(2014/3/13 01:00)
台湾に本拠を置くPCメーカーMSIは、NVIDIAの最新GPU Geforce GTX 800Mシリーズを搭載したゲーミングノートPC各種を3月13日より発売する。
本機種「GT70」は、特にハイエンドユーザー向けのモデルだ。CPUにSharkbay i7-4800MQを搭載する17.3インチの重量級ノートPCで、GPUにはGeForce GTX 870M、GeForce GTX 880Mのいずれかを搭載でき、今世代のノートPCの中で最高級のゲーミング性能を有する。本稿ではこのうち、評価機に触ることのできたGeForce GTX 870M搭載のモデルをベースに評価をお届けしよう。
ちなみにGeForce GTX 800Mシリーズは、ミドルレンジをカバーするGeForce GTX 850M、860Mでは最新のMaxwellアーキテクチャを採用し、低消費電力と低発熱による筐体の小型化・薄型化をウリとしているが、本製品「GT70」に搭載されているGeForce GTX 870Mおよび880Mは前世代に引き続きKeplerアーキテクチャを採用。Maxwellに比べると消費電力は高くなってしまうが絶対的なパフォーマンスに優れる、という立ち位置のGPUだ。
重厚長大&質実剛健。最高級のゲーミング性能と快適性
本製品「GT70」は重量が3kg程度もあり、最近のノートPCとしては重めだ。申し訳程度の機動性のかわりに、ほぼ全ての最新ゲームでフルHDの快適プレイを約束する高性能を確保。デスクトップPCとくらべても遜色のないレベルの高いゲーミング性能を有し、その他の面においてもゲームプレイの快適性に重点が置かれているのが最大の特徴だ。
【GT70 2PC (Dominator)】
ディスプレイ 17.3インチフルHD(1920×1,080ドット)ノングレア
マザーボード Intel Shark Bay HM87
CPU Sharkbay i7-4800MQ
GPU NVIDIA Geforce GTX870M / 3GB GDDR5
メインメモリ 8GB DDR3
ストレージ 1TB (SATA) 7200rpm
光学ドライブ Blu-Rayディスク
イーサネット Killer N1202 Combo (2×2 a/b/g/n)+BT4.0
OS Windows 8.1 Multi-language
本製品はハード面のこだわりも面白い。まず注目したいのはキーボード部がSteelSeries謹製のゲーミング仕様となっていること。プリインストールされたSteelSeries共通の設定アプリで全キーの機能カスタマイズやフルカラーのバックライト点灯が可能となっている。また、非常に安定したキートップがもたらす打鍵感は良好で、物理的にもハイエンドな雰囲気だ。
ノートPCのキーボードは交換不能な重要パーツであるだけに、きちんとゲーミンググレードのものを搭載しているのは、妥協を許さないユーザーにとって実にありがたい部分と言えるだろう。
スピーカー部分についても同様のこだわりが見られる。本製品ではデンマークのハイエンドスピーカーブランド「DYNAUDIO」謹製のスピーカーシステムを搭載。レイアウト的には限界まで大型のサウンドドライバーを実装しているようで、ノートPCとしては驚くほど重い音が出る。これで音質に満足できなければ無理だ。ヘッドセットか外部スピーカーを使うしかない。
ディスプレイは17.3インチのフルHD(60Hz)。ノングレアタイプのため映り込みが少なく、ゲームの映像に集中できるのがいい。さらに背面にはHDMI 1.4およびmini DisplayPort端子を搭載しているため擬似デスクトップマシンとして使うならマルチモニタ出力も可能であり、D-SUB24ピン端子を加えれば3画面環境の構築も可能だ。
その他、本製品はスペック的にただゲームが快適に遊べるだけでなく、高画質でのプレイ配信、ライブストリーミングも当たり前にこなせるほどだ。そこらのゲーミングPCにできることで、本機種でできないことはほとんどない。
……と言えるくらい、本製品「GT70」は全部入りのゲーミングハードである。ゲーミングノートPCの性能は新しい段階に入ってきたな、と感じさせる。
基本的な性能をチェックするため、ベンチマークも見ておこう。DirectX 11世代の標準的なベンチマーク「3DMark」では現行のゲーミングノートPCの水準を20%あまり上回るスコアを記録した。
特に健闘しているのが、テッセレーションを含む込み入った描画が行なわれる「FIRE STRIKE」テストで、4031というスコアは一昔前のデスクトップPCを凌駕する水準だ。参考までに、2年前のミドルクラス構成に相当するGeForce GTX 560+Core i7 2600K搭載のPCではスコア3044であった。GeForce GTX 800MではDX11機能をフル活用した際のレンダリング性能が大幅に向上していることが結果から見て取れる。
MMORPGのサンプルとして「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」もチェック。スコアは1,920×1,080ドットの「最高品質」で6867、「高品質(デスクトップPC)」とすれば7138と、“非常に快適”のラインをらくらくクリア。恐ろしいことに、この数字はわずか1世代前のデスクトップGPU、GeForce GTX 760を搭載したゲーミングPCとほぼ同等である。
より品質を下げてみると、比例してスコアが伸びる。「高品質(ノートPC)」にて8737、「標準品質(デスクトップPC)」では11838。常時60fpsどころか、外部モニターに接続すれば120Hz駆動も余裕でこなす高性能だ。
アクションゲームのサンプルとして「バイオハザード6 ベンチマーク」でもテスト。こちらも結果はすこぶる良好で、フルHD解像度の最高設定でスコア8261、「とても快適」とされるS評価を獲得。これもデスクトップGPUで言えばGeForce GTX 760あたりに相当するスコアだ。
本ベンチマーク中で最も重くなる、大量のゾンビが変形を開始するシーンでも平均fpsは30を割り込むことがないのは特に大きなポイント。シェーダー負荷の高い、込み入ったシーンで標準以上のパフォーマンスを発揮できる本機のGeforce GTX 870Mなら、どんな最新ゲームでも無理なく動作させられそうだ。