Xbox One Xレビュー

Xbox One X

国内最大の敵は“在庫”。4世代のXboxタイトルが楽しめるマストバイの1台

ジャンル:
  • ゲームコンソール
発売元:
  • 日本マイクロソフト
開発元:
  • Microsoft
プラットフォーム:
  • Xbox One
価格:
49,980円(税別)
発売日:
2017年11月7日

 Microsoftが放つ、次世代ゲームコンソールXbox One Xの発売が11月7日、ついにスタートした。

 日本では、既報のように、事前予約分のみで日本向けの割り当ては完売となり、残念ながらXbox One Eliteに続いて店頭販売無しという状況になってしまった。ただ、近年のゲームコンソールは、日本のメーカーである任天堂やソニーですら、日本の割り当てはマーケットサイズに合わせて欧米よりも少なくなっており、日本以外のリージョンでは在庫がだぶついているにも関わらず、日本で買えない状況が長く続くということが当たり前になっている。米国本社の新製品であるXbox One Xが、日本でより厳しい在庫状況となるのはある程度予想が付いていたことではある。

 筆者も、Xbox担当として情報戦で圧倒的に優位なポジションに立っていたにも関わらず、予約合戦にまさかの惨敗を喫し(参考記事)、11月7日以降どの面下げて生きていけばいいかわからない状態に陥っていたが、今回、日本マイクロソフトの厚意により、日本仕様の実機を借りてたっぷり触る機会を得られた。現役のXboxユーザーとして、1週間ほど触ってみた印象をレビューとしてお届けしたい。

 残念ながら、現実問題として欲しくても日本中でなかなか買えないという状況が現在も続いているが、日本マイクロソフト及部氏へのインタビューで、及部氏は「1回品切したからといって1カ月入荷がないということはないように随時出荷していけるよう調整しています」と語っているので、継続的な出荷に期待したいところだ。Xboxファンは、このレポートを読みながら、自分の最高の1台が届く日を心待ちにして頂ければと思う。

 なお、スペックや対応タイトル等、過去に取り扱った情報、すでに公開されている情報についてはここでは繰り返さない。筆者はE3での正式発表以降、プロトタイプや開発機、Xbox One XをエミュレーションしたPCなどでXbox One Xに触れてきたが、今回はXbox One Xの実機を自宅で稼働させ、4Kゲーミングを堪能した上での手触りをたっぷりお伝えできればと思っている。

【開封の儀】
パッケージはXbox One Sと同サイズ
箱を開けると横長のインストラクションカードが見える
Xbox One Xがお目見え
付属品はボックスの中にすべて入っている
インストラクションカード(表)
インストラクションカード(裏)
付属品一覧
同梱されているXbox Oneワイヤレスコントローラー

コンパクトボディに史上最高性能を詰め込んだいまだかつてないずっしり感

 筆者の手元には、Xbox Oneの初代機と、その後継機となるXbox One Sの2台があり、まだいずれも現役だ。Xbox OneはXbox Live IDでログインし、外付けHDDを接続し直すだけでプラットフォームの移行が簡単に行なえる。そもそもPS4やニンテンドー3DSのように「いつも使う PS4」の設定や「引っ越し」といった手間がいらないため、世代交代させる必要がない。Xbox One Xも同様の行動を繰り返すだけで移行が完了する。非常にお手軽だ。

 Xbox One Sと同系統の薄型横長のパッケージを開け、最初に本体を手に取って感じたのは「重い!」ということだ。サイズはXbox One史上最小ながら、実は史上最重量ということはカタログスペックとしては理解していたが、実際に手にしてみると質量の高い鉱石を持ったようなずっしり感がある。ほぼ同等のサイズであるXbox One Sは、サイズも重量も一気にコンパクト化しており、「Xboxもライトな時代になったな」という印象が強かっただけに、この違いにはちょっと驚いた。Xbox One Xは、再びカラーをブラックに戻し、ギッシリ中身を詰め込んだXbox One Sという印象である。Xbox One S同様、サイズはコンパクトなので引き続きリビング置きにも適している。

現在の我が家の状況。最上段からXbox One X、Xbox One S、PlayStation 4 Pro、Xbox One(Day One Edition)。新ハードが出る度に積み上げていったらこうなってしまった。このテーブルの下にはXbox 360やPS3、PS4などが置かれている

【Xbox One本体】
正面。初代Xboxからの伝統である「本体を動かす前に必ずディスクを取り出してください」のメッセージはシールになっている
背面。デザイン、端子周りは、Xbox One Xと同じだ
左側面
右側面。スタンド用の穴が空いている
Hello from Seattleの隠しメッセージは右側面に
プロトタイプは「Xbox One □」と表示されていたが、ようやく製品名が刻印された。日本向けモデルは「Model 1787」

 本体以外の同梱物は、Xbox Oneワイヤレスコントローラーと試供品の単三電池2本、電源ケーブル、HDMIケーブル、あとは簡単なインストラクションカードが2枚入っているだけだ。このあたりは前モデルであるXbox One Sからほとんど変わっていない。初代Xbox Oneは、そもそも本体が巨大だった上に、暴力的なほどに大きい電源アダプタが付いていたのと比較すると、Xboxもずいぶんスマートになったものだと思う。

 Xbox Oneワイヤレスコントローラーは、現在、単体で市販されているコントローラーとまったく同一の性能を備えた製品のマットブラックカラーモデル。初代Xbox Oneに同梱されていた初期モデルと比較すると、中央のXboxボタン周りのデザインが一部変わり、下部には3.5mmステレオオーディオジャック、Bluetoothを介したWindows 10 PCへの接続に対応している。

 なお、インストラクションカードには、Xbox Eliteワイヤレスコントローラーを推薦する項目もあり、Xbox One Xにおいても最上位コントローラーはXbox Eliteワイヤレスコントローラーのままだ。Eliteコンのオーナーである筆者はさっそくXbox One SからXbox One XにXbox Eliteワイヤレスコントローラーを繋ぎ直した。さて、これで史上最高性能を備えた無敵のゲームコンソールの完成だ。

【初代Xbox OneとXbox Oneの比較】
上がXbox One X、下が初代Xbox One。全面的にコンパクトになっているのがわかる
参考までに初代Xbox One(左)とXbox One X(右)の電源ケーブル
初代Xbox One(左)とXbox One X(右)のコントローラー

新型PCやスマートフォンに買い換えたときのようなキビキビ感。ゲームプレイ前から高い満足感が得られる

Xbox One Xのメイン画面。といっても、既存のXbox Oneとまったく同じ画面だ

 準備が整ったところで既存のゲームをたっぷり詰め込んだ外付けHDDをXbox One SからXbox One Xに繋ぎ直し、電源オン。初回は800MBほどのアップデートが発生するが、Xbox One全モデル向けのフォールアップデートの3.7GBと比較すると小さめで、フォールアップデートより短時間で初期セットアップが完了する。新規ユーザーの場合、別途、Xbox Oneそのものの初期設定やXbox Liveへの登録が発生するためもう少し時間が掛かるだろう。

 4K解像度で起動したXbox One Xは、快適そのものだ。CPU、GPU、HDD、メモリなど主要パーツのすべてで、Xbox Oneシリーズ初の全面的なスペックアップを果たしており、起動時間が短くなっただけでなく、メニュー周りの動きもキビキビ動き、マイコレクションの表示も一瞬だ。ゲームを起動する前から大きな満足感が得られる。あたかも4年振りにPCやスマートフォンを買い換えた時のような、そんな感動に近い。

【Xbox Oneフォールアップデート】
フォールアップデートでは、MicrosoftのストリーミングプラットフォームであるMixerが大きくクローズアップされている
こちらはコミュニティ画面
ストアにもシームレスに繋がっている

 ただ、新製品は、えてして目の前の感動から、感覚的な評価が甘くなりやすい。実際にどれぐらい速くなっているのか、簡単なベンチマークを取って調べて見た。

 ベンチは5種類計測してみた。Xbox One本体、「Forza Motorsport 7」(Xbox One Enhanced)、「Minecraft Xbox One Edition」(Xbox One)、「Alan Wake」(Xbox 360)、「Crimson Skies」(Xbox)で、本体の起動時間と、4世代すべてのゲームの起動時間を調べてみた。ゲームはすべて内蔵HDDにインストールし、タイマーを使って手動で計測するという原始的な計測方法を採用した。何度か計ってみると数秒単位でばらつくことがあったため、12回計測し、最も速い記録と遅い記録を除外し、真ん中の10回分の平均値を結果として出した。

【Xbox One起動ベンチマーク】

 ご覧の通り非常にユニークな結果が出た。まず、Xbox One本体の起動時間については、ハードウェアスペックが全面的に向上し、HDDについては「50%高速」とまで謳っているXbox One Xがもっとも遅いという意外な結果になっている。Xbox One Xは最後に計測したため、この“圧倒的な遅さ”の理由を特定するために、4KからフルHDに解像度を下げたり、接続していたHDDをすべて外したりして、都合3度に渡って計測してみたが、結果は変わらなかった。現時点では、Xbox One Xはなぜか起動がもっとも遅い。

 その一方でゲームの起動についてはほぼ全タイトルで有意な差が確認できた。Xbox One Enhancedタイトルの代表格としてラインナップした「Forza Motorsport 7」については、起動が10秒以上高速化するなど、目に見える形で速くなっている。「Forza 7」は、4Kデータも含めてレース前にたっぷりデータをロードするため、読み込みが歴代最長クラスに長いという弱点があるが、それがやや克服される格好となっている。

 そのほか、Xbox 360タイトルの「Alan Wake」も1~2割ほど高速化しているのが確認できた。Xbox Oneタイトルの「Minecraft Xbox One Edition」についてはXbox Oneよりも速くなっているものの、Xbox One Sとほとんど変わらないという結果となった。

 最後に、この10月に対応したばかりのXbox下位互換対応タイトルとなる「Crimson Skies」については、ほぼ誤差のレベルでハードによる違いは感じられなかった。データサイズからすると、そもそものローディング時間が長過ぎる印象があり、まだ最適化が不十分なのかもしれない。ともあれ、現行タイトルの起動の遅さや、新UIとなったメインメニューのもっさり感、マイコレクションの表示等の遅さにウンザリしている人は、Xbox One Xは一考の価値があるといえるだろう。

初代XboxからXbox One X Enhancedまで、4世代のゲームが楽しめるXbox One X

 さて、ようやくゲームのお話である。コアなXboxファンの視点から見たXbox One Xの最大の魅力は、6TFLOPSの処理性能や、4K/HDRゲーミング、4Kキャプチャ機能といった、史上最高のゲーム性能を備えつつ、それを初代Xboxから、Xbox 360、Xbox One、そしてXbox One Xのみ対応しているXbox One X Enhancedまで、Xboxの17年の歴史をすべて包含した全4世代のXboxタイトルに向けて提供しているところだ。

【マイコレクション】
ゲーマーはもっとも頻繁にアクセスすると思われるマイコレクション画面
上部のフィルタ機能には新たに「Xbox One X Enhanced」が追加され、対応しているタイトルのみを表示させることができる
こちらは「Xbox One X Enhanced」も含めたXbox One全タイトル
初代XboxタイトルとXbox 360のみ表示させることもできる

 もっとも、ハードウェアスペックのアドバンテージは、ライバルが追いつき追い抜くのは時間の問題だ。Xbox、Xbox 360はPS2、PS3にスペックで勝り、“3Dグラフィックスに強いXbox”というブランドイメージを作ることができたが、Xbox Oneでは設計を大きく変更したことで、PS4にパフォーマンスで劣ってしまったため、一部のサードパーティータイトルにおいてグラフィックスの差異が生まれ、サードパーティービジネスにおいて厳しい戦いを強いられてしまった。このことが、Xbox One Xの設計に大きな影響を与えているのは疑いの余地がない。しかも、Xboxの場合はXbox Play Anywhereによって、PCにもファーストパーティータイトルを開放したことで、“兄貴分のPCにはスペックで永遠に勝てない”という宿命を抱えている。「スペックが高いからXbox One Xだ!」というのはやや早計だと思う。

 しかし、4世代のXboxタイトルを遊べるというのは、まさにXbox One Xのみのアドバンテージだ。このアドバンテージに“心のときめき”を覚えるならこのマシンは買うべきだし、「いや、別に……」ということなら、コストパフォーマンスに優れたXbox One Sや、価格は跳ね上がるが汎用性の高いゲーミングPC、あるいは他のゲームコンソールでもいいかもしれない。もちろん、Xbox One Xを機に「Xboxユーザーの仲間入りを果たしたい!」というクールなゲームファンなら、予算の都合さえ付けば、Xbox One Xがもっともオススメできるマシンであることは間違いない。

 そして筆者もまさに“心のときめき”を覚えたタイプだ。初代Xboxの「Crimson Skies」から、「Alan Wake」や「Bioshock Infinite」、「RED DEAD REDEMPTION」、「斑鳩」といったお気に入りのXbox 360タイトル、「Cuphead」や「D4」といったXbox Oneタイトル、「Forza Motorsport 7」、「Forza Horizon 3」、「Gears of War 4」、「World of Tanks」、「Destiny 2」といったXbox One Xでさらに表現が強化されるXbox One Enhancedタイトル、そして「コールオブデューティ ワールドウォーII」、「アサシン クリード オリジンズ」、「シャドウ・オブ・ウォー」といった4Kネイティブ世代の最新タイトル達。ざっと20タイトルほどを浴びるように遊んでみたが、最新ハードで遊ぶ興奮、4Kゲーミングの感動、そして4世代に渡るXboxタイトルを1台のマシンで楽しめるゴージャス感をたっぷり味わうことができた。

 「Forza Motorsport 7」は、過去のレポートでも触れたように、コックピットの情報や、コース上のオブジェクトが隅々までクッキリ見渡せるようになるし、「アサシン クリード オリジンズ」や「コール オブ デューティ ワールドウォーII」、「World of Tanks」といったサードパーティータイトルも、同じ4K世代のPS4 Proより美しいグラフィックスでゲームが楽しめる。さらにXbox One X Enhanced未対応のXbox OneタイトルやXbox 360タイトルもスーパーサンプリングによって現役さながらの輝きを取り戻しており、往年の名作タイトルの新たな魅力に気づかされた次第だ。

【充実したタイトルラインナップ】
「Forza 7」は、Xbox One Xで起動するとタイトル画面に「Xbox One X Enhanced」の文字が追加される
「Forza Motorsport 7」(日本マイクロソフト)
「Destiny 2」(Activision)
「アサシンクリード オリジンズ」(ユービーアイソフト)
「コールオブデューティ ワールドウォーII」(日本マイクロソフト)
「シャドウオブウォー」(ワーナー)
「スターウォーズ バトルフロントII」(エレクトロニック・アーツ)
「Cuphead」(日本マイクロソフト)
「World of Tanks Console」(ウォーゲーミングジャパン)
「Gears of War 4」(日本マイクロソフト)

 正直な所、前モデルであるXbox One Sは映像コンテンツ周りは飛躍的に進化したものの、ゲーミング性能についてはHDR対応以外はほとんど変わらなかったため感動はなかったが、今回の感動は大きい。筆者はゲーミングPCのほか、PS4 ProやNintendo Switchなどゲームコンソールも一通り所有しているが、Xbox One Xの感動はここ数年なかったレベルのものだ。

 理由はPS4 Proを上回るビジュアル表現を実現した真の4Kゲーミングを実現したこと、同時に初代XboxやXbox 360タイトルとの互換性も確保した圧倒的なスケーラビリティを同時に実現してくれたことが大きいと思う。この恩恵は言うまでもなく、Xboxユーザー歴が長ければ長いほど、保有するXboxタイトルが多ければ多いほど大きくなる。まさにXboxファン冥利に尽きる1台と言えるだろう。

【過去のソフトウェア資産が(ほとんど)すべて活きる!】
「ファイナルファンタジーXV」(スクウェア・エニックス)
「Forza Horizon 3」(日本マイクロソフト)
「Quantum Break」(日本マイクロソフト)
「D4」(日本マイクロソフト)
「RED DEAD REDEMPTION」(ロックスターゲームス)
「Fallout 3」(ベセスダソフトワークス)
「斑鳩」(トレジャー)
「Crimson Skies」(日本マイクロソフト)

コンソールゲーム史上初の4K/60fpsキャプチャ。ただし、取り扱いはやや注意!

Xbox One Xでは4K/60fpsでキャプチャできる!

 Xbox One Xのゲームコンソールとして革新的なもう1つの要素が、4K/60fpsのキャプチャを標準機能としてサポートしていることだ。Xbox One/PS4世代の720p/30fps、1080p/30fpsキャプチャ、PS4 Proの1080p/30fpsキャプチャと比較すると、一気に数段階グレードアップしており、日頃からビデオクリップを保存して楽しんでいるゲームファンにとっては、まさに夢のようなゲームコンソールと言える。

 注意点としては、当たり前の話だが、ビデオクリップのファイルサイズも跳ね上がってしまうところだ。現行ハードでビデオクリップを利用している人ならご存じの通り、ビデオキャプチャはかなり容量を食う。スクリーンショットなら1枚数MBで済んでいたものが、ビデオクリップだと1080p/30fpsでも、10分程度撮っただけですぐ数百MBに達してしまう。4K/60fpsは、単純計算でPS4 Proの1080p/30fpsキャプチャ比で8倍のファイル容量が必要になる。繰り返すが8倍である。10分で数GBの世界である。日常的にキャプチャしていると内蔵HDDの1TBだけではとても足りない。

 実際、筆者は9月に行なわれたXbox Showcaseで、4K/60fpsの映像を撮っていたら、128MBや256GBのSSDをすぐ使い切ってしまい、慌てて街の家電屋に駆け込み2TBの外付けHDDを購入するという、4K/60fpsキャプチャの恐ろしさを身をもって学習した人間である。そもそもの疑問として、うっかり垂れ流し録画していて内蔵1TBがパンクしてしまったらどうするのだろうか?

 Xbox One Xでは、そうした事故を未然に防ぐために、1回につき100MBの動画しか撮れないようになっている。現行世代の標準画質である720p/60fpsなら5分、1080p/60fpsなら2分、4K/60fpsなら30秒だ。Xbox Liveにアップロードする場合は強制的に1080pに解像度は落とされるなど、「キャプチャもストリーミングも何が何でも4K!」というわけではなく、そこは現状の普及しているテクノロジーレベルに最適化される形で、4Kサービスが提供されている。

【Xbox One Xのキャプチャ機能】
4Kの場合は、強制的に録画時間は30秒に制限される。1080pは2分、720pは5分
外付けHDDを導入することで「今から録画」によって最大1時間まで録れるようになる
ちなみにゲーム用の外付けHDDと、ビデオクリップ用の外付けHDDは兼用できず、別々に用意する必要がある。逆に言えば2台も接続できる

 では、目玉の4K/60fpsはわずか30秒限定で、こけおどしに過ぎないのかというとそんなことはない。NTFSでフォーマットされたUSB3.0対応の外付けHDDを用意することで、手動による「拡張クリップ」が可能となる。これは外付けHDDの容量次第で、最大60分まで撮ることができるという機能で、従来のビデオクリップのように遡ってキャプチャしてくれるものではなく、プレーヤー自身が開始と終了を指定してキャプチャするタイプのものだ。

 この「拡張クリップ」も4KクオリティではXbox Liveにアップロードはできないが、NTFSでフォーマットされた外部ストレージをそのままPCに差し替えるだけで、PCへのコピーはもちろん、PCを介した編集、4K/60fpsそのままのアップロードもできる。このあたりはいかにもMicrosoftらしい解決方法と言える。

 ちなみに30秒の4K/60fpsクリップは、使ってみると意外に丁度良い感じで、ナイスプレイが出るとついついXboxボタン+Xボタンを押してしまうクセが付いてしまった。100MB程度なら許容範囲かなと思い、色んなシーン、タイトルで撮っていたら、スクリーンショットも含めて1TBほど使ってしまっていた。評価用に使用していた2TBのHDDでも足りなさそうで、やはり4K/60fps恐るべしである。

 最後に既存の1080p/30fpsと4K/60fpsクリップがどれぐらい違うのか、実際に撮り比べてみたので見比べてみて欲しい。参考までにPS4 Proの動画も掲載しているので、同じ4K世代のキャプチャ性能にどれほど違いがあるのか見比べてみるといいだろう。

【Xbox Oneビデオクリップ(1080p/30fps)】
基本となるXbox Oneでのビデオクリップ。当初は720pだったが、1080pに強化された。ただし、30fps

【PlayStation 4 Proビデオクリップ(1080p/30fps)】
4Kに対応したPS4の上位モデルPS4 Proのビデオクリップ。4Kキャプチャには対応せず、Xbox Oneと同等の1080p/30fpsまでとなるため、4Kのゲーム画面をそのままキャプチャできない

【Xbox One Xビデオクリップ(4K/60fps)】
Xbox One Xのビデオクリップは30秒限定ながら4K/60fpsで録れる

【Xbox One X拡張クリップ(4K/60fps)】
Xbox One Xでは、さらに外部ストレージを接続することで4K/60fpsキャプチャを最長1時間録れる。これは試しに1ゲーム丸々(9分弱)録画したもので、大して長くないのにファイルサイズは1.5GBもある

Xboxファンならぜひとも欲しい1台。一刻も早い安定した供給体制の確立を!

ひょっとしたら在庫があるかもしれないということで、この記事を書く直前にも新宿の家電量販店を回ってきたが、どこもなかった……

 Xbox One Xを1週間ほど使ってみての感想は、“起動が遅い”という意外な弱点以外はほとんど不満点がなく、全般的に非常に満足度の高いゲームコンソールで、2016年に4Kゲーミングの世界を切り拓いたPS4 Proに勝るとも劣らない感動と満足感をゲームファンに与えてくれる。これから遊んでみたいタイトルや、大事に残しておきたいコレクションがあることが大前提となるが、ゲームファンにはマストバイの1台だと思う。

 明確な問題点というか、致命的なのが、どこにも売ってないことだ。この記事を書くにあたり、再度ショップにも足を運んでみたが、どのショップも11月7日の発売後に1回だけ店頭入荷したそうだが、10台以下の少量で、次回入荷はわからないという。毎朝ショップを訪れるより、予約再開を待つことをオススメしてくれた。

 ただ、米国のオンラインショッピングサイトを見る限り、Xbox One Xの在庫はかなり潤沢で、需要は落ち着いてきており、あとはグローバルでの在庫調整が行なわれれば、日本のように在庫が枯渇している地域にも順次供給されるようになってくると思う。問題はそれがいつなのかということだ。

 日本でほぼ唯一情報を持つ及部氏に直接質問をぶつけてみたところ、「供給が追い付かずファンの皆さんにはご迷惑をおかけしており申し訳なく思っています。出荷は今週まで毎週随時行なっていますが、需要に追いついていない状況です」という回答が得られた。供給量がどうなるのかまだ予断を許さない状況だが、Xboxファンとしては、遅くとも年末までには供給が潤沢になり、多くのXboxファンが手に入れられる状況を願うばかりだ。Xboxファンはぜひ諦めずに在庫の復活を待って欲しい。