【特別企画】
「ウォーハンマー:Chaosbane」の根幹を成す、ミニチュアゲームってどんなもの?
ゴリゴリのモンスターミニチュアを並べて戦う、「ウォーハンマー」の魅力
2020年1月28日 00:00
オーイズミ・アミュージオが1月30日に発売するプレイステーション4向けRPG「ウォーハンマー:Chaosbane」は、ダークなファンタジー世界を舞台にしたハック&スラッシュRPGだ。うじゃうじゃと群れを成して襲いかかってくるモンスターをなぎ払いお宝をゲットし、装備を更新、さらなる戦力で突き進む。その爽快感のあるゲーム性は強くオススメできる。
この「ウォーハンマー:Chaosbane」をさらに楽しめるのが“原作の知識”である。「ウォーハンマー:Chaosbane」は、英国ゲームズワークショップのミニチュアゲームである「ウォーハンマー」シリーズがベースとなっている。ミニチュアゲームとはその名の通りプレーヤーがモンスター達のミニチュアを並べ、戦いを繰り広げる。
敵味方合わせて100体以上のミニチュアをずらりと並べ、メジャー(巻き尺)で距離を測り、サイコロで攻撃を判定し戦闘を進めていくのである。「ウォーハンマー」はミニチュアゲームとしては代表的な存在であり、様々なシリーズが展開している。今回はミニチュアゲームの「ウォーハンマー」シリーズ、特にファンタジー世界を扱う「ウォーハンマー:エイジ・オブ・シグマー」を取り上げ、そのエッセンスが「ウォーハンマー:Chaosbane」にどう活かされているかを語っていきたい。
原作付きゲームの大きな魅力はその重厚な世界観だ。「指輪物語」や、「クトゥルフ神話」、「スター・ウォーズ」さらには「機動戦士ガンダム」など、原作があるゲームは登場するキャラクターや世界観がすでに他の作品で掘り下げられており、ファンの求めるイメージがある。原作付きゲームはそのイメージを守りながらゲームならではの新しい解釈を加える事で、原作ファン、ゲームファンに強く訴えかける作品となるのだ。
なお、「ウォーハンマー」シリーズは日本でもいくつかゲームズワークショップの直営店があり、ここでゲームの説明を受けることができる。ミニチュアをずらりと並べた姿は圧巻で、興味を持った人はぜひ店舗を訪れて欲しい。
ミニチュアを並べて戦いを繰り広げる「ウォーハンマー:AOS」
「ウォーハンマー」は、現在、エルフやオーク、ドワーフなどが登場する中世ファンタジー世界を舞台にした「ウォーハンマー:エイジ・オブ・シグマー(以下、「ウォーハンマー:AOS」)」と、ファンタジー世界の住人達がパワードスーツを身にまとい、戦車やヘリで戦いを繰り広げるSF世界「ウォーハンマー40,000」の2つで展開している。
「ウォーハンマー」シリーズは元々は1983年に誕生した。欧米ではTRPGなどでメタルフィギュアが使われているほか、シミュレーションゲームでもフィギュアが使われていたが、「ウォーハンマー」はイラストや物語の中で描かれるような軍隊がぶつかり合う戦争をフィギュアで再現しようというスケール感、そして緻密な世界観でヨーロッパを中心に人気を博した。特にヨーロッパではボードゲーム、ミニチュアゲームが人気だが、「ウォーハンマー」は確固たるファンを獲得し、大きく発展を続けている。
そしてそのゲームの人気はテーブルトークRPG「ウォーハンマーRPG」のように派生し、「ウォーハンマー」の世界観を活かしたアクションゲームやMMORPGなども発売された。今回の「ウォーハンマー:Chaosbane」もその1つというわけだ。「ウォーハンマー:Chaosbane」はファンタジー世界である「ウォーハンマー:エイジ・オブ・シグマー」をベースにしている。
「ウォーハンマー:AOS」は、“ミニチュアゲーム”である。その名の通り、プラスチック製のミニチュアフィギュアを使って遊ぶ。遊ぶためにはミニチュアセットが必要で、豪華なセットだと2万円ほど、シンプルなものなら数千円で買える。
各フィギュアは「秩序」、「混沌」、「死」、「破壊」の4つの陣営に属している。身体が腐敗した恐ろしい怪物を率いる混沌や、厳めしいオーク達が多い破壊などはおどろおどろしいフィギュアばかりだが、秩序もギラギラと光を放つ鎧に身を包んだ狂戦士など負けてはいない。全体的に恐ろしい外見のフィギュアばかりだ。
「ウォーハンマー」では1つの戦場をフィギュアとジオラマで表現する。シミュレーションゲームのマップのようにゲームマットに“情景モデル”と呼ばれる建物や樹木などの障害物を置き、ここにミニチュアの兵士達を配置していく。
ミニチュアは“ユニット”としてゲーム盤に配置する。ユニットは1つの部隊を示す。これらは「ウォースクロール」と呼ばれるユニットそれぞれが持つステータスが書かれたカードで能力が設定されている。雑兵は複数で1ユニット、エリート戦士や大型の怪物は1体で1ユニットだ。たくさんの兵士と数体の英雄で構成されたミニチュアの軍勢が激しくぶつかるわけである。100体ものミニチュアを置き戦う場合、プレイ時間は3~4時間ほどとなる。
プレイにはメジャー(巻き尺)とサイコロを利用する。ゲーム盤にはヘックスやマス目などの表示はないので、メジャーで距離を測って移動、敵への攻撃距離もメジャーで測る。ウォースクロールには様々な攻撃方法や特殊能力も記載されている。ユニットの中にヒーローがいれば特殊能力で周りの兵を強くできるし、敵を威圧することもできる。兵達も遠距離攻撃や接近戦、さらには突進攻撃など様々な能力を持っている。
「ウォーハンマー:AOS」は、コンピュータシミュレーションゲームや、トレーディングカードゲームに慣れている人ならすんなりとルールを覚えていけるだろう。本作には手にしたユニットで戦ってみる「オープンプレイ」だけでなく、対戦相手と世界観や物語を共有した上で、戦う状況や参加するユニットなどを設定し戦いを繰り広げる「ナラティブプレイ」、さらにはポイントを稼ぎ合うよりゲーム性にフォーカスした「マッチ・プレイ」など様々なルールが用意されている。
「ウォーハンマー:AOS」、「ウォーハンマー40,000」といったミニチュアゲームは、日本でも直営店である「ウォーハンマーストア神保町」といった店舗で実際に見ることができ、ゲームのことを聞くことができる。ルールブックの基本は公式ページでダウンロードも可能だ。商品も和訳されており、日本では10の店舗があり、コミュニティもある。この機会にめくるめく「ウォーハンマー」の世界に飛び込むのも良いだろう。
ミニチュアを塗装し、自分だけの軍団を作る喜び
そして「ウォーハンマー:AOS」で強く推奨されているのが“フィギュアへのこだわり”だ。これまで写真で紹介したフィギュアは全てプレーヤー自身が彩色するものなのだ。プレーヤーはフィギュア達を様々な塗装や造形テクニックで自分だけの軍隊にしていく。
公式ページや、入門書である「ウォーハンマー:エイジ・オブ・シグマーを始めよう」でもこのフィギュア塗装に大きなページが割かれている。ベースとなる色を塗装した上で、影をつけ、さらに明るい部分を強調する。細かい装飾を塗り分け、さらに特殊な武器や装備のための色合いを加えたり、台座を塗ったり、かなり高等な模型テクニックを紹介している。
「ウォーハンマー」シリーズはかなりホビー要素が強いゲームだ。凝ったプレーヤーはジオラマさながらのゲームフィールドを作り、戦場の情景を“作品”として楽しむ。プレイの経過を写真で撮るのも良し、ゲームから離れて自分の思い描く景色を創造しても良い。
各ショップには凝ったジオラマや、有志プレーヤーの優れた作品が展示されている場合もある。これらを楽しむのもゲームの楽しみ方の1つだ。ちなみに「ウォーハンマー40,000」はマックスファクトリーからも発売された。
「自分だけの軍隊を作る」というのは魅力的だ。集団で1ユニットの兵士達も塗装や武器を変えたりする改造を施すことで、ルールを超えた想像の翼を広げることができる。大型フィギュアはさらに手を加えることが楽しい。現実の人間の顔が1つ1つ異なるように、モンスター軍団も個性を発揮することで、魅力が倍増する。作例に従って作るも良し、体表からがらりと変えるも良し。武器の刃先の色を変え、特別なマジックアイテムを持っていると設定しても良い。“作る楽しさ”が、「ウォーハンマー:AOS」の面白さを倍加するのである。
ミニチュアゲームを知ることで、「ウォーハンマー:Chaosbane」がさらに楽しく!
そして「ウォーハンマー:Chaosbane」だ。本作は「Diablo」タイプのハック&スラッシュRPGで、プレーヤーはモンスターひしめくダンジョンで、多数の敵を相手に戦う事となる。
各キャラクターの生い立ちを語るプロローグで、「ウォーハンマー:AOS」と同じ世界であり、襲い来る混沌と戦うプレーヤー達が所属する秩序の側の事情が描かれる。人間の異端審問官は疑わしきもの全てを亡き者にしようとする過激な集団であることや、善なる存在とされるエルフですら力に酔ってしまうことがあるなど、かなりダークな描かれ方をされている。単純な善や悪ではなく、終わりない戦いを繰り広げる「ウォーハンマー:AOS」ならではの世界が感じられる。
そしてゲーム部分だ。こちら側はヒーロー1体だが、敵はまさに雲霞の如く襲いかかってくる。「ウォーハンマー:AOS」を知っていると、多数の敵で“1ユニット”を構成しているんだなというのがわかる。「フィギュアだとこいつらはどんな描かれ方をしているんだろう?」というのが気になってくる。
他の敵をブーストさせる能力を持っている中ボス的なモンスターもいて、「ウォーハンマー:AOS」ルールを活かしていると思える描写も存在する。そしてプレーヤーキャラクターだ。入手した装備で刻々と姿を変え、様々なスキルを獲得していく。こういったところで「ウォーハンマー:AOS」との関連を探していくのも楽しいだろう。
序盤の難関となるボスモンスター「グレイト・アンクリー・ワン」は、姿が同じフィギュアも確認できた。他のモンスターはゲーム内で名前が確認できなかったが、“元ネタ”はありそうだ。フィギュアで「ウォーハンマー:Chaosbane」の世界を再現するのも楽しそうだ。
「ウォーハンマー:Chaosbane」はハック&スラッシュRPGとして非常に楽しい作品だ。ゲーム単体としても面白いゲームではあるが、ミニチュアゲームである「ウォーハンマー:AOS」を知ることで、より一層その世界を、戦いを楽しむことができる。「ウォーハンマー:Chaosbane」と共に、「ウォーハンマー:AOS」にも注目して欲しい。
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