レビュー
PS5/PC用コントローラー「Nacon Revolution 5 Pro」レビュー
ドリフト現象とは無縁! Naconから“プロ向け”PS5コントローラーが登場
2023年11月10日 00:00
- 【Nacon Revolution 5 Pro コントローラー】
- 12月14日 発売予定
- 価格:38,280円(税込)
1万円を超える“高価格帯コントローラー”の火付け役となったフランスのゲーミングデバイスメーカー・Nacon。2016年の初代「Revolution Pro」は残念ながら日本で販売されなかったが、その後のPS4向けコントローラー「Revolution Pro Controller 2」や「Revolution Unlimited Pro」は日本でも発売され、カスタマイズ性の高さがゲーマーやeスポーツプレーヤーを中心に大きな話題となった。
そんなNaconによる最新コントローラー「Revolution 5 Pro」が来たる12月14日に発売される。本商品は、これまでの「Revolution Pro」シリーズのカスタマイズ性を維持しながら、Naconとしては初めてプレイステーション 5にネイティブ対応。もちろん、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)によるプレイステーション公式ライセンスも獲得しており、PS5との相性は保証されている。
今回は、2023年10月よりNaconとパートナーシップを組み、日本で「Revolution 5 Pro」の販売を手掛ける3gooより海外版サンプルをお借りし、レビューをお届け。ドリフト現象とは無縁の“ホールエフェクト技術”によるサムスティックや、ウェイトからトリガーロックまで高いカスタマイズ性を誇る「Revolution 5 Pro」の魅力を紹介していく。
意外と軽い「Revolution 5 Pro」。ドリフト現象とは“無縁”のジョイスティックを搭載
最初に「Revolution 5 Pro(以下、R5Pro)」の外観やボタン配置を紹介していく。先述のように、「R5Pro」はNacon初となるPS5ネイティブ対応のコントローラーで、SIEによる公式ライセンスを取得。対応機種はPS5はもちろん、PS4やPCにも対応しているので、将来PS5に移行を予定しているPS4ユーザーの方や、PS5とPCを両立しているハイブリッドゲーマーの方でも使うことができる。
「R5Pro」は海外では既に発売されているが、日本では12月14日に発売予定で、カラーはブラックとホワイトが用意される。本稿執筆時点で日本語の商品ページやアプリケーションは公開されていないが、近日中に用意される予定だ。なお、今回お借りしたサンプルは海外版のブラックで、日本でのパッケージとは異なる可能性がある。
パッケージには「R5Pro」が入った収納ケースと説明書、ステッカーが同梱。収納ケースを開けると、遂に「R5Pro」と対面する。ブラックで統一されたコントローラー本体は、スタイリッシュで非常にカッコよく、SIEによる純正高機能コントローラー「DualSense Edge」の近未来的なデザインとは異なるテイストだ。
最初に「R5Pro」を持った印象は「意外と軽い」こと。筆者は普段、PS5でゲームをプレイするときは「DualSense Edge」、PCでゲームをプレイするときは「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ2」を使用しているのだが、この2つと比べると「R5Pro」は軽い。
実際にスケールで重量を比較すると、背面ボタン内蔵の「R5Pro」が309g、「DualSense Edge」が背面ボタンパーツありで334g、「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ2」が背面ボタンパーツありで342gと、25g~33gほどの違いがある。数値で見ると些細な違いにみえるが、長時間ゲームをプレイすると手への負担が変わってくるので、少しでも軽いほうがいいことは確かだ。
次にボタンやスティックの配置を見ていく。「R5Pro」はPS公式ライセンスを取得しているが、PS5標準コントローラーの「DualSense」などとは、左サムスティックの位置が異なる。そのため、操作感はXbox系のコントローラーに近く、XboxやPCユーザーの方はすぐに慣れるだろう。一方、PS5やPS4ユーザーは少し違和感を覚えるかもしれない。
だが、ボタンはきちんと「○×△□」を採用しており、中央にはPSボタンが配置されている。さらに、PS5向けに最適化しているため、タッチパッド右側はオプションボタン、左側にはクリエイトボタンを配置。PS5でゲームをプレイする際は、クリエイトボタンを長押しするだけでスクリーンショットを撮影できる。
「R5Pro」の特徴として、サムスティックに“ホールエフェクトセンサー”を採用している。通常のサムスティックは「ポテンショメータ」と呼ばれる可変抵抗器が使用されているが、これらは使用することで内部の抵抗器が摩耗し、酷使していくとスティックが勝手に動いてしまう現象(通称:ドリフト現象)が発生してしまう。
一方のホールエフェクトセンサーは内部に抵抗器が存在せず、磁力の強さによってスティックの傾きを検知しているため、抵抗器が摩耗することで起きる「ドリフト現象」が発生しない。もちろん、必要以上に力をかけると物理的に壊れてしまうが、通常使用においてサムスティックに不具合が起きることは限りなく少ないはずだ。ちなみにNaconではサムスティックを「ジョイスティック」と呼んでいるが、便宜上、ここではサムスティックと呼ぶ。
側面には、通常のR1・L1ボタンとR2トリガー・L2トリガーのほかに、USB Type-Cポート、有線/無線切り替えスイッチ、マルチファンクションボタンがある。この「マルチファンクションボタン」は様々な機能があり、素早く1回押した後にタッチパッドを操作するとボリュームの変更などができるほか、長押しすることで各ボタンの再割り当ても可能となっている。
背面を見てみると、「DualSense Edge」などと比べ多くのボタン・スイッチが配置されている。まず右グリップ部分にS1・S3、左グリップ部分にS2・S4と呼ばれる4つの背面ボタンを配置。トリガーの付け根にはトリガーロックをかけるスライドスイッチがある。そのほかにも、中央左からプロファイル切り替えボタン、PS5/PS4/PC切り替えスイッチ、カスタム通りのボタン配置となる「アドバンストモード」と既定のボタン配置となる「クラシックモード」を切り替えるスイッチが並んでいる。
さらに、イヤホンジャック付近にはBluetoothに関するボタンが3つ並んでいる。このボタンはコントローラー本体とPS5をBluetoothで繋ぐためのものではなく、このコントローラーとワイヤレスイヤホンなどのBluetoothオーディオ機器を繋ぐためのものだ。PS5にはBluetoothによるオーディオ機器を接続できないため、このコントローラーがトランスミッターのような役割を果たし、手持ちのワイヤレスイヤホンなどを接続できる。
筆者の手は少し大きめなのだが、「R5Pro」を持ってボタン配置が窮屈に感じることはない。また、手のひらに当たる部分はゴム素材でできていて、非常にグリップ感があるほか、コントローラーを握ると自然に中指と薬指がそれぞれの背面ボタンの位置に誘導されるので、非常に押しやすい。一方でバトルシーンで白熱して、コントローラーを握る力が強くなってしまうと、背面ボタンを間違って押してしまう可能性もある。「R5Pro」の背面ボタンは取り外し不可のため、この辺りはユーザーの力加減が問われるだろう。
なお「R5Pro」のグリップ部分には、振動用のモーターが内蔵されているが、このモーターはPS4/PCゲームの時のみ動作し、PS5ゲームをプレイするときは動作しない。ゲームのジャンルによっては振動機能をオフにする方もいるので、モーターを取り外し式にすることで更なる軽量化ができれば面白いのだが、このあたりは今後に期待だ。
ここまで外観やボタン配置などを見てきたが、続いては「R5Pro」が真価を発揮するカスタマイズについて見ていきたい。
トリガーロックからウェイト、スティックのデッドゾーンまでユーザー好みに! 「Revolution 5 Pro」のカスタマイズ
ここからは「R5Pro」のカスタマイズ要素を見ていく。やはりNaconの「Revolution Pro」といえば、高いカスタマイズ性を誇るコントローラーというイメージだが、「R5Pro」はそのカスタマイズ性を継承。収納ケースに同梱されていたプラスチック製の小さなケースを開けてみると、細かなパーツが多数入っている。
まずはサムスティックから見ていこう。「R5Pro」には全3種のスティック付け替えパーツが用意されており、中央部分が凹んでいる標準スティック、中央部分が膨らんでいるソフトドーム、背の高いハードドームが付属している。特に「R5Pro」のハードドームは特徴的な見た目をしており、ゴム部分がとても分厚く非常にグリップ力がある。
また、サムスティックの傾斜角を変えられる金属製のシャフトも付属。シャフト無し、薄いシャフト、厚いシャフトの3段階から選択可能で、厚いシャフトにするとスティックの傾斜範囲を相当狭められるため、より少ない移動範囲でスティックを操作できる。
R2・L2トリガーには、FPSプレーヤーが重宝する「トリガーロック」機能を搭載。「R5Pro」はロック無し(通常状態)とロックありの2段階で、「DualSense Edge(3段階)」などと比べると少ないが、ロックをかけるとトリガーの移動量が1/3ほどになるので必要十分といえる。
方向パッドは、デフォルトで8方向に対応した円形のものが装着されているが、十字型の4方向のものも付属しており、簡単に付け替えることができる。このあたりはプレイするゲームのジャンルや、ユーザーの好みに応じてカスタマイズしていこう。
さらに「Revolution Pro」シリーズの伝統ともいえるウェイトも付属。左右グリップ部分をそれそれスライドさせると、10g、14g、16gの3種から任意のウェイトを装着可能だ。先述のようにコントローラー本体は309gなのだが、装着することで重心の位置が変わり、持ち心地も変わってくる。まさに“プロ向け”の機能の1つだろう。
そのほかにもPS5/PS4/PCと接続する際に、ケーブルレスで快適な無線にするか、遅延を限りなく少なくするために有線にするか選択可能。PS5やPCを問わず、無線で使用する際はBluetooth接続ではなく、付属のUSBレシーバーを使った無線接続となるため、少し注意が必要だ。また、コントローラー本体にマイクは内蔵されていないが、付属の外付けマイクを使うことで、ヘッドセットなしでもボイスチャットが可能となる。
ソフトウェア側のカスタマイズも非常に充実。公式サイトよりPC向けの「Revolution 5 Pro」専用アプリケーションをダウンロードすることで、ハードウェア側ではできない細かな調整ができるようになっている。なお「DualSense Edge」のようにPS5のシステムからカスタマイズはできないが、PC向けアプリを使用することで、PS5/PS4/PCモード全てのプロファイルをそれぞれカスタムすることができる。
まず「R5Pro」をPCと“有線”で接続。そして背面のスイッチからコントローラーをPS5またはPS4モードに切り替え、アドバンスト/クラシックモードスイッチをアドバンストにするとアプリを使用できるようになる。無線ではアプリを使用できないほか、PCに接続しつつPS5モードにするというややこしさはあるが、画面の指示に従えば簡単にアクセスできるはずだ。
「R5Pro」専用アプリは、各ボタンのリマッピングや背面ボタンの設定のほか、サムスティックの応答速度設定、サムスティックの感度を左右するデッドゾーンの設定、R2・L2トリガーの感度設定、サムスティック付け根にあるLEDライティングの変更、バイブレーションの強さなど、各種機能を備えている。設定の幅もとても広く、サムスティックの応答速度はマウスを使ってピーキーな設定も可能だ。
プロファイルは、PS5/PS4/PC各モードでそれぞれ4つずつ保存可能。全12個のプロファイルをローカルで切り替えられるので、いちいち設定変更のためにPCに繋ぐ必要はない。カスタマイズ機能を使用せず、既定のボタン配置で使いたくなった時は、コントローラー背面のアドバンスト/クラシックモードスイッチをクラシックにすることで、デフォルトのボタン配置・設定へ切り替わる。
また、Android/iOS向けの「R5Pro」専用アプリケーションが2024年に配信予定のため、PS5/PS4ユーザーで手元にPCがないという方もカスタムできる。もちろん、わざわざPCを起動しなくても、スマートフォンから気軽に設定変更ができるようになるので、PCユーザーにも便利な機能の一つとなるだろう。
PS5/PCゲームを快適に行き来可能! 「Revolution 5 Pro」の使い心地をチェック
ここからは実際に「R5Pro」を使ってみた様子をお届け。まずはPS5に接続して、様々なゲームタイトルをプレイしてみた。
最初にプレイしたのは、11月2日に大型アップデートが配信されたレースゲーム「グランツーリスモ7」。レースゲームをコントローラーでプレイする際、重要になってくるのはトリガーとサムスティックだが、ホールエフェクトセンサーを使用している「R5Pro」での操作感が気になっていた。結果として、トリガーとサムスティックの感度は非常に良好で、細かな動きまで丁寧に拾ってくれる。それでいて耐久性も高いので、サムスティックを酷使するレースゲームと「R5Pro」は相性がいい。
次は、今年6月にリリースされた「ファイナルファンタジーXVI」を「R5Pro」でプレイ。高価格帯のコントローラーでRPGをプレイする方はなかなかいないとおもうが、「R5Pro」だと「FFXVI」を快適にプレイできる。特に○×△□ボタンが「DualSense Edge」と比べて大きく、押し心地がいいほか、ストロークが深めのため連打しても指が疲れにくい。「FFXVI」のバトルシーンは連打がとにかく必要なので、こういったアクションゲームをプレイする方にも「R5Pro」をオススメできる。
一方で、PS5ゲームをプレイする時に共通するデメリットだが、「R5Pro」にはアダプティブトリガーやハプティックフィードバックといった「DualSense」ならではの機能が搭載されていないため、RPGなどといったジャンルでは没入感が低減してしまう。ゲームの世界観をより味わいたいという方は、標準の「DualSense」と切り替えて使うのも手段の一つだ。
続いては、「R5Pro」をカスタマイズした状態でPC版「Apex Legends」をプレイしてみた。高価格帯コントローラーが効果を発揮するのはFPSゲームという印象だが、「R5Pro」も例外ではなく、そのポテンシャルを存分に発揮してくれる。
やはりFPSゲームで効いてくるのは背面ボタン。筆者は「Apex」をプレイする際、コントローラーの背面ボタンに武器切り替えや回復アイテムなどを割り当てているが、「R5Pro」も専用アプリから簡単に割り当てできる。プレイ時の押し心地もよく、左右の中指・薬指が自然と背面ボタンへ辿り着くので、押し間違いも起きにくい。
PCとPS5で共通する点として、USBレシーバーによる無線接続で遅延を体感することはなかった。筆者宅ではWi-Fiはもちろん、スマート家電やBluetooth機器が多くあり、2.4GHz帯の混線が気になっていたが、杞憂だったようだ。もちろん、無線なので遅延は発生しているはずだが、気になる方は有線での接続もできるので安心していただきたい。
だが、PC版「Apex」で起こる問題として、メニューがXbox表示になることが挙げられる。EA App経由の「Apex」はXboxコントローラーが前提となっているため、メニュー表示がABXYボタンになってしまう。これは「R5Pro」の問題ではなく、同じPS系コントローラーである「DualSense Edge」を接続しても同じ現象が発生するので、そういった仕様のようだ。Steam経由の「Apex」で回避することもできるが、FPSをプレイするときはディスプレイに集中しているので、慣れてくると問題はない。
また、PS5とPC間でUSBレシーバーを差し替えるだけで無線接続ができるというのは非常に便利だ。レシーバーのサイズは少し大きいが、遅延も体感できないレベルのため、安定したゲームプレイが可能となっている。
一方で、Bluetoothを用いた無線接続はできないほか、筆者所有のiPad Air(第5世代)のUSB-Cポートに変換アダプターを介して、USBレシーバーを挿しても動作しなかったため、スマートフォンでは使用できない。このあたりはトレードオフのため、スマートフォンでコントローラーを使用したい方は「DualSense」や「Xbox ワイヤレス コントローラー」など、正式対応しているものをオススメしたい。
欲を言えば、前面のUSBポートがType-Cのみとなった新型PS5にあわせ、レシーバーのUSB Type-C化や小型化も期待したいところだが、発表時期が異なるので仕方ないだろう。なおPS5で使用する場合、推奨されるUSBポートは前面のType-Aポートだが、筆者の環境にて旧型PS5の背面USB Type-Aポートでの動作も確認したので、新型PS5でも同じように動作するはずだ。本日11月10日に新型PS5が発売されるが、既に購入を予定している方も「R5Pro」を検討していただきたい。
幅広いカスタムが可能な「Revolution 5 Pro」。DualSenseからのステップアップやPS5/PC両立ユーザーにオススメ!
ここまでNacon初のPS5ネイティブ対応コントローラー「Revolution 5 Pro」のレビューをお届けしてきた。「R5Pro」はサムスティックの耐久性の向上や、ハードウェアからソフトウェアまで多岐にわたるカスタマイズ要素によって、長時間のゲームプレイを快適にしてくれる正真正銘の“プロ向け”コントローラーだ。
唯一のネックとなるのは、やはり38,280円(税込)という価格だ。だが、PS5とPCの両方で快適に無線環境を切り替えられるため、それぞれで高機能コントローラーを揃える必要はない。耐久性も向上し「Revolution 5 Pro」が長期間使っていけることを考えると、コストパフォーマンスは良好だろう。
そのため、PS5とPCゲームを両立しているゲーマーや、PS5付属の「DualSense」を使用しているユーザーにとって、「Revolution 5 Pro」は魅力的な一台だ。12月発売と手に入るのはもう少し先だが、2023年の自分へのご褒美として、クリスマスや年末年始に「Revolution 5 Pro」で快適なゲームプレイを送ってみてはいかがだろうか。
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