「ウォーハンマー:Chaosbane」レビュー
ウォーハンマー:Chaosbane
狂信と殺戮に満ちた混沌の世界で、モンスターを狩り尽くせ!!
- ジャンル:
- アクションRPG
- 発売元:
- オーイズミ・アミュージオ
- 開発元:
- Eko Software
- プラットフォーム:
- PS4
- 価格:
- 7,800円(税別)より
- 発売日:
- 2020年1月30日
2020年1月30日 00:00
オーイズミ・アミュージオは、1月30日にPS4用アクションRPG「ウォーハンマー:Chaosbane」を発売する。ウォーハンマーシリーズ初のハクスラゲームとなる本作では、プレーヤーは4種類のキャラクター(クラス)から1人を選び、ダンジョンに潜って装備品を入手→自身を強化→モンスターを倒す→さらに強力な装備品を入手……という繰り返しで物語を進めていく。ハクスラのジャンルといえば「ディアブロ」が有名だが、本作はハクスラ要素のみならず、ウォーハンマーの独特な設定や世界観、高い完成度のシナリオも非常に魅力的な一作だ。
そもそもウォーハンマーとはイギリスの会社「ゲームズワークショップ」が展開する「ミニチュアボードゲーム」のシリーズで、プレーヤーは駒にあたるミニチュアを組み立てて軍隊を作り、互いにテーブルの上などで戦わせ、勝敗を競い合う。全世界でもトップシェアを誇る本シリーズは、その作り込まれた設定が人気を博し、テーブルトークRPGやカードゲーム、テレビゲームと、様々なコンテンツでも展開。シリーズとしても、終末が迫る剣と魔法の世界を描く「ウォーハンマー ファンタジーバトル」やSF世界の戦争を描いた「ウォーハンマー40,000」などの幅広いジャンルがあり、今回発売される「ウォーハンマー:Chaosbane」は前者の「ファンタジーバトル」の世界観を基にしたアクションRPGとなっている。
と、ここまで長々と語ってしまったが、実は執筆を引き受けるまで筆者はウォーハンマーはおろか、ディアブロも未プレイという体たらく。誠に恐縮ではあるが、今回のレビューでもゆとりゲーマーの名に恥じない初心者中の初心者として、本作の魅力(狂気)あふれる世界観やハクスラゲームとしての面白さについて存分に語っていきたい。
混沌の軍勢との戦いを描いたダークファンタジーの世界観に震える!
本作の舞台となるのは、混沌の軍勢との絶え間ない戦いが続く世界。物語は、エンパイア帝国に平和をもたらした英雄マグナスが悪しき魔法使いに呪いをかけられたことから始まる。
プレーヤーはマグナスの側近の1人として呪いをかけた張本人の行方を追い求めることになる。「ウォーハンマー ファンタジーバトル」の世界観をベースにした本作では、人間の他にもエルフやドワーフ、オークなど様々な種族が登場。さらに、異次元である「混沌の領域」に君臨する暗黒の四大神が、現実世界を我が物にせんと、その尖兵としてモンスターや暗黒神に魅入られた狂信者たちを利用して争いを引き起こす……。
本作は紛うことなき「ダークファンタジー」である。全編にわたってBGMは重々しく、拠点となる街も含め、潔いほどに明るいテンポの音楽は1つもなし! ダンジョンで遭遇する人間は狂信者だらけでプレーヤーを全力で殺しに来るし、ダンジョン自体のデザインも結構グロテスク! シナリオもなかなかにハードな展開が続くため、プレイが進むにつれ「あっこれ、マジで最後までどんよりムードで進んじゃうやつ」と気づいた筆者は、やがて暗黒神に魅入られたがごとく、強い装備品を求め、血を血で洗う殺戮の日々に昏い喜びを見出すようになった。
ハクスラゲームといえば、物語性よりもアイテム集めやキャラ強化といったゲーム性に重きが置かれる印象があったが、本作に関して言えばシナリオの完成度もかなり高い。特に印象的だったのは中盤で訪れる「プラーグ」の街でのイベント。詳細は避けるが、息子が行方不明となったNPCのゴルチェフが、復讐に取りつかれて更なるどん底に突き落とされるシーンがある。テキストベースの会話は淡々としていながらも、それが却って陰鬱さを浮かび上がらせ、言葉どおり救いようがない結末にプレーヤーは狂信者の恐ろしさを思い知る。まさにダークファンタジーの名に相応しい鬱屈した展開に、筆者の心は否応なく躍ってしまったことを告白したい。これですよ……ダークファンタジーは、こうでないと! 元々ウォーハンマーについては無知の筆者だったが、その作り込まれた狂気の世界に魅了され、気づいたら本編クリアまでグイグイ進んでしまった。敵キャラはどいつもこいつも生贄にご執心で狂ったセリフを吐き、NPCはどこまでも虐げられる。和製ファンタジーの世界に慣れ親しんでいる方ほど本作の禍々しくも重厚な世界観とシナリオに衝撃を受け、いつの間にかドップリとハマること間違いなしだ!
なお、今回のレビューでは、ウッドエルフの斥候として活躍する「エレッサ」を主人公に選んだため、以降は主にエレッサを使用してのレビューとなることを予めお断りしておきたい。ちなみに彼女を選んだ理由は遠距離から安全に攻撃したいという、至ってゆとりゲーマーらしいチキンな発想からだったが、高威力の罠は敵を一網打尽にしやすく、かつ固有アクションのおかげで敵の攻撃を避けやすかったため、期せずして初心者にはお勧めのキャラとなった。とはいえ、どのキャラでゲームを始めてもセリフ以外は同じ流れで進むので、ぜひいろいろと試してお気に入りのキャラを見つけてみてほしい。
メリハリの効いたバトル(殺し合い)が楽しい!
大量に湧き出るモンスターとの爽快バトル
本作はいわゆるディアブロライクなゲームであり、ダンジョンに潜って自己強化を図りつつ、邪悪なモンスターたちを倒して先に進み、さらに強力なアイテムを入手して自己強化、という流れが基本となる。ひとたびダンジョンに潜れば多種多様なモンスターに狂信者たちが群れを成して襲ってくるので、キャラごとに固有のスキルを駆使して片っ端から返り討ちにしてやろう!
難易度「普通」でも、ボス以外のモンスターはサクサク倒せるため、体感的にはかなりストレスフリーでハクスラを楽しめた。攻撃のモーションや当たったときの効果音も気持ちが良く、範囲スキルで敵をまとめてなぎ倒せたときの快感は病みつきになる中毒性があり、敵を問答無用で殺し回る筆者のほうがよっぽど邪悪じゃないか?と思ってしまうほどだ。
なお本作のスキルシステムでは、レベルアップのたびにスキルポイントの上限が増え、総スキルポイントの範囲内で各種スキルをセットできる。強力な上級スキルはセットにより多くのポイントを必要とし、攻撃時にエネルギーを消費する一方で、基本スキルは少量のポイントでセットでき、攻撃を当てるたびにエネルギーを溜められる。そのため、所有する総ポイントの範囲内でスキル構成を考えること自体が楽しく、メリハリが効いたプレイを可能にしている点にも注目だ。
止め時が見つからないハクスラ要素
敵の落とす戦利品や宝箱から入手するアイテムは、同じ名前のものでも効果やステータス補正値が異なるため、より強力なアイテムを探すこともモンスターを倒すモチベーションになる。マップ上に落ちたアイテムは色付きの名前が表示されるため、レアリティが一目でわかるのもありがたい。本作では難易度を上げると戦利品の入手率も上がるので、あえて「難しい」にして挑むのも一興だ。装備品はキャラの見た目が変わるだけでなく、同じ名前のシリーズで身を固めるとセット効果も付くため、お気に入りのセットになるまでハクスラを楽しもう!
位置取りが重要になる迫力満点のボスバトル
ザコ敵とのバトルでは湧き出る敵をサクサク倒す爽快さが目立ったが、ボス戦になるとやや趣きが異なってくる。各章の終わりに待ち構えるボスは、いずれも巨体に似合わず多彩でド派手な攻撃を繰り出す。ボスも大量のモンスターを召喚するが、こちらがザコ敵を処理している間にもトリッキーで一発が重い攻撃を次々に仕掛けてくるため、的確な位置取りで攻撃を避けることが重要だ。敵の攻撃パターンを見極めながら戦うボス戦は本作の醍醐味でもあり、各章をクリアすれば再戦が可能なので、スキル構成を変えて何度でも挑めるのも地味にうれしいところだ。
力を合わせて進む、協力プレイの楽しさ
初代「Diablo」はオンラインプレイの楽しさを広めたタイトルとしても知られている。ハック&スラッシュのゲームの場合、時には協力し、時には競い合うオンラインは重要なゲーム要素である。
「ウォーハンマー:Chaosbane」は、オンラインのみならず、オフラインでも最大4人の協力プレイが可能である。コントローラを持ち寄れば、皆でプレイが可能なのだ。ファミコン時代を思い出させる「家での協力プレイ」もできる。皆でワイワイ進む戦いは、本作の新しい魅力を教えてくれるだろう。今回は本作が発売前のため、オフラインでの協力プレイを楽しんでみた。
コントローラを繋ぎ、プレーヤーを追加すればいつでも協力プレイが可能だ。今回は序盤から一緒に兵士と魔道士でプレイしてみた。兵士が敵を引き受けて魔道士が支援する。この戦い方でかなり楽に戦えた。シングルプレイでは使い勝手が難しい魔道士の瞬間移動のスキルも、兵士にターゲットを向けさせる使い方をすればかなり有効に戦えた。
宝箱からアイテムが出てくる場合は戦士用、魔道士用に自動的に振りわけられるためアイテムの取り合いもない。オフラインプレイの場合画面分割ではなく常に同一の画面で戦うため、「こっちへ行こう」、「あそこを探してみよう」など声をかけてのプレイが基本となる。こういったプレイも楽しい。ぜひ友人を招待して体験して欲しい。
オンラインの場合はホストを立て他のプレーヤーの参加を募ることも、他のプレーヤーのセッションに飛び込むことも可能。シングルプレイとひと味違う体験ができる。協力プレイも「ウォーハンマー:Chaosbane」の大きなセールスポイントなのである。
クリア後も終わりが見えない!?やり込み要素の数々!
本作はメインストーリーをクリアした時点でもある程度のスキルはレベルアップで覚えるが、処分した装備品の数に応じて覚えるスキルや、クリア後に挑める「侵略」クエストでしか入手できないスキルもあるなど、コンプリートを目指すなら、まだまだ道のりは長い。また、ゴールドを消費して行なえる「遺物狩り」を利用すれば、ランダムマップでレアリティの高い戦利品が入手できるので、納得いくまでやり込むのも一興だ。前述の侵略クエストなど、クリア後のコンテンツは難易度がかなり高いので、より良い装備品を入手して自身を強化しつつ、どうしてもクリアできないクエストはローカル、オンラインを問わず、他のプレーヤーと協力して乗り切ろう。
そうこうしているうち、本作の世界に存分に浸った頃には、オリジナルのウォーハンマーシリーズにも興味が出てくるはず!精巧なミニチュアの魅力をはじめ、本作では語り切れなかった設定や世界観がまだまだ広がっているので、これを機にハクスラ沼だけでなく、世界中で大人気のウォーハンマー沼にもどっぷりとハマっていただければ、筆者としても本望だ。
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