【短期集中連載】凸凹ゲーマー夫婦の「MU LEGEND」探検記

凸凹ゲーマー夫婦の「MU LEGEND」探検記(第4回)

運営プロデューサーに突撃インタビュー! あれこれ答えづらいことも聞いちゃいました

5月16日 正式サービス開始

利用料金:無料(アイテム課金制)

 こんにちはゲームライターのDENPA IS CRAZYです。気がつけば本連載もひとまず最終回を迎えることになりました。本当にあっという間の3週間でした。

 というわけで今回の記事では、我々夫婦が正式サービスからの約3週間、プレーヤーとしてプレイしてきて思うことや疑問点が思ったことを素直に本作の日本運営プロデューサーの金子忠将氏にぶつけてきました。

 課金アイテム周りや、日本の独自調整などプレーヤーとしては気になるけど、恐らく答えづらいだろうな、という質問をあえてストレートににぶつけさせていただいたのですが、真摯にまた赤裸々にお答えいただいた結果、当初の想定よりも文字数が大幅に越えてしまったのですが、「MU LEGEND」プレーヤー必見の内容かと思いますので、ぜひお読みいただければと思います。

 それではどうぞ!

MMORPG初心者として素朴な質問をぶつけてみた

「MU LEGEND」日本運営プロデューサーの金子忠将氏
夫婦インタビューという珍しい形になりました
サービス開始直後はかなりの待機列でした。画面の前で待っていたのは未だに印象的

DENPA IS CRAZY(以下、夫): 本日はよろしくお願いいたします。まずはこれまでメディアにほぼ露出されていないと思いますので、改めて自己紹介をお願いできますでしょうか。

金子忠将氏(以下、金子氏):「MU LEGEND」の日本運営プロデューサーの金子忠将と申します。以前はmejikaというハンドルネームで、自分で申し上げるのも変ですが、FPSの界隈で有名で、周りの人間にも恵まれて、気づけば公式の色々なFPSタイトルの実況をさせていただくようになりました。そうして気づけばオンラインゲーム会社の運営に携わっていたと(笑)。そういった形でゲーム業界に携わるようになって、オンラインゲームの運営経験もあり、今回縁があってMMORPGのプロデューサーに抜擢されたという状況ですね。

夫:確かに私自身も金子氏と個人的に面識があるのですが、FPSの印象がすごく強いです。元々MMORPGもプレイされていたんでしょうか?

金子氏:そうですね。FPSで名前が売れたのでそちらのイメージが強いと思うのですが、色々なMMORPGをがっつりプレイしていた時期がありまして、FPSの前はMMORPGのコアプレーヤーでしたね。タイトル名は伏せますが、いくつかのタイトルではトップ層というレベルくらいまでやりこんでいましたね。

夫:そういった経験もあり今回プロデューサーとして抜擢されたという形ですね。

金子氏:そういう形になりますね。

夫:正式サービスから3週間経ちましたが手応えはいかがでしょうか?

金子氏:正直、「MU LEGEND」っていうゲームは昨今のMMORPGと比べると、生活コンテンツであったりとか、凝ったキャラメイキングといった要素がない状況で、キャラクター強化という部分に特化したゲーム性になっています。さらにマウスでのクリック移動だったり、固定視点だったりと、よく言えば古き良きシステムのタイトルなので、正直ニーズの狭いタイトルかな、という予測はしていました。

 ですので、1サーバー体制でそこに十分な人数枠を確保して運営していこうと考えていたのですが、正式サービス開始直後は予想に反して嬉しい悲鳴といいますか、本当にたくさんのプレーヤーの方に来ていただいて、2サーバー目を追加するまでは、待機列が毎日700、800と続くような状態で大盛況をいただいておりました。また話題のツイートランキングの上位に上がったりだとか、あるサイトの人気ランキングで上位にランキングされたりという状況でしたね。

夫:予想以上の反響があったということですね。

金子氏:そうですね。前作の「MU 奇蹟の大地」が運営開始から15年になるタイトルですが、そこでプレイしてくださっていたプレーヤーの方々が懐かしさでやってくださっているというのはあると思います。

夫:個人的な印象としては前作のプレーヤー以外にも色々なゲームのプレーヤーが来られている印象です。意外なところではMMORPGではない「League of Legends」のプレーヤーもいらっしゃいますよね。

金子氏:多いですね。「League of Legends」のプレーヤーはクリック移動に慣れているということもあるので、割と違和感なくプレイできたのかなとは思います。私もプロデューサーとして初めてプレイした瞬間も、クリック移動っていうのは多少違和感があったのも事実です。最近の多くのゲームはキーボード移動が基本ですから。

夫:私もネットを見ていて「キーボード移動が欲しい」という意見を多く見たのですが、運営側にもそういった意見はかなり多かったのでしょうか。

金子氏:最近はあまりありませんが、クローズドβテストの時は多くの意見をいただきましたね。意見掲示板を設置したり、直接ゲーム内にGMキャラクターで入ってプレーヤーの方の意見を直接聞くような場を設けたんですが、その時には必ずと言うほど「WASDなどのキーボード移動を追加して欲しい」と言う声がありましたね。

夫:ちなみに現時点ではキーボード移動は実装されていませんが、今後も実装されない予定でしょうか?

金子氏:よくも悪くもクリック移動というところがこのゲームの根幹に関わる部分で、それが前提のゲームバランスになっていますので、仮にキーボード移動を可能にすると、画面のレイアウトなどはもちろんガラッと変える必要がありますし、何よりゲームバランスが一気に崩れてしまうというところがあるので、変更は一切考えていません。

藍田奈結(以下、妻):私も最初はキーボード移動じゃないのに戸惑いましたが、ストーリーが面白くて夢中になってやっているうちに慣れていきましたね。そういえば、ストーリーの中や、サブタイトルのクエストにすごくゆるい日本語が出てきますよね。

夫:確かにローカライズはすごく丁寧ですよね、ストーリーやサブクエストなどのテキストも読ませていただきましたが、まったくと言っていいほど違和感は感じませんでした。

金子氏:ありがとうございます、そこはやはりこだわりを持ってやらせていただきましたので、本当に苦労したかいがありました。ストーリーを読むのが好きという方もいらっしゃいますので、読んでいただいたときに少しでも楽しんでいただけたらな、と言う形でローカライズはさせていただきました。

妻:元は韓国語のテキストかと思うのですが、日本サービス用にニュアンスを変えた部分もあるのでしょうか。

金子氏:たくさんありますね。我々なりの解釈で調整した部分はあります。日本のユーザ向けに“日本の「MU LEGEND」”としてお届けしたいという思いがあり、そこは意識をして準備をしてきたつもりです

妻:あのストーリーの続きはどうなるのかなぁ、と楽しみしています。

金子氏:マップ図を見ていただければわかると思うのですが、まだまだクローズされている大陸がありますので、そこがオープンしていけばストーリーは順番に追加されていきます。

妻:ちなみに私がMMORPG初心者というのもあるのですが、チャンネル変更というシステムがあるのがわからなかったり、騎士団メンバーに教えてもらうまで、レジェンド商店の場所がわからなかったりしたので、その辺りがどこかに書いてあると初心者に優しいのかなと思いました。

金子氏:ゲーム内のヘルプや、公式ガイドにも操作性からコンテンツの内容まで詳細に記載があるのですが、情報量が多すぎて探しにくいというのはあるかもしれません。クローズドβテストのときには実装されていなかった機能として、ゲーム内で「絶対にここだけは確認して欲しい」という点はポップアップで表示されるような機能を追加したのですが、ポップアップを出しすぎても鬱陶しいので……難しいところですね。

妻:私のようなMMORPG初心者の方も多くプレイされている状況ですか?

金子氏:やはり多いのは前作をプレイしていた方、もしくはプレイした事はないけど知っているという方が多く、今まで多くのゲームをプレイされてきた方の方が多い印象ですね。

妻:そうなんですね。でも私のような完全な初心者でもスムーズにカンストまで到達することができました。

金子氏:そうですね、操作性は簡単な方だと思いますし、ガイドも画像をつけたりと詳しいものを用意させていただいたつもりですので、その辺りは進めやすかったのかなとは思います。

 ただガイドの量が多く特にMMORPGにあまり慣れていないプレーヤーの方からすると「どこを見れば良いかわかりにくい」という部分はあると思うので、そこはわかりやすいような導線を用意したいなとは思っています。

妻:ちなみに既に韓国やグローバルでサービスされているタイトルですが、同じゲームでも日本のプレーヤーと海外のプレーヤーで遊び方は異なるものでしょうか。

金子氏:国が変わるとプレイ傾向が異なるというのは事実だと思います。本作で私が1番感じるのは、日本の皆さんはパーティプレイの傾向が強いなというのはありますね。

夫:確かにオートマッチングでパーティを組みやすいシステムがありますよね。

金子氏:そうですね。ハクスラというゲームの特性上ソロプレイを好む方も多いと思うのですが、日本はその中でも比較的パーティープレイをしてくださっている状況ですね。

 ソロプレイが多いゲームになると考えていたので、パーティープレイに強力なメリットを付与しているわけではないので、日本のそういった傾向を見ながらパーティープレイにメリットを追加できないかというところも考慮はしてるんですけれども、逆にソロプレイを阻害する形になると本末転倒になると思うので、うまくバランスを見ながら何か追加できる要素があればやっていきたいな、と考えています。

夫:パーティプレイと言えば、ストーリー中のダンジョンなどで1人だけレベルが高い人が入ると急に難易度が跳ね上がる仕様が気になったのですが、その点の改善などは検討されていますか?

金子氏:カンストまでの道中は、ソロでサクサク進めていっていただければという形でバランスが組まれているので、確かにパーティープレイを視野に入れていない内容のバランスになっているところはあります。

夫:MMORPGなのにソロプレイ推奨というのは矛盾を感じたのですが。

金子氏:色々なところでご意見をいただくのですが、“MMOでありつつハクスラである”というところで、それらを両立させようとして中途半端になっている部分があるというのは確かに認識しています。それらをうまく両立させて、MMOらしさとハクスラらしさの良い点を伸ばしていけるようにしたいと思っています。

妻:私の体感ではカンストしてからはMMOという印象でした。カンストしてからやっと他のプレーヤーと一緒にパーティプレイができるので。でもカンストまでは早いですよね、初心者の私でも4日くらいで到達できましたし。

金子氏:確かにLv65までが早いと言う意見もいただくのですが、そこはあえてそうしています。確かにMMORPGという視点で見たときに、「もうちょっとレベリングを楽しんでいただいたほうがいいんじゃないか」という意見が我々の方でもあり、経験値テーブルを2倍にしてテストプレイを実施してみたりと試行錯誤してみたのですが、ゲーム性とうまくマッチしなかったという状況です。

夫:やはりLv65からが本番ということなんですね。

金子氏:そういう認識で間違いないです。Lv65でいろんなコンテンツが一気に解放されて、そこからさらにキャラクターを成長させて、高難易度のダンジョンに挑戦していくというゲーム性ですので、Lv65まではストレスなくスピーディーに成長していただきたいと考えています。例えばLv65までの道中が長くなって、正式サービスから3週間経ってもレベル30とか40で止まってしまう、となるとマッチングしづらいと言う状況になってきますので、そこはあえてソロでもLv65までストレスなく行けるようにと言うゲーム性を考慮しています。

妻:多くのプレーヤーがすぐLv65になってしまうので、遅れて始めるプレーヤーの方にとってはフィールドに人がいないというのは寂しい気持ちがあります。外にいても全然人がいないというのは寂しいなぁと思ったのですが。

金子氏:ソロで遊んでいただくバランス、と言ってしまうとそれまでなのですが、今後新しいプレーヤーの方が来てくださった時に楽しめるような施策は何かしら考慮していきたいなとは考えています。

夫:個人的にはソロでも難易度が高いダンジョンがあった印象がありますが、それでもソロ前提なのでしょうか。

金子氏:確かにエキスパートスキルを取得するダンジョンなど、一部は苦戦する部分もあるかもしれません。ただ闇雲に苦労させたいというわけではなく、やりがいがなくてもつまらないので、その部分に関しては苦労を乗り越えた先に強力なスキルをゲットできたという達成感を感じていただければという調整はしています。

夫:Lv65までは基本的にソロプレイで楽しんでいただくことを想定しつつも、あえて少し難しいところを残して、苦労を乗り越える楽しさを感じて欲しいということですね。

金子氏:そうですね。あまり簡単な状況でサクサク進みすぎてもLv65になったあとが大変だと思うので、Lv65になるまでにある程度ギミックの避け方だとか、スキルの組み合わせなど攻略の基礎を習得していただけるような仕組みに考えています。

違和感はまったく感じないほどの、丁寧なローカライズは印象的でした
夫が育成していた時(サービス開始2日目くらい)は道中のダンジョンもマッチングがありましたが、妻が育成していた時(サービス開始1週間後くらい)はマッチングも厳しい状況でした

課金前提のバランスなのでは? 日本独自仕様が導入された理由とは

答えにくい質問にも丁寧に答えていただきました
いわゆるガチャ的な要素「ボックス」が購入できるシステム
課金アイテムもゲーム内で取引は可能

夫:ここからはちょっと踏み込んだ話題にさせていただければと思うのですが、Lv65からのモチベーションを保つ方法が難しいというのがあると思います。正解というのはないかと思いますが、運営としてはどういった遊び方を想定されていますか?

金子氏:まずは1つとしては最高難易度のエピックダンジョンがあって、そこに関してはパーティープレイベースの前提の難易度で組まれているので、そこでコミニケーションをとりながら装備を強くしていっていただいたり、時空の玄廊のミッションマップをこなしながら装備などを強化してキャラクターを成長させていくというのがベースの楽しみ方ですね。

 他にも海外プレーヤーの例ですが、ルパの迷宮は100段階まで、無限の塔も100階までありますので、そこをソロでクリアされた方もいらっしゃるので、そういうところもやりこみ要素の1つかなと思っています。

 ただ、やはりコンテンツ型MMORPGの宿命ですが、「やることがないわけではないけどもやる気が起きない」というのは少なからずあると思います。そこは今後のスピード感を持ったアップデートでフォローしていきたいとは考えています。

夫:ハクスラのモチベーションの保ち方にトレハン(良いアイテムが出るまで狩りを続けること)があると思うのですが、現状はいわゆる「ユニーク装備」のようなアイテムは実装されていないですよね。

金子氏:実は今後実装される予定ではあります。ただいつ実装されるかは未定となっています。

夫:なるほど。では現状の最上級は神秘グレードのアイテムになると思いますが、固有のオプションがついているアイテムがありますよね。オプションにもっと自由度があるとよりトレハンの楽しみがあるかなと思うのですが。

金子氏:確かにそういった考えもあるのですが、本作は“装備強化”と一言で言っても、宝石を埋め込んだり、装備の強化値を上げたり、刻印書でオプションを追加したり……というところもあり、装備を入手してからもそこから強化する色々な要素があるんですね。そういった状況の中でベースとなる装備の厳選に時間がかかるのはストレスになるのではという考えで現状のシステムになっています。

夫:とは言え装備の強化値を上げていくと、+9以降の強化で装備が壊れてしまいますよね。せっかく良い装備を見つけても装備が壊れてしまう可能性があって+10以上の強化に挑戦しづらいジレンマも感じるのですが。

金子氏:確かに+9以降の強化で装備が破壊されてしまう可能性はありますが、本作には破壊を防止するアイテムがあります。確かに課金アイテムではあるのですが、課金アイテムを取引所で販売できるので、無課金ユーザーでも入手できるルートがあります。ミューンやアーティファクトのボックス(いわゆるガチャ的なアイテム)もそうですね。実は私も、無課金ユーザーの実情を肌で感じるためにプライベートで無課金でプレイでしているんですけども、実際に取引所で購入したりしていますね。

夫:アーティファクト関連と言えば、現状のアーティファクトの制作条件がかなり厳しいと感じていて、素直に申し上げると課金アイテム前提のバランスに感じました。確かにゲーム内でも素材が入手できるのですが、かなり数が少ないですよね。

金子氏:そこは長い目でゆっくりやっていっていただきたいという気持ちがあり、そういう設定にさせていただきました。確かに日本では課金アイテムで入手できるので、そちらでガンガン作られるプレーヤーの方も確かにいらっしゃるのですが、運営としての位置づけとしては「アーティファクトの制作はあくまでもエンドコンテンツなので、じっくり時間をかけてプレイしていただきたい。そして時間をショートカットしたい人は便利アイテムを使っていただく」というのを想定しています。

妻:アーティファクトの制作自体がエンドコンテンツということですね。

金子氏:そうですね。アナウンスさせていただいている通り、確かに現時点では便利アイテムからしか入手できないアイテムもありますが、今後はゲーム内でも制作可能になるので、課金しなければたどり着けないという状況ではないと考えています。

夫:おっしゃっている意図は理解しました。ただ先行している韓国のサービスではアーティファクトの制作に必要な素材の価数が30個で、日本のサービスは300個必要ですよね。私も1人のプレーヤーとして「日本だけ条件を厳しくして、課金アイテムを買ってもらおう」というような視点に見えてしまったのですが。

金子氏:正直に申し上げますと、課金アイテムはそんなに売れなくていいと思っていたんです。あくまでもプレイ時間を短縮したい方向けのショートカットというニュアンスで考えていましたので。課金していただきたいように調整したわけではなく、長くプレイしてもらいたいからという思いです。

妻:とは言いつつも現状は差が出てきているところはありますよね。無課金ユーザーと、課金ユーザーの差が離れてしまったように感じます。

金子氏:確かに正式サービス開始から3週間という短期間の中ではPay2Winという印象を持たれるかもしれないのですが、この先時間が経つに連れて、徐々に無課金ユーザーでも追いつけるようになっていくと思います。課金しないとたどり着けないというのは今のところありません。無課金ユーザーでも時間をかければ到達できるようになっています。

妻:Lv65までサクサク強くなっていくので、そのペースに慣れてしまうと、その先も同じようなペースで強くなりたいという意思があるのかと個人的には感じました。ゲーム性というよりかは人間性かもしれませんが。

金子氏:確かにLv65まで急に上がって、いきなり遅くなるとギャップはあるかもしれないですね。

夫:確かに全身を古代グレードの装備にして、全ての装備に宝石を入れて……といった辺りから戦闘力が急に伸び悩みますよね。そうすると「アーティファクトが必要なのか、ミューンが必要なのか」といってボックスに行ってしまうのかもしれないですね。

金子氏:運営チームとしてはゆっくり遊んでいただきたいという思いで、あくまでもボックスは短縮という意図ですね。他にも、現在先頭集団の方からは「強化に必要なルーンストーンが足りない」、というご意見をいただいているのですが、逆にミドル層・ライト層の方はまだ余ったりしている状況です。確かにルーンストーンをガンガン入手できるイベントをやってもいいのですが、そこで少しブレーキをかけているというのはあります。

夫:とは言え現状エピックダンジョンの募集などはかなり厳しい状況ですよね。強力なアーティファクトを持っている前提の募集であったりですとか。

金子氏:そうですね、どのMMORPGでもそうだと思うんですけど、確かに野良のパーティ募集だと確実にクリアするためにそういった厳しい条件がつくことはあると思います。1つの解決方法としては、例えば騎士団に入っていただくなどして、騎士団のメンバーとワイワイやっていただければと思います。

 他にも騎士団に入っているとメリットがあるというイベントも現在やっておりますし、例えばGvGのような騎士団ならではのコンテンツも予定しておりますので、ぜひ騎士団に入っていただいて、コミュニケーションを取りながら一緒に遊んでいただければと考えています。

夫:騎士団と言えば「祭壇」という機能がありますよね。あれもかなり必要な素材がかなり厳しく感じています。

金子氏:そこもアーティファクトなどと同じようにじっくりと遊んでもらいたいという意図です。祭壇の効果にはかなり強力なものもあり、騎士団に入られている方と、ソロプレーヤーの方との間で極端な差がつかないように、という意図で調整している部分はあります。また正式サービス開始からそれほど時間が経っていない状況で、どんどん祭壇が作れていってしまうのもバランス的にも良くないかなと思っています。こちらもですが、長い目で見て遊んでいただければと思います。

夫:ということは現状の日本のプレーヤーの遊ばれ方と、運営側が当初想定していた遊び方の思惑が違ってしまっているという状況なんですね。

金子氏:そういう形になりますね。アーティファクトの部分などは特にそうですが、どうしても海外の仕様と比較されて、ネガティブな部分ばかり注目されてしまうんですけど、日本独自の仕様として装備の強化などは海外の仕様よりも楽になっている部分もあります。

 例えば海外の仕様では+4から先は下落が始まるのですが、日本は独自仕様で+7までは失敗することはあっても、下落することはありません。また+9以降も失敗しても+9に戻るんですけど、当初の仕様だと+0まで戻る仕様だったんですね。その辺りは日本独自の仕様として緩和しています。

 ただ、こういった話でご注意いただきたいのが、日本独自仕様として要望した内容がグローバルに水平展開で適用されることもあるということで、日本独自と言っているけど海外も同じ仕様じゃないか!というものがあった場合はそういうことですのでそこだけご理解いただければと思います。

夫:日本のプレーヤーの遊び方にあわせて、マイルドにする部分はマイルドにしつつ、コンテンツを長く遊んでもらいたいと思うところは少し調整するといったイメージですね。

金子氏:そうですね。あくまでもコンテンツを長く遊んでもらいたいという思いの調整です。

夫:他にも日本の独自仕様で緩和されている部分はありますか?

金子氏:かなり色んな調整を行なっておりまして、パッと挙げるのが難しいのですが、先程も申し上げたとおり、1番はやはり装備強化にこだわりましたね。もっと気軽に強化を楽しんでもらいたいなという意思はありました。

 またプラチナサービスも日本版は調整しています。プラチナサービスの本来の仕様ですと、プラチナサービスの上にプラチナプラスサービスがあり、さらにプラチナサービスに等級があり等級を上げるための投資が必要なる……といった具体で、VIPサービスのような位置づけになっています。

 プラチナサービスにはかなり便利な機能や効果が大量に盛り込まれているので、日本運営としてはぜひたくさんのユーザーさんに使っていただきたいと。ストレスなくプラチナサービスという1つのサービスをご利⽤いただいて、安く、なおかつわかりやすく使っていただければと言う思いがあり、全てをセットにした「プラチナサービス」としてご利用いただきたいと思い現状のサービスを提供させていただいております。

 あとは、コスチュームの仕様も大きく変えています。コスチュームは元々期間制が基本にあって、その期間を延長するためのアイテムがあるという仕組みでした。永久制もあるんですが、ガチャ入手なので簡単には手に入らない仕様だったんですね。これを日本では永久制を定額で販売することにしました。コスチュームは定期的に新しいものを追加していく予定ですので、せっかくだったら入手しやすくてしかもずっと使えるものとしてご提供したいなと。

 他にも取引所の仕様も調整していて、当初は出品にも手数料が必要だったんです。BOTやRMT対策という意図はあるのですが、そういった不正行為の対策をするために、普通にプレイされているプレーヤーの方に負担をかけるということは避けたかったんです。さすがに出品にまで手数料がかかるというのはプレーヤーを苦しめる形になるかな、という思いがあって0にさせていただきました。

夫:不正行為と言えば、5月30日のアップデートで3vs3のPvPコンテンツが実装されましたが、放置されているキャラクターが多いような印象がありましたが、対策などは検討されていますでしょうか。

金子氏:確かにお問い合わせも多くいただいている部分ではあります。参加すると「闘志の証」というアイテムがもらえるのですが、勝っても負けても入手できるので、「放置していればいいや」、という方もいらっしゃるのは現状として確かにあります。問題としてそういう状況があるのは把握していて、そこは対策を検討している部分です。

妻:なんで動かないんだろうねって思ってました。負け戦になってくると放置したり……というプレーヤーもいらっしゃいますよね。

夫:個人的にはマッチングで強すぎる相手とマッチングすることがある印象がありました。

金子氏:マッチングについては基本的にはPvPランクと戦闘力で判定して、なるべく近いプレーヤーとマッチングする仕組みになっています。ただ1番問題なのはプレイできないことなので、マッチングする幅を徐々に広げていくような仕組みになっており、そうするとどうしても強さに差があるプレーヤーとマッチングしてしまう……という現状はあります。そういう仕様もあって、負けても報酬が獲得できる仕様は外せない部分となっておりますので、楽しんでいただけるようにテコ入れはしていきたいと考えています。

アーティファクトや騎士団の祭壇は強力な分必要な素材は多めになっています。これを作るのもエンドコンテンツの1つとのこと
日本の独自仕様として緩和された内容に、装備の強化値の設定やプラチナサービスがあるという

6月中のアップデートで勢力戦を追加、さらに夏以降も新クラスや新ダンジョンの追加なども!

まだオープンしていない大陸が3つ。この先のストーリー展開も気になる!

夫:それでは今後の話ということで、直近のアップデートからお教えいただけますでしょうか。

金子氏:まずは直近が勢力戦(GvG)ですね。それを6月内に実装することを目標で進めています。騎士団のトロフィーや、他にも勢力戦で使用するアイテムがゲーム内に登場していて、時々お問い合わせもいただくんですが、使い道については実装後に明らかになるので、情報公開をお待ちいただければと思います。

夫:勢力戦についてもう少し具体的な内容をお教えいただけますか?

金子氏:領地を奪い合うコンテンツで、騎士団vs騎士団のトーナメントになります。そしてそのトーナメントで優勝した騎士団が領地を入手できる、というシステムですね。領地は複数あり、それぞれ星1から星3までのグレードがあります。星の数によってもらえる恩恵が異なるので、グレードの高い領地は戦いが熾烈になったりとか、そういった要素あると思います。

夫:その次のアップデートが既に発表されている新クラスの「エンファサイザー」の実装でしょうか。

金子氏:そうですね。当夏頃にエンファサイザーという新クラスが実装され、そこから夏の連続アップデートという形で、コンテンツの追加も予定しております。

 プレーヤー全体のコンテンツの進行度によっても調整するところですので、具体的な時期についてはお約束するのが難しいのですが、夏頃を目処に新クラスを皮切りにして3つ以上の新コンテンツを追加していく予定です。

夫:新コンテンツの内訳を教えてください。

金子氏:メインとしてはダンジョンになります。既に発表させていただいておりますが、「死者の奈落」、「炎魔の洞窟」、「氷魔の洞窟」というダンジョンをスピーディに実装していきたいと考えています。

夫:そのダンジョンの難易度は現在のエピックダンジョンより難易度が高いということでしょうか。

金子氏:そうですね。そこは……はい(笑)。

夫:その先について現時点で何か言えることはありますか?

金子氏:現状言えるのはそこまでですね。もちろんその後のアップデートも準備しておりますので、今後も継続的に実施していくことはお約束できます。

妻:ストーリーが好きなので続きが気になっています。先ほど次の大陸の開放にあわせてとおっしゃっていましたが、そちらについてはいかがでしょうか?

金子氏:もちろん予定には入れておりますが、具体的な時期などはさすがにまだ……という状況ですね。ただ準備は着々と進んでいますのでご期待いただければと思います。

夫:ありがとうございます。それでは最後に読者にメッセージをお願いできますでしょうか。

金子氏:やることがないわけではないものの、モチベーションが落ちてきているというプレーヤーの方がいらっしゃるのは事実だと思います。お話させていただいたように、今月の勢力戦を皮切りにアップデートがスピーディに実装されていきますので、あまり急ぎすぎずに気長に遊んでいただければと思います。

 またハクスラでもありMMOでもあるので、狩りを楽しんでいただきつつ、騎士団メンバーで進行が遅れている方のフォローをするなどコミュニケーションも楽しんでいただければと思います。

夫/妻:本日はありがとうございました。

新クラス「エンファサイザー」や「勢力戦」の情報の一部はゲーム内でも確認できる。詳細な情報が公開されるのが楽しみ

 といった具合でかなり厳しいところも突っ込んでお話を聞かせていただいたが非常に真摯な回答をいただけたと思います。改めて金子氏には感謝を申し上げたいです。

 というわけでこれで一旦「凸凹ゲーマー夫婦の『MU LEGEND』探検記」という連載は終了しますが、我々夫婦は今後も「MU LEGEND」をプレイしていくつもりです。人数的に厳しいところもありますが、ゆくゆくは勢力戦や新たなエピックダンジョンにも挑戦していきたいと考えています。

 それでは連載にお付き合いいただいた読者の方、そして筆者の騎士団に入って一緒に連載を盛り上げてくれた団員の方に感謝しつつ、筆を置きたいと思います。改めてありがとうございました!