【特集】

【年末特集】絶対読んでほしい「2022年話題になったマンガ おすすめ作品5選」

年末年始にサクッと読める既刊数少なめのマンガを紹介

 2022年もあと少しとなり、今年も様々なエンターテインメントが世の中を賑わせてきた。

 昨今ではスマートフォンでも気軽にマンガが読めるようになり、出版社によってはマンガアプリ限定の連載作品もある。気軽に読めるようになったからこそ、いろいろな人がマンガを目にする機会が増えてきたようにも思う。

 そんな中今回は、2022年話題になりおすすめしたいマンガ5選をお届けしたい。ちなみに今回は筆者がよく読んでいたあくまで一部ということで、かなり偏りがある。そして、実際のところは5選では足りない。今回は既刊数が少なめのものをピックアップしてみた。おすすめする以上、間違いなくおもしろいので是非とも興味がある方は読んでみてほしい。

SPY×FAMILY

出版社:集英社(ジャンプ+)
作者:遠藤達也
既刊10巻(現在連載中)

SPY×FAMILY
あらすじ

 東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)の間に鉄のカーテンが降りて十余年。西国から東国に送られたスパイ「黄昏(たそがれ)」は東西平和を脅かす東国の政治家「ドノバン・デズモンド」と接触するという任務を受ける。任務遂行のためにはデスモンドの息子が通う名門校「イーデン校」に子どもを入学させて同級生の親をして接触を図るように指示されており、黄昏はそのために偽装家族になるための子どもを孤児院に探しに行き、そこで「アーニャ」と出会う。アーニャには人の心が読める超能力が備わっており、アーニャは賢いふりをしてロイドの養子となる。

 また、イーデン校に入学するためには両親と子どもが揃って面接を受ける必要があり、急いで妻役探し、殺し屋「ヨル」と出会う。東国では妙齢の女性が独身でいることが不自然とされ通報される恐れがあったため、偽装結婚をすることになる。互いが互いの素性を知らないまま家族としての生活がはじまる。

おすすめポイント

 2022年にアニメ化され、2023年にミュージカル舞台化される作品。スパイものでありコメディである本作品は、緩急のあるストーリー展開で一気に読者を引き寄せる作品となっていると感じた。家族ということで父(ロイド)、母(ヨル)、子(アーニャ)、飼い犬(ボンド)の構成で形成されているが お互いが互いの素性を隠して、偽装家族となっているためそのすれ違いもおもしろく、何より幼いアーニャが両親役の2人の正体を知った上で、心の中でのかわいいツッコミや、相手の心情を読んだ上で計算高く行動しようとする様は可愛さとツッコミどころ満載で読んでいてほっこりする。

 あくまでもお互いの目的のために一緒にいる3人と1匹だが、普通に傍から見る分にはとてもいい家族に見える。スパイや殺し屋と言えどちゃんと血の通っている人間性が為せる空気感でとてもいい。裏の顔がスパイ、殺し屋、超能力者、予知能力犬とそれぞれ暗い過去も持ち、個人が持つ背景もしっかり描かれているのもそれぞれの登場人物に感情移入できて読みやすいのでおすすめだ。

 また、2023年にはアニメシーズン2と劇場版の公開も決定したので、是非ともそれまでに読んでみてほしい1作だ。

アニメが放送されたほか、ミュージカル劇場版など様々な展開が予定されている

タコピーの原罪

出版社:集英社(ジャンプ+)
作者:タイザン5
全2巻(上下)完結

タコピーの原罪
あらすじ

 2016年ハッピー星からハッピーを広めるためにやってきたハッピー星人は「久世しずか(くぜしずか)」に窮地から助けられる。「タコピー」と名付けられたハッピー星人は助けてくれたお礼として彼女を笑顔にするために「ハッピー道具」を駆使するが、良かれと思って貸した道具でしずかは自殺してしまう。しずかが自殺してしまった理由がわからないタコピーは、しずかを笑顔にするために何度も過去に戻り奮闘する。

おすすめポイント

 漫画アプリ「ジャンプ+」で連載されていた本作は、そのストーリー性もあってか連載開始時からSNSで話題となり、新しい話が掲載されるたびにどん底に突き落とされる登場人物たちの幸せを願うコメントが大きくなっていった印象の作品だ。

 読み進めていくとあまりにも衝撃的な展開が多く、心を痛める読者も多かったはずだ。正直小学4年生という年齢の子どもが直面するにはあまりにも重すぎるし、周りの大人達を張り倒したくなる感情が筆者には芽生えていたが、それでもしずかちゃんやまりなちゃん、東くんの幸せな最後を願って最後まで読み切った作品でもある。本作は飾らず、濁さすそこにある事実を読者にぶつけてくるし、その破壊力も甚大だ。

 また、タコピーの存在が逆に残酷さを増しているようにも感じた。何も知らない無垢な存在かつ違う星の生き物という現実世界の常識が通じにくい存在が、良かれと思ってした行動が裏目に出てしまったりとなかなかうまくいかない現実を突きつけられる。

 上下巻の全16話というボリュームなので非常にサクッと読むことができる本作品となっているが、話の重さは最重量級となっている。エンディングまで一気に読むことをおすすめしたい1作ではあるが、感受性が強い人や気持ちが弱っている人が読むと一気に引きずり込まれてしまうので、心を強く持って読んでほしい。

連載時にはSNSなどで大きな話題となった

異世界おじさん

出版社:KADOKAWA(WebComicアパンダ)
作者:殆ど死んでいる
既刊8巻(現実連載中)

異世界おじさん
あらすじ

 2017年、17年前に昏睡状態になったおじさんが目覚めた。おじさんを訪ねた甥のたかふみはおじさんから実は異世界「グランバハマル」に行っていたと打ち明けられるが、頭がおかしくなってしまったと勘違いする。突き放そうとするたかふみにおじさんは魔法を見せて実際に異世界にいたことを証明する。たかふみにYoutuberになることを勧められたおじさんは、たかふみと一緒に暮らしながら異世界での生活についても話し始める。夢のような異世界生活とは微塵も思えないおじさんの異世界生活が赤裸々に語られる。

おすすめポイント

 2022年7月期からアニメ化され、コロナ禍の影響で数回の代替放送と10月から再放送となり話題を呼んだ本作品。

 異世界に転生しただけでなく、異世界から現実世界に戻ってきたアラフォーのおじさんと甥っ子たかふみや彼の幼馴染、藤宮澄夏(ふじみやすみか)とのやりとりがかなりおもしろい。また、おじさんのSEGA愛が熱いのも魅力だ。漫画内では伏せ字になっていてもおじさんのSEGAに対する熱い想いがめちゃくちゃ伝わってくるのがいい。ちなみにおじさんが異世界に飛ばされた2000年1月にはすでにドリームキャストも発売されていたが、おじさんはメガドライブとセガサターンをこよなく愛しているのか、話題に出てこないのが少し寂しい気もする。

 異世界転生して少しはいい思いをしているのかと思えばそんなことはなく、むしろかなりかわいそうな目に遭っている。にも関わらず、心折れずその世界を生き抜いてきたおじさんが、戻ってきた現実世界を楽しんで生きている様は愛おしさすら感じる。おじさんが非常に純粋で擦れた感じがなく、自分の恋愛沙汰には鈍感なのも非常のおもしろい。そのくせ、藤宮のたかふみに対する態度に関しては温かい目で見守るという、他人のことはよく見えている一面もある。おじさんがいろいろな意味でかわいいのが推しのポイントだ。

 おじさんのSEGA愛と異世界での生活の記録は読んでいて非常にワクワクするので、是非ともゲーム好きの人も、ファンタジーが好きな人も読んでみてほしい。

アニメ化もされた「異世界おじさん」
セガの「メガドライブミニ2」とコラボするフォロー&RTキャンペーンなども実施されていた

ダンダダン

出版社:集英社(ジャンプ+)
作者:龍幸伸
既刊7巻(現在連載中)

ダンダダン
あらすじ

 宇宙人の存在は信じていないが、幽霊の存在を信じている女子高校生「綾瀬桃(あやせもも)」は人生初の彼氏(俳優の高倉健似)に振られてしまう。そんな中、綾瀬桃はいじめられている、宇宙人の存在は信じているが、幽霊の存在を信じていない男子高校生「高倉健(たかくらけん)」を偶然助ける。高倉健は話しかけてきた綾瀬桃をオカルト好きの同士と勘違いするが、話せば話すほどお互いのオカルトに対するスタンスが違い、取っ組み合いの喧嘩になる。ついにはお互いの信じるものが存在すると証明できれば相手をパシリにできるという勝負となった。お互いが指定したUFOスポットの廃病院と心霊スポットのトンネルにそれぞれ向かい、同タイミングで宇宙人と都市伝説という怪奇に出会ってしまう。この怪異に出会ったことで2人の運命は一転してしまう。

おすすめポイント

 ストーリーが進む流れの中で、キレイめギャル×オタク系男子のダブル主人公という組み合わせが非常に重要なものとなっている印象の作品だ。

 幽霊や宇宙人など結構怖そうに感じるかもしれないが、全てが相反する2人の会話は不思議な事にとてもテンポがよく、呪いや怪異現象でストーリーが重くなりそうな時でも軽快で非常に読みやすい。また、シュールなギャクやジョーク、時には下ネタまで満載に盛り込まれているが、それが嫌悪感なく読めるのもこの作品のスゴいところだ。

 作者の画力が高くがっつりした読み応えもあり、怪異とのバトルでは手に汗握るものがあるのも本作品のおすすめポイントとなっている。ストーリーが進むにつれて増す2人の信頼関係や、時にキュンとしてるの?してないの?といった甘酸っぱい高校生らしさなどの人間関係もしっかり堪能できる。本作は怪異×バトル×コメディ×高校生といろいろ組み合わせられたハイブリッド漫画としておすすめしたい。

【【公式PV】緊急特報!!<『ダンダダン』>宇宙人は実在した!?】
YouTubeのジャンプチャンネルでは本作を紹介するホラーテイストなプロモーションビデオが公開されている

ミステリと言う勿れ

出版社:小学館(月刊フラワーズ)
作者:田村由美
既刊11巻(現在連載中)

ミステリと言う勿れ
あらすじ

 大学生「久能整(くのうととのう)」は、ある日部屋に訪ねてきた大隣警察署の刑事たちに大学の同回生で高校のクラスメイト「寒河江(さがえ)」が殺された一件で任意の事情聴取を受ける。久能は目撃証言から自分が容疑者となっていることを知り、犯行をきっぱり否定するが、何度も警察署に通うことになる。その間出会った刑事たちは久能に個人的な問題をどんどん解決され、久能の思考や知識、話術に感心する。様々な物的証拠が出てくる中、久能が思い出した一件の出来事により事態は急展開を見せる。思いがけず事件を解決した久能整はここからどんどん不思議な事件に関わっていくことになる。

おすすめポイント

 2022年1月期のフジテレビ系ドラマにて実写ドラマ化され、2023年に映画公開も予定されている本作品。

 ジャンルとしてはミステリーとなっているが、読んでいるとミステリー×ヒューマンドラマという印象を受ける。よくある推理ものよりもかなりサラッとしていて、緊張感やドロッとした犯人の悪意も感じにくい。その大きな要因が主人公の久能整にあるように感じる。淡々としているが、いろいろいろな事に興味を示し、空気が読めない性格と延々と喋り続けてしまう癖が周りの登場人物のいろいろな感情を引き出しているのが本作の魅力だ。

 興味があれば突っ走り、根拠のないことも平気で言い、人の気持ちもほとんど読まない彼だからこそ出来る事件解決だと思うが、その分心の傷も容赦なく抉られている登場人物も少なくないのでそこは同情の念しかない。また、彼は決して完璧というわけではなく、自分の欠点に気が付いていなかったり、自分の子どもっぽさを自覚していたり、大学の単位を気にしたりと非常に人間らしい人物であり、推理の達人というわけでもない。

 久能整という唯一無二のキャラクター性が、本作品をよりヒューマンドラマにしているように感じる。ミステリーとしても非常におもしろいので、ミステリーが好きな人もヒューマンドラマが好きな人にもおすすめしたい1作だ。

実写ドラマでは俳優の菅田将暉さんが主人公・久能整を演じた。2023年秋には映画の上映も予定されている

まとめ

 今回は5選ということで5つのマンガを紹介してきたが、正直なところ今年流行ったマンガはこれだけではない。今年完結した「東京卍リベンジャーズ」や「ゴールデンカムイ」、連載再開と富樫氏の原稿進捗がTwitterで公開された「HUNTER×HUNTER」、アニメ化した「シャドーハウス」(2期)、「ブルーロック」、「チェーンソーマン」、2023年アニメ化決定した「怪獣8号」などなど、とにかくたくさんのマンガがTwitterなどのSNSで話題となった。もちろん、話題になってなくても筆者おすすめのマンガというのもたくさんあったりする。むしろそちらの方が多いかもしれない。

 子どものころ読んでいたけれど、大人になってマンガを読まなくなった人も少なくないかもしれない。意外と今読んでみると違った見方や新しい発見があったりもするし、大人になってからの方が理解できることもあるかもしれない。昨今では気軽にスマートフォンでマンガも読めるようになった。年末年始に時間があれば上記に挙げたマンガ以外にもいろいろなマンガを読んでみてほしい。