PS3/Xbox 360ゲームレビュー
DARK SOULS II
“絶望”という名の“希望”、再び。
- ジャンル:
- アクションRPG
- 発売元:
- 開発元:
- プラットフォーム:
- Xbox 360
- WIN
- PS3
- 価格:
- 7,800円
- (Xbox 360 / PS3)
- 7,429円
- (WIN)
- 発売日:
- 2014年3月13日
- (Xbox 360 / PS3)
- 2014年4月25日
- (WIN)
- プレイ人数:
- 1人(オンライン時最大4人)
- レーティング:
- D(17歳以上対象)
(2014/3/17 17:20)
“コンテンツのお粥化”という言葉がある。ゲームで言えば、親切丁寧にヒントやガイドを入れて誰でも楽しめる事を追求したあまり、考えたり工夫したりする必要がなくなってしまい、プレーヤーもまたそうした、お粥のように噛まずとも飲み込むだけでいいコンテンツが好みに(不親切=ストレス要素と捉えがちに)なってしまうというものだ。食べたものから得た栄養素で肉体は成長していくが、好みの傾向、心は、触れたコンテンツや環境により育まれていく。
また、コンテンツはいつの時代も消費者の好みに合わせる事を考えるので、そうしたユーザーが増えると制作者もより、お粥のように咀嚼せずとも楽しめる作品を作る事になっていく。そうした連鎖の果てには、ゲームプレイがいつしか作業じみた味気ないものに変容し、“親切だけど面白くない”という悲惨な結末が待っている。
そんな危惧が漂う中に一石が投じられた。「Demon's Souls」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)だ。絶望と虚無に満ちたダークファンタジーの世界を探索するも、待ち受ける理不尽の一歩手前とも言える厳しさにプレーヤーの心は折れそうになる。だが、くじけずに挑めばプレーヤーの人間力の前にいつしかそれは崩れ去る。RPGが本来持っている成長や発見の喜び。噛み応えの塊のような濃厚な味わいは世界中で高く評価された。
その同じ開発チームが手掛けた「DARK SOULS」では世界が区切りなく繋がり、役割を演じる事で報酬が得られる“誓約”という、オンラインで進化したロールプレイの魅力も加わった。発売直後にはネットワークトラブルが起きたのが痛かったものの、その世界のスケール感、これまで味わった事のない新しい刺激に、やはり評価は高まった。アノールロンドにたどり着いた時の高揚を誰もが未だ覚えている事だろう。
そしていよいよ、最新作「DARK SOULS II」が発売された。シリーズで初めてのナンバリングである「II」を冠しているが、世界観とシステムを踏襲しているのみで、前作を知らないといけないという要素は見当たらない。シリーズ未体験の人がこの作品から触れてもなんの問題もない。このレビューでは、前作との違いや新しい要素をまとめつつ、本作の魅力をネタバレなしにお伝えしていこう。
【プロローグ】
過去も未来も、そして光すらも――。
“闇の刻印”は、それが現われた人間から全てを奪うという。
そしてやがて、失くしたことすらも思い出せなくなった者は
ただ魂をむさぼり喰う獣、"亡者"となる。
遥か北の地、貴壁の先、
失われた国、ドラングレイグ。
そこには、人の理を呼び戻す
“ソウル”と呼ばれる力があるという。
その身に呪いを受けた者は
朽ち果てた門を潜り、彼の地へと向かう
まるで、光に惹かれる羽虫のように。
望もうが望むまいが――。
全てを奪う闇の刻印という呪いに蝕まれ、ソウルの光を求め終焉の地へ
人間から記憶も、そして生と死すらも奪う「闇の刻印」。それが現われた者が最後に目指すのが失われた国「ドラングレイグ」だ。プレーヤーである貴方は、謎の老婆たちが告げた言葉の真意は掴めぬまま、この地に足を踏み入れる。そこには苦難と絶望の業火が待っている。まるで、火の光に吸い寄せられ身を焦がす羽虫のように。だが、その苦難の火に絶えうる強さを勝ち得たものには、その先があるのかもしれない。絶望という名の希望が。
篝火同士の転送が最初から可能に
プレーヤーが唯一、心を休められる場所「篝火」。今作では、篝火間を最初からいつでも転送可能になり、エリア移動が非常に楽になった。だが、移動が楽になったとは言えども、難易度が下がったとは言いがたい。移動中の注意不足からくる死が省かれただけで、攻略中のルートの厳しさは、ある意味前作よりも厳しい。
「亡者」の状態が明確なデメリットに
前作「DARK SOULS」から踏襲している、プレーヤーの「生者」と「亡者」の状態。生者から始まり、死亡すると亡者になる。今作では「人の像」というアイテムによって生者の状態を取り戻せるほか、篝火でなくともどこでも生者に戻れるようになった。
特筆すべきは、亡者状態の明確なデメリット化だ。前作においては亡者では他プレーヤーに侵入されることがなく、生者よりもリスクが無い状態になってしまっていた。前作をプレイした人も明確な目的がある時以外は、ほぼ亡者でプレイしたのではないだろうか。それが今作では、亡者であっても侵入されるし、亡者状態では死ぬごとに体力上限が減るようにもなり、最大で50%まで減ってしまう。生者より優れている点は一切なくなった。
攻撃や回避といったアクションの全モーションを刷新。二刀流も
モーションの全てが刷新され、新たな武器の種類も増えている。新モーションは、例えば大型の武器ならば上から重さを活かして振り下ろすといったように、より実用的な動きになっているという印象だ。同時に、そうした新モーションが活かせる広い場所、活かせない狭い場所など、戦うスペースの向き不向きが、よりはっきりとわかるようになっている。
左手武器を受け流し用ではなく、本格的な武器として使えるようになる「二刀流」も実装された。筋力や技量が通常値以上に必要なほか、特定の武器の組み合わせに限られる。防御を捨て攻撃に特化した新しいスタイルだ。また、ステータスにおいても新しい「適応力」という項目が加わるなど、前作からの変化がある。
前作の弱点だったオンライン通信がサーバー方式になり快適に
前作ではサーバーを介さずプレーヤー同士を数珠つなぎにオンラインで繋げるP2P方式を採用していたが、今作ではサーバー方式になった。発売後も順調に稼動していて、存分にオンラインの魅力を楽しめている。ある意味、これが前作より最も優れている点と言っていいかもしれない。魅力ある誓約プレイも、前作以上にスピーディーに大規模に楽しめる。
新たなロールプレイが楽しめる「誓約」。オンラインの快適さから誓約プレイもさらに魅力的に
前作から加わった独特なロールプレイをオンラインで楽しめる「誓約」。誓約とは、特定の存在と約束を交わし、役割を演じるというものだ。例えば、何かを守護する誓約なら、他プレーヤーの侵入があれば即座に召喚され、侵入者を撃退するというプレーヤー同士の戦いになる。
今作ではこの誓約にさらに新しいバリエーションが増えた。公開されているものを紹介すると、
・「青教」
青の守護者によって守られる制約。他のプレーヤーが侵入し襲ってくると、青の守護者が救援者として自動的に召喚される。
・「青の守護者」
青教の誓約者を守る役割になれる誓約。侵入された青教プレーヤーの元へ自動召喚されるほか、侵入を繰り返す罪深いプレーヤーの元へ侵入して撃退する役割でもある
・「血の同胞」
他のプレーヤーの元に侵入する、血に飢えた戦士の誓約。青の守護者の対となる存在だ。
・「太陽の後継」
太陽を信仰し、他者を助ける誓約。金色に輝く召喚サインを持つ。
・「鐘守」
特定のエリアにある鐘を守る誓約。鐘のあるエリアに侵入したプレーヤーがいるとその者の世界に自動侵入するようになり阻止する。
なお、上記の公開されている誓約以外にもユニークなものが存在している。他のプレーヤーの手助けになるものもあれば、攻略の妨害になっているものもあり、よりゲームプレイに深く絡む要素となった。前述のように通信がサーバー方式になり快適になっているので、誓約プレイもがんがん発生する。その楽しさをいかんなく発揮している。
召喚プレイは時間制限式に
仲間となる白い霊体を白いサインから召喚する協力プレイは、前作のような目標達成までずっといられるものではなく、時間制限式になった。サインも、「白いサインろう石」と「小さなサインろう石」と大小が存在し、小さな方は書いたサインも小さく、より滞在時間が短い。ボス戦だけなら小さいサイン、長い道中をお供するなら大サイン、といったようにお互いがシチュエーションに応じて使い分けできるようになっているというわけだ。
なお、召喚は目的を達成しても本来は生者に戻れない仕様のようだ。だが、現在はたまに霊体に戻った時に(目的達成、不達成に関わらず)生者になる事がある。本来の仕様どおりならば、召喚プレイはあくまでソウル稼ぎの手段に絞られていて、生者は人の像のみでなれる貴重な状態ということだろうか。
召喚プレイはボス戦での救済措置と取れる。ボス戦前でサインを出して協力し、自分が生者になったら2人召喚してボスを撃破すればいいからだ。ただ、本シリーズのシビアさが好き、という人はこれを使わないプレイを推奨する。
ゲーム連動WEBサービス「果ての篝火」の統計やFAQは必見必読
ゲーム外の事になるが、公式サイトよりリンクされているゲーム連動WEBサービス「果ての篝火」というものもある。こちらでは、全プレーヤーの統計が公開されていて、累計の死亡数、生者と亡者の比率、装備品の統計など、様々なデータが見られる。
またここにある「よくあるご質問(FAQ)」は、ある程度本作をプレイしてからをオススメしたいが、1度見ておくといい。ネタバレにならない程度に、本作の特徴や要素、前作からの仕様変更などについて解説がなされている。