ゲーミングPC「G-GEAR N1586J-710/T」レビュー

G-GEAR N1586J-710/T

性能と扱いやすさを極めたMax-Q対応ハイエンドゲーミングノート

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • TSUKUMO
開発元:
  • TSUKUMO
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
199,800円(税別)
発売日:
2018年8月10日

 8月より新しいPCレビューの形態として「GAME Watch認定プログラム」をスタートさせ、第1回はTSUKUMO「G-GEAR GA7J-E180T/MH1」をご紹介した。本レビュープログラムはベンチマークのスコアより、実際のゲームのパフォーマンスを重視し、新作ゲームや人気タイトルを動作させ、どの程度動くのかを認定する仕組みだ。

 第2弾はTSUKUMOのゲーミングノートPC「G-GEAR N1586J-710/T」を紹介しよう。用意したタイトルは「モンスターハンター:ワールド」と「フォートナイト」の2タイトル。デスクトップPCはパーツごとにベンチマークデータやゲーム内のフレームレートなど調べると様々な情報を容易に見つけられるが、独自にチューニングされたゲーミングノートPCはなかなか難しい。ぜひ本プログラムを通じて製品購入の参考としてほしい。

薄型ボディに詰め込んだハイエンドPCパーツたち

 ハイスペックなゲーミングノートPCは、そのコンパクトなボディからは想像できないような快適なゲーミング性能を発揮する代わりに、厚みと発熱、そして動作音に悩まされた読者も多いだろう。今回紹介するTSUKUMO G-GEAR N1586J-710/Tはそんな常識を覆すNVIDIAのMax-Q対応のハイエンドゲーミングノートPCだ。

 NVIDIA MAX-Qに対応することでNVIDIAが提唱する熱設計と電源回路設計に準拠、消費電力(熱)と性能の両立を実現している。本製品が実現した主なスペックは以下のとおりだ。

【G-GEAR N1586J-710/T】

【G-GEAR N1586J-710/T】
CPU :インテル Core i7-8750H(6コア/12スレッド、2.2GHz(TB時最大4.1GHz)
GPU :GeForce GTX 1070/ インテル UHD グラフィックス 630
メモリ :16GB DDR4 SODIMM (PC4-21300、8GB×2)
ストレージ :256GB SSD(M.2/NVMe接続)
モニター :15.6型フルHD(1,920x1,080ドット)非光沢液晶
ネットワーク :IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0、1Gbit LAN
サウンド :Sound BlasterX Pro-Gaming 360°
インターフェイス:mini DisplayPort(1.2)x2、HDMIx1、1Gbps LAN、USB 3.0x3、USB 3.1 Type-Cx2、ヘッドフォン出力、マイク入力、カードリーダー
寸法(幅×奥行き×高さ) :約380×252×18.6mm
重量 :約1.98㎏
G-GEAR N1586J-710/T購入ページ

 それでは本製品の紹介にさっそく移っていこう。CPUはCore i7-8750H(最大4.1GHz、6コア/12スレッド)、GPUはNVIDIA GeForce GTX 1070、メモリ16GBとゲーミングを名乗るに相応しいスペックを搭載している。これらの性能は追ってゲームを用いた検証で紹介するが、ハイエンドクラスの構成であり、フルHD環境下ではゲーム性能に困ることはしばらくないだろう。

【CPUとGPU】
アイドル時は内蔵グラフィックス、ゲームプレイ時のみGeForceと使い分けることで低省電力化を図っている

 モニターは15.6インチで、解像度は1,920×1,080ドット、120Hzのリフレッシュレートとこちらもゲームをするうえで不足はない。本機の高いゲーム性能を余すところなく、表示できるだろう。特に「モンスターハンター:ワールド」や「PUBG」、「フォートナイト」といったハイリフレッシュレートがよりゲームの腕前に繋がるゲームが人気を博しており、わずかな変化においてしっかりと描画できることはノートPCでゲームができるという事にとどまらず、本製品は他のプレーヤーよりも優位に立てると言ってもいいだろう。

 高い処理性能、高速な画面描画とくると“ゲーミング”を名乗るのに求められるものはサウンドと入力関連だ。

 サウンドはSound Blaster Connect(Sound BlasterX Pro-Gaming 360°)を使い、ソフトウェアレベルでゲームへの最適化が図られている。このソフトウェアの魅力は、ただゲームオーディオの最適化を行なっているだけではなく、人気のゲームはほぼ網羅する形でオーディオプリセットが用意されているところ。オーディオの知識がなくともゲームにあわせた最適なオーディオ設定が可能で、シチュエーションにあわせたオーディオ環境の構築を行なえる。

 実際に「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」で試してみると好みの差はあるだろうが、余計な音は押さえられ、必要な音を聞き取りやすく感じた。本体のスピーカーもノートPCによくあるようなスカスカした音ではなくしっかり鳴るが、eスポーツタイトルで勝ちにこだわりたいのであればヘッドセットは欲しいところ。なお、「Voice Morph」といういわゆるボイスチェンジャーの機能も備えており、地声で話すのはちょっと恥ずかしいというユーザにもうってつけだ。

【Sound Blaster Connect】
様々なゲームに向けたプリセットのほか特定のゲームで有効なScoutモード(足音や銃声の音を聞き取りやすくする)も用意されているので使い分けよう。余談だが、本アプリケーション内ではドン勝ではなく、「チキンディナーにありつこう」という正しい(?)翻訳がされている

 キーボードはテンキー対応メンブレンタイプ。押下は柔らかみがある感じ。幅は約1.9cmでTABキーからENTERキーまでの距離は約27cm、一般的なデスクトップキー約28cmと比べるとデスクトップ用キーボードを使ってきたユーザーは当初は打ち間違いが起きやすいが、慣れでカバーできる範囲だろう。すべてのキーがRGB LEDを搭載し、最大3つのゾーンにわけてカラー変更が可能。また発光パターンも多くゲーマー向けハイエンドキーボードと同等の光らせ方ができ、非常に贅沢な仕様になっている。

【キーボード】
ゲーミング仕様らしくRGB LEDが優しく光る。強く自己主張していないため、万人受けする光量だろう
【CONTROL_CENTER】
色と光り方はソフトウェアで変更可能。光り方の設定に関してはハイエンドキーボードクラスのパターンを持つ豪華な仕様
このソフトウェアにはファンコントロールといった機能なども搭載されている

 ゲーミングノートPCとして見落とせないのが本体両側面の仕様だ。ゲーミングノートPCにおいてキーボードは備え付けのものを使い、マウスは外付けの製品を使うユーザが圧倒的だろう。本製品は薄型タイプでありながら、本体の左側面にUSBポートを4ポート(Type-C×2、Type-A×2)、右側面に1ポート(Type-A)、計5ポートを装備している。右側面にマウス、左側面にゲームコントローラを接続すればお互いが干渉しあうことなく、快適な操作ができるのもうれしい点だ。

【本体機能】
天板はG-GEARのロゴのみがあしらわれている。外で持ち出し使う分にも抵抗はないデザインだ
背面はシンプルに排気口のみ
左側面はHDMI、miniDisplayPort×2、USB 3.0×2、USB 3.1 Type-C×2と非常に多くのポートが設けられている
右側面はギガビットイーサ、SD/MMCカードリーダー、USB 3.0、マイク、ヘッドフォン端子が並ぶ
マウスにコントローラにUSBメモリにと好みのデバイスをふんだんにつなぐことができる
ACアダプタは150W出力のもの。ゲーミングノートPCにありがちな鈍器のようなサイズではなく、比較的小型におさまっている

 なお、標準のストレージは256GBのSSDのみ。ゲーム用途でないなら十分すぎる容量であり、高速ストレージM.2 NVMe SSDを採用しているため、パフォーマンス的にも十分だが、ゲームを遊びまくるにはやや心許ないサイズだ。色んなゲームを楽しむだけでなく、実況動画を作成したいなど、色んな用途に使う場合は、BTOでより容量の多いSSDを選ぶか、外付けSSDやHDDの追加を検討してもいいだろう。

【ストレージ】
高速ストレージM.2 NVMe SSDがCドライブに採用されている。記憶容量が足りないと思う場合は注文時にHDD追加も含めたアップグレードを検討しよう

新作ゲームも話題のゲームも60fpsを超えるフレームレートで快適動作

 いよいよ本製品の真価を問う検証の開始だ。今回用意したゲームは2タイトル「モンスターハンター:ワールド」と「フォートナイト」だ。

ドライバ、クライアントバージョン情報
OSWindows 10 Home(1803)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 398.82
「モンスターハンター:ワールド」ver.1.00相当(PS4.1.06相当、モンスターハンター:ワールド(Steam版)はバージョン情報が公開されておらず、パッチはまだ提供されていないので仮として1.00と記載した
「フォートナイト」5.21(4288479)

・人気ナンバリングタイトルがついにPCに登場「モンスターハンターワールド」

 まず第1弾は「モンスターハンター:ワールド」。言わずもがな人気の超大作の1つでコンシューマ版では全世界1,000万本の出荷を記録している。PCでモンスターハンターというと「モンスターハンターフロンティアZ」を連想するが、コンシューマ機からの移植という視点からでは「モンスターハンター:ワールド」が初のタイトルだったりする。モンスターハンター:ワールドは未知なる世界を探索する楽しさに重きを置いて画質を重視してもよいし、狩りの効率から軽快な動作を重視してもよいタイトルだ。

 通常注目タイトルが出た直後に最適化が施されたドライバがNVIDIAから登場するが、「モンスターハンター:ワールド」もすでに最適化されている。ただ、本格的に快適になるには数度のアップデートを待つことも多い。今回は最適化が初期段階の「モンスターハンター:ワールド」において、ゲームがどこまで快適に動くか見ていきたい。

 ベンチマークモードは用意されていないため、大蟻塚の荒地に棲むリオレイアの討伐を探索開始からFRAPSを用いて6分間フレームレートを計測した。経路としては開けた荒地からリオレイアのいる森の内部へ移動。リオレイアが一度移動したあとに出る荒地での戦闘がおおよそのベンチマークの内容だ。実ゲーム内における必ず同じタイミングでの移動はないため、本拠地内を1周した際のフレームレートもあわせて計測したので突き合わせながら見てほしい。

【検証コース】
MAPの移動では1(荒地)→5(荒地)→6(荒地)→3(森林/リオレイアとの戦闘)→6(荒地)→8(荒地)
【フレームレートテスト「モンスターハンターワールド」】
本拠地のスコア
リオレイア討伐のスコア

 「モンスターハンター:ワールド」はかなりヘビーなゲームだった。「最高画質」設定では平均60fpsを若干割り込むという結果が出てしまったが、それに近い58.4フレーム出ており、十分「最高画質」でプレイ可能といえる。本製品の特徴である120Hz液晶の真価をフルに発揮できるとは言えない結果となったが、「高画質」設定で平均60fpsを超えており、コンソール版が30fpsや60fps以下であることを考えると、PCゲームならではの60fps以上の快適なゲームプレイが楽しめるといえる。

 また、現状「高画質」と「中画質」の間で大きなフレームレートの差は認められなかったが、今後最適化が進むにつれて高速描画であれば「中画質」、きれいな画質でぬるぬる楽しむのであれば「高画質」といった使い分けにも期待できる。

 「モンスターハンター」は瞬間的な動作はモーションの硬直も回避がどうしても間に合わない場合があるが、討伐時間短縮のため、ギリギリを攻める際には見切りのタイミングなど大きな手助けになるだろう。今作ではアクション性が高いモーションも多数使われており、戦う以外のシーンでもなめらかな描画が期待できる。

 発売されたばかりのゲームでも快適にプレイできるのはハイエンドデスクトップPCの特権だったがゲーミンググレードとはいえ、ノートPCでここまで快適に動くのは流石だ。

【スクリーンショット】
平原、水源、洞窟、森林そのほか様々なエリアで狩猟を行なう本作。古龍の謎を追いかけつつ、その世界観を楽しもう

・建築要素とシューティングが合体した人気TPSゲーム「フォートナイト」

 続いてはフリープレイ、マルチプラットフォーム展開、「Fortnite World Cup」で賞金総額100億円越えと何かと話題のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」だ。

 多くの読者はすでにご存じだろうが、簡単に説明すると「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」の1つのMAPで100名が生き残りをかけて戦うと似たルールでありながら建築要素が非常に重要であり、ただ平地での撃ち合いや高所を得て優位に立てる一般的なFPS/TPSと違い、たとえ不利な場所にいても建築技術を駆使して高所を新たに作ったり、目隠しとして活用して裏をかいたりといった駆け引きが非常に重要だ。ベースのルールは似ていながらまったくの別ゲームといって差支えがない。「PUBG」であまり見られないようなジャンプしながらの射撃がよく見られることやアイテムごとのレアリティなども違いとして挙げられる。

 キャラクターはトゥーン調のデザインであり、MAPを含め高い性能が必要とされるようには見えず精密な描画が必要とされるとは思えないが、意外と重い本作。特に先に挙げた「モンスターハンター:ワールド」と違い、死亡後に復帰はなく強制退場となってしまう。そんなバトルロイヤル方式のゲームで本気のパフォーマンスを見ていこう。ベンチマークの方式は「モンスターハンター:ワールド」と同様ベンチマークモードが用意されていないため、実際のプレイをもとにFRAPSを用いて計測したため、ばらつきがある点にはご容赦いただきたい。

 結果を見ると「低~中画質」であればほぼ本製品の魅力の一つである120Hz張り付きに近い、平均115fps以上を記録した。最低fpsも60fpsを超えており、建築合戦で素早い判断と動作が求められる時などでも相手に後れを取ることはないだろう。

 一方、「EPIC画質」設定(最高画質)においてもプレイに問題はないが、建築中や高所からの飛び降り、ジャンプしながらの戦闘中などフレームレートが落ち込みやすく、とにかく左右上下を見回す操作が多く、その際のフレームレートの低下は危機を招く恐れがあるので、特別な理由がない限り「高画質」以下の設定でプレイすることをオススメする。

【スクリーンショット】
ゲームモードは多数用意されている。雰囲気を楽しみたい人は50vs50などもよいだろう。トゥーン調のキャラクターは着せ替え対応で建築要素が戦いを左右する。ルール自体はPUBGに非常に似たバトルロイヤル方式だ

最新ゲームも人気ゲームも安心してプレイできる持ち運び可能なゲーミングマシン

 最後に検証を通して動作音ならびに動作温度について紹介しよう。MAX-Q対応だけあり、動作音はある程度するものの、いわゆるゲーミングノートPCにありがちなドライヤーのようなノイズはない。決して聞こえないほど静かとは言えないが、ファンの音の変動は少なく、耳障りな音ではないためゲームに熱中していれば気にならない程度だ。

 動作温度は以下のグラフのとおり。CPUの許容温度が100℃であるため、いささか心配だが、ファンの回転速度は大きく変動せずともその温度を維持できることは高い冷却性能の表れともいえる。長時間ゲームをプレイしていても安定して動作していた。ただ、高負荷時が続くとTABキー、半角/全角キーの左側のフレームが熱を持つのでその点は注意したい。

【CPU、GPU温度】

 本レビューでは製品の特徴と実際のゲームのフレームレートをもとに紹介してきた。最高画質でぬるぬる動かすという点はハイエンドデスクトップPCに一歩譲るものの、ノートPCで最新ゲームが「高画質」設定で平均60fpsを超える性能は魅力的だ。

 また、Max-Qに対応したことで従来のハイエンドゲーミングノートPCでなしえなかった本体厚さ1.86cm、重量は2kgを実現。かさばらないため気軽に持ち出して、友達の家で一狩り行けるのは強みだ。

 ゲーミングノートPCが、その重さとサイズから据え置き同然の扱いであった時代は終わり、本当のノートPCになったと言える。ぜひ好きな場所でゲームライフを満喫してほしい。

GAME Watchは「G-GEAR N1586J-710/T」について以下の項目を認定します

・「モンスターハンター:ワールド」がフルHD/120Hz環境で平均56fps、最高68fpsを超えること(リオレイア討伐、最高設定)
・「フォートナイト」がフルHD/120Hz環境で平均97fps、最高120fps以上で動作すること(EPIC設定)
・上記性能を備えながら厚さ1.86cm、重量は2kgを実現した薄型軽量なゲーミングノートPCであること

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