのメッセージが1周ごとに変化するなど、アーケード版にはなかった演出をふんだんに取り入れ、ファミコン版独自の面白さ生み出した本作は、紛うことなきシューティングゲームの傑作である。

 なお本作でも、Nintendo Switch Onlineでは最初からフルパワーアップした状態で5面からスタートする「グラディウス ステージ5最強バージョン」が配信中だ。

「コナミコマンド」は本作が元祖。全ファミコンソフトの裏技の中でも、最も有名なもののひとつだ

3:豪快な必殺シュートの応酬で対戦が白熱! 「熱血高校ドッジボール部」

【熱血高校ドッジボール部】
1988年7月26日発売

 「熱血高校ドッジボール部」は、ツッパリ少年の主人公、くにお君と熱血高校の仲間たちを操作し、ドッジボールで相手チームと対戦する、1987年に発売されたアーケード版からの移植タイトル。内野にいる相手チームを全員アウトにすれば勝ち、逆に自チームが全員アウトになったら負けになる、いたってシンプルなルールのドッジボールゲームだ。

 アーケード版では内野の人数が4人だったが、ファミコン版は3人に減ったので見た目はやや寂しくなったものの、くにお君以外のチームメイトたちも強力かつ特殊な軌道を描く「必殺シュート」が使えるようになり、またCPU戦ではアーケード版よりもステージ数が増えるなど、ゲームの内容ではむしろアーケード版よりもグレードアップしている。熱血高校以外の全選手にもそれぞれ名前が付けられ、中には「必殺シュート」の使い手もいたりするので、傍目には単純なボールの投げ合いに見えても、いざ遊んでみるとついつい夢中になってしまうのだ。

 ファミコン版は1試合の制限時間がない(※アーケード版はタイム制で、残り時間がゼロになると試合終了となる)こともあり、プレイ時間は総じて長めになる感は否めない。だが、CPU戦の難易度はアーケード版に比べると低く(※「易しい」、「普通」、「難しい」の3種類の難易度のうち「普通」以下を選択した場合)、より手軽に遊べるのもファミコン版の優れた点と言えるだろう。

 さらにファミコン版では、熱血高校以外にも好きなチーム(※CPU戦に登場する全チーム)を選んで2人対戦プレイができるようにしたのも素晴らしいところで(※アーケード版でも対戦はできるがチームは選べなかった)、「クラブ活動(トレーニング)」モードでマルチタップを使用すると最大4まで同時に遊べるのも、なかなかどうして面白いアイデアだった。

CPU戦だけでなく、必殺シュートの応酬となる対戦プレーも面白い

 上述の通り、本稿で紹介した3タイトルは、すべてNintendo Switch Onlineに加入すると無料で遊べる。ファミコンブーム期に夢中になったプレーヤーは、この機会に親子で遊んでみてはいかがだろうか。ファミコンは実況配信でしか見たことがない人も、面白さは筆者が保証するのでぜひチャレンジしていただきたい。