(2014/3/12 19:00)
「Zoo Tycoon」は動物園経営シミュレーションだ。プレーヤーは動物園の園長になり、様々な動物を配置し、エンターテイメントを充実させ、お客さんを満足させる動物園を目指していく。
本作の最大の特徴は3Dグラフィックスで描き起こされた自分が作った動物園を自由に探索できるところだ。動物たちは姿形に加え、仕草、鳴き声も本物の動物を再現しており、世界の希少動物を間近で見る楽しさを体験させてくれる。遊具で遊ぶ動物を見るのは驚きがあるし、キリンや象にエサをあげる際は大型動物が目の前にいるその迫力を実感することができる。
経営シミュレーションというとハードルが高いイメージがあるが、本作はかなり易しいバランスで、いくつかの基本を学べばどんどん動物園を拡張できる。やり込み派の人は自分で目標を設定して高度なゲームプレイを楽しめるし、設定された目標を期間内に達成するという歯ごたえを感じられる要素もある。なにより、動物と触れあう楽しさ、動物園を見て回る楽しさがある。1人でも、家族でも、様々なユーザーが楽しめる作品だ。
簡単経営、理想を求められる奥深さを持った動物園経営シミュレーション
「Zoo Tycoon」は「チュートリアルモード」、「フリーモード」、「チャレンジモード」、「キャンペーンモード」の4つのモードが用意されている。チュートリアルモードは10個のチュートリアルが用意されており、このモードをプレイすることでゲームの基礎が学べる。フリーモードは資金がいくらでも使え、経営を考えず思う存分動物園の施設を充実させられるモードである。経営シミュレーションが苦手、という人でも本作を楽しめるモードだ。
チャレンジモードでは世界の様々な場所に自分だけの動物園を作ることができる。動物園の運営資金は来場者からの入場料でまかない、満足してもらえる動物園を目指し、徐々に成長させていく楽しさを実感できるモードだ。キャンペーンモードは様々な課題を与えられ、これをクリアしていく。施設や経営状態がめちゃくちゃだった動物園を建て直したり、期間が限られている中目標達成を目指したりという、ゲームとして楽しいモードである。
今回、「Zoo Tycoon」をチュートリアルからプレイして、その後各モードを触ってみて感じたのは、本作はとてもハードルが低く、手軽な作品だ、ということだ。誰でも基本さえ覚えれば動物に快適な環境を提供でき、お客が呼べる。その基本を学んだ上で自分のこだわりを活かしていけるバランスになっているのだ。
では、チャレンジモードを例に“本作の基本”を説明していこう。まず最初は動物を入れる「展示場」を設置する。本作では動物を入れる展示場はサバンナやツンドラ、山岳、熱帯など各環境に合わせたものがセットになっており、メニューから環境を選んで配置するだけで、周囲の施設を繋ぐ道も自動生成される。
次にその環境に合わせた動物を選ぶ。動物は高価なので、最初は資金と相談しながらも、目玉となるものを入れたい。“群れの最低数”にも注意が必要だ。寂しい思いをさせてしまうと、動物の幸福度が下がってしまう。入れる動物が決まったら、「世話用アイテム」でエサのコーナーと水浴び施設を設置、さらに動物用アイテムとして遊具を設置。この3つだけで動物の快適な環境は準備できてしまう。
最初は2種類くらいの動物でスタートさせ、エサ場の補充や、フンの始末などはプレーヤー自らの手で行なっていく。そして来場者のためのトイレや簡単な食べ物施設を設置する。これで小さな動物園はスタートできる。動物の展示場は複数の動物を入れるのが基本で、各展示場にエサと水浴び施設、遊具を設置していけば、どんどん種類を増やしていける。掃除や動物の世話もスタッフを雇って任せることができる。
施設が壊れたり、来場者が何らかの施設を足りないと感じていれば、「お知らせ」で告知してくれるので、その都度対処していけばいい。ユーザーの要望、動物の欲求はゲージでチェックできる。動物園が大きくなり資金も貯まってきたら、動物の着ぐるみや、エサやり、水浴びのショーなどでエンターテイメントを充実させ、小動物や爬虫類、鳥類が入るミニ展示場も準備していく。こうして施設の充実した動物園へと成長していく。
本作は経営シミュレーションとしてかなり手軽な作品だ。展示場は3つのアイテムを置けば動物の基本欲求は満たされるし、客の流れを意識しなければ収益が上がらなくなるようなシビアなバランスではない。お知らせ、そして様々な課題を提示される「チャレンジ」に対処していくだけで、充実した動物園になっていく。誰でも手軽に、かなり凝った動物園が作れるバランスとなっている。
ハードルが低く、誰でも楽しめる「Zoo Tycoon」だが、もちろんやり込み要素もある。「カスタマイズ」を選べば各施設を細かく自分好みにできる。動物園には“格付けレベル”が設定されており、格付けレベルが上がれば新しい動物を買い付けられ、新しい遊具や施設が開発できるようになる。格付けレベルを上げることで自分のこだわりを活かせる道が開けるのだ。
貴重な動物たちを集めた動物園を目指したり、テーマを絞った動物園を作ることも可能だ。さらに“研究”メニューを活用することで、より効率的な経営を目指すこともできる。こだわりのプレーヤー向けの要素もきちんと盛り込まれているのである。
ちなみに「Zoo Tycoon」は2002年にPCゲームとして生まれた「ズータイクーン」の続編にあたる。「動物園を作る」といったコンセプトは受け継いでいるが、ゲーム性なども大きく異なり、パッドでの操作を前提としているところも含め、別物といえる。しかし、動物園を作る楽しさに加え、動物の表現は格段に進化しており、PC版を遊んだ人たちにもおススメしたい。