「Xbox Series X」プレビュー

Xbox Series X

Xbox Velocity Architectureの衝撃! 圧倒的に短くなったロード時間

 ここからがある意味で本プレビュー記事の本題である。Xbox Velocity Architectureのインパクトをベンチマークテストを通じてお伝えしたい。

 今回比較対象にしたのはXbox One Xだ。筆者が約3年前にXbox One Xをレビューした際、フルHDしか出せない旧世代のハードと、4K前提の新世代ハードを同列に並べて比較し、かなり時間を掛けて計測したにもかかわらず、あまり有意な差を伝えられなかった(実際、検証の基準が異なるため差が出なかった)という反省がある。今回は同じ4Kの環境に限定し、より明確な差が出せるようにXbox One Xの時よりさらに徹底的にベンチを取ってみた。

 今回計測したのは、本体の起動、Xbox 360世代のタイトル、Xbox One世代のタイトル、そしてXbox Series X|S世代のタイトルの4パターン。いずれも本体やゲームを起動してから、スタートメニューが表示されるまでを計測。12回計測し、もっとも速い数値と遅い数値を除外し、中間の10回分の平均値を出した。

【Xbox One Xと比較】
比較対象には現行最高峰のスペックを誇る4K世代のゲームコンソールXbox One Xをチョイス

 まずは本体の起動。ここはフルシャットダウン、つまり完全に電源が切れた状態からの起動と、サスペンドからの復帰までの時間の2種類を計測した。

【Xbox本体起動(フルとサスペンド)】

 結果はご覧の通り、Xbox Series Xは通常起動が“通常の3倍”以上速い。Xbox One Xのレビューでは、旧世代のXbox One Sや初代Xbox Oneのほうが速いというレビュワー泣かせな結果が出てしまっただけに本当に速くなるのか半信半疑だったが、ロードも速ければ、プロセス自体も違うような印象で、圧倒的に速かった。もっとも、ゲーマーが日頃利用するサスペンドからの復帰については、0.76秒とわずかな差しか出ておらず、日頃のサスペンド利用についてはそこまで劇的な変化はなさそうだ。

 続いて、Xboxの魅力である後方互換機能によって提供されているXbox 360タイトル。本当は「Crimson Skies」等の初Xboxタイトルも計測したかったが、冒頭で紹介したように、まだ後方互換に対応しておらず、いずれも動作しなかったため、今回はXbox 360世代を代表するタイトルかつヘビー級のタイトル「Alan Wake」、「Bioshock Infinite」、「Fallout 3」を選んでみた。

【Xbox 360タイトル】
「Alan Wake」(2010年、Remedy Entertainment)
「Bioshock Infinite」(2013年、Irrational Games)
「Fallout 3」(2008年、Bethesda Game Studios)

 3年前にXbox One Xで「Alan Wake」を計測した際(下記参照)、初代Xboxより10秒以上速くなったが、今回の計測では、そこからさらに5秒ほど高速化している。「Bioshock Infinite」と「Fallout 3」もそれぞれ5秒以上短くなっており、差は確実にあると言って良いだろう。

【3年前に計測したXbox Oneのベンチ結果(参考)】

 3つ目の検証は、Xbox Oneタイトルの検証。Xbox Series X|S世代は、ローンチタイトルが十分に揃わないことは明らかになっている。このため、1つ前のXbox Oneタイトルがどれだけ快適に動作するかは、購入を検討する上で重要な材料となる。

 Xbox Oneタイトルについては、Microsoft Game Studiosも後方互換の早期対応に力を入れており、「Gears 5」、「Forza Motorsport 7」の2タイトルに加え、直近の大型Xbox Oneである「Tell Me Why」、そしてこの世代の最重量級タイトルといっても過言ではない「RED DEAD REDEMPTION 2」の4タイトルを計測した。

【Xbox Oneタイトル】
「Gears 5」(2019年、The Coalition)
「Forza Motorsport 7」(2017年、Turn 10 Studios)
「Tell Me Why」(2020年、Dontnod Entertainment)
「RED DEAD REDEMPTION II」(2018年、Rockstar Games)

 こちらも起動に続いて衝撃的な結果が出た。サードパーティータイトル(「Tell Me Why」、「RDR2」)で10秒以上、Microsoft自ら最適化を行なったファーストパーティータイトル(「Gears 5」、「Forza 7」)については実に20秒以上速くなっている。

 Microsoft Game Studiosタイトルはとにかく起動が遅いという印象がある。その想いは、PC版「Microsoft Flight Simulator」で頂点に達しているが、それがかなり軽減された。Xbox版「Microsoft Flight Simulator」もそれほどロード時間は長くはならないのではないかという期待が持てる結果だ。

 ちなみに、もっとも驚いたのは、今回唯一のXbox Series X|Sタイトルである「DiRT 5」だ。今回のベンチ結果を見ても分かるように、ゲームの起動時間はどんどん長くなる傾向にあるが、「DiRT 5」は明らかにそれに逆行している。しかも、今回計測した8タイトルの中でもっとも速い。すべてのタイトルでここまで速くなるかどうかはわからないが、ゲーマーにとってはムダといえるロードの待ち時間が劇的に短くなるハードだということは断言できる。

【Xbox Series X|Sタイトル】
「DiRT 5」(2020年、Codemasters)