レビュー
「フォーエバーブルー ルミナス」レビュー
自由なダイビングで癒しのひと時を。緩いつながりのオンラインマルチも魅力
2024年5月2日 18:15
- 【FOREVER BLUE LUMINOUS (フォーエバーブルー ルミナス)】
- 5月2日 発売
- 価格:
- パッケージ版 5,478円
- ダウンロード版 5,400円
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
任天堂は、Nintendo Switch用ダイビングアドベンチャーゲーム「FOREVER BLUE LUMINOUS(フォーエバーブルー ルミナス)」を5月2日に発売した。本作はダイバーとなって自由に海中を探索できる「フォーエバーブルー」シリーズの最新作。前作「FOREVER BLUE 海の呼び声」がWiiでリリースされてから15年ぶりのリリースとなる。
本作では、潜るたびに地形や生息する生き物が変わる不思議な海域「ベールド海」をダイビングし、様々な海洋生物と出会うことができる他、生き物と一緒に泳いだり、写真を撮ってたりして楽しめる。また、最大30人でのオンラインプレイも実装されており、ジェスチャーでコミュニケーションをとるといったことも可能だ。
今回はそんな本作のレビューをお届けする。本作が気になる海洋生物好きは是非参考にしてほしい。
様々な生物と出会えるダイビング
冒頭で述べた通り、本作ではダイバーとなって自由に海域を調査することができるのだが、難しい操作は特になく、酸素の容量などといった制限も存在しない。また、サメなどの危険な生物も襲ってくることもないため、文字通り「何にも縛られない自由な海中散歩」を楽しめるのだ。
ダイビングの目的も明確に定められておらず、まだ見ぬ海洋生物を調査したり、遺跡のような場所や沈没船を探しつつマップを埋めたりと、自由に進行できる。1カ所に留まってそこに棲む生物を観察し続けるといったプレイでも全く問題ない。
とはいえ、やはり本作のメインコンテンツは海域に住む様々な生き物だ。本作には500種類以上の生物が登場。普段食卓で目にする馴染み深いマグロやサバ、色鮮やかな熱帯魚やイルカ・亀といった魚以外の生物はもちろん、コイなど海にはいない生物が生息している淡水域も存在。さらには既に絶滅してしまった生物の姿まで見ることもできる。
海中にいる生物は光りのベールに包まれており姿がぼんやりとしか見えないが、注目してスキャンすることで「アンベール」となり光りを吸収し、ハッキリとした姿で観察できるようになる。アンベールした生物は図鑑に登録され、解説を読むことが可能となる。
本作のマップはかなり広いが、少し泳いだだけでたくさんの生き物と遭遇でき、どんどん図鑑が埋まっていく。海に生息する生き物が好きな人ならば、ゆったりと泳ぎながら生き物を眺めているだけでも十分に楽しめる。
なお、本作にはストーリーモードに相当する「調査本部」と、ひとりで自由にダイビングを楽しめる「ひとりでダイビング」、オンラインマルチの「みんなでダイビング」の3つのモードが実装されている。
ストーリーモードはベールド海の謎に迫る物語が展開される他、チュートリアルにもなっているので、まずはこちらをプレイするといいだろう。ストーリーを進めていくと次のエピソードの解禁条件が表示されるので、ソロやマルチでダイビングをして条件を達成、次のエピソードに進むのがオススメの進行だ。
連れ泳ぎやお宝の発見などの要素も
本作ではアンベールした生き物と一緒に泳ぐことも可能だ。魚を引き連れてみたり、イルカと一緒に泳いだり、カニやエビなどを背中に乗っけるといったこともでき、ダイビング中の癒しとなってくれる。
生物には「連れ泳ぎコスト」が設定されており、ダイバーとしてのランクをあげることでより様々な種類の生物との連れ泳ぎが可能となる。ランクは調査や探索を進めていくことで上がっていくので、ランク上げをダイビングの目標にするのもいいだろう。
探索をしていると、海底に沈むお宝や、古代文明の残した石盤を発見できることもある。お宝はどこからか漂流してきたものらしく、コインや海賊の残したものといったものもあれば、どう流れてきたかわからないものまで様々だ。どのお宝もサルベージすることでランクアップに繋がる他、お宝の図鑑も実装されているのでコンプリートを目指してみるのもいいだろう。
一方、古代文明の石盤にはお題が書かれているものもあり、特定の生物を連れてくるように言われる。お題の内容は「大いなる亀の王」といった風に抽象的なものとなっているので、どの生物を連れていけばいいか推理する必要がある。
また、ダイビング中には、「緊急ミッション」が突発的に発生することがある。緊急ミッションは、特定の生物を一定数アンベールする等でクリアできる。謎解きや緊急ミッションはダイビングの中で刺激になってくれるミニゲーム的な存在となっているが、「やりたくなったらやる」くらいの存在に納まっているので、無視して自由に探索を続けても問題ない。自由なダイビングで癒されつつ、たまに目標を設定して精を出すといったプレイができることは本作の大きな魅力の1つとなっている。
オンラインではゆるい繋がりを楽しめる
ソロプレイでも楽しめる本作だが、マルチプレイでは自由度を損なわないまま、ゆるい繋がりでの協力プレイを楽しむことが可能だ。
まず、本作は1つのマップで最大10人(セッションコードを共有することで30人まで増加)でのマルチプレイが可能だが、マップが広いため他のプレーヤーに会うことは稀で、他のプレーヤーに自分の行動が左右されることもないので気楽にプレイできる。
その一方で、マップでのアンベール率や踏破率、緊急ミッションの進行などはマップにいる全てのプレーヤーで共有される他、発見した生物やお宝等に他のプレーヤーにも見える「タグ」をつけることが可能。珍しい生物や遺跡などの場所を全員で共有して、ソロプレイ時よりも効率的に探索や調査を進められる。また、他のプレーヤーと出会うと自動的に「シェアラー」として登録され、そのプレーヤーの場所にいつでもワープすることが可能になるのも探索の助けとなってくれる。
プレーヤー間のコミュニケーションはエモートとジェスチャーのみでチャットなどはない。気を使う必要もなく、手軽な交流を楽しめる。コミュニケーションツールはランクが上がると解放されるので、マルチで効率的に経験値を稼ぎながら、他のプレーヤーに見せたいジェスチャーを見繕ってみるといいだろう。
以上のように本作は、自由にダイビングを楽しみながら海域を探索したり、そこにいる生物を観察したりできる「癒し」のゲームとなっている。ゲームとしての明確な目標はないものの、生物やお宝のコンプリートや、古代の謎を追うことなど、それぞれの目標を設定することができるのでメリハリが効いた、飽きのこないプレイが可能な作品だ。連れ泳ぎや各種ミッション、マルチプレイといった要素も程よい味付けとなっており、ノンストレスで楽しむことができる点も好印象だ。
海やそこに住む生物が好きという方、中でも日々に癒しを求めているという読者に是非プレイしてほしい作品だ。
(C) Nintendo / ARIKA