コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ

連載第10弾

「ポケモン」は僕の原点! 「ポケットモンスターLet's Go!」で冒険やキャリアの始まりに帰ってきたよ

 前回の連載で「ダークソウル」をプレイした後、難しくて厳しくて自分のゲーマーのあり方まで問われた気がした。Nintendo SwitchのJoy-Conに触るだけで、「YOU DIED」っていう文字が浮かんで来たかのようにフラッシュバックに襲われていた。ほぼ、外傷後ストレス障害めいた心のダメージのままで、「もうゲームプレイできない」、「僕はもうだめだ」、と思ったら、天から恵のようなものが手に入った「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ」だ! 大きく分類すると、ひょっとすると「ダークソウル」と同じジャパニーズRPG枠に入れていいと言えるかもしれないが、共通点がそこで終わる。「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ」は優しくてお馴染みな、完璧な心の治療だった。

 日本人にとってはお馴染みの「ポケモン」最新作だよ! 様々な意味でこれは僕にとって懐かしいタイトルなんだ。久々のカントー地方への帰省だし、最初に出会った「ポケモン」シリーズのジェネレーション1の図鑑だし、大学1年生の時にプレイした「Pokémon Yellow」のリメイクだし、そして僕は元「ポケモン」社員なのだ!

【懐かしのポケモンたち】
またあいつっかよ! って思うかもしれないが、少しプレイしたらあの赤いホッポの顔に笑顔をもたらすため、どこまで自分が努力するか自分でも驚く。泣かないで!

 そうだ! よく「俺が元ロックスターだよ」と、「グランド・セフト・オート(GTA)」のTシャツを着用して宣伝することが多いが、実は、僕のゲーム業界の冒険の始まりは、ポケモンなんだ。2年間日本でワーキングホリデーしてロンドンに戻ったら、ゲームで仕事したい夢を持って社会に出かけてみた。2006年だった。

色んな意味で、僕の冒険がポケモンでスタートしたよ

 僕は最初にゲームの「ポケモン」に出会ったのは、レッドとブルー(「ポケモン緑」は海外ではポケモンブルーなんだ)の時代。日本のスゲー人気ゲームがやっとイギリスで発売となって、高校生の弟と大学の1年生1期目の僕が、交換して遊べるようにレッドとブルーを1個ずつ買って、大学生の生活の勉強、バイトとサッカー部の厳しい飲み会の隙間に「ポケモン」をプレイしてた。

はい、ポケモンイギリス支社のマーケティング部のBJ Foxと申します

 今調べてみたら、ヨーロッパ版が発売されたのは、日本語版のなんと3年間後だったんだ! 昔のグラフィックスを見ると時代の進化ももちろん感じられるが、その発売のギャップも時代感を感じるよね。

 そういうわけなのでイギリスではアニメが先に放送されていたので、「ポケモン」アニメはゲームがアニメ化されたものではなく、アニメをゲーム化したものだと思っていた。ゲームは「アニメよりも奥深い作りだなぁ」とずっと感心していた。

 「ポケモン金・銀」も同じ兄弟パターンでプレイして、大学を卒業してから、日本で2年間仕事してイギリスに戻って就職活動をしたんだ。

 そしたらたまたま偶然僕が就職活動をしたタイミングで設立された「ポケモンUK」にある「ライセンス事業コーディネーター」を紹介された。面接は3回だった。あとで面接家だった上司から聞いた話では、僕が評価された良い点が特に2つあった。まずは、すべての応募者に聞いた質問とは、「1番好きなポケモンはどれなの?」だった。全員が「ピカチュー」と答える中、1人だけ違うポケモンを口にしたのは僕だった。「プリン!」と言ったんだ。正直に言うと、別にプリンのファンじゃなかったんだけど、当時まだまだゲームキューブの「スマブラ」をプレイしていたし、英語名「JigglyPuff」のやつに何回もやられたことがあったからね!

面接に行く際に、ちゃんとスーツ格好と、僕だけが持っていた秘密武器:プリン!

 そして、2次面接の後、3次面接の案内の一個として、ゲームボーイアドバンスと「ポケモン:ルビー」が全員に貸しだされた。他の応募者は、数時間プレイした感じで、僕は、ちゃんとバッジ8つしかも殿堂入りのメンバーとしてその3次面接に入ったところも印象的だったらしい。「ポケモン」は本当に大好きだった。

 そして、ロックスターの魅力に気づくまで、わずか2年間(時代で言うと「ポケモン:エメラルド」と「ダイヤモンド・パール」だ)しか働かなったが、そのポケモン愛は毎日のように熱くなったし、今でも燃えているよ。

野生ポケモンが世界で歩き回っていることも可愛くて楽しいし……
バトルしたくない場合、避けられることできるから、当時のゲームボーイのポケモンにあった洞窟内のズバット襲われ疲れも無し!

 だけど、最近多くない? 思い出は思い出のままにしておくんだったなというヤツ。昔、凄いと思ったもの、ハマったものが今久しぶりに手にして、「hmmm……どうしてあんなに好きだったかなぁ」という、がっかりと疑問が浮かんでくるヤツ。「思い出のままでよかった!」というね。X-Filesの最近のリブートもそうだったし、ファミコンミニもそうだ。僕ん家ではすぐ飾りとなってしまった。「エキサイトバイク」はね、楽しいゲームだったんだけどねえ。

懐かしい様子盛り沢山で、久しぶりにシリーズに戻ったプレーヤーが満喫できる

 正直に言うと僕は「Let's Go!ピカチュウ」もそういう心配をしていたんだ。

 でも、結論から言うと、心配は杞憂だった。カントー地方は、もちろんNintendo Switchのビジュアルだから、今まで一番ピカピカな形で登場する。相棒のピカチュウだけではなく、相棒のポケモン以外でもポケモンボールから出せてなんか可愛い。ポケモンの着せ替えやスタイルコーディネートでも、なんか可愛い。あの遊びは「ポケモン ダイヤモンド・パール」時代で初めて導入されたが、仕事では、「ポケモン」は大人向けのバトルRPGだと言い聞かせ、自分自身を騙しながら働いていた当時、あのような「子供」向けの遊びは要らないと思っていたが、今は逆に楽しい。どうみてもピカチュウは可愛い。

こういう着せ替え遊びは“子供向け”だと当時見下していたが、あっという間に自分でハマってしまった!

 僕が好きな「ポケモン」のパーティ成長やRPGの様子の他に、いろんな遊び方が潜んでいるという奥深さは、「ポケモン」の本当のパワーだとずっと思っていた。ライトのユーザーには、どうぞポケモン収集と着せ替えでいい。中間のプレーヤーには、ストーリーと殿堂入りの挑戦へどうぞ。ハードコアのプレヤーには、伝説のポケモンとクリア後の遊びとオンライン対戦。ハードコアの中のハードコアのプレーヤーは、図鑑完成とIV/EV(個体値/努力値)の終わりのないブラックホールを楽しんでください。オープンワールドと同じく、同時に色んなゲームシステムが平行に進行している、半端ない奥深さ。素晴らしい。

「ポケモン」のゲーム性の奥深さのおかげで、20年、25年経っても、他のシリーズと違って人気が絶えない。ね、リュウちゃん、落ち込まないで

 僕はポケモン社員の当時から、「『ポケモン』を子供向けなゲームだと片付ける人はもったいないんだよ」、と友達に言っていたし、今回も自分の意見が正しかったことが再認識できた。

 だけど、僕はプレイする前はほんの少し心配していた。だって、野生ポケモンとのバトルがなくなったなんて今回だけだろう? 来年発売するらしい、タイトル未定のNintendo Switch向けの完全新作には、戻ってくるだろう? バトルではなく、野生ポケモンをキャッチするシステムは、「ポケモンGO」の延長戦でシリーズの初心者向けの導入施策だと思うが、ちょっと簡単すぎなではないか? キャッチだけでパーティのポケモンが経験値を得て成長することは、逆にチャレンジ性が浅くなるんじゃない? 「Let's Go」はスピンオフですよね? などなど。

この「ポケモンGO」的な遊び方は楽しいんだけど、シリーズにいつもあるバトル性が浅くなった気がする。パーティーにあるポケモンとその中に技も前ほど熟知して駆使する必要がなかったんだね

 なんか、これを書いている最中でも、「ダークソウル」の後にゲームが簡単すぎるとクレームする自分を半信半疑で見ているよ。そしてチャレンジ性がやや簡単になったと言えども、プレイ途中の今でそのほかの新様子が十分マスターしていないかもしれない。アメを使ってポケモンの育成など、コンボボーナスも新様子で、これから深く知っておきたい。

 とにかく、「ポケットモンスターLet's Go! ピカチュウ」は楽しい。懐かしくて楽しい。「ダークソウル」に対しては、「七転八起」という日本ことわざを持ち上げたが、今の気持ちは、そこから「苦あれば楽あり」と大きく進化したものだ。

【ありがとうポケモン!】
人生でも、ゲーム内でも、キャリアにでも、いろんな思い出を作らせていただき、ありがとうポケモン!