レビュー
「デイヴ・ザ・ダイバー」レビュー
異ジャンルが高レベルで融合。深海探索×寿司屋経営の“ハイブリッド”2D海洋アドベンチャー
2023年6月27日 11:04
- 【「デイヴ・ザ・ダイバー」正式版】
- 6月28日16時 発売
- 価格:2,400円
ネクソンは、同社サブブランド「MINTROCKET」が開発を手掛けるPC用ハイブリッド・海洋アドベンチャー「デイヴ・ザ・ダイバー」正式版を6月28日16時より発売する。価格は2,400円。
本作は、神秘的なブルーホールにダイブして昼は魚を獲り、夜は海辺の寿司レストランで客に新鮮な寿司を提供するハイブリッド・海洋アドベンチャー。2022年10月にSteamにて早期アクセス版がリリースされ、2023年6月時点で97%以上のプレーヤーが「おすすめ」と評価する“圧倒的に好評”の最高評価を獲得している。
6月28日より日本を含む世界中の対象地域で同時発売される正式版では、様々な特徴を持った魚たちや海底ボス、新規キャラクターとの新たなミッションが追加。また、早期アクセス版でプレイできたメインストーリー3章以降の全チャプターが公開されるほか、新たな探索エリアを含む新マップや新システムも実装される。
今回は正式版を発売前にプレイすることができたので、本作の基本的なシステムや、早期アクセス版から追加された新要素などについて紹介していく。
寿司レストランを経営しながら海底ミステリーを解き明かすハイブリッド・海洋アドベンチャー
本作の主人公・デイヴは、知人のコブラからの誘いで寿司レストランの経営に関わることに。潜る度に地形が変化する神秘的な海「ブルーホール」で海洋生物を捕獲し、それをネタにした寿司を客に提供してお金を稼いでいくこととなる。
ブルーホールに潜れるのは朝と昼の2回。夜は寿司レストランが開店するため、店の準備や接客などをこなしていく。寿司レストランで稼いだお金でダイビングスーツなど装備を強化していくことで、より深く、長く潜れるようになり、捕獲できる獲物の種類も量も増えていく。
深海には未知の生物が多数生息し、時にはその生態の調査などを行なうことも。また、ブルーホールには様々な謎が隠されており、古代の海底ミステリーを解いていくという壮大なストーリーも楽しめる。
昼と夜のサイクルという決まりごとはあるが、ゲームの進め方は基本的に自由。豊富なコンテンツをマイペースで進めていけるのも本作の大きな魅力だ。ゲームを進めていくとこれでもか、というくらい様々な機能が解放され、やれることが増えていくので、つい止め時を見失ってしまいどんどん深みにハマってしまう中毒性がある。
装備が重要な海底探索。空気残量、深度は特に注意
ダイビングにおいて重要なのが装備。デイヴは普通の人間なので、海中で活動するにはダイビングスーツや空気タンクなどが必要不可欠となる。本作ではHPや体力といったものはないが、代わりに空気残量が0になるとゲームオーバーとなり、強制的に地上へ戻されてしまう。ゲームオーバーになるとダイビング中に獲得した食材やアイテムは1つだけしか持ち帰ることができず、あとは全てロストしてしまうというペナルティがあるので、空気残量については最優先で気を配る必要がある。
装備にはダイビングスーツや空気タンクのほかにも、獲った食材やアイテムを保存できる積載箱、獲物を捕獲するために必要な銛を発射できるスピアガンなどが用意されており、それぞれお金を支払うことでレベルアップさせ、性能を上げることができる。装備レベルを上げることが結果的にレストランの効率的な発展やストーリーの進行に繋がっていくので、ゲーム序盤はお金が貯まったら積極的に装備をレベルアップさせていくのがオススメだ。
ダイビングに持ち込める武器は銛と銃器それぞれ1種ずつ。銛は酸素タンクなどと同様にお金を支払ってレベルアップさせることができるが、銃器は海中で拾える素材を必要数集めることで製造・アップグレードが可能。ダイビング中に別の武器を見つけた際には装備中の武器と交換することもでき、新しい種類の銃器を船に持ち帰ることができれば条件を満たすことで製造できるようになる。一度製造した銃器は船に設置されているダイバーボックスからいつでも装備できるようになるので、新しい武器を見つけた際には優先的に持ち帰るようにしよう。
食材を獲得するには主に2通りの方法がある。1つは生け捕り、もう1つはその場で仕留めてから持ち帰る方法だ。どちらも最終的には同じ食材になるのだが、生け捕りにした方が得られる切り身の数が多い。獲物はある程度ダメージを与えて弱らせないと捕獲できないものもいるため、生け捕りにするのが難しい場合もあるが、積載箱に入れる際の重量はどちらも同じため、生け捕りのほうが断然お得。また、生け捕りにする際もなるべく傷を付けずに捕獲したほうがより多く切り身をゲットできるので、眠らせることができる特殊効果が付いた武器を使うなど、様々な工夫をして良い状態の食材確保を目指そう。
仕込みが大事なレストラン経営。SNSの評判が繁盛への鍵
ダイビングから一転、夜のレストラン経営は昼間とは全く異なったゲーム性となっている。レストラン経営において大事なのは開店準備。レストランで提供するメニューはダイビングで獲ってきた食材に応じて、どのメニューをいくつ提供するかを自分で決めることができる。
レストランの営業時間は決まっており、用意した料理の数が多すぎると捌ききれず、余った食材は廃棄となってしまうし、逆に少なすぎて営業中に提供するメニューが無くなると、食材が乗っていない海苔巻きを出すしかなくなってしまい、客からの評判が落ちてしまう。このバランスは実際にプレイしながら感覚で覚えていくしかないので、慣れてくるまでは余裕を持って気持ち多めにメニューを用意しておくほうがいいかもしれない。
提供するメニューさえ決めてしまえば、とりあえずレストランを開店することができる。開店後には次から次へと客がやってきて席につき、吹き出しアイコンで注文してくる。料理の注文が入ると画面右端にいるシェフのバンチョが自動的に調理を開始する。営業中にプレーヤーが操作できるのはデイヴのみ。料理が完成したらデイヴをバンチョの元へ移動させ料理を受け取り、注文した客の席へと運んでいく。
料理以外にもお茶やビールといった飲み物を注文される場合がある。飲み物の吹き出しアイコンが表示されている客の元へデイヴを移動させボタンを押すと、飲み物を注ぐ用の画面が表示され、任意のタイミングで飲み物をコップへ注いでいく。一度注ぎはじめたあとに操作を止めてしまうとそこで終了。多すぎても少なすぎても駄目で、適量をしっかり注いであげる必要がある。ジャストな量で注いだ飲み物を飲んだ客は、お会計時に多く料金を支払ってくれるようになる。
客は注文から暫く時間が経過するとイライラしはじめ、注文の吹き出しが下から徐々に赤くなっていく。吹き出しが全て赤に染まると怒りが頂点に達し、店から出ていってしまう。店から出ていった客が注文した料理を運んでいる最中だった場合、その料理は使い道がなくなってしまうので廃棄するしかない。廃棄は時間も食材も全てが無駄となってしまうので、吹き出しが赤くなった客がいたら優先的に料理を運んであげるようにしよう。
最初はデイヴ1人で慌ただしく接客を行なっていくが、ゲームが進むとスタッフを雇うことができる。デイヴ以外のスタッフは営業中に自動で動き、開店前準備の段階で教育を行なっておくことで飲み物を注いでくれるスキルなどを覚えさせることができる。スタッフによって覚えるスキルやステータスが異なっており、優秀なスタッフほど雇うのに高額な金額が必要となる。スタッフは効率良くレストランを営業していくのに非常に重要な存在なので、後々のことを考え、なるべく優秀なスタッフを雇っておきたい。
デイヴは「クックスタ」という現実世界でいうインスタグラムのようなSNSでレストランの宣伝を始める。良い料理提供、良い接客をすると客からいいねが貰え、評価が一定数を超えるとクックスタランクがアップし、新しいメニューを覚えたり、提供できるメニュー上限数が増えたりする。
クックスタの投稿はデイヴの持つスマートフォン端末からいつでもチェックでき、客のコメントに対してこちらからいいねすることも可能。本物のSNS同様にコメントやいいねがつくと通知が来るので、ついつい頻繁にチェックしてしまいがちに。筆者もいつの間にかレストラン営業後にクックスタをチェックするのが楽しみになっていた。
装備を整えメインストーリーを進行。目指すはブルーホール深海部
本作のメインストーリーは、主に考古学者のDr.ベーコンという人物からの依頼を受け、古代魚人族文明の調査を手伝っていくことで進行していく。調査対象となるのはほとんどがブルーホールの深海部となっており、ある程度装備を強化しないと目的地まで辿り着くことさえできない。また、深海部では攻撃的な生物も多数生息するため、武器の強化も必須となる。
メインストーリーをしっかり進めようとするとどうしても多額の費用がかかってしまうため、必然的にレストラン経営を頑張っていかなければならない。本作における食材探しとレストラン経営は、一般的なRPGでいうところの“レベル上げ”に該当する要素と例えればわかりやすいかもしれない。ゲームの進め方はプレーヤーの自由だが、メインストーリーを進めていくにはまずは食材探しとレストラン経営でお金稼ぎ。稼いだお金で装備を強化。装備が整ったらメインストーリーを進める。といった流れが理想かと思う。
メインストーリーではボスなど手強い相手とのバトルなども待ち受けている。ボス戦では相手の弱点を狙ったり、敵の特定動作後の隙をみて攻撃しなければならないなど、少し頭を使わないと勝てないバトルとなっている。戦闘中にヒントが隠されていることもあるので、よく注意しながら焦らず戦っていこう。なお、ボス戦は負けてもすぐにその場でやり直しができるので安心してほしい。失敗しても諦めずに何度も挑戦してみよう。
イベントやミニゲーム、やりこみ要素満載。正式版でさらに追加
本作の基本的なゲームサイクルは上記で紹介したようにダイビング、レストラン経営、メインストーリーの進行となるが、それ以外にもイベントやサブミッション、ミニゲームなど、とにかくやれることがとても多いのがこのゲームの大きな特徴。早期アクセス版ではメインストーリーは3章までしかプレイできなかったのだが、そのほかのやりこみ要素をしっかりプレイしていこうとすると、結構なボリュームを遊べてしまうことに驚いた人もいたのではないだろうか。
正式版ではストーリー3章以降の実装に加え、新たに様々なコンテンツが追加。ゲームの軸となる部分も新たな機能が追加されたりと大幅にパワーアップしてより楽しめるようになっているほか、ミニゲーム、やりこみ要素などもかなり充実した内容となっている。今回、追加要素について全てをプレイできたわけではないが、確認できたものを一部紹介していく。
Farmでは米以外に野菜や小麦も栽培可能に。鶏を飼育して卵もとれる
早期アクセス版では米の栽培が可能だったFarm。正式版では米に加え、にんじん、ナス、にんにくや小麦なども栽培が可能となる。野菜を栽培するには種が必要。種を蒔いたらジョウロで水をやり、時間が経過すると収穫できるようになる。あとは米の栽培方法と同じで、雑草が生えたら抜いてあげ、土の健康度に気を付けながら畑を運用していこう。
また、Farm内では鶏を飼育して卵を獲得することもできるようになる。今回確認できた鶏は全部で3種。鶏は基本的に放置しておくだけで、毎日午前中に卵を産んでくれる。ちなみ鶏には名前を付けてあげることもできる。
大型の獲物もまるごと回収。引き揚げドローン登場
サメなど大型の獲物は生け捕りにできなかったが、正式版では網を仕掛けることで無傷で拘束し、引き揚げドローンで生きたまま回収することができるようになった。引き揚げドローンは1回のダイビング中に使用できる回数に制限があり、レベルをあげることで上限を増やすことができる。網については日中にコブラに話しかけると利用できるコブラショップで購入できる。
変異種を捕獲するミッションが登場
一部の生物で通常とは異なった姿の変異種が出現するようになるミッションが追加。ミッションは変異種を生け捕りにすることで達成となる。変異種は正面からの攻撃が一切効かないなど特殊能力を備えており、捕まえるのは一筋縄ではいかない。万が一仕留めてしまった場合でもまた潜り直せば出現するので、諦めずに何度もトライしてみよう。
バンチョが様々な刺客と料理対決
レストランパートでも様々なイベントが追加。バンチョの元へ様々なジャンルの料理の達人がやってきて勝負を仕掛けてくる。料理対決ではプレーヤーがバンチョを操作し、制限時間内に様々な工程をクリアしていくこととなる。
デイヴが華麗なステルスアクションを決める
追加されたメインストーリーでは早期アクセス版以上の多彩なアクション要素やギミック攻略を楽しめる。ダンボールに隠れて敵に見つからないように進んでいくステルスアクション的なものもあれば、パズルのような仕掛けを解いていくものなど様々。どれもゲーム性が高く、とてもやりごたえある内容となっている。
ダイビングナイフが強化可能に。ツルハシなしで鉱石は採集できる
ダイヤモンドやオパールなど、一部の鉱石は近接武器をツルハシに持ち替えていないと採集することができなかったが、正式版ではダイビングナイフを強化することで、ツルハシ無しでも採集可能となる。ただし、ランクの高い鉱石を採集するためには、それなりのレベルまで強化する必要があるので、最初の内はツルハシにお世話になることも多いかもしれない。
突如始まるリズムゲーム
ゲームをある程度進めていくと、突如として銃器の製造・アップグレードをしてくれるダフの夢の中が描かれるシーンが流れはじめ、音楽に合わせてボタンを押していくリズムゲームがいきなり始まる。ちなみにこれはストーリーとは全く関係はなく、ただハイスコアを目指して楽しむだけのミニゲームのようだ。プレイ後は何故か別のミニゲーム「レアスRUN!」がスマホ端末のアプリに追加され、いつでも遊べるようになった。
まるでたまごっち!?デジタル魚を育てる育成ミニゲーム「ギャオ!」が遊べる
「ギャオ!」は時間経過でどんどん進化するデジタル魚を育成するミニゲーム。一緒に遊んであげたりエサやおやつをあげたりして世話をしていく。時には病気になることもあり、注射を打って治してあげることも必要。夜になると眠るので、ちゃんと電気を消してあげよう。育て方によって様々な生き物へと進化していくようだ。
魚人族の村を高速移動できる騎乗生物「ベルーガ」登場
魚人族の村は広く、目的地まで移動するのが少々大変だったが、村の中を高速で移動できる騎乗生物の「ベルーガ」に乗って楽に移動できるようになった。ただし、ベルーガに乗る度に「ベイ」を請求される。
魚人族の村で遊べるミニゲームに神経衰弱が追加
3章まででも遊ぶことができたミニゲームに加え、新たに神経衰弱が追加。今までのゲーム同様に魚人族の村で使用できる通貨「ベイ」を賭けてプレイすることができる。
“ハイブリッド”は伊達ではない。バランスがとれたゲームサイクルが癖になる
本作の最大の特徴はなんと言っても全く異なる2つゲーム性を一度に楽しめるという点。正直、どちらか1つだけに絞ったタイトルにしてもそれなりにゲームとして成立するんじゃないかと思うほど、それぞれがしっかりと作り込まれており、どちらかがおまけ要素、といったこともなく、しっかりと両方がメインコンテンツとして成り立っている。
また、どちらかをやり込めばやり込んだだけ、もう一方にしっかりと恩恵が得られるようになっており、目標→達成→成長→新たな目標というバランスのとれたゲームサイクルが癖になり、どんどんプレイを続けたくなってしまう。
さらに、ゲームを進めていくとそれぞれのパートで横軸にどんどん新たなコンテンツや機能が追加されていき、最終的には2つのゲーム性どころか複数の要素を含んだ、まさに“ハイブリッド”なゲームといえるタイトルに仕上がっている。
正式版で追加された新要素についてはここで紹介できたのはほんの一部。やり込み要素も格段にパワーアップしているので、1つのゲームを隅から隅までとことん遊び尽くしたいと言う人や、誰にも邪魔されずソロプレイでがっつりゲームを楽しみたい人には特にオススメしたい。
「デイヴ・ザ・ダイバー」正式版はいよいよ6月28日16時より配信開始。早期アクセス版を購入済みの方は続きを、まだ本作を未プレイだという方はこれを機にぜひ遊んでみてほしい。
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