「Indivisible」レビュー
Indivisible
メトロイドヴァニアとRPGが異物感なしで完璧に融合! 美麗なビジュアルがゲームへの没入感を高める
- ジャンル:
- アクションRPG
- 発売元:
- 505 Games
- 開発元:
- Lab Zero Games
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 4,280円(税別)
- 発売日:
- 2019年10月9日
2019年10月31日 00:00
手描きで表現されたビジュアルに、アニメ制作会社であるトリガーが手掛けたアニメーション、アクションはメトロイドヴァニアで、戦闘は「ヴァルキリープロファイル」風と聞くと、ムムッと思う人がいるかと思う。まさに筆者がその1人で、本作「Indivisible」の資金集めを行なったクラウドファンディングサイト「Indiegogo」にて公開された動画を視聴したときから、発売をいまかいまかと待ちわびていた。
そして、そこから約4年ほどの片思いが続き、ついに発売された本作。PC版での日本語対応は11月1日以降になるものの、そこまで待てない筆者は英語版でプレイ。物語の全てを正しく読み取ることはできなかったが、それでも本作の持つ魅力は十二分に堪能できた。
なお、日本では10月9日にPC向けで発売されている。現在、プレイステーション 4/Nintendo Switch向けの国内発売は未定となっている。
アクションとRPGの融合。シームレスに切り替わるアクションと戦闘が没入感を高める
主人公のアジュナは、父インドラとともに小さな村アシュワットに住む少女。物語は、アシュワットが将軍ラバナバーの軍隊の襲撃に遭うところからはじまる。村が焼き払われ、インドラは殺されてしまうことで、アジュナが他人を自分の心の中に取り込む謎の力に目覚める。アジュナはラバナバーを倒すため、そして謎の力を解明するために、多くの出会いが待つ冒険へと旅立つ。
「Indivisible」は、道中を探索するアクションと、敵と戦う戦闘の2パートで構成されている。
アクションでは、2D横スクロールで軽快なアクションを用いてマップを探索する。最初はジャンプとステップ、壁ジャンプなどの基本的なアクションしか使えないが、ゲームが進むにつれ、斧を使って1度だけ崖に掴まれるようになったり、ハイジャンプできるようになったりと、少しずつ使えるアクションが増えていく。マップ上に表示される敵を攻撃するか攻撃を受けることで、そのままシームレスに戦闘へと移行する仕様だ。
本作の7割近くはアクションパートが占めており、戦闘は少なめ。ザコ戦も多すぎるというほどではなく、本作の肝であるアクションパートに集中できるような作りになっている。先程も述べたとおり、ゲームが進むにつれてアクションが増えていくのだが、その分マップギミックも複雑になっていく。今まで覚えたアクションを流れるように使いこなさなければ突破できない場所もあるので、手応えのあるアクションを楽しめる。一方で、ミスをしてトゲに落ちたりしても直前からすぐにリスタートするため、アクションが苦手な人にもやさしいつくりだ。難易度は少しだけ高いが、トライ&エラーを繰り返せば突破できないことないだろう。
そして戦闘では、アクションパートで用いた操作方法とは全く異なり、最大4キャラクターの味方にそれぞれ割り振られたボタンを押すことで攻撃し、敵の攻撃時はガードするようになる。また、敵を攻撃するか、敵の攻撃をタイミングよくガードすることでゲージが溜まり、そのゲージを消費することでキャラクター固有の必殺技か、全体回復を使うことができる。つまり戦闘では、通常攻撃でゲージを溜め、敵の攻撃に合わせてタイミングよくガード、ゲージが溜まれば必殺技で大ダメージを狙うという流れになる。
その中でもガードがとりわけ重要で、ガードをするとしないとでは、受けるダメージに何倍もの差がでる。また、ガードにはタイミングよくガードボタンをするジャストガードと、ガードボタンを押しっぱなしにする通常のガードが存在する。ジャストガードであれば、ダメージを最小限に抑えられる上にゲージが溜まるが、ガードボタンを押しっぱなしにしているとゲージが減ってしまうデメリットがある。もちろん安全にガードできる利点もあるので、場面による使い分けが必要だ。
また、本作は戦闘時のプレイアブルキャラクターが総勢20体を超える。しかもそれぞれのキャラクターには、方向キー上と下、ニュートラルの3パターン攻撃が用意されており、一部キャラクターを除いてそれぞれ固有の必殺技を所有している。HPの高いキャラクターを中心に打たれ強いパーティにしたり、パワー重視のパーティにしたり、回復を使えるキャラクターを組み込んでバランス良く仕上げたりとパーティのカスタマイズ性が高く、自分のプレイスタイルに合ったパーティを構築できる。
そして、本作で特徴的なのは、ボス戦では、アクションパートと戦闘パートが交互に行われることだ。ある程度ダメージを与えると戦闘が一時中断され、ボスが一方的に攻撃してくるアクションパートが始まる。ボスの攻撃を避けながら近づき攻撃すると、再度戦闘パートが始まるのだ。もちろんロードや画面の暗転なく切り替わるので、没入感の高まる演出になっている。本作の魅力であるアクションと戦闘との融合を120%引き出すことに見事成功していると言えるだろう。
ぬるぬる動くアニメーションに、美麗な世界観
本作のオープニング映像や一部イベントシーンにはアニメーションが含まれている。そのアニメーションを作成したのは、TitmouseとTVアニメ「キルラキル」などで知られるトリガーだ。一流のアニメーション制作会社が参加しているだけあり、ダイナミックかつぬるぬる動く。あまりにもきれいなので、ゲームを起動するたび、ついついオープニング映像を最後まで観てしまう。
また、本作は世界観も美しい。登場するステージはバリエーションに富んでおり、きれいな港町からスライムが巻き散らかった工場まで登場する。もちろん背景の作り込みも細かく、手描きのキャラクターとマッチした美しい風景を楽しめる。
戦闘のワンパターン化。工夫の少なさは否めない
本作のアクションは素晴らしいし、戦闘との切り替わり、その2つを活かしたボス戦は間違いなく楽しい。しかし、あえて本作の欠点を上げるとするならば、戦闘時の戦略性の低さにある。プレイアブルキャラクターは20体を超えるが、基本的にどのキャラクターを使用しても攻撃ボタン連打で戦闘が成り立ってしまうのだ。キャラクターの組み合わせでコンボを開発するという楽しみ方もできなくはないが、あまり利点は感じられない。また、キャラクター固有の必殺技も用意されているとはいえ、ダメージを与えるシンプルなものが使いやすく、最初は色々試してみても最終的には同じキャラクターの必殺技を何度も使うようになってしまった。
もしも、戦闘時にキャラクターを入れ替えれるようなシステムでもあれば、プレイアブルキャラクターの数を活かしながらも戦略性を上げられたのではないかと思う。