レビュー
「Stellar Blade」レビュー
可愛いイヴだけじゃない! 美少女に釣られたら想像以上のハイレベルアクションだった
2024年4月24日 23:00
- 【Stellar Blade】
- 4月26日 発売予定
- 価格 スタンダードエディション:8,980円
- デジタルデラックス版:9,980円
プレイステーション 5ユーザー期待の独占タイトル「Stellar Blade」が、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)より4月26日に発売される。価格は8,980円。
本作は、スマートフォンゲーム「デスティニーチャイルド」や「勝利の女神:NIKKE」などを生み出した韓国のSHIFT UPが開発する完全新規IPのアクションアドベンチャーゲーム。人類の文明が崩壊したポストアポカリプスの世界観、そしてSHIFT UPのキム・ヒョンテ氏が得意とする美少女キャラクターと、魅力的な要素がこれでもかと詰まっている作品である。
2019年に「Project EVE」として発表されたときから筆者も注目しており、先月配信された体験版にはあえて触れず、SNSなどの感想も見ずに発売日を待っていたが、今回SIEより先行プレイ用のコードをいただくことができた。本稿は、予備知識0でプレイした「Stellar Blade」のレビューをお届けしよう。
ゴリ押しだけでは歯が立たない! 奥深いバトルシステムが熱い
未知の凶悪なクリーチャー「ネイティブ」によって地球は占領され、地上は荒廃し、残された僅かな人類は宇宙コロニーへと押しやられてしまった。
ネイティブから壊滅した地球を取り戻し、人類を救うため、コロニーの部隊・第7空挺部隊に所属する「イヴ」が荒れ果てた地上へと降り立つ――というのが本作のストーリー。絶望感が漂う終末的なストーリーと世界観はSF好きにはたまらない。
ゲームの目的は、ネイティブのボス的な存在であるすべての「アルファネイティブ」の殲滅。それと同時に、巨大なエネルギー源である「ハイパーセル」を集めて荒廃した地球を復興させることだ。
探索を進める最初のエリアは「エイドス7」。高層ビルや立体駐車場などの朽ちた建造物が、地球上から人間が消えてしまった物悲しさを感じさせる。本作のBGMは全編を通してボーカルサウンドとなっており、このBGMが物憂げで荒廃した世界観にとてもマッチしている。
フィールドにはアイテムが入っているコンテナや、攻略に必要なデータやアイテムを持った亡骸、そしてイヴに襲い掛かかってくるネイティブなどさまざまなものが点在している。
ネイティブの巣窟になっているだけあって、辺りの草木は伸びっぱなし、瓦礫の残骸なども散らばっており基本的に結構視界が悪かったりする。アイテムなどは思わぬ場所に隠れていたりもするので、ドローンで周囲のスキャンをしてじっくり探索していくのが宝探しのようで面白い。
ここからはバトルについて触れていこう。イヴの基本アクションはブレードによる斬撃がメイン。攻撃スピードが速い「弱攻撃」と、動きは重いが火力の高い「強攻撃」が存在する。加えて、弱と強の組み合わせで多彩なコンボを繰り出せる。他にも、エネルギーを消費して発動できる強力なスキルや、ゲームを進めることで遠距離武器の銃火器なども解放されていくのでアクションはかなり豊富だ。
スピード感も売りで、イヴを操作していてもっさりとした感じはまったくない。戦闘では地上を駆ける動作や、空中をダッシュで舞うアクションなど、どの挙動もキビキビと軽快に動く。動かしていて気持ちのいいハイスピードなバトルが楽しめるのも本作の魅力の1つだ。
プレイを進めて筆者が最初に衝撃を受けたのは本作の“難易度の高さ”だった。いや、正確には美麗なグラフィックスやイヴの可愛さの方が最初の衝撃かもしれないが、とりあえず難易度の高さで話を進めていく。
人類を宇宙に追いやったという設定に説得力があるほど、敵であるネイティブがとにかく強い。ちなみにこれはボスのことだけを指しているのではなく、溢れかえっている有象無象のザコ敵のネイティブですらも束になったらかなりの脅威である。従来のアクションゲームの経験上、ザコ的相手にはひたすらガン攻めで処理すれば良しという頭でいたのだが、いざ戦ってみるとこれが全くと言っていいほど通用しない。
一度攻撃を食らわせてしまえば、あとは一方的に攻め続けられるというっようなヌルいつくりではなく、一部を除きほとんどのネイティブはプレーヤーの攻撃を受けでも“まったく怯むことまく反撃してくる”のだ。単調なゴリ押しではザコ敵にも簡単にやられてしまうというなかなかに骨太な難易度。そうとも知らず、頭をカラッポにして戦っていたらゲーム最序盤の「クリケットスラッシャー」2体に袋叩きにあい、秒速でゲームオーバーになった。理不尽な暴力でねじ伏せられたときは“バランス調整されてないのか……?”と一瞬脳裏をよぎったが、プレイしていくと筆者の本作への理解度がまだ浅かっただけだと改めさせられた。
本作のバトルの中で最も重要かつ、面白い部分が“攻めと守りを瞬時に使いわけて戦う展開の早い攻防戦”だ。攻撃を食らわせながら敵が攻撃の体勢に入ったら、ガードや回避でしのぐという立ち回りが戦いの基本になる。このポイントに気付いてからはゲームの印象がガラリと変わった。
そして、この攻防の面白い部分についてだが、敵の攻撃がヒットする直前にガードや回避行動をとると「ジャストパリィ」、「ジャスト回避」が発動する。敵の攻撃を完全に防ぐだけではなく、スキルに必要なエネルギーも大幅に溜まり、戦いを有利に進めることができるのだ。
ジャストパリィで相手の体勢を崩した時、大振りのガード不能攻撃をジャスト回避したときは、大ダメージを与えられる「レトリビュージョン」やカウンター攻撃「ブリンク」といった特殊アクションを繰り出せる。敵の攻撃を的確に防いで大技を叩き込む瞬間は“爽快”の一言。攻めだけではなく、守りの行動にも重きを置くことで、ザコ戦であっても緊張感と爽快感のあるバトルを楽しめるのだ。
序盤のネイティブですら油断をしていたらゲームオーバーになってしまう難易度だけあって、ボスのアルファネイティブとの戦いはさらに熾烈だ。ダメージを軽減させるシールとと体力が恐ろしいほど叩く、攻撃は数発もらってしまったらアウトなほど効果力である。結果、ゲームオーバー画面にデカデカと表示される「阵亡」の文字を嫌というほど見ることとなった。
リトライを重ねること十数回。最初のボスで早くも手詰まりの予感を感じさせたが、よくよくボスの動きを見ていると攻撃のパターンはそれほど複雑ではないことに気付いた。3発殴ってきたあとは硬直して攻めのチャンスがあったり、青く光るエフェクトが見えたらジャスト回避でカウンターを決められるなど、しっかりとした対処法が用意されている。
一見絶望的とも思えたアルファネイティブ戦だったが、戦いを重ねることで次第にパターンが読めてきて徐々にいい勝負になっていき、最終的にはしっかり勝てるようになっている。バトルの歯応えと攻略できた時の達成感を強く感じられるゲームバランスが非常に絶妙だ。
いわゆる“死にゲー”と呼ばれるような高難度アクションゲームに慣れているプレーヤーであればさほど苦戦しないと思うが、筆者のようなアクションゲームを“嗜む程度に遊んでいるプレーヤー”には一番面白いくらいの丁度いい壁を用意している難易度だった。コンティニューすることにデメリットも一切ないので、思う存分リトライしながら活路を模索できるのも非常に良い。
一方、ここまでデフォルトのノーマルモードでプレイしてきたが、アクションゲームが苦手という方には「ストーリーモード」がある。敵が弱体化して難易度が緩やかになるので、本作のストーリーを思う存分楽しみたいという方にもオススメだ。
ミッションやイヴ強化など、膨大なやり込み要素が待っている
前項では、リトライすればいつか必ず攻略できるというやや根性論的なことを述べたが、人によっては“そんなに負け続けたらストレスで胃に穴が開く”という人も少なからずいることだろう。そんな人にも安心してもらいたいのは、本作はただプレーヤースキルを磨くことだけが攻略のすべてではなく、さまざまな方法でイヴを強化できる要素が用意されている。
装備に相当する要素に「エグゾスパイン」と「ギア」が存在する。まず「エグゾスパイン」はイヴの戦闘スタイルに影響する装備で、ダメージ軽減とHP回復効果を持つ生存能力に特化したものや、銃火器の威力アップと最大弾薬数が増える遠距離攻撃に特化したものなど種類は豊富だ。
もう1つの「ギア」は、エグゾスパインと比べてサブの装備といった感じで、こちらも攻撃速度アップやクリティカル率アップなど、さまざまな効果でイヴを強化することができる。プレーヤーのプレイスタイルに合わせて選んだり、状況によって適時ギアとエグゾスパインを付け替えることでゲームを有利に進めることができる。
強化する要素は他にも、ブレードの攻撃力強化、回復アイテムの最大所持数を増やすタンブラー強化、ギアの装備数を増やすギアソケット拡張、銃火器のドローンのアップグレード、スキルの解放と、イヴをとことん強化することができる。このイヴを強化していくのも本作のやり込み要素の1つとなっており、強化にはネイティブを倒すと手に入るSPというポイントや特定の素材が必要になるのだ。
最初の探索エリアであるエイドス7攻略後は、人類の生き残りが集う都市「ザイオン」へ行けるようになり、ここがイヴたちの冒険の拠点になる。ザイオンから様々なエリアを自由に行き来することができ、セミオープンワールドの広大なエリアを探索してネイティブを狩りまくったり強化に必要な素材を集めていくのだ。
さらにザイオンではメインストーリーとは別に、街の人からミッションを請け負うことができる。その内容は特定のアイテムを探すものやクイズに答えるものなどバリエーション豊か。ミッションをクリアすると報酬にお金や素材がもらえるが故に、レビューでプレイしていることを忘れて本筋のストーリーそっちのけでミッションに没頭してしまった。ストーリーを追ってゲームを進めるだけではなく、じっくりとやり込ませる要素が用意されているのはゲーマーとしては嬉しいポイントだ。
美少女・イヴを自分色に染められる、まごうことなき“紳士ゲー”
PS5期待の独占タイトルだけあって、本作を注目していたPS5ユーザーはすでに体験版をプレイしたことだと思う。そして、そのユーザーのほとんどが主人公のイヴに惹かれてプレイしたことだろう。
イヴは、腰まで伸びる黒髪ポニーテールの美少女で、ピッチリとしたボディスーツを身にまとっているのが特徴的。この衣装がイヴの美しいボディラインをクッキリと浮かび上がらせており、光沢のあるスーツの質感も相まってこれが果てしなくエロカッコいい。梯子を上り下りするだけでも幸せな光景が広がる“紳士ゲー”である。
モデルの様な立ち姿だけでもいつまでも見ていられるのだが、やはりイヴがもっとも輝いているのはネイティブと戦っている瞬間だ。ブレードを手に戦場を駆け、軽やかに宙を舞う姿は比喩ではなく見惚れてしまう。“グロテスクなバケモノ×美少女”という異質感も最高のスパイスになっている。
少女の面影を残しながら、コロニーで訓練を受けてきたイヴの精神はまさに戦士といえる心の強さを持っている。クールでどこか人間離れしている雰囲気もあり、自分の存在理由はすべてのネイティブを駆逐して地上を取り戻すのみと語る。そんな陰のあるミステリアスな感じもイヴの魅力だ。
ビジュアル、キャラクター性ともにパーフェクトで、正直非の打ち所の無い完成された美少女である。“しかし”だ、いくらキム・ヒョンテ氏がパーフェクトな美少女を生み出したのだとしても“人それぞれの趣味嗜好”がある。
元のデザインにケチをつけているのでは決して無いのだが“これで金髪美少女だったらなぁ”、“もっとエッチな衣装だったらなぁ”、“眼鏡をかけてたらなぁ”と、紳士であれば誰しも厄介な癖を持っている(断定)ので、自分のストライクゾーンから外れてしまう人が出てしまうのも仕方がない。
しかし、先に例で挙げたものあれば、なんと本作ですべて叶えることができる。本作の紳士ゲーたるポイントは、イヴの髪型や髪色、衣装やアクセサリーなどを変更することができ、自分好みの色に染めたイヴでゲームを楽しむことができるのだ。
イヴが身にまとっているナノスーツは、デフォルトのボディスーツのような形状のものだけではなく、普通の女の子が着ているようなニットセーター状のものや、チャイナドレス調のものなど、幅広い趣味嗜好に刺さるものが用意されている。ナノスーツを着替えて髪型(髪色)を変えれば、元の状態と比べて雰囲気がガラリと変化する。
いろいろなイヴを見ることができるこの着せ替え要素がとにかく楽しい。だが衣装や髪型を解放するには、イヴの能力強化と同様に設計図や素材などが必要になるのだ。前項では、イヴの強化のために躍起になってミッションに没頭したような雰囲気を醸し出したが、正直に白状するとナノスーツや髪型を解放するために血眼で素材集めをしていた。
強化そっちのけで衣装と髪型を解放していった甲斐もあり、イヴのさまざまな魅力に触れることができた。多様な癖に応えてくれる素晴らしいゲームとなっているので、この着せ替え遊びはぜひ体験してもらいたい。
今回「Stellar Blade」をプレイしたが、コンソールタイトル処女作にしてこのクオリティの作品を生み出してしまうSHIFT UPの力には正直驚かされた。プレイする前は女の子が可愛ければそれ以外の部分には目をつむるつもりでいたが、終末感漂う世界観や爽快なアクション性、そして魅力的なキャラクターとそのすべてが想像の遥か上を行っていた。
謎の多いストーリーも、ゲームを進めていくことで衝撃の事実が明らかになっていく。先の展開が気になり過ぎてノンストップでエンディングまでプレイしてしまった。イヴの魅力に惹かれた人や、骨太なアクションゲームを求めているPS5ユーザーなら絶対にプレイする価値のあるタイトルである。
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