「あつまれ どうぶつの森」レビュー・マルチプレイ編

あつまれ どうぶつの森

期待のスケールを大幅に超える楽しすぎ要素満載なマルチプレイに密着!

ジャンル:
  • コミュニケーション
発売元:
  • 任天堂
開発元:
  • 任天堂
プラットフォーム:
  • Nintendo Switch
価格:
5,980円(税別)
発売日:
2020年3月20日

 あなたは「どうぶつの森」シリーズを遊んだことはあるだろうか。3月20日に発売される「あつまれ どうぶつの森」はコンシューマーゲーム機としては実に約7年ぶりの新作である。本シリーズのプレイ経験がない人にとっては遊びやすく進化しつつ、「たぬきち」のちょっと強引なところは相変わらずで、つりをするとお金にならないスズキばかり釣れるところは健在。

 おなじみのシステムを踏襲しつつ、家にいても外出先でもゲームが楽しめるというNintendo Switchの強みを活かして、マルチプレイにも様々な工夫が組み込まれた。今回のレビューではシリーズを遊んだことがある人も、ない人も楽しめるように大きく進化した本作のマルチプレイ要素について深く掘り下げてゆく。なお、ソロプレイに関しては別口で記事を取り上げているのでそちらを参照して欲しい。

 まず最初に「あつまれ どうぶつの森」におけるマルチプレイの種類を紹介する。本作は複数台のSwitchを用いた「1人1台タイプ」のマルチプレイと、人数分のJoy-Conを使った「1台共有タイプ」のマルチプレイという2種類の通信方法が用意された。以下の記事で丁寧に説明しているので、詳しくはそちらを参照して欲しい。

1つの島に最大で8人のプレーヤーが集まってワイワイ遊ぶことができる。そのためには複数のSwitch本体とソフトが必要になる

1画面で相談しながら島を発展! 「1台共有タイプ」のマルチプレイの楽しさ

 1台のNintendo Switchを用いたプレイでは、その同じ島で暮らしている人を、たぬきちから貰った(持たされた)スマートフォンで呼び出す。1人がリーダー、それ以外のプレーヤーがフォロワーとなり1画面の中で複数のキャラクターが動き回る。カメラはリーダーを中心とした動き方になるため、フォロワーはそれについて行くような形だ。

ちなみに1人目は島の名前を決めたり、たぬきちに課される様々なミッションがあるが、2人目以降はかなり省略されるため、「住人呼び出し」は2人目が島にやってきたらすぐに始められる
フォロワーが拾ったアイテムや捕まえたムシやサカナはリサイクルボックスに入れられる。序盤はアイテムを案内所で買い取ってもらうため、ボックスからアイテムを回収して売るという流れがスムーズにできるのもポイント

 従来のマルチプレイと同じようにつりやムシ取りなど、様々なアクティビティを楽しめるが、筆者がこの遊び方でイチオシするのは無人島の模様替えだ。本作では家具が家の外にも配置できるようになったほか、「島クリエイター」に任命されることで河川を削ったり、滝を作ったりする事もできてしまう。1台のSwitchを使ったプレイは同じ島に住む人と一緒に遊ぶことになるため、よりよい島づくりを協力しながら楽しめる。ざっそうの駆除、お花の水やり、木の間引きなどなど、広大な無人島の整備も協力することで、あっという間にこなすことができる。

 このマルチプレイの注意点として、主にリーダーしかアイテム欄を開くことができない。そのため、アイテムの受け渡しがやや不便に感じるかもしれない。ここに対する回答として、手軽に「リーダーをチェンジする機能」を組み込んでいる。切り替えは非常に簡単で、スマートフォンを開いて「リーダーの切り替え」を選択、もしくはJoy-Conを振るだけでも手軽にリーダーがチェンジできる。ここ専用と思われる手を振るモーションも用意されているため、ちょっと試してみたくなるのも見事だ。

リーダーを切り替える際のモーションも用意されており、キャラクターが非常にかわいらしい動きをとる

おでかけすることでたくさんの新たな発見アリ! しっかり楽しい「1人1台タイプ」のマルチプレイ

 こちらのマルチプレイは持ち寄ったSwitchの画面を見ているため、別々の視点となる。そのため自由に人の島を歩き回ることができ、アイテム欄も別々。ふた手に分かれて資材集めなどが行なえるところは「1台共有タイプ」のマルチプレイより自由度が高い。

 筆者がなにより感動したのは家具やどうぐをプレゼントできるという点。これはシリーズおなじみのシステムで、前作もどうぐのプレゼントは可能だ。しかしながら、本作からは新たなキーアイテムとして「たかとびぼう」と「はしご」が登場した。簡単に説明すると、「高飛び棒」は河川を越えて対岸へと飛び移ることができ、「はしご」は崖の上に登ることを可能にしてくれるアイテムだ。

 これらのアイテムはゲーム開始から数日は入手できない。そのため、広大な無人島にやってきても最初のうちは河川の向こう側や、崖の上には行けないため、もどかしい思いをする。対するマルチプレイではアイテムの受け渡しが可能であるため、友達や家族にプレゼントしてもらうことで序盤から行動範囲が大きく広がり、資源集めがめちゃくちゃはかどる。

無人島のマップの例。どの島も陸と陸が河川で遮られているため序盤は向こう側へと行くことができない。
「たかとびぼう」がないと越えられない河川
「はしご」がないと登れない崖

 実は、編集部でマルチプレイを試してみた時点で筆者は「はしご」を持っていなかったため、まだ崖には登れなかった。「もしかしたら『はしご』をクラフトしてプレゼントできるのでは」という疑問から、もう1人の担当が「はしご」をその場で作って、プレゼントしてもらい筆者感動! しかもバッチリ使えた! 崖の上には最初からお花が咲いていたり、かせきが埋まっているのが崖の手前からちょっとだけ見えていた。行動範囲が大きく広がる感動を味わうことになったのだった。

 このようにやり込んでいる人が、やり込んでいない人にアイテムをプレゼントしたり、「もくざい」や「いし」などの資材を分け与えることができる。この感じは「どうぶつの森」シリーズの醍醐味ともいえる点で「やっぱ協力型のマルチプレイはいいなぁ」と改めてこの記事を書きながら思っている。

崖の上のアイテムを取ってもらうことも可能だ

 ちなみに、サカナやムシを直接あげることはできないが、例えば友達同士で相談して北半球と南半球を逆にすることで、自分の島には居ない生き物を友達の島で手に入れることなどもできる。これまでの作品でもマルチプレイをすることで生まれる楽しみが用意されていたが、いままでの作品以上にマルチプレイで遊ぶ楽しみが感じられた。

友達同士で相談して北半球と南半球を逆にすることで、自分の島では捕獲できない生き物が友達の島で手に入る。これまでの作品でもマルチプレイをすることで生まれるメリットが用意されていたが、いままでの作品以上にマルチプレイを遊ぶメリットが感じられた。

 筆者も発売前に遊ぶ機会を得たのだが、「どうぶつの森」の新たな要素に驚きつつも、内心は「まぁ、マルチプレイはそんなに進化していないのではないか」と高をくくっていた。しかしながらローカルマルチで遊んでみると超~絶楽しい。今までシリーズを遊んできた人と「あそこも進化したよね」とか「ココがすごい」というポイントを話し合う会話が尽きない。実際にプレイしながら無限に遊べてしまうということを改めて実感した。大切なことなので繰り返すが、めちゃくちゃおもしろいので安心して欲しいと言うことを念押ししておく。

「あつまれ どうぶつの森」では最初に移住する無人島を北半球にするか南半球にするかを選択できる。本作の発売日は3月であるため北半球を選ぶと季節は春だが、南半球を選ぶと秋になる。季節によってムシやサカナの種類が変化するほか、イベントも異なる
今回筆者は試しに南半球でプレイしてみたのだが、発売日の3月は南半球では秋にあたる。そのためサメなどの高級魚がじゃんじゃん釣れて、効率よくベルを稼ぐことができた!
上がもう1人の担当の島で、下の画像が筆者の島。編集部でマルチプレイで遊んだ際に、自分の島とのざっそうの生え具合の差に驚愕。筆者はつりばかりしていたため、島の環境に関してはほとんど手つかずだった。お出かけする際に飛行機で高いところから綺麗に整備された島を見て「あぁ、製品版が出たらまず最初に島を整備しよう」と心に決めた筆者であった

SNSを使った見ず知らずの人とのプレイも楽しい! オンラインマルチも充実

 インターネット通信の「おでかけ」では、Switch本体でフレンド登録をしていない見ず知らずの人とも遊ぶことができる。その際に活躍するのが「パスワードを作る」機能だ。これは遊びに来てもらう側がパスワードを設置した後、遊びに行く側がそのパスワードを入力することでその島へと遊びに行くことができるというもの。これにより、不特定多数のプレーヤーが自分の島に入ってくることを防いでくれる。

このパスワードは一時的なもので、通信を終了すると変更される。そのため、以前遊んだ人が過去のパスワードを利用して再び入ってくるということはない

 また、本作では自分の島を訪れるプレーヤーの「スコップ」と「オノ」の使用は制限されており、勝手に木を切り倒したり、作り上げた景観をこわされたりすることがないようになっている。ただ、特定のプレーヤーを「ベストフレンド」に設定することで、そのプレーヤーは「スコップ」と「オノ」が使用できるようになるので、一緒に島づくりを楽しむことができる。

ベストフレンドは「スマートフォン」にて設定できる
オノやスコップのが使えるのはベストフレンドのみ

期待を裏切らない「あつまれ どうぶつの森」の完成度

 本作においてオンラインは「1人1台タイプ」のマルチプレイと、人数分のJoy-Conを使った「1台共有タイプ」のマルチプレイが用意され、本記事では取り上げていないが、1人で遊ぶソロプレイでも「どうぶつの森」の世界観を遊びつくすことができる仕上がりになっている。プレイ前はオンライン状態でしか遊ぶことができず、電車や外出先では遊べない仕様になってしまうのではないか、と少し心配していたのだが、「あつまれ どうぶつの森」はそんな心配をかき消すかのような完成度の高さで、オンラインでもオフラインでも余すことなく本作の世界に浸ることができる。

 マルチプレイをフル活用して友達や家族とせっせとお金を稼いだり、ゲームと全然関係のないことを話しながらどうぶつたちの世界で時間を過ごすのも良し。自分とどうぶつだけの世界で好きなように島を作りこんだり、ゆったりと流れる時間の中で仕事や嫌なことを忘れてゲームに浸るのもいいと思う。「あつまれ どうぶつの森」の世界で自分好みの楽しみ方を是非とも見つけてほしい。

余談だが記事冒頭で触れた「スズキ」、なんと本作では「まめきち」が400円で買い取ってくれる! 「とびだせ どうぶつの森」と比較するとなんと買取価格が2倍に
移動中のロード画面も非常に凝っている
お出かけした際のどうぶつたちの反応も楽しめる