2017年5月31日 18:00
従来のアクションゲームに食傷気味。新しいジャンルのゲームを遊びたい。そんな方にうってつけのゲームが現在、PS Plusでフリープレイとして絶賛配信されている。PS4・PS3用ソフト「ブレイドストーム 百年戦争&ナイトメア」だ。
本作はフランス王国とイングランド王国の戦いを描いた百年戦争が舞台。プレーヤーは傭兵となって、フランス王国またはイングランド王国に加勢してミッションを遂行していくのだ。本作のストーリーはふたつ収録されており、歴史をテーマにした「百年戦争編」だけでなく、ファンタジー要素を大胆に盛り込んだオリジナルストーリー「ナイトメア編」も収録しているお得な作品なのである。
筆者はかって本作にドハマリしたことがある。「ブレイドストーム」の最大の魅力は、他のゲームにはない団体を操る軍団アクションだ。軍団対軍団のぶつかり合いがとにかく熱く、軍団による“数の絶対的力”を体感できる。軍団に号令を掛け、一斉攻撃で敵の兵士をまとめてなぎ倒す爽快感は病みつきになる。このかつてない爽快感をぜひこの機会に体験して欲しい!。
1人の傭兵となって、百年戦争を生き抜け
「ブレイドストーム 百年戦争&ナイトメア」は、フランス王国とイングランド王国の戦いのオープニングから始まる。戦いの渦中、1人の傭兵が敵軍の中に見知った顔を見つける。前まで同じ軍で戦っていた男が、今回の戦いでは敵側の軍について戦場にいた……といったストーリーが展開する。
百年戦争はそういった傭兵こそが主役なのだ。報酬次第でどちらの軍にもつく、そんなことは傭兵の世界では日常茶飯事。傭兵は英雄ではない。忠義や信念などとは全くの無縁で、お金や名声のために、常に待遇のいい好条件な仕事を請け負って戦っているのだ。そして本作におけるプレーヤーはまさにその“傭兵”なのだ。「ブレイドストーム 百年戦争&ナイトメア」はそんな風来坊の生き様を体験できる作品なのである。
初めに自分の分身となるキャラクターを作り、ゲーム開始だ。本作では「酒場」で依頼を受けミッションを選び、戦場に駆り出し、ミッション毎に設定されているクリア条件を達成していくのがゲームの基本的な流れとなる。酒場では、イングランドとフランスどちらからも依頼があり、プレーヤーが選べるのが本作らしいところだ。依頼ごとに難易度があり、高い難易度のもは報酬も大きい。
最初のミッションは、フランス王国側につき、イングランド王国と対決することにした。戦闘画面ではサードパーソンの「無双」シリーズなどでもおなじみの視点となる。始まると、フィールドには敵味方共に溢れかえる程の兵の数。これぞ戦争という空気がヒシヒシと感じられる。
本作の基本的なプレイは、並み居る敵を自分の“軍団”で蹴散らしていくことだ。大量の敵を倒していくという点では「無双」シリーズと同じだが、決定的に違うのは戦いのリアルさである。「無双」シリーズではプレーヤーが操作する武将は、たった1人で、それもひと薙ぎの攻撃で何十という敵兵をまとめて吹っ飛ばす超人である。そして、「無双」が“個の力”なら、「ブレイドストーム」は“数の力”なのだ。
数を束ねた軍団の一斉攻撃は無双キャラの一撃に匹敵する。団体を引き連れて敵の部隊に突撃し、敵兵をまとめて蹴散らす瞬間はこの作品でしか味わえない爽快さだ。数という表現で、リアルさを感じさせながら敵をなぎ倒す気持ちよさがうまく出ていて、この面白さに筆者は魅了された。戦いのリアルさを前面に出しているにも関わらず、爽快アクションという部分を損なっていないのがすごいのだ。
そして、ミッションをクリアするには、攻略目標の敵拠点を陥落させなければならない。当然だが、攻略目標の拠点は兵の守りがとにかく厚く無理に攻め込んでも敗走は目に見えている。主要拠点を制圧させるには、そこを守る大量の兵士を蹴散らし、拠点隊長を討ち取る必要がある。兵の数で負けているなら、敵の弱点の兵科で戦うのがセオリーだ。
初めは使える兵科は少ないが、本作には100種類以上の兵科が存在する。「歩兵」、「弓兵」、「騎馬兵」など基本的なもの以外にも、「処刑人」や「象兵」、「ラクダ兵」といった“変わり種”もある。そして、「歩兵は弓兵には強く、騎馬兵に弱い」、「弓兵は騎馬兵に強く、歩兵に弱い」、「騎馬兵は歩兵に強く、弓兵に弱い」といった相性が設定されている。
戦闘中、味方の軍団に隣接すると、味方の兵科と自分の兵科をチェンジすることができる。敵の兵科に合わせチェンジし、その局面ごとに自軍の兵科を変えて有利に戦っていけば、難攻不落の拠点も落とすことができるのだ。ゴリ押しでただ戦うだけではなく、戦略性の高さも本作のウリなのである。
そして本作の成長要素は、ミッションをクリアして得たSP(スキルポイント)を使うことで、兵科のパラメーターを強化したり、引き連れる兵の最大数を増やすなどの育成ができるというもの。キャラ自体にレベルの概念はなく、引き連れる兵科ごとにレベルやスキルが存在する。戦闘の面白さも魅力なのだが、兵科の育成も中毒性が高いのだ。
育成の面白さは、「成長させて強くなった感覚が肌で感じられる」というところだ。例えば「統率力」のパラメーターを上げて兵士の数を増やす。すると、今までとは比べ物にならないくらい軍団が強くなる。先ほど“数が力”と述べたように、兵の数が増えるだけで攻撃力が跳ね上がるのだ。こちらの兵が増えれば増えるほど、敵の軍団を一瞬で飲み込んでしまうのだ。
パラメータは純粋に攻撃力や防御力、それと兵科ごとにあるスキルの威力や継続時間をあげたりもできる。このように成長前と後の力の差が明白だと、いろんな兵科をどんどん成長させていきたくなるのだ。これらをどんどん上げていき、自分なりの軍隊を作り上げていくのが「ブレイドストーム」の醍醐味なのである。
そして、「ブレイドストーム」の面白いところは、“歴史を自分の手で変えられる”ところにある。現実では泥沼状態になってしまい、“百年続く戦争”を、自分たちの傭兵団の活躍でどちらかを明確な勝利に導けるのだ。例え旗色が悪い状況でも、それを自分が鍛えた軍団で覆すのは興奮させられる。自分なりの歴史を作れるというのは、コーエーテクモゲームスのゲームならでは、というところだろう。
リアルな戦争から一変! 中世ファンタジー映画そのままの「ナイトメア編」
ここからはもうひとつストーリーの「ナイトメア編」を紹介していこう。このモードは先までの百年戦争の世界観をぶち壊す、驚きの内容となっている。なんと“ファンタジー要素”がプラスされるのだ。百年戦争の真っ只中に突如現われた魔物の軍勢。フランス王国とイングランド王国は魔物の存在により一時休戦し、連合軍を結成。主人公は連合軍と共に魔物軍団から世界を守るという、「いきなりどうした!?」と突っ込まずにはいられない急展開なストーリーとなるのである。
このモードはこれまでの「百年戦争編」のように依頼を受注してミッションをクリアして進行する形式ではなく、章仕立てとなっている。ステージには魔物軍団の総大将が存在しており、その総大将を撃破すればステージクリア。そして次の章に進むという流れだ。ナイトメアモードは全9章。百年戦争編と比べてストーリー性が高いのも特長だ。
ナイトメア編の敵は、ゴブリンやスケルトン、さらには死神などのバケモノばかり。そして百年戦争編の敵とは比べ物にならないくらいの強さを誇る。難易度が高く、歯ごたえのあるモードとなっている。キャラクターは百年戦争編で育て上げた兵科をそのまま使えるのだが、敵は強く、なかなかに苦戦を強いられる。
やはり魔物に対抗できるのは魔物しかない! このモードではなんと主人公は魔物を操ることができるのだ。こちらも魔物の軍団を引き連れれば、敵の強い魔物とも互角に渡り合える。魔物と魔物がぶつかり合う様は、中世ファンタジー映画そのままだ。魔物の強さはこれまでとはまさに“ケタ違い”で、自軍の魔物軍団の強さに若干酔いながらゲームを進めていった。
今回印象に残ったのは、ゲーム中盤の敵主要拠点の攻略である。今回プレイしていて最大の激戦であった。主要拠点は「百年戦争編」同様の厚い守りとなっている。拠点周囲をスケルトン、ゴブリン、死神の軍団が鉄壁の守りを固めている。強気に突っ込み、自軍のゴブリンが持つ強力な攻撃スキル「ヘビーストライク」を叩き込み一気に蹴散らした。
拠点を守る魔物はあらかた片付け、あとは拠点隊長を倒すのみ。いつもなら、ちょっとサイズの大きいゴブリンやスケルトンあたりが出てくるのだが、この拠点を守る拠点体隊長はそんなヌルいものではなかった。ひとつ目の巨人「サイクロプス」が現われたのだ! 自分たちとの圧倒的サイズ差と存在感。戦う前から、こいつ間違いなく強いぞと確信していた。
サイクロプスの強さは攻撃力の高さと防御力の高さだけではなく、厄介なのは広範囲に食らわしてくる棍棒の攻撃だ。こいつを1発でももらったら、自分の魔物軍団は壊滅の危機だ。この攻撃は食らうわけにはいかない。幸いにもサイクロプスの攻撃には溜め時間がある。攻撃のモーションに入ったらすぐさま安全なところまで距離をとればダメージをもらうことはない。ちょっと地味な戦い方だが、敵の攻撃後の硬直を狙って攻める、ヒット&アウェイ作戦が有効だ。とにかく攻めまくり、攻撃スキルがリロードされたら、すかさずぶちかますという行動を繰り返した。
途中、一緒に戦ってくれていた味方の軍団が邪魔で、攻撃から逃げれず窮地に立たされる一幕もあったが、激戦の末なんとかサイクロプスを撃破し、敵主要拠点の制圧に成功した。この戦いは、これまでにない長期戦&緊張感のある戦いであった。
「ナイトメア編」はストーリー性の高さが魅力だ。ヨーロッパに魔物で介入してくるという「魔物軍団の総大将の女」は何者なのか? 世界に魔物を送り込んだその目的とは!? ゲームを進めていくと謎に包まれていた物語の全貌が少しづつ見えてくる。誰も知らないもうひとつのフランス王国とイングランド王国の戦いの結末は、自身の目で目撃して欲しい。
久々に本作をプレイしたが、他のゲームでは味わえない軍団アクションは、やはり何度遊んでも引き込まれてしまう。しかしこれはほんの“さわり”でしかない。本作はスルメのように噛めば噛むほど味が出る。やり込めばやり込むほど遊びが広がっていく作品なのだ。
依頼を次々とこなしていき、名声を積み上げていけば戦場に連れて行ける部隊数が増える。最大4部隊まで出撃させることができ、味方部隊に指示を出すことも可能。分散して敵拠点制圧を狙ったり、強固な拠点を全部隊一点集中で攻め込むこともできる。出撃できる部隊が増えることで戦略の幅も広がり、戦闘がさらに深く、面白くなるのだ。
兵科の種類も充実。“兵法書”というアイテムを戦場やショップで手に入れることで、使える兵科が解放されていく。兵科の中には「魔法使い」や「忍者」、さらには筆者を苦しめてくれた「サイクロプス」、そして「ドラゴン」なんていう驚きの兵科も存在しているのである。
ストーリークリアを目指すだけでもかなりのボリュームがある。「百年戦争編」と「ナイトメア編」、どちらのモードもゲーム1本分のボリュームはある。そしてやりこむことで軍団をどこまでも強化できる。これ1本でどこまで遊ばせてくれる気なのか、コーエーテクモゲームスのサービス精神に脱帽である。
そんな魅力が詰まった本作のフリープレイは6月6日まで。この期間にダウンロードしておけば以降はいつでも遊ぶことができる。気になった人は今すぐゲットしよう。そして、今月のフリープレイをきっかけに「ブレイドストーム」人気が再熱し、シリーズ最新作に繋がったら……なんてことも筆者は夢見ているのである。
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