「GAME CLASSICS No.1 魔界村 アーサー」レビュー

GAME CLASSICS No.1 魔界村 アーサー

アクションフィギュアにレトロゲームの波を起こす新シリーズ
その出来映えはいかに

ジャンル:
  • アクションフィギュア
発売元:
  • ユニオンクリエイティブ
開発元:
  • ユニオンクリエイティブ
価格:
6,980円(税別)
発売日:
2017年10月28日

 ユニオンクリエイティブより、「GAME CLASSICS No.1 魔界村 アーサー」が発売となった。同社がこの製品で初めて展開する「GAME CLASSICS」シリーズの第1弾となるのが、カプコンの名作アクションゲーム「魔界村」の主人公アーサーのアクションフィギュアだ。

 「GAME CLASSICS」シリーズとはその名の通り、過去に発売されたゲームのキャラクターを立体化する新たなアクションフィギュアシリーズ。第2弾は「ジェットセットラジオ」の「ビート」が予定されており、ホビーファンだけでなく、ゲームファンにも注目のシリーズとなりそうだ。筆者もその出来映えは気になっていた。今回、シリーズ第1弾を飾るこのアーサーの製品版をレビューしていこう。

【GAME CLASSICS No.1 魔界村 アーサー】
全身を鎧に包んだ王国機士アーサー。「魔界村」シリーズのメイン主人公だ
ゲーム中で選択に悩んだ4種類の武器も用意されている

初代「魔界村」のアーケード版とファミコン版のアーサーを再現

 このアーサーが主人公として登場する「魔界村」は、1985年にカプコンからリリースされたアクションゲームだ。無数のゾンビが現われる夜の墓場から始まるというホラーテイストを前面に押し出しつつ、ファンタジー作品に登場する怪物や悪魔などが登場する世界観や、鎧によるダメージ制や特徴のある武器を選んでプレイするゲームシステムは、当時としては非常に斬新だった。

 その一方、高い難易度で知られるタイトルでもあり、エンディングにたどり着くには2周クリアが必須など、かなりシビアな内容で、特に道中に登場する怪物「レッドアリーマー」のトリッキーな動きにに悩まされたファンも多いはず。シリーズはその後「大魔界村」(1988年・アーケード)、「超魔界村」(1991年・スーパーファミコン)、「極魔界村」(2006年・PSP)といったメインのシリーズや、本作を象徴する強敵「レッドアリーマー」を主人公とした「レッドアリーマー 魔界村外伝」などの派生作品を生んでいる。

 そんな「魔界村」のメインシリーズを通して主人公として活躍するのが、このアーサーだ。王国騎士という設定で、銀色の鎧に身を包み、ヤリをはじめとする様々な武器を使いこなし、サタンにさらわれたプリンセスを救出するために、魔界へと挑んでいくのである。本製品では、そんなアーサーの初代「魔界村」での姿をゲーム中に近いシルエットで立体化し、さらに彼の特徴でもある鎧が外れたときのイチゴ模様のパンツ一丁の姿も再現している。

 パッケージはウィンドウボックスで、よく見るとファミコン版「魔界村」のパッケージの色使いになっていることに気付くはず。表面にはドット絵のアーサーが、裏面にはステージ1のゲーム画面があしらわれている凝ったデザインなのだが、筆者はどちらかというとアーケード版のほうに思い入れがあり、絵柄もそちらに準拠して欲しかったという気もしている。

ウィンドウボックスタイプのパッケージ。色使いやロゴの位置はファミコン版を意識している
立ちポーズの正面。頭部が大きいため、スタンドなしでの自立はしづらい
兜のマスクは上下に可動する。胸当てには独自のモールドがほどこされている
軟質樹脂を使っているベルトにもちょっとした飾りがほどこされている
バックショットはシンプル。頭部ツノパーツは取り外し可能だ。小さいので紛失注意

 アーサー本体は、頭は大きめだが頭身はそれほど低くなく、当時のゲームキャラクター然としたプロポーションをしている。アーサーの顔つきはアーケード版「魔界村」のメインビジュアルを立体化していて、アレンジされてはいるものの、騎士の鎧もイメージを崩さずに立体化している。

 実は今回、写真撮影時は一部頭部のツノを付けて撮影していたのだが、アーケード版準拠の場合、ツノがないのが正しいということをご容赦いただきたい。なお付属の顔パーツを使えば、前述のファミコン版のパッケージのアーサーを再現可能で、こちらにはツノを付けるのが正しい状態となる。

 鎧姿を再現していることで、それが可動の一部を妨げているという点も見受けられる。例えば肩アーマーは上下にわずかしか動かないため、腕があまり上がらず、ゲーム中に武器を投げているようなポーズは取りにくい。

 また腰アーマーは、軟質樹脂のベルトに硬質のアーマーが接着されているので、脚自体はそれなりに動くものの、ジャンプ時のようにモモを高く上げるには、前垂れを避けて脚を開き気味に前に出さないと決まらないのだ。立ちポーズがかなり格好良く決まる分、ここは少し残念なところでもあった。

武器は4種類が付属。ヤリの柄が細くしっかり持てないので、テープなどで太くするといいかもしれない
武器の持ち手は右のみ付属している。ゲーム中のイメージを再現できる
腕はこの程度までしか上がらない。ヤリ投げポーズもここまでが限度だ

 メインの顔は、仁王像を思わせるような威厳と力強さが感じられる。この顔は取り外して裏側のピンを動かすことで瞳を動かせるようになっているのも、このサイズだから実現できた仕様だと言える。調整するのは若干難しいが、向きによってかなり表情が変わるのが嬉しいところだった。

 ここで1つ驚いたのは、顔を交換するために兜を外したアーサーの頭部がスキンヘッドだったということ。もちろん設定上は髪の毛があり、鎧が外れた状態を再現するための髪の毛パーツも付属するのだが、スキンヘッドも意外に自然でなかなか男らしい。

兜か髪の毛のどちらかを被せるのが設定に準じた姿である
左から分解した後頭部、顔2種、口を閉じた髭パーツ、髪の毛、兜
瞳は裏の軸を動かすことで向きを変えられる。中央にある治具は取り外せる
瞳が動くと同じ顔でも印象が変わる。左右に向けるときは、治具を取りはずといい
こちらはファミコン版パッケージの顔。こだわりが感じられるパーツだ
髪の毛パーツは髭パーツも付け替えるのが正しい。耳が出た形になる

 そして本製品の最大のウリとも言える、鎧着脱のギミックはかなりよくできている。鎧は、アーサーの裸姿を素体に、兜を含めて16パーツの鎧を着せるような形で装着されていて、手足を取り外すことでこれらを着脱する仕組みだ。また彼の裸時のトレードマークでもあるイチゴパンツは鎧を着せる関係でブリーフのような形で、別途用意されたパーツを履かせることでトランクスを再現している。

 兜を脱いでいるときの頭部は、専用の髪の毛パーツのほか、口を閉じた状態の髭パーツが用意されている。後者は耳が出ている形状のため、このパーツを付けたまま兜を被らせるのことはできない。当然ながら鎧を脱がせた姿はかなり細身だが、デフォルメのバランスによってそれほどガリガリには見えない。また鎧による枷がなくなり、鎧を着ている状態ではできなかった腕を上げるポーズも可能となった。

鎧は全て取り外せる。腰アーマーの着脱は脚を根元から取り外すと確実だ
ブーツの底を取り外すと素足パーツが収納されている
トランクスの裾部分も脚を根元から外して装着する必要がある
かなり細身だが、デフォルメキャラなのでそれほど不自然には見えない
鎧を着ている状態より腕が上がるため、ポーズも取りやすい。素手も右手のみ武器の持ち手が付属する

フィギュアとして荒いところも見られるが、今後の展開も含めて期待がかかる

 製品として残念なところは、前述の可動範囲以外にもいくつかあって、例えば鎧の塗装の一部にムラがあったり、兜のマスクがゆるく遊んでいると下がってしまったり、肩アーマーを固定する突起が小さくすぐに外れてしまったりと、細かなところに粗が多い。

 また筆者が1番気になったのはスタンドの仕様で、アームが細くネジなども使っていないため保持力が弱く、ゲーム中でアーサーがジャンプしている様子を再現することができない。もちろん別メーカーのものを使えばいいのだが、台座のディテールが凝っているだけに、もったいないと思った。

 特定のメーカーや作品に偏らないレトロゲームキャラクターをフィギュア化する企画は、これまでありそうでなかったシリーズであり、さらにこのアーサーの次は、筆者が大ファンである作品「ジェットセットラジオ」(セガゲームス)のメインキャラクター「ビート」がラインナップされ、そちらにも個人的に期待をしている。

付属のスタンド。台座には「GAME START」の刻印とコントローラー風のモールドがある
ゲーム中でのポーズなども一部再現可能だ。保持力のあるスタンドなどを用意するとさらに楽しいかもしれない