レビュー
「Nintendo Switch Sports」レビュー
世代を超えて誰でも楽しめる! コントローラーを振る直感的操作で遊ぶ爽快スポーツゲーム
2022年4月29日 00:00
- 【Nintendo Switch Sports】
- ジャンル:スポーツ
- 発売・開発元:任天堂
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
- 発売日:4月29日
- 価格:
- パッケージ版(レッグバンド付き) 5,478円(税込)
- ダウンロード版 4,300円(税込)
「Nintendo Switch Sports」の元になった「Wii Sports」は2006年にWii本体と同時に発売された。「Wii Sports」では、Wiiリモコンを野球のバットやテニスのラケットに見立てて振ることで、実際に運動しているかの様にスポーツゲームを楽しめたのだ。当時「Wii Sports」の直感的なわかりやすさ、遊びやすさは画期的で、それまでテレビゲームに馴染みのなかった層にも受け入れられ、世代を超える大ヒットとなった。
2006年にWii本体と同時に発売されてその普及に貢献した「Wii Sports」、2012年10月のWii U発売の1年後にダウンロード版の配信が開始された「Wii Sports Club」に対し、本作はNintendo Switch発売から5年を経て、このGWに発売となる。
今回は、「Wii Sports」プレーヤーであった筆者がシリーズ最新作を触れることになった。私事で恐縮だが、特定健診でずっと「ぽっちゃりしているがメタボではない」と言われてきた筆者は、昨年コロナ禍も相まって予備役から堂々メタボ正規軍入り認定をされてしまった。元々インドア派で運動不足気味、53歳の筆者だが、それでも楽しめた本作の魅力を語っていきたい。
なお、今回は発売前の試遊となったためオフラインモードのみのプレイとなった。
「Nintendo Switch Sports」の購入前、プレイ前に確認すべきこと
本作のプレイに入る前に、パッケージ版とダウンロード版の違い、遊べる環境などを紹介したい。
本作は、Nintendo Switch本体からコントローラー「Joy-Con(ジョイコン)」を分離してプレイするタイトルだ。そのため、Joy-ConとSwitch本体が一体になっているNintendo Switch Liteでは遊ぶことができないので注意してほしい。
また、身体を動かして遊ぶゲームになるため、必ず周囲の安全を確認し、Joy-Conストラップを取り付けて危険がないようにプレイしよう。普段Joy-Conを外して遊ぶことが少ないユーザーは、しまい込んだJoy-Conストラップを探し出しておくといい。ストラップの付け方、取り外し方がわからなくなった場合は、任天堂公式の動画を見るのがオススメだ。
なお、一部モードでは、Joy-Conを太ももに巻きつける「レッグバンド」を使用する。パッケージ版には、レッグバンドが付属するが、ダウンロード版の場合、レッグバンドを持っていない人は別途購入する必要がある。
また、Nintendo Switch本体をスタンドで立てた「テーブルモード」でも1人では遊べるが、2人以上ではプレイできない。本体から離れてプレイすることもあり、やはりテレビやモニターに繋いで遊ぶ「テレビモード」の方がプレイはしやすい。
世代を問わない、手軽に遊べる間口の広い操作感!
本作をプレイしてすぐ感じたのが、立ち上がりの速さ、ゲームを始めるまでのテンポの良さだ。「Wii Sports」も当時ディスクでの起動としては速かった印象があるが、「Nintendo Switch Sports」は電源を入れてソフトを選択し、コントローラーにストラップを繋いでいる間にモード選択画面が映りプレイに進める快適さだ。
そして「Nintendo Switch Sports」ではプラットフォームがSwitchに変わったが、「Wiiリモコン」同様に、コントローラー「Joy-Con(ジョイコン)」を振ってプレイする直感的な操作、わかりやすい楽しさは変わらず受け継がれている。
自分のキャラクーが持つラケットやボールなどの状態に合わせ、実際に手や腕を動かしてコントローラーを振ると、ゲーム内のキャラクターがそれに合わせて動いてくれるのだ。年少者や年配の方など、ゲームに慣れていない人でも非常にわかりやすく遊べるようになっている。
また、初めてプレイするゲームモードでは、実際に動きながら操作方法を学べるようになっている。プレイ方法や諸注意などは画面内で完結していて、説明書を読まずともゲームを安全に楽しめる工夫がなされている。ゲーム慣れしているゲーマーならば当然だが、ゲームに不慣れな人や家族、例えば親戚が集まった時に年配や幼児と遊ぶといった場合にも、説明不要でゲームを始められるだろう。6種類のゲーム中で、「バレーボール」、「サッカー」、「チャンバラ」の3種類は操作方法が別途あるが、基本的にゲームを開始して、遊びながら覚えられるようになっている。ユーザーフレンドリーなソフトの多いSwitch用タイトルの中でもかなり快適で“世代を問わず楽しめる間口の広さ”を感じた。
まず、バレーボールをプレイしてみる。初プレイ時にはどの競技も共通で、まず自分が長く遊ぶ「プレイヤー」か、一時的な「ゲスト」かを選ぶ。ここで、本作から登場したプレーヤーの分身となる「スポーツメイツ」をドレスアップしていくことが可能だ。
「Wii Sports」でも使えたMiiを本体から呼び出すことも可能だが、今回は「スポーツメイツ」を自由に造形してみた。頭身が低くコミカルタッチでデフォルメされたMiiに対し、「スポーツメイツ」は、よりアニメチックで等身の高いデザインとなっている。
「バレーボール」のプレイモードは1種類。2vs2で5ポイント先取制だ。1人プレイの場合、もう1人の味方はCPUになる。
対戦するCPUは「ふつう」→「つよい」→「とてもつよい」から選べる。また、ゲームによって1人~4人までのプレイに対応していて、Joy-Conを用意すればオフラインでも4人で遊ぶができる。
ゲームとしては、基本的にタイミングゲームとなる。サーブ、レシーブ、トス、ブロック、スパイクの技があり、相手の動きやボールの位置に合わせ、タイミング良くJoy-Conを振る。タイミングが合わないと、遅い、速い、と注意が出るので、段々コツが掴めてくる。タイミングがバッチリだとより強いボールを返せる。またプレイしていくと、時折プレイ方法をレクチャーしてくれる。任天堂のゲームらしく、シンプルながら段々と上手くなっていく楽しさがあるのだ。
1プレイは数分で終わり、再チャレンジしたり、別のゲームに移ったり、疲れたらそこでパッと止められる。「今日はとことんをやるぞ!」と、意気込んで望んでもいいが、空いた時間や気分転換したい時にも電源を入れて身体を動かせる気軽さが感じられた。
通常のスポーツゲームでは、指先でボタンやレバーを操作して画面内でキャラクターに行動させるが、本作では手や腕、身体全体を使ってJoy-Conを振り、Miiやスポーツメイツを操作するので、実際に軽い運動をした様な感じになる。夢中でプレイすると、うっすら汗をかき、普段使っていない部分の筋肉が悲鳴をあげて身体を動かした感覚を覚え、心地良い疲労感に包まれるのだ。
バリエーション豊富な6種類の競技で楽しく身体を動かす!
では、発売時点で用意されている6種類の競技を紹介していこう。
バレーボール
本作から登場となったバレーボール。実際の競技では6人制が基本だが、本作では2vs2とビーチバレーに近い大胆なアレンジが施されている。
Joy-Conを下から上へ振ることでボールを打ち上げるサーブ、トスを行ない、上から振り下ろして相手陣地に強くスパイクを打ち込んだりできる。
ボールをお互いの陣地に打ち合い、自陣に来たボールは3回以内に相手の側に返し、床に着いたら負け、というバレーボールのシンプルなルールがわかっていれば、打つ順番などは自動的に巡るのですぐに楽しめる。
1人~4人でプレイ可能で、コンビを組んだり対戦することもできる。ボールを床に付かないように宙に浮かばせ、思い切りスパイクしたり、逆にジャンプして相手のボールを防ぐ「ブロック」をしたり、大きなバレーボールを思い切り手で打ち合う豪快な楽しさが味わえる。
バドミントン
打球の初速が非常に速いスポーツ、バドミントンが本作から登場。実際の競技ではダブルスもあるが、本作ではシングルスのみ、1人~2人で遊ぶ。
Joy-Conを振ることでMiiやスポーツメイツが手にするラケットを動かし、「シャトル」と呼ばれる羽根の付いたボールを打ち合う。シャトルをが床に落ちたら負けとルール的にシンプルなので、大きなアレンジはない。シャトルの羽根の効果で、初速と終速が大きく変わるのがバドミントンの特徴で、ラリーと呼ばれる打ち合いを、タイミングを変えて行なう。タイミングさえ合えば線から出てアウトになることはないので、フワッと浮かせたり高速で打ち込んだりといったプレイが手軽に可能だ。シャトルの速度や軌道を変化させてラリーする、バドミントンならでは動きを楽しめる。
ボウリング
ボウリングは、「Wii Sports」でもやりこみ要素の多さから特にゲーマーには人気があり、過去3作に続いての登場だ。レーンと呼ばれる縦長のエリアの奥に並ぶボウリングの10本のピンに向かってJoy-Conを振り、ボールを転がして倒す。倒れ方で点数が変わり、1度に全部倒すと「ストライク」になる。実際のボウリング同様のルールだ。
1~4人でプレイが可能で、スタンダードレーンと、様々な障害物が設置されるスペシャルレーンが選べるのも健在。スペシャルレーンは「初級」、「中級」、「上級」とレベルがあがる。「上級」はかなり難しく、ゲーマーのやり込み心をくすぐられる。投げるタイミングに加え、ボールを放つ時に手首を捻ったり、上向きに返してスナップを利かせたりしてボールの軌道をコントロールする要素がある。実際に腕を振って大きなピンをボールでなぎ倒すボウリングの爽快感を堪能できる。
サッカー
世界中で人気のサッカーが4作目でついに登場。メジャー競技なだけに、「1vs1」、「4vs4」、「フリー練習」、「シュート対決」と4つのモードが用意され、1~4人で楽しめる。サッカーはレバーで移動したり、ボタンでダッシュやジャンプを行なうので他の競技とはやや趣が異なるが、ボールを蹴る動作ではJoy-Conを振る。また、「シュート対決」では「レッグバンド」を使って、実際に脚を振り上げる動作でボールを蹴ることができる。他の競技に比べややゲーム的操作が多いが「遊びかた」も別に用意されているので安心だ。
「シュート対決」はパスされたボールを交互にゴールに蹴り合うが、他の3つは、フィールドを走り回ってボールをゴールに入れる試合形式だ。フィールドは壁に囲まれているので、ラインアウトせず、スローインはない。キーパーはいないので、攻守に走り回る。オフサイドなど、サッカー特有の細かいルールはオミットされているので、ダッシュしたりジャンプしたりしつつとにかくボールを追いかける。ボールを思い切り蹴っ飛ばす、サッカーらしい爽快感が楽しい。
チャンバラ
「Wii Sports Resort」に続いて登場するチャンバラ。Joy-Conを剣に見立てて、振り下ろすと攻撃、ボタンを押しながら角度を変えると防御姿勢を取れる。1~2人でプレイ可能で、2本先取制。本作では最強の一撃を誇る「カタナ」、エネルギーを溜めたチャージ斬りで一発逆転も狙える「チャージカタナ」、二刀流で豪快な回転切りが壮快な「ツインカタナ」という3種類の剣があり、異種格闘技戦の面白さが加味された。タイミングでの斬り合いに、防御の縦、横、斜めを加えてあるので、読み合いの要素もある。剣を持って振り回して斬り合う楽しさ、防御するゲーム性が味わえる。
テニス
スポーツゲームの定番となっているテニスは、「Wii Sports」、「Wii Sports Club」に続いて本作にも登場する。バドミントン同様、Joy-Conを手にするラケットに見立てて、タイミング良く振ることでテニスボールを打って操作する。
コートと呼ばれる競技場の線で囲われたお互いの陣地にボールを打ち込み合い、直接(ボレー)か、ワンバウンドで返す。2バウンド以上するか、返したボールが直接線を超えてしまうと相手の得点になる。1~4人で遊べるが、2vs2で行なうダブルスのみとなっていて、1~3セット先取制を選ぶ。1人プレイ時はパートナーは自分のクローンで、両方を操作する。と言っても、両者の切り替えはラケットを振るタイミングで自動で切り替わるので難しさはない。コントローラーの振り方、タイミングで、ボレーで打ち返したり、ボールに強弱を付けたり、バドミントンとは違った打ち合いの楽しさがある。
オンラインモードでさらに楽しい! 世界中のプレイヤーと競い合おう!
今回はプレイできなかったが、本作の目玉と言うべき機能がオンライン対戦だろう。フレンドと遊べるほか、世界中のプレーヤーとランダムマッチで競い合うこともできる。ボウリングでは16人でサバイバル対戦、サッカーでは最大8人による4vs4でのマッチも可能だ。さらにオンラインで勝利を重ねていくと種目毎にプロリーグに参加でき、腕前に合わせてE~Aまで12段階のランクで上位を目指していくやりこみ要素がある。
そして遊んで貯まったポイントを使い、競技場のあるショッピングモールなどで「スポーツメイツ」をドレスアップするためのコスチュームや道具を揃えることが可能になる。
家にいながら気軽にスポーツ! Nintendo Switch Sportsの魅力
3週間ほどオフラインでプレイしてみて「Nintendo Switch Sports」は少し時間ある時にパッと身体を動かして遊べる気軽さが最大の魅力だと感じた。座ったままで長時間ゲームをしたり、パソコンで作業をしている読者は多いと思うが、Nintendo Switchに手を伸ばせばすぐに身体を動かして、楽しく息抜きができる。健康のために運動しなくては……とわかってはいても煩わしかったりして中々できないものだが、「Nintendo Switch Sports」なら楽しく遊びながら自然と身体を動かせる。天候に左右されず、室内に居ながらに、運動したと同じ心地良い疲労感を味わうことができる。
また、実際の各競技の要素を絞り込んだり、難しいルールを排除することで、純粋な面白さを抽出し、プレイして単純に楽しいゲームになっている点は、やはり「Wii Sports」の最新作だと感じた。単純な操作でありながらやりこみ要素もあり、オンラインのプロモードで競い合えばさらに熱く楽しめるだろう。
オンラインゲームでの対戦と言うと難しい操作や様々なテクニックを覚えるハードルの高さがあるが、本作では覚える要素も少なく、ランクが細かく分かれていて、文字通り世代を超えて遊べそうだ。さらに、夏にはサッカーで「レッグバンド」を使った対戦が可能になり、秋には7番目の種目「ゴルフ」が無料追加配信される予定だ。
「Nintendo Switch Sports」はNintendo Switchユーザー、ゲーマーならば当然のことながら、このために本体を買う動機になり得る、世代を問わずオススメできるタイトルとなっている。
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