「BenQ EL2870U」レビュー
BenQ EL2870U
4K、HDRの美麗映像、遅延知らずの1ms高速応答! コンソールゲーマーのための最強モニター
- ジャンル:
- ゲーミングモニター
- 発売元:
- BenQ
- 開発元:
- BenQ
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 45,000円前後(税込、想定売価)
- 発売日:
- 2018年4月11日
2018年8月27日 00:00
筆者はプレイステーション 4やNintendo Switchをこよなく愛するコンソールゲーマーだ。“コンソールゲームはTVに映して楽しむもの”という認識があるため、正直な所モニターに強いこだわりを持ったことがなかった。操作するうえで不快感がないものという1点の条件だけで、とにかく安いものを選んできたくらいだ。モニターについては、ゲームの映像がしっかり映って、操作感に不満がなければそれで充分だろうと思っていた。
……思っていたのだが、今回最新のゲーミングモニターに触れる機会をいただき、使ってみて今までの浅はかな考えが一変した。なぜ世のゲーマーたちが決して安くないゲーミングモニターを愛用しているのか、正直な所、疑問でしかなかったが、圧倒的な性能を体感したことで、こういうことだったのかと納得がいった。
今回筆者が触れたのはベンキュージャパンより発売された「EL2870U」だ。本製品の特徴は4K、HDR対応による圧倒的高画質。60Hzのリフレッシュレートと1msの応答速度というコンソールゲームのポテンシャルを最大限に活かせるスペックだ。
映像が綺麗で、カクつきのない滑らかな動き、さらに入力の遅延も感じさせない。まさにどんなジャンルのゲームでも十二分に楽しめるスペックの高さだ。27.9型という大きなモニターサイズなので、ゲームだけでなく映画も迫力の臨場感を味わうことができる。
コンソールゲーム機を使って体感したこのゲーミングモニターの驚きの性能、感想をお届けしたいと思う。
「EL2870U」のファーストインプレッション
BenQ「EL2870U」スペック | |
---|---|
画面サイズ | 27.9型 |
最大解像度 | 3,840×2,160(16:9) |
応答時間 | 5ms(1ms GtoG) |
最高リフレッシュレート | 60Hz |
コントラスト比 | 1,000:1 |
輝度 | 300cd/平方m |
パネルタイプ | TN |
入力端子 | DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2 |
ディスプレイ同期 | FreeSync |
HDR | ○(HDR10対応) |
VESAマウント | ○ |
スピーカー | 2W×2 |
発売時期 | 2018年4月11日 |
実勢価格(税別) | 50,000円前後 |
箱から出てきたのはシャープなデザインの平面モニター。まず最初に感じたのは液晶の大きさだ。27.9インチという大型モニターに区分されるだけあり、筆者が普段使っている24インチのモニターが小さく見える程だ。
そしてその大きさに反しての軽さも驚きだった。重量は約5.7kg。そう聞くと重そうなイメージが湧きそうだが、まったくそんなことはなく、片手で難なく持ち上げられる程の軽さだ。お陰でセッティングに体力を消耗することもなかった。軽いながらもモニターを支えるスタンド部分はずっしりとしていて、簡単には倒れない安定感のある作りになっている。
筆者の持つモニターと「EL2870U」、2つのモニターを並べるとサイズの差はもちろんのこと、それよりも目を見張ったのは画面の圧倒的解像度の違いだ。両モニターの画面を寄りで撮影したのだが、鮮明な色合いもさることながら、左の「EL2870U」には一切のノイズが無いクッキリとした映像が映し出されている。ここまでも違いが出てくるものなのかと正直驚きである。
本体の下部にはスピーカー、電源ボタン、そしてOSD操作用のボタンが配置。このボタンでメニューを開いて設定を調整することができる。ボタンの数も多くなく直感的な操作が可能だ。
本製品は4K、HDRに対応しているゲーム機やソフト利用した際に、最先端の高画質映像を楽しむことができる。前面右下に付いているHDR/B.I+ボタンでこのHDR機能のONとOFFが切り替えられるのだ。
HDRと同じボタンでB.I+のON・OFFが選択できる。B.I+とは目の疲れを軽減させるため、周囲の明るさや色温度を感知して、その環境に最適な明るさに画面を自動調整してくれる最新技術なのだ。ゲームの長時間プレイを視野に入れた、ゲーマーにはありがたい機能が実装されている。
ゲームは1日1時間というありがたいお言葉も無視で、1度始めたら最低でも3~4時間はぶっ通しでプレイしてしまう筆者にとって、この機能は試さない訳にはいかない。本製品の売りの機能であるB.I+の効果で映り方がどのように変化するのかを検証してみた。
普段の照明を点けた状態から、段々と明かりを暗くしていく。正直をいうと初めはB.I+が正常に機能している感じが余り実感できなかった。しかし、照明を完全に落とした状態でB.I+機能をOFFにするとパッと画面が明るくなったのだ。照明を段々と暗くしながら撮った写真を見比べると、ハッキリとその違いが分かった。照明が明るい状態では画面も明るく、強い発光を放っている。そして暗くした部屋では画面の明るさがかなり抑えてあったのだ。
こんなにも大きな変化があったにも関わらず、なぜ変化に気づかなかったのか? それがこのモニターの凄いところである。明るさの変化に反応してパッと映像が変わるのではなく、じわりじわりと微調整され、明るさが変わったことを意識させない作りになっているのだ。ゲームをプレイ中でも気が散ることなく没頭することができる。パソコン仕事後の疲れ目状態でゲームをプレイしても、辛さを全く感じさせないB.I+機能には正直驚かされた。
背面の端子部分にはHDMI、DisplayPort、ステレオミニプラグが備わっている。ゲーミングモニターにとって重要なポイントである端子の数だが、本製品にはHDMI端子が2つあるので、複数のゲーム機を同時に接続することができる。ゲーム機本体の電源を入れると自動で信号をキャッチして表示してくれるので、わざわざ入力切り替えをする手間がいらないのがとても楽だ。
PS4 Proを使って時代の最先端である4K、HDRを体験!
ここからはPS4 Proを使って4K、HDR対応ソフトに触れていきたいと思う。効果がもっともハッキリ実感できたのは「モンスターハンター:ワールド」だ。
まず4Kについては、近くで見ても画面の粗さを感じさせない高精細な映像は素晴らしいの一言。写真だと伝わり辛い部分ではあるのだが、水や草木などの色彩や質感がかなりリアルに映し出され、まるで画面の中に「モンハン」の世界が広がっているのではないかと錯覚を起こす程の映像美なのである。
次にHDR機能を試してみた。HDRをOFFの状態では特段変わることない見慣れた光景の加工屋だが、しかしHDRをONにした途端、同じシーンとは思えないほど驚きの様変わりを見せた。先ほどまではぼんやりとしていた色味が、今ではクッキリと鮮明な色合いになっている。工房のくすんでいた炎の描写もリアルさが強調され、まるで本物の炎のような質感になっている。そしてもう1枚、森の中で撮った写真だが、木や岩場などの描写の細かさHDRが有ると無いとでは雲泥の差である。全体的に、映像に深みや奥行きが増し、これまでに体感したことがないすさまじい臨場感を味わえた。
HDRの映像は先ほどのB.I+機能と併用することもできる。試してみると、コントラストが高いクッキリとしたHDR映像がB.I+の効果により色味の強調が抑えられ、高画質はそのままに目の疲れを軽減させられるという良いとこ取りの映像でゲームが楽しむことができた。長時間プレイには最適な環境であることを実感した。
激しい動きのあるアクション面でも1msの応答速度だけあって、カクつきや画面に残像などが残ることもなく滑らかな映像でプレイすることができた。技術の進化を今更ながらに実感した。ゲーミングモニターは、コンソールゲームでも大いに効果がある。
「モンスターハンター:ワールド」では実に快適にプレイすることができた。それでは次に、これが少しの遅延でも気になるゲームだったらどうだろうか? 一瞬一瞬の状況判断と反応速度が勝敗を左右する対人戦のゲームで試してみることにした。
HDRに対応していて遅延が致命的となるタイトル、「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」をプレイすることにした。HDRの映像は通常よりも明るさが増し、明暗がハッキリと分かるようになっていた。
そして肝心の入力遅延の確認だ。本作には攻撃がヒットした瞬間にタイミング良くボタンを押すことで発動するテクニックがある。このタイミングがなかなかにシビアで、入力遅延があるようではまず成功しないだろう。
さっそく試してみてその結果はというと、押したボタンは瞬時に反応し、僅かな遅延も発生することはなかった。格闘ゲームやFPSなどでも全く問題なく快適に遊べるモニターなのだと確信した。
なお、筆者の持っている4K/HDR対応のタイトルをいろいろと試して、ゲームによって映像が大幅に強化されるものとそうでないものがあるのが分かった。
たとえば、「FINAL FANTASY XV」は映像力の向上が見て取れたのに対し、筆者の中で期待していた「Detroit: Become Human」は多少映像がクリアになっただけで大きな変化は感じられなかった。
大なり小なりあるが、どれも通常より画質が向上することは間違いないし、このEL2870Uであれば、100%そのポテンシャルを活かすことができる。この美麗グラフィックを1度味わってしまうと、通常の映像では物足りなくなってしまうこと請け合いだ。
Nintendo Switchの人気タイトルを4Kの大画面でプレイ!
EL2870Uは、4K/HDR環境で最大限の効果を発揮するゲーミングモニターだが、EL2870Uが持つ描画性能の高さ、27.9インチというゲーミングモニターとしては大型サイズ、そしてHDR非対応コンテンツを擬似的にHDR化させるエミュレート機能も備えていることから、Nintendo SwitchのようなHDR非対応のゲームコンソールでもその恩恵は十分に受けられる。
本製品のウリの1つでもあるのが27.9インチの大型液晶だ。普段筆者はNintendo Switchを使う際は、ほとんどが携帯モードで使用している。6.2インチの小さな画面でプレイしていたゲームが、4倍以上の大画面に映し出されるだけで圧巻だ。もはや別のゲームにすら思えるほどの衝撃だった。
普段大きな画面でゲームをプレイしていない身としては、この大画面の迫力はすさまじいものだった。Nintendo Switchを使ってその衝撃を目の当たりにした。
まずはじめにプレイしたのは「スプラトゥーン2」。Nintendo Switch本体の液晶とゲーミングモニターとでは画質の差は圧倒的であった。本作のカラフルでポップな色合いがさらに強調されていて、とても綺麗な映像が映し出されている。
応答速度も携帯モードとは雲泥の差で、キャラクターや照準がヌルヌルと滑らかに動いて感動した。操作の感触は先でも証明済みだが、遅延も全く無く、エイム操作は快適そのものと言える。画面も大きくなったことにより敵を目視し易くなり、面白いほどにサクサク撃破することができた。
動きの激しい「マリオテニス エース」も携帯モードで感じていた若干のカクつき感も全く無く、動きはとても滑らかであった。そしてなによりコート上の攻防の臨場感が小さい画面とでは段違い。ショットのエフェクトの激しさも増して、打ち合いの迫力、スマッシュの圧が目で、肌で感じられた。この試合への没入感は大画面ならではだろう。
最近時間を見つけてはプレイしている「進め!キノピオ隊長」を“単に遊びたかった”という理由だけで大画面でプレイした。映像重視のゲームでもなければ、激しい動きもない緩やかなアクションパズルゲームの本作。大型ゲーミングモニターでプレイしてもさほど変わった印象は受けないであろうと思い起動したのだが、まさか良い意味で予想を裏切られた。
アクションパズルというジャンルだけあってステージの構成が細かく入り組んでいて、小さい画面だとギミックや隠しアイテムなどを見落としてしまうこともあったりするのだが、この画面の大きさだとそんな心配など全く無いほどステージ全体が見やすくなっている。画面をズームにしなくても引きの状態でキノピオ体長の表情までハッキリ見えるほどだ。大きな画面でプレイするメリットを想像以上に感じられた。
そして最後に、先にも挙げたHDR化エミュレート機能を試してみたいと思う。
エミュレート機能は、HDR規格外のコンテンツでも輝度とコントラスト比を自動的に高め、HDR画質に相当する臨場感のある映像を映し出してくれる夢のような機能。HDR非対応であるNintendo Switchのソフトを使って、エミュレート機能有りと無しで画質の違いを比較していこう。
まずはHDRエミュレート機能をOFFの状態でゲームを起動。先ほど見たものと同じく、充分な程の美麗な映像だ。そして期待のHDRエミュレートをON。どのくらい映像が強化されたのかというと、元が綺麗ということもあってか、結果からいうと驚くほど大きな差は見られなかった。
画像を見比べれば、ONの方が若干だが明暗が強調されているのを感じる。映像が強化されているのは確かだがあくまで補完的なレベルに富満手織り、当たり前の話だが本物のHDRには及ばないといった印象を受けた。
正直、今回ゲーミングモニターに触れるまでは、モニターなんてどれもそんなに変わらないだろうと甘く見ていた。モニター1台でここまで別の世界が見えるものなのかと、今更ながらにその凄さを思い知った。
圧倒的映像美、そして快適なプレイに重要なスペックも申し分ない「EL2870U」。今回触れてみて欠点などは全くといっていいほど見当たらなかった。しかも、5万前後の価格でこれほどの高スペックならば満足度も高い。このモニターの真価を最大限に発揮できるPS4 ProやXbox One Xを持っているなら、この感動をぜひ1度味わってもらいたい。筆者も次にモニターを買い換える際には、スペックを重視して選ぼうと思う。