コーラス大柳の「ためにならないインディゲームレポート」
iPhone Xが届いたのでさっそくゲームで遊んでみた
縦長になったSuper Retinaディスプレイでゲームをプレイするとこうなる!
2017年11月14日 07:00
ご無沙汰しております。コーラスの大柳です。突然ですが今回からまた連載を復活させることになりました。今までよりもより軽い感じで書いていきたいと思います。よろしければお付き合いください。
みなさん、過日繰り広げられたiPhone X予約戦争に無事勝ち抜くことはできたでしょうか。私は10月27日の16時から必死にApple Store appとウェブサイトを再接続しまくっていたのですが、開始時間1分前からF5連打する悪い子認定でもされたのか、購入できたのが約15分後。11月3日のiPhone X発売日には間に合いませんでした。
発売前から品薄品薄!と喧伝されてきたiPhone Xですが、Appleも着々と増産体制を進めており私も当初3週間待ちのところ1週間程度で手元に届きました。欲しい方は予約をいれておけば想像していたよりも早く入手できるかもしれません。実店舗でもちょくちょく在庫が復活するそうなので、それくらいの供給量はあるようです。
さて、到着したばかりのiPhone Xをいじり倒しているのですが、週明けにこの原稿を寄こせと言われているので速報的なインプレッションとして、この最新デバイスは果たしてゲームファンにとって買いか否かを検証してみようと思います。
iPhone X最大の特徴としては新しい5.8インチのディスプレイ(Super Retinaディスプレイ)を搭載したことでしょう。これまでiPhone最大だった5.5インチ機(iPhone 6 Plus、6s Plus、7 Plus、8 Plus)よりもコンパクトなボディになっています。そして小型化を遂げた代償としてはホームボタンがなくなりました。
この点についてはゲームとあまり関係ないのでここでは触れません。まあ慣れですよ慣れ。どうであれiPhoneの系譜にホームボタンのないシリーズが誕生したのです。エンドユーザーとしては受け入れるしかありません。なお小型化によって手の小さい方には朗報かもしれませんが、既存の5.5インチ機に慣れきっているとグリップ感が悪くなったと思うかもしれません。
この新採用の5.8インチディスプレイの解像度は1,125×2,436ピクセルで、具体的に言うとiPhoneを縦持ちのポジションで見た場合、5.5インチ機に比べると横に117ピクセル減、縦に228ピクセル増となり、アスペクト比がいままでの16:9ではなくなっています。ざっくり言うと“少し縦長になった”と考えればいいでしょう。
なんでこんな解像度になったか定かではありませんが、もしかするとAppleとしては縦持ちで使用した際の利便性を追求しようとしているのかもしれません。しかし横画面使用時、例えばNetflixなどで映画などを見る際、ライブラリにあるコンテンツは既存のデバイス向けにエンコードされたものが提供されていますから、iPhone Xで見ると左右に黒バックが入る形になり若干興が冷める状況です。現状では新解像度の恩恵は限定的といえるでしょう。
この新しい解像度を持つディスプレイがゲームに与える影響ですが、前述のような非対応Appは別として、すでにいち早く対応を済ませている物については、ぶっちゃけていうとほとんどありません。「なんかほっそりしたなあ、お前・・・」と思うくらいでしょうか。実例を挙げてみましょう。
まず縦画面用に設計されたゲームの例として「Steppy Pants」を見てみましょう。比較サンプルはiPhone X、iPhone 7 Plusです。見ての通りほとんど表示内容に差違を感じません。
次に任天堂の「スーパーマリオラン」(https://itunes.apple.com/jp/app/super-mario-run/id1145275343?mt=8)です。横ピクセルが少なくなった分、左右が切り詰められ、逆に上下は増えたので画面下部の土管の表示域が増えました。この画面は実際のゲームに入る手前のところですが、肝心のゲーム本編もきっちり調整されており見た目やプレイ感にほとんど差違はありません。
横画面用に設計されたゲームも見てみましょう。
「Kingdom」の場合、解像度が広がった分、iPhone Xでプレイすると左右の見通しがよくなりました。このゲームは横スクロールゲームで、左右から自分の陣地を敵が襲ってくるため「もしかすると」他のデバイスでプレイするより、ほんの少しだけ敵の襲来を早く察知できるかもしれません。
「オーシャンホーン」と「Iron Marines」も挙げておきます。いずれも横画面が少し広がっています。
「Ticket to Earth」の場合は増えた分の解像度を単なる余白ではなくボタンの再配置などを行なうことで対応しています。一部iPad用ゲームなどで使われる手法です。ただ肝心のゲーム本編では前面カメラの部分にオプションボタンが重なってしまい、オプション設定やメニューに戻ることができなくなっています。実機発売以前の対応ではたまにあることなので、いずれ修正されるでしょう。
最後にSuper Retinaディスプレイに対応していないゲームの場合、写真のように上下(縦持ち)もしくは左右(横持ち)に黒い帯が入ります。この状態でもプレイに支障はありませんが、やはり黒い帯部分がもったいないというか、物足りなさを感じさせます。ちなみにiPhone Xでは起動しないゲームは、手持ちでは505 Gamesの「Brothers: A Tale of Two sons」のみでした。
ご覧いただいた通り、iPhone Xが持つSuper Retinaディスプレイの解像度に対応したゲームであれば今までと同じようにゲームを楽しめます。今回、液晶から有機ELにパネルが変更されましたが、正直なところ液晶でも十分すぎるほどキレイなので、ここが変わったからといって何か優位性があるかというとゲームに限定して言えば多分ないでしょう。逆に有機ELのパネルは焼き付きやすいそうなので、長時間ゲームを起動しっぱなし、同じ画面を表示しっぱなしという人は輝度を下げるといった対策が必要かもしれません。
さて、超簡単なインプレッションでしたがiPhone Xをゲーマー視点から見ると現状すぐに飛びつかなくてもいいかな?というのが率直な感想です。なにより対応タイトルが少なすぎます。時間が解決してくれるとはいえ、(一部タイトルではアップデート対応のないケースもあると思いますが)今ある環境よりも見劣りしそう、というのは精神衛生的によろしくありません。
遊んでいるゲームが新ディスプレイに対応するのなんか待ってられない、もしくは対応する見込みが薄そう、という場合はiPhone 8 / Plusという手もあります。iPhone Xと基本スペックはそのまま、ディスプレイは7 / Plusと同じです(Face IDはありませんが)。既存の環境のまま最新のプロセッサを採用した堅実なアップデートが施されており、今あえて熟成の進んだ4.7インチ / 5.5インチ機を買うという選択肢はありです。
今回発売された新製品のメインターゲットは3年前に発売されたiPhone 6 / Plusユーザーの買い換え層ではないかと思います。iPhone Xおよび iPhone 8 / Plusが搭載するA11 Bionicを活かす重いゲームが出てくるのは時間がかかるでしょうから、価格を重視するのであればより買いやすくなった一世代前のiPhone 7 / Plusでもいいかもしれません。スペック面はまだまだ十分一線級で、モバイルSUICAにも対応しています。
iPhone 7 / Plusのユーザーは上記の通り来年まで待ってもいいかもしれません。iPhone Xの購入資金をこの後出るであろう新しいiPad Proに向けるのも悪くない選択肢です。