コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ

連載第6弾

マーベルファン歴20年超の僕がPS4「Marvel's Spider-Man」を遊んだら、日本の洋ゲーファンを心から尊敬できるようになった

 Oh No!! すっかり遅くなってしまった! 「Marvel's Spider-Man」はどうしても早めにプレイしたいタイトルだったのに、色々遅れが出てしまってギリギリモンスタータイトルラッシュが始まる直前の10月となってしまった。なんてことだ!

【近況報告】
すっとスタンダップコメディをやっていますが、「郷には入れば郷に従え」という気持ちで、今年M1にも挑戦した! 相方は、出会い系のごとくネットで見つけて(相方というよりも“出相方”だった)「国際コンビ」として募集した。新宿の1回戦は無事に突破したものの浅草の凄い劇場で行なわれた2回戦で敗退! 初の漫才で素晴らしい思い出!

 言い訳をすると、その遅れのひとつは、2回も買いに行ったのに、2度とも品切れ状態で買えなかったんだ。海外レビューの高い評価や、イギリスの友達が凄く期待していたからすぐ遊びたかったんだけど、日本でアメコミのゲームが売れ切れるなんてまったくの予想外だった。

 僕の感覚だと、2004年辺りのPS2「スパイダーマン」ゲームあたりから、長い間、スーパーヒーロー系がゲーム界から姿が消えてしまった気がする。ゲーム機がPS3に進化しても、PS3のパワーにマッチできるゲームがなかった。そして、まるでスーパーヒーローのごとく、「バットマン アーカム・アサイラム」が ファンたちを救助しにきてくれた。僕はありがたかった。

僕の15歳のバイト先はロンドン西部のアメコミ輸入ショップだった、当時のスパイダーマンが「クローン・サーガ」で苦労していた。いくつかのスパイダーマン(クローン)が現れてちゃった、どれが本物か?中には、スカーレット・スパイダーもいて、このファンにとって嬉しいことにゲーム内にそのスーツもアンロックできる

 「バットマン アーカム・アサイラム」は、ロンドンのRocksteady Studiosというあまり有名ではないメーカーの作品だったにも関わらず、ステルスのゲームプレイが新鮮で、攻撃システムは画期的、そしてストーリーや声優も半端なかったね! もちろん、売れ上げも半端なかった。アメリカは大ヒット。ヨーロッパも大ヒット! 日本は……売れなかった。それも2、3桁くらい少なかった。なぜ日本で売れなかったかと聞いてみたら、アメコミが日本で人気がないという説が返ってきた。でも、今回の「Marvel's Spider-Man」の好調な国内セールスを見ると、その時代はもう終わったと言えそうだね。

 やっと渋谷の某交差点にある某ゲームショップで「在庫あり」を発見してやっとプレイができたので、今回は大好きな「Marvel's Spider-Man」にしたいです。DLCの1段の配信開始(10月23日)はまだだから、プレイレポートはまだセーフだろう。

 しかも、これを読んで、Batmanのアーカムシリーズの画期的なゲームプレイをちょっと味わってみたい方には、シリーズの1弾と2弾を収めたPS4の「バットマン:リターン・トゥ・アーカム」をお勧めする。それともいっそのこと、ほぼゲームプレイをそのまま再現しているPS4「Marvel's Spider-Man」でもいいかも(笑)。

コウモリに囲まれ、ゴーサムシティを見守る、ザ・ダーク・スパイダー...いや、あれはニューヨークの鳩たちか。このゲームはどのヒーローでしたっけ?
コウモリに囲まれ、ゴーサムシティを見守る、ザ・ダーク・スパイダー……いや、あれはニューヨークの鳩たちか。このゲームはどのヒーローでしたっけ?
調べる。スキャン。忍び込む。その特殊な蜘蛛に噛まれたときに、スパイダー能力だけではなく、バットマンのDNAにも感染されたみたい。特にスパイダーマン・ノワールのスーツを着用したら、似すぎ
攻撃システムもアーカムシリーズも思われる。ボタンのコンボとドッジをうまくこなすと、まるでダンスのように。気持ちよく、スパイダーマンになりきる感覚で文句なし
敵のアジトに侵入する時もステルス。R3ボタンでスキャン、そして上から襲っていく「ウェッブ・ストライク」(左)か、ウェッブで引っ張って吊るしてやる「ハング・フィニッシュ」だ。ということで、もうアーカムシリーズの比較を以上でさせていただく

 僕はかなりのマーベルのファンだ。高校時代最初のバイトはヒースロー空港の近くのアメコミ輸入ストアで、大学を卒業するまで主にX-Menのコミックスをコレクトしていたし、今でもできる範囲でフォローしている。もちろん、過去10年間の映画を全て見たし、どちらかというと、オルドスクールファンであり、映画で入ってきてニューファンを少し見下ろしている。「ユニクロのMARVELコラボTシャツだけではファンは増えないよ!」と町の中とたまに叫びたくなる。

昔のファンに向けてEaster Eggが豊富に盛り込まれている。これは確かに「Amazing Spider-Man 33号」のあのシーンのオマージュですね。(ちょっと自分のアメコミマニアをアピールしたかった、今)

 というわけで「Marvel's Spider-Man」は期待度が高かったし、どのスパイダーマンが出てくるのが気になっていた。もっとも歴史が長く、結婚離婚再婚までやったコミックスのやつ? 新しいファンに向けて割と最近のニューコミックスのまだ高校時代スパイダーマン? 映画のスパイダーマン? 映画ならば、どのシリーズかな? さすがにスパイダーマンは、歴史が長いので、全てのファンの期待に合わせて難しいだろう。

 だからこれに関しては、メーカーのInsomniac Gamesが素晴らしかったと思う。まるで新しい世界だ。ディテールも豊富で、歴史の重みでも感じられる新世界だ。

新スーツだ。どちらかというと、アベンジャーズの映画に出てくるスーツと近く、様々な機能が装備されている。新鮮で良いチョイスだった

 いろんなバリエーションのあったスパイダーマンスーツも新しいバージョンであり、ファンだと馴染みのあるやつもアンロックできる。ピーター・パーカーと運命の恋人のMJは、コミックスのステータスのように結婚はしていないし、映画によくある、“まだ会ってはいなくてこれから恋に落ちる”ステータスでもなく、“別れているけど、連絡をとっている”微妙な感じ。

 ピーターは、高校生でもないし、新聞写真家でもなく、研究生で、彼の担当博士は、なんと覚えのある人。天敵のノーマン・オズボーン(別名:悪役のグリーンゴブリン)は、ニューヨーク市の市長だ! 結構スパイダーマンの経歴が弄ばれている感じだけど、新しいファンに入りやすいし、コアファンにも興味を持たせらせるだろう。あのキャラはこういう取り組み方なんだ、という嬉しいモーメントも数回あった。上に書いたように全体的に世界の重みが感じられてファン的によかった。

気まずい雰囲気だね。微妙な関係を持っているピーターとMJだ。もう何回もこのラブストーリーをいろんなバージョンで見てきたのに、今回の展開やアプローチもまたフレッシュ

 しかもその世界も美しい! Xbox Oneで「Forza Horizon 4」、そしてPS4で「Marvel's Spider-Man」を連続プレイして私の目は甘やかされている。ニューヨークの高層ビルをウェブスイングの爽快感は他にない。映画並みの描写で、別にファストトラベルシステムを導入していただかなくても良いくらいの楽しさ。地面に落ちると、少し「ああ、ゲームだな」と現実に戻る時もあるが、とにかくスムーズなシステムだ。

 とにかくスムーズ! とにかく美しい! とにかく素晴らしいゲームだ。

 が、恥ずかしいことに、思っていたほど、楽しめていないんだ。その理由は、ゲームやメーカーのせいではなく、どちらかというと、自業自得だね。

 僕は日本語版を買った。英語版に切り替える方法が見つからないか、装備されていないか、とにかく日本語だ。全て日本語だ。全ての会話、全ての無線ラジオのアップデート、全てのSpider-Manのマシーンガントークが丁寧にフルローカライズされている……辛い。スパイダーマンの特徴のひとつは、どのに辛い状況に遭ってもジョークが止まらないところで、そのジョークが敵を挑発したり怒らせたりしてミスを起こす。あの容赦なく早口のジョークを日本語で聞いているうちに、スパイダーマンの敵の方に同情するようになった。あんなに聞かされたら、僕も彼の顔にロケットランチャーを撃ち込みたくなるよ。

目的地にフルダッシュでスイングしている最中、J.ジョナ・ジェイムソンのスパイダーマンのダメ出しラジオ番組が流れてくる!字幕オンに切り替えてもフォーローは無理だ。
「もういいよスパイダーマン。お前が少し黙ってくれると、犯罪者として引退してあげるよ」

 「日本だから、当たり前だよ!」って思う人いるだろう。確かにそのとおり。しかも日本語のゲームも何回もプレイしてきたよ。でもほとんどは文章がメインでRPGで今回アクション・オープンワールドゲームは初めて。半分辛い思い、半分英語がわからなくて「Grand Theft Auto(GTA)」をプレイしてきたファンにやっと共感できるようになった感じ。大変だったでしょう!よくみんな頑張るね。よくカーチェイス中に前にある車のタイヤをピストルで狙いながら、画面上の指示を同時に読み、同時に従兄弟のロマンの電話の話をフォーローしていたね。

 ロックスターゲームスの日本での記者会見では日本のメディアから必ず聞かれる質問のひとつは

「吹き替え版の予定はありますか?」

だった。それに対しては、僕らからのその定番の答えとは

「英語音声の方が没入できるから、吹き替え版は字幕となる」

だった。今、第2カ国語でオープンワールドでかなり苦労してきた僕は、自分の意見を少し見直してきたね。

 僕が抱えている問題とは、日本語がわかるけど、集中して聞かないとなかなか入ってこないことだ。たとえ電車の中で本を読んでいるときに、アナウンスがあるとしたら、英語だと、自然に耳に入ってくる。日本語だとただスルーしてしまう。このゲームをプレイして最悪のスパイダーマンとなっちゃった。警察の無線報告をどんどん、「日本語わかんない!」とスルーしてしまった。本当に日本人の洋ゲーファンに対して新たな尊敬の念を抱いた。

 と思ったら、スーパーヒーロー的なハッピーエンディングもきた。友達にこの言語の話をしたら、問題がBJのPS4本体が「イギリス英語」にしていることにあるかも、と指摘してくれた。確かにそう。帰ったら、言語設定をEnglish (UK)からEnglish (USA)に切り替えって見たら、英語言語データがダウンロードができた!ブリッティッシュイングリッシュとアメリカンイングリッシュは、単語やスペルなど、いくつかの違いがあるんだけど、違いがゲームの言語データまでに及ぶとは知らなかった。

言語データをダウンロードして、アプリを再起動したら、「PRESS○TO START」の画面が英語で出てきた。嬉しい!

 私な好きなスーパーヒーローの1人がまた素晴らしくゲームで再現されてよかった。その素晴らしさも日本人のファンにも伝わっていることもさらに嬉しいものだ。スクエニの「アベンジャーズ・プロジェクト」の期待度が自分の中でかなり上がってきたかも。

【スクリーンショット】