2019年4月4日 00:00
3月29日に発売を迎えたNintendo Switch用アクション「ヨッシークラフトワールド」。本作は任天堂を代表するキャラクターのひとり、ヨッシーを主人公に据えたアクションゲームだ。
ヨッシーを主役にしたゲームの歴史は長く、ゲームボーイのパズルゲーム「ヨッシーのたまご」を皮切りに、スーパーファミコンでは横スクロールアクション「ヨッシーアイランド」が発売。その後もNINTENDO64やゲームボーイアドバンス、最近ではWii Uやニンテンドー3DSと、任天堂のハードに欠かせない作品として育ってきた。
今回の「ヨッシークラフトワールド」は横スクロースアクションをベースにしており、その点では「ヨッシーアイランド」の系譜と言えるだろう。しかしこのゲームが持つ”発見の楽しさ”は、従来の作品とは一味違う。本稿では本作が持つ魅力の数々を、プレイレポートとしてお伝えする。
鮮やかにデザインされたクラフトの世界
「ヨッシークラフトワールド」の舞台となるのは、あらゆるモノが工作でできている世界。ヨッシーが歩く道は色紙、遠くに見える動物や木はダンボール、それ以外にもお菓子の箱やペットボトル、空き缶、ストロー、紙皿と、とにかくすべてが現実世界の身近にあるもので形成されている。その装いはとてもカラフルで、見ているだけでも楽しい。「次はどんなコースで、どんな世界になっているのだろう」と、次へ次へとどんどん進めてしまう。
そのコースもバリエーション豊かで、牧歌的な草原や汽車が走る荒野、魚が漂う水中や港、果ては忍者屋敷まで登場する。汽車も魚も、忍者屋敷にある仕掛けの数々もすべて工作で表現されているのだから驚きだ。
そんな世界で巻き起こるヨッシーの冒険は、やはりベビィクッパとカメックの悪さから始まる。ヨッシーたちの住む島にある、願いを叶える不思議な力を持つ「ねがいかなえ太陽」。ある日、「ねがいかなえ太陽」の噂を聞きつけてやってきたベビィクッパたちは、力の源「ビーズ」を奪い取ってしまう。ヨッシーは失った力を取り戻すべく、さまざまなワールドへ旅立つのだ。
ヨッシーの基本的なアクションはジャンプしてヘイホーたちを踏みつけて倒すというものと、長い舌で相手を飲み込み、タマゴにすること。このタマゴこそが、ヨッシーにとって最大の武器となる。パックンフラワーなど踏めない相手もタマゴを当てれば倒せるし、仕掛けに当てればそれがスイッチとなり作動する。またコース上に散らばるハテナ雲にタマゴを投げるとコインが手に入ることも。
これ以外にも、地面に対して強い衝撃を与えるヒップドロップ、普通のジャンプでは届かない場所にギリギリ届くようになるふんばりジャンプと、「ヨッシーアイランド」から続くおなじみのアクションは健在。ふんばりジャンプで頭上のエリアに移ったり、ヒップドロップで地下の仕掛けを作動させたり、どこに進めばいいかわからなくなったときは、ひと通り試してみるといいだろう。
奥にも、手前にも広がる遊びの数々
本作はただゴールを目指すだけなら決して難しくはない。敵の攻撃は激しくないし、穴に落下してもゲームオーバーにはならず、直前から再開できる。チェックポイントも多めに用意されている。このことからも老若男女、幅広い層が楽しめるようデザインされていることがよくわかる。
ではこのゲームはまったく歯ごたえがないのかというと、それは大いに否定したい。どのコースでもスペシャルフラワーや赤コインを収集しようとするとゲームの表情は一変、一筋縄ではいかないアクションゲームへと変貌を遂げる。
まっすぐにゴールへ向かうだけだとコンプリートは至難の業。ありとあらゆる気になるところへタマゴを投げ、頭上や地下にも目を配り、ときには来た道を戻り、アイディアを絞り出しながら進む必要がある。また、コース中には時間制限付きのイベントが発生することもあり、限られた時間の中でタマゴを的に当てたり、敵を倒したり……普段は何気なく行なっているアクションだが、焦ると途端に難しくなるのだから面白い。
コース内を探索するときのポイントとしては前後左右だけでなく奥、そして手前もくまなくチェックすることだ。背景の一部として紛れ込んでいるオブジェが、実はタマゴが当たることもある。気になったらひとまずタマゴを構え、照準を定めてみるクセをつけておきたい。
また、1度クリアしたコースもそれで終わりではなく、もう一度探索する楽しさが残されている。クラフトンからは特定のオブジェを探し出すようお願いされるので、ゴールを目指すのとはまた違った遊びになっている。
さらに1度クリアしたコースは、裏返してスタート地点まで逆走して遊ぶことも可能。クラフトで作られた世界の裏側を見るというビジュアル面の新鮮さもさることながら、仕掛けの内容が変わり、さらにコースを探索する目的も3匹のコポチを探すという内容に変わる。これもまた違った楽しさを生み出す一因になっている。
アクションゲームが苦手という人のために用意された、「パタパタヨッシー」というモードについても触れておきたい。こちらはいつものヨッシーに翼が生えた姿をしており、ふんばりジャンプ以上の跳躍を実現している。このおかげで高い場所にあるコインを容易に取得できるほか、操作ミスで穴に落ちそうになったときも確実に復帰できる。さらに近くにスペシャルフラワーがあるときは教えてくれるなど、初心者が困るポイントを的確にフォローしてくれる。パタパタヨッシーといつものヨッシーはメニュー画面でいつでも変更できるので、気軽に試してみるといいだろう。
もうひとつ、コース内で取得したコインは各地に点在するガチャガチャで使用することが可能。ガチャガチャではヨッシーが装備するきせかえ工作が手に入り、実際に身につけるとダメージを複数回に渡って防いでくれる。前述の通り、クリア時の体力が満タンだとボーナスが得られるので、積極的に利用していきたい。
「ヨッシークラフトワールド」の世界にはたくさんの仕掛けがあり、そのどれもがとても個性的で、華やかな動きを見せてくれる。ひとつひとつは小さくても、どんな反応をするのかついつい試したくなるのが本作のすごいところだ。筆者個人としてはコインなどのアイテムコンプリートを目指しながら進む遊び方をおすすめしたいが、もちろんそれだけではない。ヨッシーが活躍するストーリーに注目してもいいし、きせかえ工作の収集に勤しんでもいい。人それぞれの遊びが用意された、まさにおもちゃ箱のようなゲームだ。
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